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禁断の箱庭と融合する前の世界(60)
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「ヒジリ・・・おっとここは人が多い。聖下と呼ぶかの。聖下にはお礼を言っていなかった。王妃テイパを助けてくれてありがとう」
食事の席でシュラスは改めてお礼を言った。
「妻は気丈ではあるが体が弱くてな。今は別室で休んでいる。本人が直接礼を言いたいと言っておったのじゃが代わりにワシがすることを許してくれ」
「気にしないでください。陛下。同盟国の王妃を助けるのは当然の事です」
シュラスは唐揚げを取ると、小さく切り分けて口に運び咀嚼する。
「今回ばかりはほんと色々と助けられておる。いや、いつも助けられておるか。ツィガル帝国の皇帝にここまでおんぶにだっこなのは心苦しいが、危機が去るまどうか我が国のことを守って欲しい」
獣人達の奇襲によって王国軍の現存の戦力を大きく削られたシュラスは弱気だった。
「それにしても国境付近に配備した軍に気づかれずに侵入してくるとは・・・。ここまで獣人達が恐ろしい敵になるとは思っておらんかった。しかもプロパガンダによって周辺国の我が国の印象は最悪じゃ」
膝の上で雛のように口を開けるイグナに焼肉を食べさせてからヒジリは答えた。
「いっそ、私が獣人国まで乗り込んで指導者を説得するか、倒すかしましょうか?」
「それは無理じゃな。彼らの国は複数の族長で元老院のようなものを組織して政治をしている。指導者の一人を倒したところで首がすげ変わるだけじゃ」
シルビィが部下から受け取った書類を読んで、ヒジリとシュラスに近づいてきた。
「陛下、拷問官からの報告に目を通しましたが、例の工作員の自供を魔法水晶に録画してあるそうです。内容に情報工作の為に自国の村人を虐殺したとあります。更に裏側が守った獣人の村もその予定でした」
「よし、即座にその映像を周辺国に向けて流せ」
「ハッ」
ヒジリは自分の父がいないことに気がついた。
「ん、そういえば父さんがいないな・・・。まさか戦いで死ぬことは無いとは思うが。またフラフラと城の中を見て回っているのか?」
ヒジリはブツブツとそう言うと、隣の席にいたタスネが答える。
「マサムネさんなら国に帰るって言って帰ったよ。そうそう、ヒジリに”愛してる、孫に会いにまた来る”だってさ。あと、何だったかな・・・。ボラ・・・ボランチアポイントがどうのこうの言って、薬草と鉱物を地球に持ち帰るから許してくれだって」
「急だな・・・ってなんだと!父さんは勝手にこの星の物を持ち帰ったというのか!ムムム!・・・。まぁ私の為に地球で沢山のペナルティを受けるのだからそれぐらいは許そうか・・・」
寂しさがヒジリの胸を刺す。
「でも”また明日!“位の軽いノリで帰っていったよ」
「また来れるのだろうか・・?こちらが来星許可を出しても難しいのではないかな。それにしても孫か・・・」
チラリとオーガ達のテーブルを見る。リツとベンキ以外は手掴みで肉を食べている。
獣のように料理を両手で囲って食べているヘカティニスのお腹を見たが、まだ然程膨らんではいない。自分の子供がヘカティニスやリツのお腹にいる実感がないのだ。
「私自身は彼女たちと・・・してないのだが・・・。本能に任せて・・・すればよかった・・・」
「何を?」
タスネが怪訝そうにヒジリのぼやきに応える。
「実は私は誰とも子作りをしたことがないのだ。彼女たちは私の分身みたいなものと馬鍬って子を宿したのだよ」
「食事中にする話じゃないよね・・・」
顔を赤らめるタスネを見てヒジリは笑って誤魔化した。
それを聞いた膝の上のイグナはグッっと拳を握りしめて内心で喜んでいる。ヒジリはまだ誰ともそういった関係になっていないと。
「でも自分に子供が出来るなんて夢のようだ。我が国では子供を作る権利を得る確率は物凄く低いのでね」
「はいはい、おめでとう。私もそろそろ結婚して子供欲しいのにヒジリはいいわね!」
「なに、主殿も魔物や闇側の住人にはモテモテじゃないか。そんなに悲観することはない」
「魔物や闇側の人達との間では子供が出来ないのにモテても仕方ないでしょうが!」
イグナがヒジリを見上げて言う。
「あんまりお姉ちゃんをイジメないで。可哀想」
「同情するなら男くれ!」
思わずブピッ!と出た鼻水を垂らして憤慨するタスネを見て、ヒジリとイグナは笑った。
ツィガル城でナンベルは目の前の捕らえられた小さなオーガを見て溜息をついていた。さっきから訳の分からない単語を並べて訴えてくる。
(この人の言っている事はさっぱりですねぇ。しかし鉄傀儡を欲しがって侵入してきたのは頂けませんよぉ?)
