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七之助&栞 編

棚からぼたもち ? ②

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 情けない話だけど、俺はオバケが苦手なんだ。
 ホラー映画なんか見たら、必ず夢で映画の登場人物に成り、殺される夢を何度も見た。

「どうだ、今なら家賃が3万円で5LDK、ネット環境もあるし、家もリフォーム済みだぞ。
 もちろん、ペットOKだ !
 これだけの条件は見付からないぞ 」

 グラグラと心が揺れている。
 そんな俺を見て取ったのか、香さんまでが悪のりしてきた。

「よし、今なら !
 これで返事をしないようなら男じゃないよ、七之助くん ! 」

 これには、俺だけでなく、当の栞さんは もちろん、サファイアや遼さんまでもが驚いていた。

「おい、香 !  
 いくらなんでもサービスし過ぎだろう !
 栞だって嫌だろう、お爺ちゃん達と一緒に ず~~~っと、この家に住んでいて良いんだぞ !」

 そんな遼さんに、

「わたし達だって、いつまでも元気に生きている訳じゃ無いんだから、あまり栞を甘やかすことを言わないでよ !
 それとも アンタは、あのキザな男に栞をくれてやるつもりなのかい !」

「嫌、あのキザ男だけはダメだ !
 アレは女をインテリアみたいに思っている人間だ !
 アイツにやるくらいなら、七之助の方が 100万倍良いに決まっている 」

 俺と栞さんを おいてけぼりにして、どんどん話が進んでいく。

「前のばカレシ馬鹿カレシに傷ついた栞には、真面目で優しい七之助が良いと思っていたけど、既にお互いを意識しているようだから、良い機会だよ! 」

「お婆ちゃん、七之助さんだって迷惑するわ 」

「迷惑なんて思わないけど、俺と栞さんは 10歳以上離れているんですよ、香さん 」

 そんな俺と栞さんの抵抗もむなしく、

「それなら大丈夫よ!
 わたしと遼だって、一回り以上に歳が離れているんだからさ !
 それとも嫌かい、わたし達の孫は ! 」

 3人の視線が刺さるなか、下手な返事は出来ない。

 「もちろん、栞さんが良ければ、俺は大歓迎ですよ ! 」

 栞さんが断ることを祈っていたが……

「よろしくお願いします、七之助さん 」

 赤く成りながら受けてしまった。

「それじゃあ、今からアンタ達は婚約者同士だ !
 仲良くやるんだよ ! 」

「「婚約者 ! 」」

 思わず、栞さんと ハモってしまった。

「おや、遊びのつもりだったのかい、ウチの栞に対して 」

 遼さんの視線に殺気が込もっている。
 下手な返事をしたら殺されるな……

「いえ、婚約者として、お付き合いをさせてください 」

「お婆ちゃん、本当に強引なんだから !
七之助さん、嫌なら嫌と言っても良いんですよ。
 わたしなら大丈夫ですから 」

 そんなことを言いながらも涙目に泣き声に成っている彼女に断るなんて出きるわけがない。

「栞さん、私と結婚を前提にお付き合いしてください ! 」

「はい、よろしくお願いしますね、七之助さん」

 祖父母の前で告白させられるとは、思ってもいなかったよ。

「俺の目の前で告白したんだから、栞を不幸にしたら許さんからな、七之助 ! 」

 外堀が完全に埋まった、埋まってしまったな、トホホ……

「ヤッタね、もちろんボクも追いて行くから、よろしくね、オッチャン……いや、七之助 ! 」

 どうやら、栞さんとサファイア、さくらとの同棲生活が決まってしまったようだ。

 後日、勤めている店に栞さんと一緒に婚約したことを報告したら、親方も女将さんも喜んでくれていた。


 何故か、庭にいる野良猫の にゃんゴローやウッシッシまでもが嬉しそうにしているように見えたのは気のせいかな ?  
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