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命短し恋せよ乙女 ⑭

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【由利凛side】

 佐江内姫子を背負いながら歩いている嵐お兄ちゃんを見ながら、妾はあきれていたのじゃ。

 星華ちゃんに秋穂ちゃん、伊緖ちゃんに由美子ちゃん。
 おまけに蝶子ちゃんアフロディーテが嵐お兄ちゃんを中心に歩いている。
 妾が男の子だったのなら、
『ケッ !  とんだハーレム野郎だぜ !』
 と揶揄していることじゃろう。
 ただ、妾は心優しいスーパーヒロインだから、生温かい目で見守ってあげるのじゃ。

「ユリリン。  その目、気持ち悪いよ。
 嵐お兄ちゃん達を呪っているの ?」

 双子の姉である、エリリン恵利凛が失礼なことを言ってきた。

「失礼な !  妾は、嵐お兄ちゃん達を見守っているだけなのじゃ !」

「そ~お。  邪神が悪巧みをして、ほくそ笑みを浮かべている顔にしか見えなかったんだけど、わたしの気のせいかな ?」

「酷いのじゃ !  エリリンが、双子の可愛いカワイイ妹を信じてくれないなんて、グレてやるのじゃ !」

「わたしもグレる !? 
 最近、アテナ明日菜が冷たい !
 エリス英里香とばかり遊んでいる 」

 何故か、パラスちゃんまで妾と一緒に『グレる !』宣言をしてきたのじゃ。
 案の定、エリリンは困っている。
 エリリンは真面目過ぎるのじゃ !
 少しは妾を見習って、人生を楽しめば良いのに。

 妾とパラスちゃんが駄々をねていると、眉をハの字にして困っているエリリン。

「なら、蝶子ちゃんわたしは先にゴールに行って、先生に連絡するね !」

 蝶子ちゃんが、嵐お兄ちゃん達を置いて先行を始めた。
 駆け足では無く競歩のように、早歩きで前に進んでいく。
 お花畑頭のアフロディーテと違い、なかなかしたたかな蝶子ちゃんなのじゃ。

「蝶子ちゃんだけじゃ心配だから、わたしも行くね !」

 エリリン恵理凛アフロディーテ蝶子ちゃんを追いかけて行くもののコンパス歩幅、足の長さが違うから、アッと言う間に引き離されて…………

「早いよぉ~、蝶子ちゃん !」

 息を切らして、へたり込む恵理凛。
 只野真亜頭ただの マーズが、

「恵理凛ちゃん、大丈夫 ? 」
「うん、大丈夫だよ。 マーズくん 」

 場所を考えて欲しいのじゃが仕方ないのう~。
 最近、お友達から恋人同士に進化したのだから、イチャイチャくらい許してやるのじゃ。

「由利凛ちゃん。  疲れたら、少し休もうか ?」

 辺奈凪へんな なぎが心配そうに妾を覗きこむ。

「大丈夫じゃ無いのじゃ、凪。   膝枕して欲しいのじゃ !」

 妾が甘えると、顔を真っ赤にしている凪は可愛いのじゃ。
 妾と凪も正式に恋人同士に成った。

 だから余裕綽々で、嵐お兄ちゃん達の恋模様を高みの見物が出来るのじゃ。

「エリリンも、ユリリンも楽しそう……
  アテナあすなエリス英里香とばかり遊ぶなら、わたしも彼氏を作ろうかな ?」

 パラスちゃん女神パラスが、ようやく明日菜ちゃん女神アテナ以外に目が行った発言をすると、ワラワラと男子生徒が群がってきた。

菖蒲学園に居る留学生たちが、自己アピールを始めたのじゃ。

「ソレント=エーゲカイです、パラス様 !」
「イオ=グリーンランドです、パラス様 !」
「アイザック=アルクだ 」

 三人の男の子に囲まれて、目を白黒させるパラスちゃん。
 実は大江戸三姉妹の中では一番人気なのは、公然の秘密だったりするのじゃ。

 それを見ていた、明日菜ちゃんも英里香ちゃんも驚いている。
 二人とも余裕をブッコイていると、アッと言う間に行き遅れに成るのを知ろうとしてないのじゃ。

 さてさて、妾は高みの見物をして楽しもうかのう~。

    
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