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七之助&栞 編

両手に花 ? ……猫だけどな !

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  ── もう知らない !

 お兄ちゃんたら、ずっとペンを片手にスマホと云う玩具で遊んでいる。

 お休みなら、ボクと遊んでよ !  ──

 サファイアみたいに流暢りゅうちょうに話せ無いけど、ボクとお兄ちゃんは長い間一緒に暮らしているからか、ボクの言葉が通じるみたいなんだ。

 サファイアから聞いたけど、本当ならボクは猫又に成るには早いらしいけど、成ってしまったから良いじゃない !


 いつの間にか、居着いたサファイアは、


「本当は、猫又や猫魈ねこしょうとバレたら、その場を去るか、証拠隠滅をしないといけないんだけど……」


 ── させないよ! ボクは、ずっとお兄ちゃんと一緒に暮らすんだからさ !

 サファイアこそ、筋肉料理を条件に見逃してくれると言ったじゃないか !  ──


「そうだよ、だから買収されたことを言い訳いいわけにして猫魈の長老と掛け合うから安心して良いよ 」


 そう言うなり、サファイアはお兄ちゃんのお膝に行って寝てしまった。


 ── あぁー! そこは、ボクの指定席なんだからサファイアは、自分のオウチ本屋で寝れば良いいじゃないか ! ──


「悪いね、さくら。

 今、本屋には しおりちゃんの彼氏が愛犬を連れて来ているから避難してきたんだよ。

 ポメラニアンと云う小型犬で、マッケンロー と云うんだけど『キャン キャン ! 』と吠ほえてばかりでウルサイんだよ。

 本屋では、静かにしないとイケナイのに非常識だよね。

 それに比べて、さくらのオウチは居心地が良いよね。

 ボクの別荘にしようかな ? 」


 言い訳をして、サファイアは ゴロゴロと甘えているサファイアをお兄ちゃんが空いている左手で撫なでている !


 ── あぁー 、早く退いてよ !

 ボクがお兄ちゃんに甘えるのを邪魔しないでよ !  ──


「ちょっとくらい良いじゃないか、減るもんじゃなし。

 落ち着いている大人の男の人は良いよね、さくら。

 良く見て見れば、結構ボクの好みかも知れないな、おっちゃんは 」


 ── ダメェェ~、確実にボクの分が減るから ダメェェ~ !  ──


 集中しているのか、ボクとサファイアの争い口喧嘩にも気が付かない お兄ちゃんは大物だよね。




「 何か騒がしいと思ったら、ふたりとも腹が減ったのか ?

 そろそろ、オヤツの時間だから『モンプッチの缶詰め』と『チュールリーのチキン味』どちらを食べる ? 」


 お兄ちゃんのお誘いに、


  ── チュールリー が良いよ、お兄ちゃん ! ──

「チュールリー が良いよ、おっちゃん !」


 ボクたちがチュールリーを お兄ちゃんから食べさせてもらっていると、


「マッケンローがウルサイから、しばらく お世話に成るね、さくら ! 」


 ── ダメェェ~、 マッケンローを言い訳にして居座るつもりだね、サファイア !  ──


 猫又に成り立てのボクには猫魈のサファイアには敵わないけど、お兄ちゃんは渡さないんだからね !




    
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