頭のサイドに黒い綿菓子のような髪を付けたオーガはしきりに樹族の支配に鉄傀儡が必要だと訴えてくるが、勿論、彼の要望を聞き入れるわけにはいかない。そしてこの小さいオーガはヒジリ皇帝の事を知っているようだ。
「ええい、やかましいわ。この盗人を牢屋に繋いでおけぃ!」
ヒジリに扮して魔王のように振る舞うのが快感になっているナンベルは、左手で頬杖をついて右手を振り払った。
サカモト博士はノーム国に向かう途中で帝国の城に鉄傀儡があるという噂を聞いて城に立ちよったのだが門前払いを食らい、城に忍び込もうとしてガードナイトに直ぐに捕まってしまったのだ。
(つい、ウィスプがいるつもりで行動してしまったわい・・・。こんな所で捕まるとは迂闊・・・。元々戦闘能力の低いワシが旧式のパワードスーツで後期型のオーガに敵うわけもなく・・・。それにしても何だこの道化師は。こんな者が皇帝なのか・・・)
魔法効果に惑わされない博士は道化師のナンベルを睨みつけた後、玉座の間の片隅に鎧の置物のように置いてある大きな鉄傀儡を悔しそうに見つめる。
(あれさえ有れば、ノーム国へ向かうのも楽だったのに・・・)
博士が牢屋に送られて暫くしてから、ナンベルの前に樹族の使者が通された。使者は手紙を渡すと、深くお辞儀をして部屋を出て控室に向かった。
手紙を読むナンベルは樹族国の援軍要請に悩む。
(ヒー君なら間違いなく援軍を送っただろう。しかし、どうしたものですかねぇ。正直、樹族国がどうなろうが知った事ではないのですが、イグナちゃんが住む国でもありますし・・・よし!)
ナンベルは立ち上がると黒いマントを翻す。
「直ちに樹族国へ援軍を送れ。ヴャーンズには留守を任す。リツはまだ戻らんのか?」
ヴャーンズは相談もなく勝手なことを言うナンベルに驚きつつも周りの目を気にして返事をする。
「はい、リツとは未だ連絡が取れません。陛下、援軍に関してもう少し熟考なさったほうが・・・」
「黙れぃ!指揮は私が取る。鉄騎士団と魔法騎士団を連れて行くぞ。メロに伝えろ!」
(何か国益になる算段があるというのか?ナンベル殿。いくら同盟国でもただで援軍を出すというのはアホウのやること。樹族の使者には幾らか条件を提示してくれ・・・)
この思いよ!ナンベルに伝われ!と願いながらヴャーンズは魔王ヒジリを見つめる。
想いが伝わったのか伝わらなかったのかヒジリに扮するナンベルは、再度座り使者へ渡す手紙を書き始めた。
無礼だと知りつつ、ヴャーンズはナンベルの横に立って手紙の内容を確かめる。
そこには援軍の条件としてグランデモニウムの半分を寄越せと書いてあり、驚いて尖った鼻から鼻水を吹いた。
「ナンベル殿、流石にそれは同盟国としての関係が悪化する!精々かかった費用と援軍に見合うだけのお金を請求してくれぃ」
ヴャーンズは小さな声で進言した。
「欲張り過ぎたか!ドヘヘヘ!」
「陛下はそんな下品な笑い方をしないぞ。もう少しキャラに気を配ってくれんかね・・・」
「うるさいですねぇ、もう!ぷんぷん!」
ゴブリンは頭が痛くなり目頭を揉む。
(早くこの気まぐれな道化師から私を開放してくれ、陛下・・・)
ヴャーンズは鼻水をハンカチで拭き、目を一回転させて溜息をついて天井を見つめた。
獣人の暗殺者が樹族国の城を襲って二日経った頃、自国民を虐殺した工作員の映像を流された事で獣人国リオンでは国民から元老院に批判が殺到していた。
怒った国民から族長たちに暗殺予告まで出される始末だ。族長たちは工作員達との関係を否定し、彼らは民間のテロ組織だと発表するも誰も信用はしなかった。
