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突然の自由騎士
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オーガ=ウスノロというイメージがあるが、スカーはヒジリと似たような体格にかかわらず、下半身が安定しており、素早い動きを可能にしていた。
樹族やゴブリンがまともに受ければ、パンチ一つで瀕死になる重い一撃をダークは何発も防御せずに真っ向から受け止めていた。
そして暗黒騎士は片頬を上げて笑う。勿論革兜で表情は見えないが。
「蛇頭の如き、竜頭拳なり!」
打撃に強い革鎧に対して、少しでも貫通力を高めようとしたスカーの中高一本拳は、元々頑強なダークにダメージを与えられなかった。
人間はオーガにとって亜種であり、小さなオーガという認識だ。心のどこかで劣ったオーガというイメージがあったスカーは憤慨し、組技で攻め始めた。
「これならどうだ? ちびっこ!」
「貴様は打撃と素早い動きが得意なのでは?」
首を太い腕で締め付けられるダークはそう言いながら、自分よりも大きなオーガの肘を叩いて腕を痺れさせて逃れ、背後に回ってバックドロップの体勢に入った。
「俺の体重はオーガの中じゃ軽い方だ! 持ち上げたくらいでいい気になるなよ!」
軽々と自分を持ち上げたダークに対してスカーが悔しがる。
筋力値18+99という限りなく19に近い18はまさに怪力。ヒト種の限界と言える。
とはいえヒト種はオーガのように種族補正が入らないので、オーガの中でも身軽で非力な部類に入るスカーも、人間種には力で負けてはいない。
後頭部が地面に激突する前に地面に両手をついて、カポエラのように股を開いて体を激しく回転させた。
ブリッジ状態にあるのでオーガの開脚回転キックが当たる事はないが、ダークは回転するスカーを掴む手を緩めてしまい、逃げられてしまった。
城の門前で格闘技を披露するオーガとレッサーオーガに興味を持った野次馬たちが集まりだす。
その中で小さな地走り族のどら声がスカーを応援する。
「頑張れ! スカー! 真っ黒仮面なんてやっつけちゃえ!」
「応援ありがとな! コロロちゃん!」
「コロネだよっ!」
お決まりのギャグなのか、やり取りをしたあとにスカーとコロネはゲハハと笑う。
「その和やかさが! 我の闇を増幅させる!」
とはいうものの、ダークは単に負のオーラを放って威嚇しているだけである。
「やべぇ! スカー! そいつウンコを食う気だ! よ、よこうえんしゅうってやつだ!」
「わかるのかぃ、ザック!」
ザックとはかつて黒竜の念力でいきなり握りつぶされた若手戦士だ。エストの回復がなければ死に至っていたオーガだとリンネは気がついた。
(あんまり印象でものを言うのは良くない事だけど、あのザックって人、黒竜との戦い方を見ても蛮勇を良しとしている感じがしたし、頭もあまり良くなさそう)
ダークがウンコを食う騎士ではなく暗黒騎士であると、なんとか誤解を解きたかったが、野次馬の歓声とダークとスカーの激しい攻防に待ったをかける隙がなかった。
戦っている相手がメイジ並の防御力で、守り手を必要とする職業であり、大鎌を使って戦うのを得意とする暗黒騎士のはずが、素手でも強い頑強なパワーファイターである事に驚くスカーは、ジリジリと自分が押されている事を恥た。
「こう見えても砦の戦士の中でもベテランなんだがなぁ、俺は」
「我が貴様より強かっただけなり」
単純にスカーとの戦いは相性が良かっただけだ。ダークは心の中で舌を出して笑う。
もし手数が勝負の格闘家ではなく、自分以上のパワーファイターが出てくれば、大鎌を構えていたし、苦戦もしていただろう。
余裕を感じていたダークだが、慢心した隙に腕を掴まれて背負投げをされ、宙を舞っていた。
その先には、さっきまでスカーと笑い合っていたコロネがいる。
――――激突必至!
