子猫戦隊キャトレンジャー

緋野 真人

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閉じられし扉~秘密結社?、"チグリス"からの刺客!~

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 シロたち兄弟は、既に離乳の時期を終え、固形物での食事を行っていた。

 そんな彼らの、今の"お気に入り"はドライフード――いわゆる"カリカリ"と俗称される飼料である。


 現在、彼が暮らす家では、その"カリカリ"等のおやつ類が欲しくなった際は、『ちょうだい!』という意味を込めた声で鳴き、アピールしなければならなかったのだが――この日、これまでのそんな常識を覆す、画期的な品が導入された。


 給餌タンク兼給水容器――それは、右には1.8ℓ分の""カリカリ"を貯蔵出来るタンクと受け皿を要し、左には水を満載したペットボトルを接合させる事が出来る、水入れを備えた設備である。


 今日、段ボール箱に入って届けられたソレは、早速梱包が剥がされ、シロたちがこれまで使っていた"カリカリ"用の受け皿や水入れに替わって、その"新参者"が鎮座する事となった。


 シロたちは、その新参者の姿をまじまじと見やり、剥がされた梱包などを見渡し、ある事に気付いた。

「――"チグリス"の仕業かっ!?」


 "チグリス"――それは大手ECサイトを運営する会社の名前である。

 だが、こうして時折、ソコから新たなアイテムが届く事を、シロたちは知っていたの――各言う、あの"ソージキ"も、同じ"てへぺろ♪"的なマークが描かれた箱に入って来た事に、気付いていたのである。

 この時点で、彼らにとって、チグリスは"悪の秘密結社"として、改めて認定されたのだ!


「みんな――油断するなっ!]

 シロたちは、早くも"カリカリ"がタンクに満され、水入れの方も、刺されたペットボトルになみなみと冷たい水を湛えた、"キュージキ"の威容を警戒する。


「よっ……よし、まずは小手調べだ――俺が仕掛ける!」

 ――と、クロは恐る恐る、水入れ側に顔を寄せ、湛えた水を舐めてみる。


 ――コポッ!、コポポポ……


「――っ!!!???」

 突如、ペットボトルから奇怪な音が響き、クロはそれに仰天して後ずさりをみせる

 コレは――クロが舐めて摂取した分が、水入れへ補充される要領で起きた現象と音だったのだが……そんな理屈、猫である彼らには知る由も無い。

「クロちゃんっ!、水、なんともなかった?!]

「あっ、ああ……とりあえず、味にもニオイにもおかしいトコロは無かった――飲んでも大丈夫そうだぜ」

 心配そうに、クロの身を気遣うミケに、クロは一仕事終えた表情でそう言った。


 こうして――水にも"カリカリ"にも、特段変わった事が起きていない事を確認した兄弟たちは、次第にこの新しいアイテムにも慣れ――"チグリスから来たヤツでも、別に悪いヤツばかりじゃあないんだな"と思い始めていた。



 そんなある日――飼い主はどこかへと外出し、家の中に居るのは、シロたち3匹と、母のトラだけとなった。


(……あれ?)

 その時――ふと、"カリカリ"を欲したシロが、タンクの下に備え付けられた受け皿へと首を入れると……1粒足りとも、"カリカリ"が無い!

 おもむろに顔を上げ始めると、スケルトン調のタンクの中にだけは、"カリカリ"が満載――そりゃあそうなのだが、この状況を見て、シロは――

「――キュージキ!、お前かぁ!!??」

 ――と、激昂し、タンクに数発の"ネコパンチ"を見舞う!

「どーしたっ!?」

「どうしたのっ!?」

 シロの怒号を聞き、駆け付けたクロとミケは、厳しい表情でシロの横に立つ。

「見ろ――キュージキが、"カリカリ"を全部飲み込んで、独り占めにしようとしてる!」

 シロは、キュージキのタンク部分の容貌を指して、悔し気にそう告げた。

「これじゃあ……小腹が空いても、ご主人が帰って来るのを待っていなきゃダメじゃない!

「くっ……所詮は、チグリスの手先だったってコトかよっ!」

 クロとミケは、憔悴した表情を浮かべ、目の前のキュージキを見詰めるが、当然ながら何も返っては来ず、そのまま威容を放ったままだ。

「――とにかく、"カリカリ"を奪い返そう!、いくぞ!、みんな!」

「おうっ!」

「ええっ!」


 シロとクロは、タンクへ向けて左右からネコパンチを見舞い、身軽なミケは、タンクの上へと飛び上って揺さぶりを仕掛ける――だが、キュージキは微動にせず、無論無言?なまま、3匹の眼前に聳え立つ。

「くそぉ……一体、どうすりゃいいんだっ!」

 そんな恨み節を交えながら、シロはヤケクソ気味に、アッパーカットめいたネコパンチを受け皿の下から放った――すると、飛び出していた爪が、スライド式の蓋に引っ掛かり、蓋が開いてガバッと"カリカリ"が放出される。

「――っ!?、やった!、"カリカリ"が出て来たぞ!!!」

 3匹は互いに顔を見合わせ、受け皿に満たされた"カリカリ"を、一緒に貪り始める。


「――ただいま~っ!、ごめんね~?、"カリカリ"を補充して行くのを忘れ……あれ?」

 丁度帰宅した飼い主が、補充し忘れたと思っていた給餌器へ手を伸ばすが、"カリカリ"は受け皿の中で溢れていた。

「……忘れてなかったんだっけ?」


 3匹が、下部の扉という給餌器の"弱点"を聡く見出し、自ら補充する伝手を得ていた事を、飼い主が気付くのは……この日からしばらく経った後の事である。
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