裏側に守られて生き残った村人たちは、暗殺者達を恐れて村を捨て各地に潜んで逃げ延びていた。そして生き延びた村人の証言は直ぐに国中に広がったのだ。
国民の不満から目を逸らすために、リオン政府は樹族国の国境へ全軍を集結させて侵攻の準備を進めていた。
国境手前の平野で樹族国の軍も集結していた。地方の貴族の軍も到着しており、数では獣人国にも劣っていないように見える。
後方に控えていたシュラスの元へ斥候が現れる。
「帝国軍が到着しました!ヒジリ陛下をお通しします!」
リューロックとシュラスはへ「え?」という顔をする。ツィガル帝国皇帝とは今さっきまで作戦会議で何度も会話をしているからだ。
しかし、馬車からは闇のオーラを纏う禍々しいヒジリが笑いながら現れた。
「フホハハハハ!ご機嫌麗しゅう!シュラス陛下!」
「う、うむ。さっき会ったよね・・・」
シュラスの小さな声が聞こえなかったのか、黒い甲冑を着る魔王ヒジリはドスンドスンと悪者プロレスラーのように近づいてくる。
「朕が来たからにはこの戦、負けることは無いであろう!大船に乗ったつもりで安心するが良い!グハハハハ!」
手でキツネのような形を作って顔の前でクロスさせ、左右にスワーッと広げて魔王のような皇帝は言う。
シュラスとリューロックは益々困惑して顔を見合わすばかりだったが、そこにイグナが現れて魔王ヒジリのお尻を叩いた。
「ヒジリはそんな魔王みたいじゃない!」
「イグナちゃーん!元気だったのぉ?あ!もぉしかして!イグナちゃんも戦争に駆り出されたの?シドイ!」
キッ!と魔王ヒジリはシュラスを睨む。
「ヒジリは『時の呪縛』から開放されてる。一度死んだけど蘇った」
「なんですとぉーー!」
魔王ヒジリの後ろに本物のヒジリが現れる。
ヒジリには魔王ヒジリが普通にナンベルに見えるので、過去に彼に苦しめられた諸侯が襲いかかるのではないかと冷や汗を流している。
「ああ、聖下の影武者か」
リューロックの言葉にナンベルが自分に変装していることを知る。
「う、うむ。彼は影武者だ」
ナンベルはヒジリの復活に感動のあまり抱きつこうとしたが、ヒジリはこれまでに見たこともないほどの最高速度で残像を作って回避をした。自分に触れればナンベルの変装は解けてしまうからだ。
「ヒー君は小生のこと、嫌いになったのかなぁ?寂しい・・・」
「ヒジリが触れたら、おじちゃんの変身は解けてしまうから」
「あ、そっか。キュキュ!」
奇妙な魔王ヒジリにシュラスは笑う。
「変な影武者じゃのう」
リツの元には鉄騎士団の副団長や隊長達が集まっていた。
「団長!何処にいたんですか!」
副団長は涙声でリツの手を取る。
「心配をかけてしまったようね。ごめんなさい。でもこれからは団長と呼ばないでくれる?皇后陛下と呼びなさい!オーッホッホ!お腹には陛下の子もいるのよぉ?」
おお!と鉄騎士達はどよめく。陛下の心を射止めて、我らが団長は皇后になった!と。
その恩恵は間違いなく部下たちにもあるからだ。鉄騎士達の士気が上がる。
メロは魔王ヒジリが影武者だと知り、魔法騎士団の幹部を引き連れてヒジリに跪いた。
「陛下、魔法騎士団団長のメロ・アマイ、只今到着しました。後方支援で陛下を精一杯サポートさせていただきます」
「よろしく頼む」
攻撃魔法や継続的な回復、能力上昇などのサポートを得意とする帝国魔法騎士団の参加は軍の底上げになるだろう。
「獣人国相手に十分過ぎる戦力だな。あとは戦いの途中、サカモト博士が鉄傀儡を引き連れて来なければ良いのだが・・・」
