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第168話 きょひ。

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「50円とレシートのお返しです」

「レシート結構です」

「ありがとうございましたー」

 コンビニでレシートを受け取らない率は非常に高い。理由としてはスーパーとは違い主婦層が少なかったり、ちょっとしたものを買いに来る目的のお客さんが多いことが考えられる。

 こんなに拒否されるともう渡さなくていいんじゃないかとすら思うが、やはり間違いがないか確認をしてもらうのは勿論のこと、レシートの下にはちょっとしたセール情報などが書いた広告が付いてあり、お客さんに認知してもらうためにも、なるべく渡したほうがいい。

「やっぱ店長が人から拒絶される姿は最高っすね」

「レシートを拒否されたんだよ。俺は拒絶されてねえ」

 今日のシフトはあかっちと一緒だ。お客さんの波も途切れたところで一息付こうとした矢先、なんでこんなことを言われなきゃならんのだ。

「あ、そういえば拒絶で思い出しましたけど、柚子ちゃんと遊びに行った時の話聞きましたよ」

「本当か!?」

 以前柚子ちゃんと遊び(ラブラブデート)に行った時の、帰り際の事が気になっていたため、あかっちに聞いてもらっておいたのだ。あの時の柚子ちゃんはどんなことを思っていたのだろう。っつか拒絶で思い出してる辺り絶対いい話じゃないだろ、これ。

「確認のためにもその時の状況を説明してもらっていいっすか?」

「なんかこう……女子高生って門限が何時とか知らねえからさ。早めに家まで送ろうとして……車の中でふぇーふぇー言ってたんだよ」

「なるほど……そこが店長の勘違いだったんすね」

「勘違い???実はふぇーって言ってなかったのか?」

「いや、実際にはふぇーって言ってたんでしょうけど……そこじゃないんすよ。話を聞いた感じだと、柚子ちゃんはもうちょっと遊びたかったみたいっすよ???」

「……そうなの!?」

「だって帰したの夕方の5時ぐらいでしょ?女子高生の門限なんてそんな早くないっすよ」

 俺はとんでもないミスをしてしまったようだ。気を使ったように見せかけて、実際には全く気を使えていなかったとは。もし次回遊びに行く機会があればラインで三日間ぐらい粘って門限が何時か聞いてみよう。

「ちなみに他に何か言ってなかったか?情報が多いに越したことがないからな」

「あー。カラオケにもう一度行きたいって言ってしましたよ」

 ……もし次回遊びに行くことがあったら周辺にカラオケがない所にしよう。
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