料理をしていたらいつの間にか歩くマジックアイテムになっていた

藤岡 フジオ

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商業都市国家ポルロンド

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 馬車がポルロンドに近づくにつれて、人通りは多くなる。

「人と馬車の数がすげぇな。全然馬車が動かねぇ」

 客車の窓から顔を少しだけ出して外を見た限りでは、お祭りでも始まる気配だ。

「お祭りでも始まるのかなぁ~?」

 メリィが俺の思っていた事を口に出してくれた。

「これが日常やで。ポルロンドは栄えてる割に小さい国やからなぁ」

 リュウグがドヤ顔でこの国の情報を教えてくれる。

「この混雑を見るに、これ以上は効率化はできないというわけか。ふん。ポルロンドも大した事ないな」

 サーカは何様目線で物を言ってるんだ? あんたは田舎出身でしょうが。

 これ以上効率化できないとはいえ、街道の脇には軽量化の魔法で軽くした荷物が、ベルトコンベアーのようなもので運ばれていく。

「このベルトコンベアーの動力はなんだ?」

「オーガとかの怪力人種が回しているんやで」

「へー」

 よく見ると装置の端で、オーガがトルクのついたローラーをくるくると回している。退屈そうだ。鼻くそを穿ってる。

「大変だな~。あのオーガは奴隷なのか?」

「いや、ポルロンドは闇側の種族も受け入れているんや。ちゃんとした許可証があれば、普通に働けるんやで。それに現人神様が、グランデモニウム王国と樹族国の交易を始めたやろ? だから最近は闇側とか光側とかを意識する人が減ってきたんや」

「ほー」

 やるじゃん、ヒジリ。

「なぁ、オビオ?」

 リュウグが潤んだ目で俺を見上げる。黒目が多いので子犬のように可愛い。

「なに?」

「私なぁ、買い物がしたいねん。ノーム国に帰る前に、オビオに買って欲しい物があるよ。ええかな?」

 うっ。そうだった。もうすぐリュウグとはお別れするんだった。

「いいぞ。なんだって買ってやるよ!」

 俺が自分の胸をドンと叩くと、メリィがニコニコしながらやって来た。寄付金を受け付ける革の袋を広げて持っている。

「オビオぉ。トロ子ちゃんの蘇生代、忘れているよぉ~?」

 うわっ! 圧が凄い! ニコニコしてるのに、凄い圧力だ!

「あ! あの蘇生も、一応、お金取るのね」

「うん、私も騎士修道会に、お金を送らないと駄目だから~」

 そっか。でも確か寄付金の金額は任意だったよな? そこらへんは、神聖国モティの息がかかった僧侶などとは違う。

 俺は試しに金貨十枚を入れてみた。蘇生代が金貨十枚って事はまずない。でも任意だから・・・。

「シャンシャン!」

 メリィは袋を持つ手を上下に振った。

 なんだシャンシャンって? まだ足りません的な催促か? ならもう十枚入れてみる。

「シャンシャン!」

 う、嘘だろ・・・。円で言えば、二百万円寄付した事になるんだぞ。

 馬車の中が急に蒸し暑くなったような気がした。いや、この息苦しさはメリィの圧だ。あのニッコリ笑う細い目から、薄っすら見える瞳が怖い。

「こ、これでもくらえー! ファイナル・ドネーション!」

 某ツンデレ王子みたいな声を絞り出して、俺は寄付金袋に金貨五十枚を入れた。

「毎度あり~!」

 た、助かった。メリィの圧が消えていく。

「トホホ」

 俺の残金、金貨五十枚。

 でも、トロ子が転生できた事を思えば、安いもんだ。

「クキッ! クキキキッ!」

 なんだその笑い方。むかつくわ~、ピーターめ! 借金返済してスッカラカンのくせして!

「旦那様がた~。ポルロンドに到着しやした。お足元お気をつけて下りてくだせい」

 お、馬車駅についたか。御者が客車のドアを開けてくれた。

「長旅に付き合ってくれて、ご苦労さん!」

 俺は御者に銀貨一枚を渡すと、彼はお辞儀したまま、皆が降りるのを待つ。

「あ~、やっと外に出られた!」

 馬車から降りて、何歩か前に進んで伸びをする。いい天気だ!

 今日はリュウグといられる最後の日。

 嫌な事は忘れて、良い思い出を残すぞ!
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