ナンベルが鉄傀儡という言葉に反応する。
「そういえば、城の鉄傀儡を盗もうとして捕まった間抜けが牢に捕らえられていますよ、ヒー君。なんだかヒー君の事を知ってたみたいでしたが」
「あんなもの盗んでどうしようというのだ、使い方も判らんだろうに」
「ですよねぇ。変な髪型をしたふざけたオーガでしてねぇ。綿菓子みたいな髪を頭のサイドに付けた団子鼻の盗人でしたよ?キュキュ!」
まさかな・・・と思いつつもナンベルにその盗人の名前を聞いた。
「ん~確か、ハイ・・ワット・・大工さん・・・サキモトみたいな名前だったような・・・」
ヒジリは喜びのあまりパワードスーツが反応して、フル稼働しブシューっと熱放射をした。ブワッと周囲に空気の波が広がる。そしてナンベルに抱きつこうとしたが、ナンベルも残像を残すほどの高速で回避した。
「びっくりした!変身が解けるでしょうが!キュキュー!」
「すまん、あまりに嬉しかったもので・・・。その盗人を厳重に閉じ込めておいてくれると助かるのだが」
「ブーマーが余計な事をしなければ大丈夫ですよ。キュキュ!」
「不安だ・・・。直ぐにヴャーンズに連絡してくれ。決してサカモト博士を逃がすなと」
ヒジリが言うと魔王ヒジリが近くの配下に指示を出した。
「ウメボシ、敵の数は?」
「一万五千程。人数は互角ですが、獣人族一人に対して樹族二人分の戦力が必要となります」
「なら我々がその分働けばいい。シュラス陛下、我々が前線に出ましょう。不本意でしょうが騎士達には中衛で我々の補助をしてもらいたい」
ヒジリがそう言うと、ムダンが不満そうな顔をした。
「ワシは前線に出るぞ!リューロック!またお前の”永久機関“を貸してくれ!お前は王の護衛じゃから要らんだろ。代わりにワシの鉄球を貸してやる」
リューロックが髭を扱きながら考える。
「お前の”大胆な鉄球“は扱い難い。あんなもので陛下を守れるか!」
ヒジリは近くの武器立てから、ドワイトの魔斧”息切り“をムダンに渡す。
「それは先日、私を守って寿命を全うした英雄ドワーフの斧だ。ムダン殿のような豪傑に使ってもらえればドワイトも喜ぶと思う。暫く貸そう」
おお、と隻眼のムダンは喜んで魔斧を握る。すかさず【知識の欲】で鑑定して唸った。
「なんたる一品か!かすっただけで相手のスタミナを奪うとは・・・!しかもフェイント後の攻撃が必ず当たる!素晴らしい!更にこの柄全体の装飾はどうだ!芸術品としても価値が高い!」
武器マニアのムダンは目を輝かせて魔斧を見つめている。
「見ておれ!獣人ども!この素晴らしい斧の血錆びにしてくれるわ!」
獣人国と最後の決戦を前に樹族側の戦意は最高潮に達していた。
食事の席でシュラスは改めてお礼を言った。
「妻は気丈ではあるが体が弱くてな。今は別室で休んでいる。本人が直接礼を言いたいと言っておったのじゃが代わりにワシがすることを許してくれ」
「気にしないでください。陛下。同盟国の王妃を助けるのは当然の事です」
シュラスは唐揚げを取ると、小さく切り分けて口に運び咀嚼する。
「今回ばかりはほんと色々と助けられておる。いや、いつも助けられておるか。ツィガル帝国の皇帝にここまでおんぶにだっこなのは心苦しいが、危機が去るまどうか我が国のことを守って欲しい」
獣人達の奇襲によって王国軍の現存の戦力を大きく削られたシュラスは弱気だった。
「それにしても国境付近に配備した軍に気づかれずに侵入してくるとは・・・。ここまで獣人達が恐ろしい敵になるとは思っておらんかった。しかもプロパガンダによって周辺国の我が国の印象は最悪じゃ」
