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七之助&栞 編

九十九神 ②

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「そうだ ! 茶の間に七之助さんの好きな和菓子が用意してあるから一緒にお茶にしましょうね。
 サファイアやさくらちゃんには、チュ◌ルを用意したわ 」

 俺は勿論もちろんだけど、さくらもサファイアも喜んでいた。
 人の姿に成っても和菓子よりチュー□の方が良いようだな。


 茶の間に行く廊下を歩き始めたら、

 ドタドタ ドタドタ  !

 物音がした !

 泥棒か ! 俺は、栞さんをその場に待機してもらいサファイアに栞さんの護衛を頼んだ。

 ソロリ ソロリ と茶の間を覗くと、座卓の上にある和菓子は食い荒らされた上に湯飲みまで転がっていた。

 おのれ、泥棒め ! 
 
 俺の和菓子を食いやがって、食べ物の恨みは恐いんだぞ !

「あー ! ボクのチ○ールまで食べられているぅー !
 絶対に許さないんだからぁー ! 」

 さくらの声を聞き付けたのか、サファイアが駆け込んできた。

「おい、サファイア !
 栞さんの護衛を忘れるなよ ! 」

 サファイアに文句を言っていたら、栞さんまでもが茶の間に入ってきた。

「泥棒だったら、1人より2人で対応した方が良いですよ 」

 栞さんの手には、木刀とピコピコハンマーが握られていた。

 何故、ピコピコハンマー ?

「スミマセン、七之助さん。
 武器に成るのが、これくらいしか無くて……」

 サファイアが庭の方を見ながら、

「アイツ、ボクのチュ◌ルを勝手に食べちゃって !!
 駄目妖怪のクセに見逃してあげた恩を忘れるなんて、見つけてお仕置きをしないと !! 」

「 えっ !  泥棒では無くて妖怪なの ? 」

 驚いてサファイアに聞いて見ると、

「タヌキだよ、化けタヌキ !
 普通のタヌキは化け無いけど、妖怪の化けタヌキは、人に化けるんだよ ! 
 さっきの狸の置物が化けタヌキの正体さ ! 」

 栞さんが思い出すように、

「それって、じゃないかしら ?」

付喪神つくもがみって、古い道具に宿る妖怪でしたよね 」

 俺の質問に栞さんが、

「付喪神は、漢字で『九十九』と『神』と書いても『つくもがみ』と言われるように古い道具に宿る妖怪だと本で読みました。
 でも、あの狸の置物は、比較的に新しい物だと思うのですが……」

 う~ん、とにかく泥棒でないなら危険は少ないかな ?
 猫魈や猫又のサファイアやさくらの人に化けた姿が可愛かったから、狸の付喪神の人の姿も可愛いかなぁ~

 モヤモヤ~モヤ~   頭の中で想像した。
 タヌキ耳にタヌキ尻尾の可愛い女の子を……


 



「七之助、鼻の下が伸びているよ、イヤらしい想像でもしていたんでしょう 」

「あっ、本当だ !  お兄ちゃんが、エッチな本を読んでいる時の顔だぁ ! 」

 サファイアとさくら、栞さんまでが、俺のことをジト目で見ていた。

 想像してたくらい許して欲しい。

「そっ そんなことより、化けタヌキを見つけないと、またオヤツを勝手に食べられてしまうぞ!
 さあ、みんなで探して捕まえようよ ! 」

 俺が化けタヌキを捕まえるよううながしたら、

「「「 あっ、誤魔化している ! 」」」

 ジト目で見ている三人の声がハモっていた。

 考えて見れば、男は俺1人で女が3人、化けタヌキも女の子らしいから、男の俺の立場が ますます悪くなる気がするんだが気のせいでは無いよな。

 居たたまれなくなり、その場を逃げるように庭の方に向かった。
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