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大魔王 恭華のやり直し ! ①

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【恭華side】

 わたし、スゴいんです…………じゃなくて、
 最初から大魔王だった訳では無い !

 ──  わたしは、あの頃の回想をしていた ──

 わたしの住んでいた世界、ジパング。
 ここ、日本とは違うパラレルワールドの世界。
 ある日、突然に異世界に召喚された、クラスごと !

 気がついたら、白い部屋だった。
 周りを見てみたら、わたしのクラスメイト達が居たわ。
 皆、キョロキョロと周りを見ている。
 心細いのか、それぞれがグループを作っていたわ。

 ボッチじゃない !
 わたしは、孤独ではなく孤高なのよ。

◇◇◇

 皆がグループを作っている中、わたしと光介……鹿島光介かしま こうすけだけが、一人だった。
 彼は気づいて無いが、彼を狙っている女子生徒は多い。
 その一人が、わたしでもある訳なんだけど……
 女の子達が彼を誘おうと牽制していると、急に光に包まれた女の人が現れた。

「ようこそ、異世界の子供達よ。
 私は女神メッサリーナ。
私が管理している世界アッチョンブリケでは、ヒト族が苦しんでいます。
 あなた達には、英雄と成りヒト族の国を救って欲しいのです。
  !
 私からは、皆さんに戦う為のスキルを与えます。
 決意を決めた方から、此方に来てください 」

 クラスメイト達は、勇者だとか聖女だとか騒いでいるけど、解っているのかしら……
 平和なジパングで暮らしてきた、わたし達に戦闘なんて無理ゲーに決まっているでしょうに。

 第一、あの女神が、わたし達を見る目が気に入らないわ !
 そう、まるでモルモット。  明らかに人間を見下している。

 鹿島光介くんは女神の元に行かずに、別の方を見ていた。

 ヘッ、幼女 !?
 黒く長い髪に赤い目の幼女が、わたし達をチラチラ見ていた。
 光介くんが幼女の方に歩いて行ったので、すぐに追いかけたわ。

 光介くん……幼女趣味じゃ無いわよね。

 わたし達が幼女の所に行くと戸惑いながら、
 
「なっ  なんじゃ~、お主らは !
 此方じゃなくて、向こうの女神の方に早く行かないと良いスキルが無くなるのじゃ ! 」

 そう、わたし達と幼女邪神のユリリンとの初めての出逢いだったわ。
 
 ユリリンの話だと、召喚されたわたし達には選択権があり、女神が推すヒト族側と邪神が推す(あじん)側を選べる。
 これまで召喚された人達は女神側を選んでばかりいたせいか、しきりにユリリンは『女神側に行かなくて良いのか ?』と何度も確かめてきた。

 ヒト族至上主義 !?
 ヒト族にあらずんば、人にあらず。 

『ヒト族でなければ人ではない』と云う教えがヒト族国家の国教である女神教の教えなんだと……


 ダメだ、こりゃぁ !
 ヒト族の方が邪悪だわ。

 女神メッサリーナが睨んでいたけど無視 !
 わたしと光介くんは、邪神ユリリンの側を選んだのだった。

    
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