膝の上で雛のように口を開けるイグナに焼肉を食べさせてからヒジリは答えた。
「いっそ、私が獣人国まで乗り込んで指導者を説得するか、倒すかしましょうか?」
「それは無理じゃな。彼らの国は複数の族長で元老院のようなものを組織して政治をしている。指導者の一人を倒したところで首がすげ変わるだけじゃ」
シルビィが部下から受け取った書類を読んで、ヒジリとシュラスに近づいてきた。
「陛下、拷問官からの報告に目を通しましたが、例の工作員の自供を魔法水晶に録画してあるそうです。内容に情報工作の為に自国の村人を虐殺したとあります。更に裏側が守った獣人の村もその予定でした」
「よし、即座にその映像を周辺国に向けて流せ」
「ハッ」
ヒジリは自分の父がいないことに気がついた。
「ん、そういえば父さんがいないな・・・。まさか戦いで死ぬことは無いとは思うが。またフラフラと城の中を見て回っているのか?」
ヒジリはブツブツとそう言うと、隣の席にいたタスネが答える。
「マサムネさんなら国に帰るって言って帰ったよ。そうそう、ヒジリに”愛してる、孫に会いにまた来る”だってさ。あと、何だったかな・・・。ボラ・・・ボランチアポイントがどうのこうの言って、薬草と鉱物を地球に持ち帰るから許してくれだって」
「急だな・・・ってなんだと!父さんは勝手にこの星の物を持ち帰ったというのか!ムムム!・・・。まぁ私の為に地球で沢山のペナルティを受けるのだからそれぐらいは許そうか・・・」
寂しさがヒジリの胸を刺す。
「でも”また明日!“位の軽いノリで帰っていったよ」
「また来れるのだろうか・・?こちらが来星許可を出しても難しいのではないかな。それにしても孫か・・・」
チラリとオーガ達のテーブルを見る。リツとベンキ以外は手掴みで肉を食べている。
獣のように料理を両手で囲って食べているヘカティニスのお腹を見たが、まだ然程膨らんではいない。自分の子供がヘカティニスやリツのお腹にいる実感がないのだ。
「私自身は彼女たちと・・・してないのだが・・・。本能に任せて・・・すればよかった・・・」
「何を?」
タスネが怪訝そうにヒジリのぼやきに応える。
「実は私は誰とも子作りをしたことがないのだ。彼女たちは私の分身みたいなものと馬鍬って子を宿したのだよ」
「食事中にする話じゃないよね・・・」
顔を赤らめるタスネを見てヒジリは笑って誤魔化した。
それを聞いた膝の上のイグナはグッっと拳を握りしめて内心で喜んでいる。ヒジリはまだ誰ともそういった関係になっていないと。
「でも自分に子供が出来るなんて夢のようだ。我が国では子供を作る権利を得る確率は物凄く低いのでね」
「はいはい、おめでとう。私もそろそろ結婚して子供欲しいのにヒジリはいいわね!」
「なに、主殿も魔物や闇側の住人にはモテモテじゃないか。そんなに悲観することはない」
「魔物や闇側の人達との間では子供が出来ないのにモテても仕方ないでしょうが!」
イグナがヒジリを見上げて言う。
「あんまりお姉ちゃんをイジメないで。可哀想」
「同情するなら男くれ!」
思わずブピッ!と出た鼻水を垂らして憤慨するタスネを見て、ヒジリとイグナは笑った。
ツィガル城でナンベルは目の前の捕らえられた小さなオーガを見て溜息をついていた。さっきから訳の分からない単語を並べて訴えてくる。
(この人の言っている事はさっぱりですねぇ。しかし鉄傀儡を欲しがって侵入してきたのは頂けませんよぉ?)
