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第六章 ハロウィン戦争編
第百九十一話「好機」
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最優先緊急任務:ネフティスNo.2錦野蒼乃と北条銀二の討伐及び『完全蘇生体』錦野智優美の討伐、死器『葬無冥殺之機神鈴白』の討伐
遂行者:錦野蒼乃、北条銀二を除くネフティス全メンバー
犠牲者:???
無音の斬撃が渋谷の空を裂く。その中にいる霊と化した一人の男の首を鬼丸の刃が通り抜ける。その先にいた『黒花』レイアは俺の攻撃を予知していたのか、背中を軽く反らして避ける。
「今の、速いわね……年齢からしてきっと彼のお仲間さんかしら。へぇ、やるじゃない……でも、惜しかったわね」
ぼそっとレイアが呟く。その刹那、ガラスが砕け散るような音が聞こえた。間違いなく北条の方向から聞こえた。そしてこの時俺は心の中で悟った……
――奴を殺し損ねたと。
「……惜しいな、恋鐘の剣士。この結界に気づけなかったのが失敗の原因だな」
「――あぁ、そうかよ」
(最初から俺の攻撃は想定済みって事かよこの野郎めっ!)
心の中で驚きつつも、口では冷静にこの現実を受け止める。これ以上感情的になっても仕方がない。この先に訪れる未来はもう目の前まで迫っている。北条の右手に持つ巨大な鎌で俺の首は刎ね飛ばす。
「……ごふっ、がはっ!」
諸刃の剣の代償が来た。口から大量の血を吐き出す。激しく呼吸するたびに首に苦痛が走り、血を吐くの繰り返し。俺が死ぬのももはや時間の問題だ。
「……大丈夫、なんて当然言えないわよね。でもごめんね……私は妹と違って回復魔法を使えないの」
「はぁ、はぁ……構わねえよ……このままぽっくり死んでやる。ほらよ……奴が来るぜ、嬢ちゃっ……」
「――!!」
俺をを心配していたレイアの背後を北条が狙う。しかしレイアは振り向くことなくただじっとしていた。
(何してんだ、速く……避けろっ……!!)
「……ふふっ」
死に際に焦る俺を見てレイアは微笑んだ。そんな事はとっくに分かっていると言わんばかりの余裕の笑みだった。
「『死花之蔓槍』」
その瞬間、レイアの背中から無数の黒く鋭いい蔓が伸び、背後に迫っていた北条の全身を串刺しにした。これは前に白坊の腹を貫通させたのと同じ技だった。
「がっ……」
「あらあら、惜しかったわねぇ。このトラップに気づけなかったのが失敗の原因だわ」
「貴っ……様ぁぁ!!」
「しばらくこのまま動けなくさせてあげるわ。私これでも魔力がもう残ってないの。エリミネイトで息の根を止めるのも考えたけど、それは彼の役目だからね……」
――あとは任せたわよ、黒神君。
青空に突如、黒い稲妻が北条の背後に落ちて散っていった。そこには片膝の状態で地面に青白い剣を突き立てている男の姿があった。
「へっ……やっと、来たかよ…………」
剣を抜き、黒髪を揺らしながら北条に近づいていく。ゆっくりと、確実に距離が縮む。そしてピタリと足を止めた。そこはもう目と鼻の先にあるような距離になっていた。
「さぁ、『裁き』の時間だ……北条銀二」
遂行者:錦野蒼乃、北条銀二を除くネフティス全メンバー
犠牲者:???
無音の斬撃が渋谷の空を裂く。その中にいる霊と化した一人の男の首を鬼丸の刃が通り抜ける。その先にいた『黒花』レイアは俺の攻撃を予知していたのか、背中を軽く反らして避ける。
「今の、速いわね……年齢からしてきっと彼のお仲間さんかしら。へぇ、やるじゃない……でも、惜しかったわね」
ぼそっとレイアが呟く。その刹那、ガラスが砕け散るような音が聞こえた。間違いなく北条の方向から聞こえた。そしてこの時俺は心の中で悟った……
――奴を殺し損ねたと。
「……惜しいな、恋鐘の剣士。この結界に気づけなかったのが失敗の原因だな」
「――あぁ、そうかよ」
(最初から俺の攻撃は想定済みって事かよこの野郎めっ!)
心の中で驚きつつも、口では冷静にこの現実を受け止める。これ以上感情的になっても仕方がない。この先に訪れる未来はもう目の前まで迫っている。北条の右手に持つ巨大な鎌で俺の首は刎ね飛ばす。
「……ごふっ、がはっ!」
諸刃の剣の代償が来た。口から大量の血を吐き出す。激しく呼吸するたびに首に苦痛が走り、血を吐くの繰り返し。俺が死ぬのももはや時間の問題だ。
「……大丈夫、なんて当然言えないわよね。でもごめんね……私は妹と違って回復魔法を使えないの」
「はぁ、はぁ……構わねえよ……このままぽっくり死んでやる。ほらよ……奴が来るぜ、嬢ちゃっ……」
「――!!」
俺をを心配していたレイアの背後を北条が狙う。しかしレイアは振り向くことなくただじっとしていた。
(何してんだ、速く……避けろっ……!!)
「……ふふっ」
死に際に焦る俺を見てレイアは微笑んだ。そんな事はとっくに分かっていると言わんばかりの余裕の笑みだった。
「『死花之蔓槍』」
その瞬間、レイアの背中から無数の黒く鋭いい蔓が伸び、背後に迫っていた北条の全身を串刺しにした。これは前に白坊の腹を貫通させたのと同じ技だった。
「がっ……」
「あらあら、惜しかったわねぇ。このトラップに気づけなかったのが失敗の原因だわ」
「貴っ……様ぁぁ!!」
「しばらくこのまま動けなくさせてあげるわ。私これでも魔力がもう残ってないの。エリミネイトで息の根を止めるのも考えたけど、それは彼の役目だからね……」
――あとは任せたわよ、黒神君。
青空に突如、黒い稲妻が北条の背後に落ちて散っていった。そこには片膝の状態で地面に青白い剣を突き立てている男の姿があった。
「へっ……やっと、来たかよ…………」
剣を抜き、黒髪を揺らしながら北条に近づいていく。ゆっくりと、確実に距離が縮む。そしてピタリと足を止めた。そこはもう目と鼻の先にあるような距離になっていた。
「さぁ、『裁き』の時間だ……北条銀二」
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