俺のコンビニは何かが間違っている。

lukewarm

文字の大きさ
206 / 227

第204話 キング。7

しおりを挟む
「師匠お久しぶりです!!!」

「……お、おう」

 水川なんちゃらが店にやってきた。久しぶりすぎて水川って苗字よく出てきたなって自分を褒めたくなるレベル。こいつの印象もはや前出しって言葉以外に何も残っていないんだけど。

「ついに消える前出しの第3段階まで到達することができましたよ!!!」

「……は?何それ……?」

「第3段階は棚すら消えるって教えてくれたのは師匠じゃないですか!」

「……お、おう」

 やばい。記憶にない。なんだ第3段階って。そもそも消える前出しって何だよ。俺の別の人格が喋ってた説ありませんかね??恐らく俺が言ったことなのに、会話の置いてけぼり感尋常じゃないんですけど。

「では修行の成果を見せますよー!?」

「お、おう」

 そう言い、何故だかノリノリなテンションで水川なんちゃらが棚に向かって何かパワーを送るように両手をかざしている。……間違いなく前出しをする姿には見えないんですけど。

「はっー!!!!」

 掛け声と共に一瞬、棚がぐにゃりと曲がり、商品諸共パッと消えた。……な、なんですかこれ。どういう仕掛けよ。こいつ触れずに棚消しちゃったんだけど。ちょっとかっこいいんだけど。……でも棚はどこに行ったの???

「……なかなかやるな」

「この試練はかなり苦労しましたが、乗り越えることができました!」

「……と、とりあえず棚を一旦戻してくれないか?」

「……え?」

「え?戻せないの」

「……は、はい」

「お前ふざけんなよ」

 なんでうちの商品消されなきゃいけないんだよ。棚丸ごとってもう被害総額結構でかいんだけど。これ防犯カメラの記録を警察に見せれば逮捕してもらえますよね??

「……師匠!いや、前出しキング!」

「な、なんだよ」

「一つお願いがあります」

「なんだよ」

「キングの蘇る前出しを見せてもらっていいですか?」

「……は?」

「消えた棚を再び元に戻す技です。キングが大会の最中にパフォーマンスで見せたあれですよ!」

「……あ、あれなー」

 一旦話を合わせたがマジで何言ってんだこいつ。俺大会とやらでどんなパフォーマンス見せてんだよ。っつかそもそも大会って何だよ。

 しかし、俺の感情とは裏腹に水川なんちゃらが今か今かと待ち遠しそうに俺を見つめている。……そろそろ嘘をつくのも限界な気がする。適当にやって実は人違いなんですーって言うのが一番かもしれない。こいつに構い続けてたら最終的に店ごと消されるかもしれない。

「ではお願いします!」

「……ど、どすこーい!」

 見様見真似で消えた棚辺りに向かって手をかざす。俺の適当な掛け声と共に突如消えたはずの棚が姿を現した。

 ……マジかよ。

「流石キング!!!こんなに素早く棚を戻すなんて……!!」

「こ、今度はちゃんと戻せるようにしとけよ」

「わかりました!!!」

 ……こんなことが出来ちゃうなんて俺って本当に前出しの才能があるのかもしれない。

 ……いや、だからこれ前出しじゃねえよ。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

5人の勇者を「500人」と報告したら、魔王様が和平の準備を始めました

miko.m
ファンタジー
※最終話までプロット作成済み。 ※毎日19時に更新予定(たまに12時にも更新します)。 「勇者が500人!? 無理無理、勝てるわけないだろ! 和平だ、今すぐ娘を嫁に出せ!!」 魔王軍第一軍団長・ゴルドーは困っていた。たった5人の勇者に惨敗したなど、出世欲の塊である魔王ゼノンに言えるわけがない。保身のために彼がついた嘘。それは「勇者が500人いた」という、あまりにも適当な虚偽報告だった。 しかし、小心者の魔王様はそれを真に受けてパニックに! 「500人の勇者と全面戦争なんてしたら魔王軍が破産する!」と、威厳をかなぐり捨ててまさかの「終戦準備」を開始してしまう。 一方、真実を知った魔王家の三姉妹は、父の弱腰を逆手に取ってとんでもない作戦を企てる。 「500人は嘘? ちょうどいいわ。お父様を売って、あのハイスペックな勇者様たちを婿にしましょう!」 嘘を塗り重ねる軍団長、絶望する魔王、そして勇者を「逆スカウト」して実家脱出を目論む肉食系姫君たち。人間界のブラックな王様に使い潰される勇者たちを、魔王軍が「厚遇」で囲い込む!? 嘘から始まる、勘違いだらけの経営再建ファンタジーコメディ、開幕!

処理中です...