ナナ、しあわせなら

ゆきみ

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ぼんやり

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―メガネを貸して。

あなたはそう言って私のメガネを奪った。それがないと私は何も見えない。

あなたが笑っているのか、怒っているのかさえ分からない。
それがとても怖い。

―あなたずっと泣いているじゃない。きっとこれのせいだわ。

あなたの手の中にあったメガネが粉々に砕けている。私の大切なものを。どうして……。
そして遠ざかっていくあなたはきっと笑っている。

―ほら、前を向いて!

当然全てがぼやけていて何も見えない。でも、それが少し心地よかった。

―やっぱりあなたは見すぎていたのよ。ほら笑っているじゃない!知らないことよりも、知りすぎていることの方が私は怖いわ。

そう言ってあなたは私の手を握る。
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