料理をしていたらいつの間にか歩くマジックアイテムになっていた

藤岡 フジオ

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侵攻

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 俺が! 困惑する皆の顔を欲したばかりに・・・。

 欲したばかりにぃ~! ウィングの命を危険に晒してしまっている~。

 いや、まだだ。まだ、ヒジリの神罰を阻止する手立てはある。彼が手刀を振り下ろしたその時に、命を賭してウィングをこの身で守れば・・・!

「これより、神罰を下す」

 そう言ってからのヒジリは神速とも言える速さで、神罰を下してしまった。俺が身構えるよりも前に、手刀は振り下ろされた。

「あぁ! ウィングを助けられなかった! 俺のせいだ!」

 俺は目を手で押さえ、半泣きでそう喚く。

 ウィングとのこれまでの旅の記憶が走馬灯のように・・・。いや、言うほど一緒に旅してないわ。

「おしり、ぺんぺん」

「へ?」

 シャア・○ズナブルのような声が、俺の耳に入ってくる。

 俺は手の隙間から、ウィングを見た。「おしりぺんぺん」の言葉通り、ヒジリに臀部を軽く叩かれているだけだ。

 どういう事? ヒジリって、実はここまでおフザケキャラだったってこと?

「おお! 我ら現人神様は、寛大であられる!」

 ウィングが、ヒジリの手の甲にキスをした。

 かの助司祭の信仰する神は、星のオーガ。まさにヒジリのこと。

「現人神様は中々、面白い人物だな。いや神か」

 トウスさんが、俺にヒソヒソ声でヒジリの印象を伝える。

「あ、ああ。そうだな。噂通り変人だった」

「星のオーガ様って優しいねぇ~」

 メリィが、対アンデッド用の魔剣を鞘にしまって微笑んでいる。その彼女に対し、ウィングも微笑み返す。

「君も、運命の神教から星のオーガ教に乗り換えたらどうかね? メリィ。いつでも歓迎するよ」

「考えとく~」

 ホッ・・・。なんとかこの場は収まったか・・・。殺伐とした世界から優しい世界への振れ幅が激しすぎる。

「一時はどうなるかと思ったよ」

 そういうピーターは鼻くそをほじっている。絶対気にしてなかっただろ。

「喝ーーッ!」

「まだやるのかよ、それ」

 俺はピーターの嫌気のさした声を無視して、最後にサーカを紹介する。

「彼女は自称ムダン家臣、ジブリット家の娘、サーカ・カズンです。そしてシルビィ隊の仮隊員です」

「うむ」

 あ、興味なさそう。(察し)

 嫌な紹介の仕方をされて、サーカが肘突きをしてくる。

「お前のごっご遊びに、聖下を巻き込むな!」

「ご、ごめん」

 つい調子に乗りすぎた。ヒジリも乗ってくるから・・・。

「じゃ、先を急ごうか。行きましょう、聖下」



「さぁ、行け! リュウグ君。敵の侵攻はまだ初期段階だ。君たちがここで死ねば、国際問題になる」

「でも、オビオが帰ってくるまで待つって決めたから嫌や! ちゃんとお別れの挨拶しないと!」

 セロ・ブラッドはそれを聞いて、即座に説得を諦めた。

「そうか・・・。好きにするが良い。ノーム国に事の次第を説明するのに困らぬよう、一筆書いておいてくれると助かるがの」

 今はノームの一家の事など、どうでもいい。直ぐにでも敵の侵攻に備え、対策を考えなければならない。

「奴らは霧の魔物ではない。だが、非常に強力だ」

 霧の魔物が頻出する北の平原の守り人(石像)は、何も警告音を発しなかった。

 そして、その姿は一週間前に戦った蛇人とそっくりだ。蛇人とは呼んでいるものの、多頭の蛇人はこの世界にはいない。大体一つの体に一つの頭だ。神の気まぐれで、二つの頭を持つ者もいるが長生きはしない。

「それが、二百体ほどか・・・」

 バルコニーから簡素な望遠鏡でざっと見ただけでもそれだけいる。

「ダーレ! 戦闘員に伝えろ。接近戦はするなと。それから爆発した敵に近づくなとも言え」

「ハッ!」

 全身鎧のダーレは、煩く鎧を鳴らして館を出ていった。

「さて、どれほどの強さか。バトルコック団やワシが戦った相手程度なら、問題はない。一人が一匹を相手できるだろう。しかしそうでなければ」

 冒険者ギルド、私兵、常駐の王国騎士、傭兵のアーチャー達が一斉に弓を射だした。

「下男をしていた時の記憶はまだある。ブラッドを乗っ取った蛇人の指揮はどうだったか」

 屈辱的な記憶の中を探って、オビオがヒドラ星人と呼んでいた蛇人の戦い方を思い出す。

「ふむ、霧の魔物には勝てておった。まぁ、指揮がお粗末でも、うちは末端のマンパワーが凄まじいからの」

 戦闘員の全てがエリート種である。生命値が通常の四倍ある者、能力値が高く平均している者はざらだ。

 相手が強力な霧の魔物といえど、こちらとて尋常ならざる者の集団なのだ。

「む?」

 ヒドラ星人はこちらの弓矢を弾いて無傷だ。雨あられと降る矢に対して微動だにもしない。ゆっくりと館へ近づいてくる。

「オビオ君達は、あれを突破していた。はて、どうやって突破していたか」

 セロは緑の髪を撫で付けながら、記憶を辿った。

「いかん、思い出せん・・・」

 山程あった政の仕事で、記憶は遥か遠くだ。

 その時、リュウグがバルコニーに駆けてきた。

「辺境伯! あの物理障壁魔法みたいなのは、短い間に攻撃を重ねないと突破できへんで!」

「そうか! 連携技か!」

 セロは指を鳴らして気づく。そうだった。リュウグはオビオの仲間だ。情報がここにあるではないか!

「悪いが、暫く横でいてくれるか? リュウグ君。ワシは耄碌してきておる。君の助言はありがたい」

「ええで!」
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