頭のサイドに黒い綿菓子のような髪を付けたオーガはしきりに樹族の支配に鉄傀儡が必要だと訴えてくるが、勿論、彼の要望を聞き入れるわけにはいかない。そしてこの小さいオーガはヒジリ皇帝の事を知っているようだ。
「ええい、やかましいわ。この盗人を牢屋に繋いでおけぃ!」
ヒジリに扮して魔王のように振る舞うのが快感になっているナンベルは、左手で頬杖をついて右手を振り払った。
サカモト博士はノーム国に向かう途中で帝国の城に鉄傀儡があるという噂を聞いて城に立ちよったのだが門前払いを食らい、城に忍び込もうとしてガードナイトに直ぐに捕まってしまったのだ。
(つい、ウィスプがいるつもりで行動してしまったわい・・・。こんな所で捕まるとは迂闊・・・。元々戦闘能力の低いワシが旧式のパワードスーツで後期型のオーガに敵うわけもなく・・・。それにしても何だこの道化師は。こんな者が皇帝なのか・・・)
魔法効果に惑わされない博士は道化師のナンベルを睨みつけた後、玉座の間の片隅に鎧の置物のように置いてある大きな鉄傀儡を悔しそうに見つめる。
(あれさえ有れば、ノーム国へ向かうのも楽だったのに・・・)
博士が牢屋に送られて暫くしてから、ナンベルの前に樹族の使者が通された。使者は手紙を渡すと、深くお辞儀をして部屋を出て控室に向かった。
手紙を読むナンベルは樹族国の援軍要請に悩む。
(ヒー君なら間違いなく援軍を送っただろう。しかし、どうしたものですかねぇ。正直、樹族国がどうなろうが知った事ではないのですが、イグナちゃんが住む国でもありますし・・・よし!)
ナンベルは立ち上がると黒いマントを翻す。
「直ちに樹族国へ援軍を送れ。ヴャーンズには留守を任す。リツはまだ戻らんのか?」
ヴャーンズは相談もなく勝手なことを言うナンベルに驚きつつも周りの目を気にして返事をする。
「はい、リツとは未だ連絡が取れません。陛下、援軍に関してもう少し熟考なさったほうが・・・」
「黙れぃ!指揮は私が取る。鉄騎士団と魔法騎士団を連れて行くぞ。メロに伝えろ!」
(何か国益になる算段があるというのか?ナンベル殿。いくら同盟国でもただで援軍を出すというのはアホウのやること。樹族の使者には幾らか条件を提示してくれ・・・)
この思いよ!ナンベルに伝われ!と願いながらヴャーンズは魔王ヒジリを見つめる。
想いが伝わったのか伝わらなかったのかヒジリに扮するナンベルは、再度座り使者へ渡す手紙を書き始めた。
無礼だと知りつつ、ヴャーンズはナンベルの横に立って手紙の内容を確かめる。
そこには援軍の条件としてグランデモニウムの半分を寄越せと書いてあり、驚いて尖った鼻から鼻水を吹いた。
「ナンベル殿、流石にそれは同盟国としての関係が悪化する!精々かかった費用と援軍に見合うだけのお金を請求してくれぃ」
ヴャーンズは小さな声で進言した。
「欲張り過ぎたか!ドヘヘヘ!」
「陛下はそんな下品な笑い方をしないぞ。もう少しキャラに気を配ってくれんかね・・・」
「うるさいですねぇ、もう!ぷんぷん!」
ゴブリンは頭が痛くなり目頭を揉む。
(早くこの気まぐれな道化師から私を開放してくれ、陛下・・・)
ヴャーンズは鼻水をハンカチで拭き、目を一回転させて溜息をついて天井を見つめた。
獣人の暗殺者が樹族国の城を襲って二日経った頃、自国民を虐殺した工作員の映像を流された事で獣人国リオンでは国民から元老院に批判が殺到していた。
怒った国民から族長たちに暗殺予告まで出される始末だ。族長たちは工作員達との関係を否定し、彼らは民間のテロ組織だと発表するも誰も信用はしなかった。
裏側に守られて生き残った村人たちは、暗殺者達を恐れて村を捨て各地に潜んで逃げ延びていた。そして生き延びた村人の証言は直ぐに国中に広がったのだ。
国民の不満から目を逸らすために、リオン政府は樹族国の国境へ全軍を集結させて侵攻の準備を進めていた。
