鬼畜元彼と激甘今彼、結婚するならどっち?

鳴宮鶉子

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秘密の恋人

「相良先生が元彼だったんだ」

蓮の嫌がらせとしか思えない付きまとい行為に頭を抱える日々。

「5年間放置しといて、結婚考える年齢になったら現れるって、露骨過ぎだな」

週1あるかないの恋人とのひととき。
なかなか休みが合わず、2人きりにはなれない。

「相良先生とはもう、無関係ですから!!」

下っ端医院は月の大半は新宿の救急センターで勤務。
それもあり、葛城病院には外来当番医の時しかいない。

蓮と顔を合わせるのは週2回。
昼休憩と仕事あがりの時間帯に待ち伏せされ、周りの目もあり、かなりストレスになっている。

結婚を考えている佐久間先生に、蓮との仲を疑われないか気が気でなく、苦しい。

「わかってる。学生時代の恋愛は美化されるからな」

35歳の彼は大人だ。

恋愛にうつつを抜かさず、患者と向き合ってきた佐久間先生。
経験を積むために救急センターで働き詰めな生活を送り、その功績が認められ、葛城病院の循環器内科部長の地位を得た。
だけど、暇があれば救命救急センターに赴き、ヘルプドクターをしていて、そんな彼に私は恋した。

「逃した魚はでかかった。釣った魚に餌を与えずに放置し、食べ頃になって現れる。あるある話だけどな」

久しぶりの逢瀬。
余韻に浸りたいけど、救急センターに駆けつけたい彼はシャワーを浴び、支度をする。

「理知はギリギリまで寝ときな。睡眠不足は過労死に繋がる」

私の頭を撫で、佐久間先生は出ていく。
もっと一緒にいたいけど、週末の救命救急センターは患者が殺到するから落ち着かないんだと思う。

「俺が対応するから、理知は出勤時間に来ていいから」

佐久間先生は極甘で良識ある男性。
そんな彼と結婚前提で付き合えてる事が奇跡に思う。

「蓮、……なんで救命救急センターにいるわけ?」

深夜勤で救命救急センターに行くと、蓮がいて顔がひきつく。

「ボランティア。外科医は呼び出しなかったら、週末、基本的に休みだから」

部長になると救命救急センターの派遣は免除される。
佐久間先生もボランティアで助っ人に入ってる。

季節的に過ごしやすい5月中旬。
救急搬送される患者さんが少なく、優雅にコーヒー飲んでいた。

「緊急オペで呼び出される前に待機していた方がいいだろ。今、暇になったから休憩とってるが、さっきまで患者が殺到して大変だったんだぞ!!」

葛城救命救急センターに運び込まれる患者の大半が狭心症、心筋梗塞。
血管の詰まりを溶かす点滴とカテーテル手術で応急処置を行うため、心臓外科医でなく循環器内科医が治療にあたる。

カテーテルが心臓医療に導入された当初は心臓外科医がカテーテル検査と外科的手術の両方ともやっていた。
それが今では、内科医や放射線科医が行うようになった。
先天性心疾患の中でも、単純な心房中隔欠損とか心室中隔欠損などは、小児循環器内科医がカテーテルで低侵襲的に治療するようになり、WPW症候群や弁膜症も昔は全て手術をしていたが、今はカテーテルアブレーション、あるいはTAVI(経カテーテル大動脈弁治療)で治療が可能になり、心臓外科医の仕事は減ってきている。
 
「新井先生、相良先生がいてくれたから、今日、助かったんですよ!!」

専攻医2年目の女子力高め女子の久保田先生がカテーテル室から出てきて駆け寄ってきた。

「8cm級の胸部大動脈瘤保有の患者さんが担ぎ込まれて、佐久間先生がステントグラフト内挿術で治療にあたったら、破裂しちゃってかなりヤバかった」

切迫破裂、もしくはすでに破裂している患者さんに対して緊急ステントグラフト内挿術は行えるが、外科医が滞在してない時はできない。
結構な頻度でそういう患者さんが搬送されてきて、大病院に搬送するもしくは外科医の派遣を要請し、緊急手術を行う。
破裂すると体内に大出血し、かなり危険な状態になる。

「相良先生がいて助かったよ」

佐久間先生が疲れ切った顔をしてカテーテル室から出てきた。
かなり嫌だけど、佐久間先生は蓮とオペチームを結成している。
年が近いのもあり、仲が良い。

「俺は今日はもうあがる。相良先生、良かったらこれから飯行きません?」

「理知といたいので行きません。理知に会うためにボランティアで来たのに、これで帰ったら来た意味がないです」

佐久間先生が私の出勤と入れ違いに帰るのが残念。
蓮が帰らず残るのは、役には立つけど、邪魔でならなかった。

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