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第68話 そして世直し旅 〖終〗
しおりを挟む「左近さまー、ご無事で良かったです~ ! 」
千代姫が泣きながら抱きついてきた。
「わたしは大丈夫だからね。
心配かけて、ごめんなさいね 」
どうやら千代姫には刺激が強かったようで動揺していた。
その時、左近のカツラが落ちて……
「なっ、貴様は吉良上野介……さては、儂を謀ったな !
おのれ、許さん、許さんぞ ! 」
「いやぁ~、それは逆恨みよ、勘弁してよ !
せっかく、松の廊下事件を回避出来ると思っていたのに、何でよぉーー ! 」
浅野内匠頭の怨み節に悲鳴をあげる左近。
「松の廊下……ここは松の間ですよ、左近様 ? 」
千代姫の言葉に愕然とする左近。
これが歴史の修正力なのだろうか、それとも何者かの悪意なのだろうか。
落ち込んでいる左近を横目に徳松は勘違いをしていた。
浅野内匠頭、赤穂藩士の復讐を恐れているのだろうかと……
内匠頭から実権を奪い隠居させてしまえば出来ることは、ほとんど無いだろう。
しかし……念のために本郷寺には伊賀者を見張りに付けることを決めるのだった。
「捕らわれた中に上杉家の姫が居りました。
どうしましょう、お連れしますか ? 」
浅野内匠頭の家臣 炉利田助平衛が主である浅野内匠頭長矩に献上する為に拐ってきていたのだ。
「上杉定勝様の姫 参姫(後の富子)様でございます。
跡取りの上杉綱勝殿も評判の良い人物だと噂です 」
それは不味いことに成った、と徳松は考えていた。
流石の女好きの浅野内匠頭も幼女には手を出さなかったものの、上杉家に帰っても参姫には居場所が無いだろう。
この歳で尼寺に行かねば成らなくなるとは、憐れとしか思えない。
どうしたものかと考えていた徳松の横をすり抜けた参姫は、
「おまえさま、おまえさまですね。
そのお綺麗なお顔は、わたくしが一目惚れした左近様、吉良上野介義央さまに相違ありません !
富子です、貴方の妻だった上杉富子です、旦那様 ! 」
そう言って左近の足にしがみつく参姫。
何の因果か、富子はループ転生していたのでした。
それを見た徳松に良い知恵が浮かぶ。
そうだ、左近に責任を取らせよう !
一方、左近ちゃんには忠臣蔵の知識も本物の吉良上野介の記憶も無くて戸惑っていた。
予定では参姫は弟の吉良義叔が結婚して吉良高家を継ぐはずだったのだ。
「左近……吉良上野介義央よ、我が姉 千代姫を正室にして上杉家の参姫を側室にすることを命じる ! 」
将軍の命令には、左近と云えども逆らうことは出来ない。
涙目の左近を他所に徳松は満足していた。
普段、散々、左近に振り回されているからだ。
「これにて、一件落着 !
カッ カッ カッ カッ ! 」
左近から聞いていた時代劇、いろいろ混ざった決めゼリフを言う徳松だった。
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