国境手前の平野で樹族国の軍も集結していた。地方の貴族の軍も到着しており、数では獣人国にも劣っていないように見える。
後方に控えていたシュラスの元へ斥候が現れる。
「帝国軍が到着しました!ヒジリ陛下をお通しします!」
リューロックとシュラスはへ「え?」という顔をする。ツィガル帝国皇帝とは今さっきまで作戦会議で何度も会話をしているからだ。
しかし、馬車からは闇のオーラを纏う禍々しいヒジリが笑いながら現れた。
「フホハハハハ!ご機嫌麗しゅう!シュラス陛下!」
「う、うむ。さっき会ったよね・・・」
シュラスの小さな声が聞こえなかったのか、黒い甲冑を着る魔王ヒジリはドスンドスンと悪者プロレスラーのように近づいてくる。
「朕が来たからにはこの戦、負けることは無いであろう!大船に乗ったつもりで安心するが良い!グハハハハ!」
手でキツネのような形を作って顔の前でクロスさせ、左右にスワーッと広げて魔王のような皇帝は言う。
シュラスとリューロックは益々困惑して顔を見合わすばかりだったが、そこにイグナが現れて魔王ヒジリのお尻を叩いた。
「ヒジリはそんな魔王みたいじゃない!」
「イグナちゃーん!元気だったのぉ?あ!もぉしかして!イグナちゃんも戦争に駆り出されたの?シドイ!」
キッ!と魔王ヒジリはシュラスを睨む。
「ヒジリは『時の呪縛』から開放されてる。一度死んだけど蘇った」
「なんですとぉーー!」
魔王ヒジリの後ろに本物のヒジリが現れる。
ヒジリには魔王ヒジリが普通にナンベルに見えるので、過去に彼に苦しめられた諸侯が襲いかかるのではないかと冷や汗を流している。
「ああ、聖下の影武者か」
リューロックの言葉にナンベルが自分に変装していることを知る。
「う、うむ。彼は影武者だ」
ナンベルはヒジリの復活に感動のあまり抱きつこうとしたが、ヒジリはこれまでに見たこともないほどの最高速度で残像を作って回避をした。自分に触れればナンベルの変装は解けてしまうからだ。
「ヒー君は小生のこと、嫌いになったのかなぁ?寂しい・・・」
「ヒジリが触れたら、おじちゃんの変身は解けてしまうから」
「あ、そっか。キュキュ!」
奇妙な魔王ヒジリにシュラスは笑う。
「変な影武者じゃのう」
リツの元には鉄騎士団の副団長や隊長達が集まっていた。
「団長!何処にいたんですか!」
副団長は涙声でリツの手を取る。
「心配をかけてしまったようね。ごめんなさい。でもこれからは団長と呼ばないでくれる?皇后陛下と呼びなさい!オーッホッホ!お腹には陛下の子もいるのよぉ?」
おお!と鉄騎士達はどよめく。陛下の心を射止めて、我らが団長は皇后になった!と。
その恩恵は間違いなく部下たちにもあるからだ。鉄騎士達の士気が上がる。
メロは魔王ヒジリが影武者だと知り、魔法騎士団の幹部を引き連れてヒジリに跪いた。
「陛下、魔法騎士団団長のメロ・アマイ、只今到着しました。後方支援で陛下を精一杯サポートさせていただきます」
「よろしく頼む」
攻撃魔法や継続的な回復、能力上昇などのサポートを得意とする帝国魔法騎士団の参加は軍の底上げになるだろう。
「獣人国相手に十分過ぎる戦力だな。あとは戦いの途中、サカモト博士が鉄傀儡を引き連れて来なければ良いのだが・・・」
ナンベルが鉄傀儡という言葉に反応する。
「そういえば、城の鉄傀儡を盗もうとして捕まった間抜けが牢に捕らえられていますよ、ヒー君。なんだかヒー君の事を知ってたみたいでしたが」
「あんなもの盗んでどうしようというのだ、使い方も判らんだろうに」
「ですよねぇ。変な髪型をしたふざけたオーガでしてねぇ。綿菓子みたいな髪を頭のサイドに付けた団子鼻の盗人でしたよ?キュキュ!」
まさかな・・・と思いつつもナンベルにその盗人の名前を聞いた。
「ん~確か、ハイ・・ワット・・大工さん・・・サキモトみたいな名前だったような・・・」
