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呪術師

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 🥜🍉県 とある神社

【嵐side】

 蝶子のクッキーダークマターを食べてから、調子が悪い。
 まるで、力の半分をもぎ取られた感じだ。
 そのせいか、この神社の空気が凄くよどんでいる気がする。

「悪い。  ちょっと他の場所で休んでいるから、異界の入り口を見つけたら、メールで教えてくれ 」

 そう言って、神社から離れた。
 俺が病み上がりだからか妹たちはおろか、こけるまで黙っていたから、よっぽど顔色が悪いのかも知れないな。

 テポ テポ テポ

 俺を心配?したのか、由利凛が追いてきた。
 町は閑散としていて人通りが少ない。

 俺たちの前を一匹の黒猫が通り過ぎようとして、

 ── もし、殺したいほど憎い奴がいるのなら、アタシに追いてこい。
 憎い奴の写真か髪の毛があるのなら、尚よい。
 お前の寿命の十年を引き替えにアストが、この世ならざる力でそいつを呪殺してくれるだろう ──

 猫魈サファイアとも違う妖しい黒猫の後を追いて行くと、古びたビルに入っていった。

 ── このビルの最上階に呪術師のアストが居る。
 望みがあるなら、訪ねるがよい ──

「エレベーターは動くのじゃろうか ?
 五階まで登るのは疲れるから嫌なのじゃ 」

 由利凛が駄々をこねると、

 ── エレベーターは動かない……
 まったく、最近の人間は階段を登るのも面倒くさがるのか ──

 黒猫は、リズミカルに階段を登って行ってしまった。
 

◇◇◇

 階段を登ったら、綺麗なフロアーに成っていた。
 他の階が廃ビルのようだったので意外だ。
 ドアには『ASUTO』と書いてある。
 外国人だろうか ?

 チャイムを鳴らす……ガチャリとドアが開き、中から幼女が出て来た。
 白い髪に紅い目……アルビノだろうか ?

「ドウゾ……コチラへ 」

 幼女に案内されて追いて行く。
 リビングらしいドアを開けて幼女は入って行った。

 中に入ると黒髪ロングの美少女が居た。

「お嬢ちゃんが、呪術師のアスト……ちゃん ?」
 由利凛が聞くと、

「そうじゃが、ワシの方が年上じゃぞ……! 」

 バチバチと火花がたっている気がする。
 正直、のじゃロリは由利凛で十分間に合っているんだが……

「変な黒猫に呼ばれて来たんだが……本当だったんだ 」
 由利凛と話しをさせるとこじれそうなので、俺が話しをすることにした。

「話しを聞いてやるのじゃ ! 」
 偉そうに無い胸を張る幼女……指摘するのは止めよう。
 コイツは由利凛と同じくらい面倒そうだ。

「自己紹介した方がよいか ? 」
 俺が聞くと、

「別にどちらでもよいのじゃ。
 どれだけ憎んでいるかを判ればよいのじゃ 」

「否、憎んでいる訳じゃ無いんだ。
 むしろ、ふたりを解放してやりたいんだよ 」

 俺は、これまでのいきさつを話した。
 こんな荒唐無稽な話しを真剣に聞くあたりは、闇に生きる呪術師だからだろう。

「ふむ、変わった依頼じゃが引き受けても良いぞ。
 ただし、二人分だから合わせて、二十年の寿命を貰うが良いかね、少年 」
 コチラを値踏みするような目付きで見てくる幼女。

「ああ、かまわない。
 俺の寿命の二十年を……「半分は妾が持つのじゃ ! 嵐お兄ちゃん、あまり妾たちを甘やかさなくても大丈夫なのじゃ !」

 その様子をニヤニヤしながら見ている幼女アスト

 悪趣味だな、コイツは。
 しかし、ダチこける、海里や妹たちを危険にさらすワケにはいかないからな。
 相手は古代中国の邪神 饕餮とうてつ
 女神だった時の明日菜アテナ英里香エリスならともかく、多少の力を持った人間には危険過ぎる相手だ。

「契約成立じゃな、少年……否、軍神アレスよ。
 噂と違い、ずいぶんと優しいじゃないか 」

 やはり、コイツは……

「妾とダブるから話し方を変えるのじゃ !
 妾のアイデンティティが目立たなく成ってしまうのじゃ !」

もしかして悪魔か ?とも思ったが、聞かない方が良さそうだな。

「そうじゃ、それが正解じゃ!
『 好奇心猫を殺す』とも言うじゃろう。
 ふふふ。 噂ては宛になら無いモノだと解っただけでも収穫じゃな。
 もう、帰って良いぞ、軍神アレスと異世界の邪神ユリリンよ 」

 騒ぐ由利凛を抱えて、すぐにおいとました。
 ヤベェぞ、アイツ。
 神だった頃の俺たちでも敵対したく無い相手だぞ !

 世界は広い !

 ヤベェ奴が、ゴロゴロしていそうだ。

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