「やべえ!」
スカーがそれに気づいたが、時既に遅し。
このままダークの体が当たれば、地走り族のコロネの首の骨が折れてもおかしくない。
「守らなきゃ!」
リンネが叫んでスキルを『庇う』のスキルを発動させようとしたが、この刹那に間に合うわけもなく。
「ダメーーー!」
小さな女の子が潰れ死ぬ悲惨な状況からリンネが目を背ける。
・・・。
が、衝突音はおろか場は静まり返りっていた。そして落ち着いた声が、呆れた雰囲気を言葉に孕ませて響き渡った。
「こんな下らない事で、コロネさんの未来が変わったとはね・・・。いい加減にしてくださいよ、スカーさん」
「おおおお! 伝説の自由騎士だ!」
本を沢山読んでいそうな見知らぬオークがそう叫んだ。
自由騎士セイバーに抱きとめられて、お姫様抱っこされるダークは勿論、ニムゲイン王国出身なので彼の存在を知らない。
「わぁ! ヤイバだ! ヒジリを呼んでくる!」
もしダークと激突していれば死んでいてもおかしくなかったコロネは、自由騎士を見て飛び跳ねて喜ぶと城の中へと走っていった。
樹族やゴブリンがまともに受ければ、パンチ一つで瀕死になる重い一撃をダークは何発も防御せずに真っ向から受け止めていた。
そして暗黒騎士は片頬を上げて笑う。勿論革兜で表情は見えないが。
「蛇頭の如き、竜頭拳なり!」
打撃に強い革鎧に対して、少しでも貫通力を高めようとしたスカーの中高一本拳は、元々頑強なダークにダメージを与えられなかった。
人間はオーガにとって亜種であり、小さなオーガという認識だ。心のどこかで劣ったオーガというイメージがあったスカーは憤慨し、組技で攻め始めた。
「これならどうだ? ちびっこ!」
「貴様は打撃と素早い動きが得意なのでは?」
首を太い腕で締め付けられるダークはそう言いながら、自分よりも大きなオーガの肘を叩いて腕を痺れさせて逃れ、背後に回ってバックドロップの体勢に入った。
「俺の体重はオーガの中じゃ軽い方だ! 持ち上げたくらいでいい気になるなよ!」
軽々と自分を持ち上げたダークに対してスカーが悔しがる。
筋力値18+99という限りなく19に近い18はまさに怪力。ヒト種の限界と言える。
とはいえヒト種はオーガのように種族補正が入らないので、オーガの中でも身軽で非力な部類に入るスカーも、人間種には力で負けてはいない。
後頭部が地面に激突する前に地面に両手をついて、カポエラのように股を開いて体を激しく回転させた。
ブリッジ状態にあるのでオーガの開脚回転キックが当たる事はないが、ダークは回転するスカーを掴む手を緩めてしまい、逃げられてしまった。
城の門前で格闘技を披露するオーガとレッサーオーガに興味を持った野次馬たちが集まりだす。
その中で小さな地走り族のどら声がスカーを応援する。
「頑張れ! スカー! 真っ黒仮面なんてやっつけちゃえ!」
「応援ありがとな! コロロちゃん!」
「コロネだよっ!」
お決まりのギャグなのか、やり取りをしたあとにスカーとコロネはゲハハと笑う。
「その和やかさが! 我の闇を増幅させる!」
とはいうものの、ダークは単に負のオーラを放って威嚇しているだけである。
「やべぇ! スカー! そいつウンコを食う気だ! よ、よこうえんしゅうってやつだ!」
「わかるのかぃ、ザック!」
ザックとはかつて黒竜の念力でいきなり握りつぶされた若手戦士だ。エストの回復がなければ死に至っていたオーガだとリンネは気がついた。
(あんまり印象でものを言うのは良くない事だけど、あのザックって人、黒竜との戦い方を見ても蛮勇を良しとしている感じがしたし、頭もあまり良くなさそう)
ダークがウンコを食う騎士ではなく暗黒騎士であると、なんとか誤解を解きたかったが、野次馬の歓声とダークとスカーの激しい攻防に待ったをかける隙がなかった。
戦っている相手がメイジ並の防御力で、守り手を必要とする職業であり、大鎌を使って戦うのを得意とする暗黒騎士のはずが、素手でも強い頑強なパワーファイターである事に驚くスカーは、ジリジリと自分が押されている事を恥た。
「こう見えても砦の戦士の中でもベテランなんだがなぁ、俺は」
「我が貴様より強かっただけなり」
単純にスカーとの戦いは相性が良かっただけだ。ダークは心の中で舌を出して笑う。
もし手数が勝負の格闘家ではなく、自分以上のパワーファイターが出てくれば、大鎌を構えていたし、苦戦もしていただろう。
余裕を感じていたダークだが、慢心した隙に腕を掴まれて背負投げをされ、宙を舞っていた。
その先には、さっきまでスカーと笑い合っていたコロネがいる。
――――激突必至!
「やべえ!」
スカーがそれに気づいたが、時既に遅し。
このままダークの体が当たれば、地走り族のコロネの首の骨が折れてもおかしくない。
「守らなきゃ!」
リンネが叫んでスキルを『庇う』のスキルを発動させようとしたが、この刹那に間に合うわけもなく。
「ダメーーー!」
小さな女の子が潰れ死ぬ悲惨な状況からリンネが目を背ける。
・・・。
が、衝突音はおろか場は静まり返りっていた。そして落ち着いた声が、呆れた雰囲気を言葉に孕ませて響き渡った。
「こんな下らない事で、コロネさんの未来が変わったとはね・・・。いい加減にしてくださいよ、スカーさん」
「おおおお! 伝説の自由騎士だ!」
本を沢山読んでいそうな見知らぬオークがそう叫んだ。
自由騎士セイバーに抱きとめられて、お姫様抱っこされるダークは勿論、ニムゲイン王国出身なので彼の存在を知らない。
「わぁ! ヤイバだ! ヒジリを呼んでくる!」
もしダークと激突していれば死んでいてもおかしくなかったコロネは、自由騎士を見て飛び跳ねて喜ぶと城の中へと走っていった。
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