Good Bye 〜愛していた人〜

鳴宮鶉子

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彼のスゴさを知る

「お世話になります。ポッケモンgo、出来あがりました?」

わたしが受け持つのは、アプリでゲットしたポッケモンとアイテムをスイッチのゲーム内に移すプログラム。
ついでに、ポッケモンを連れていく事でレベルが上がる仕様にするとかで、ハードを行き来するプログラムを開発するのに四苦八苦していた。

なんでも、わたしが、できると勘違いしている上司に腹が立つ。

「地図アプリにランダムにポケモンを発生させて、ジムやアイテムスポットを置くだけだからなんとか作業は進んでるよ。
でも、面倒臭いね」

東京から途中まで出来上がったアプリが入ったiPadを持参した松坂さん。

スイッチのデータと連動できるかの確認で東京から来て貰った。

「動作が重いし、エラーでるね」

「ごめんなさい……」

謝ってすむ問題ではないけど、わたしの力量では、どうプログラムを組めばいいかわからない。

「俺も、スイッチとiPhoneのデータを連動させる方法はわからないわ……。
上司に聞いてみるわ。
次は、新谷さんが東京に出てこれない?」

あまりにエラーと動作が固まるから、ライブアメバドアのエンジニアに知恵を拝借する事にした。

わたし、彼が立ち上げた会社に1度も行った事がない。
初期のメンバーとは何度か会った事はある。

スイッチとアプリの連動は今回のゲームでは不可欠で、不本意だけど、わたしの東京出張は決まった。

ライブアメバが入ってるオフィスビルに向かう。
新宿駅側の25階建高層ビルの17階から21階がライブアメバで、大企業になってると改めて感じた。

17階のライブアメバの受付へ向かうと、松坂さんが待っていた。

「新谷さん、こっち」

ポッケモンgoの開発を一緒に手がけてるのもあり、松坂さんと、打ち解け、気さくに話せる仲になった。

ポッケモンgoのアプリを手がけるチームメンバーは15人いて、1人1人紹介して貰った。

30歳いくかいかないの若いメンバーだった。

その後、今日、わたしがライブアメバにおもむいた本題の、スイッチとアプリの連動に関して、あれこれ試し、お手上げ状態で嘆く。

「もう、お手上げ、舛岡(ますおか)取締役か、長谷川(はせがわ)取締役を誰か呼んできて」

松坂さんはチームの若い子に声をかける。

「今日は2人とも出張って書いてありましたよ」

「じゃ、どうする。……相楽(さがら)取締役社長呼んでくるしかない?……怖いから嫌だ」

チームメンバーが口々に、どうするかを話し始めた……。

個人的に、相楽取締役社長は、出てこられたら困る……。
舛岡取締役も長谷川取締役も、わたしの事を覚えてるかもしれないから、会いたくない。

わたしが、相楽将輝(さがら まさき)の元から去って、1年が経った。

だから、もう、わたしの事なんてなんとも思ってないだろう……。

そうは思っても、会いたくなかった。

「おまえら、ボーナス無しにしたろっか」

入り口から聞き覚えのある声が聞こえた。

「相楽取締役社長!!」

「何、ゲーム機とアプリの連動だっけ、貸せ」

ズカズカと入って来て、プログラム用のノートパソコンの前に座ってる松坂さんに、『退け』と席を立たせ、高速でキーボードを叩き始めた。

ものの15分、仕様書を見ながら、カタカタと入力し、プログラムを、スイッチとアプリを入れたiPhoneに飛ばす。

「スムーズに動いた!!流石です、相楽取締役社長!!」

チームメンバーが大きい歓声をあげたのが煩かったのか、将輝が耳を塞ぐ。

「こんな仕事に時間を使うな。わからなかったらすぐに聞けって言ってるだろ。……任天社の担当の仕事か」

そう言って、将輝がわたしの方を見て、固まった。

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