ヒジリは喜びのあまりパワードスーツが反応して、フル稼働しブシューっと熱放射をした。ブワッと周囲に空気の波が広がる。そしてナンベルに抱きつこうとしたが、ナンベルも残像を残すほどの高速で回避した。
「びっくりした!変身が解けるでしょうが!キュキュー!」
「すまん、あまりに嬉しかったもので・・・。その盗人を厳重に閉じ込めておいてくれると助かるのだが」
「ブーマーが余計な事をしなければ大丈夫ですよ。キュキュ!」
「不安だ・・・。直ぐにヴャーンズに連絡してくれ。決してサカモト博士を逃がすなと」
ヒジリが言うと魔王ヒジリが近くの配下に指示を出した。
「ウメボシ、敵の数は?」
「一万五千程。人数は互角ですが、獣人族一人に対して樹族二人分の戦力が必要となります」
「なら我々がその分働けばいい。シュラス陛下、我々が前線に出ましょう。不本意でしょうが騎士達には中衛で我々の補助をしてもらいたい」
ヒジリがそう言うと、ムダンが不満そうな顔をした。
「ワシは前線に出るぞ!リューロック!またお前の”永久機関“を貸してくれ!お前は王の護衛じゃから要らんだろ。代わりにワシの鉄球を貸してやる」
リューロックが髭を扱きながら考える。
「お前の”大胆な鉄球“は扱い難い。あんなもので陛下を守れるか!」
ヒジリは近くの武器立てから、ドワイトの魔斧”息切り“をムダンに渡す。
「それは先日、私を守って寿命を全うした英雄ドワーフの斧だ。ムダン殿のような豪傑に使ってもらえればドワイトも喜ぶと思う。暫く貸そう」
おお、と隻眼のムダンは喜んで魔斧を握る。すかさず【知識の欲】で鑑定して唸った。
「なんたる一品か!かすっただけで相手のスタミナを奪うとは・・・!しかもフェイント後の攻撃が必ず当たる!素晴らしい!更にこの柄全体の装飾はどうだ!芸術品としても価値が高い!」
武器マニアのムダンは目を輝かせて魔斧を見つめている。
「見ておれ!獣人ども!この素晴らしい斧の血錆びにしてくれるわ!」
獣人国と最後の決戦を前に樹族側の戦意は最高潮に達していた。
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【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
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【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
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異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
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彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
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幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。
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生きていればいつかは幼馴染達とまた会える!
愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」
幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。
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