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禁断の箱庭と融合する前の世界(62)
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タスネの報告を聞いたヒジリは直ぐ様、進軍を止めるようにシュラス王に伝えた。
「サカモト粒子砲の前に集団で向かえば、まとめて殺して下さいと言っているようなものだ」
タスネの報告を聞いてサカモト粒子砲のある塔を見に行っていたウメボシが帰ってくる。
「半径一キロ程の射程距離があり、塔のてっぺんに円形のレールを引いてあり、全ての方向に対応できるようになっています。しかもサカモト粒子砲が小型で軽いせいか狙いを定めるのが早いです」
「死角は足元だけか。どうやって近づくかが問題だな。流石の我々でも堂々と向かえば死は免れないだろう。が、堂々と行く必要は無い。遮蔽装置を使って向かうぞ、ウメボシ」
「はい」
ウメボシの肩越しにヘカティニスが元気なく岩に座っている姿が見えた。ヒジリは心配になり声をかけてみた。
「どうした?体の具合でも悪いのか?ウメボシに診させようか?」
「大丈夫だ・・・。ちょっと疲れて休んでるだけだかだ」
しかし青い顔をするヘカティニスを放っておけない。
ヒジリがウメボシを呼ぼうとしたが、ヒジリとヘカティニスの間の空間が歪んで、いきなりグレーターデーモンが現れた。悪魔はカティニスを見ることもなく裏拳で攻撃を仕掛ける。
ヘカティニスは咄嗟に魔剣の腹を盾にして防御したが、不安定な体勢だったので後方へ吹き飛んでしまった。
「グギャアア!」
グレーターデーモンは拳を抱えて悲鳴を上げた。悪魔は魔剣を殴ったせいで拳が粉々に砕けたのだ。
「ざまぁみど!」
吹き飛ばされて背中から木に激突したヘカティニスは体調の悪さからくる朦朧とする意識の中でニヤリと笑った。
「敵襲!グレーターデーモンに備えよ!近くに召喚者がいるはずだ!探せ!」
騎士の一人が警戒の声を上げると、樹族達はざわついた。
「グレーターデーモンだって?くそ!絶望的じゃないか!」
「聖下に任せよう・・・」
「陛下や聖下を守るのが我らの務め!守るべき対象に守ってもらうとは何事か!」
怯える騎士の中から、光の七武将が一人ムダンがズイッと現れて周りの者を諌める。青い鎧をガシャガシャと鳴らし、痛みに悶えるグレーターデーモンにドワイトの斧で斬りかかった。
「フグゥ!」
グレーターデーモンは殆どダメージを受けてはいないがは魔斧”息切り“にスタミナを削られて膝をついている。
「おい!やれそうじゃないか!?」
勢いに乗れとばかりに騎士たちは魔法を放つも、九割ほどが無効化されてしまい悪魔には殆どダメージを与えず、その勢いは直ぐに削がれてしまった。
「魔法頼りの樹族にとって、やり難い相手だな・・・」
ヒジリは苦戦する騎士たちを見て気の毒に思う。自分も前回グレーターデーモンと戦った時は長期戦になりそうな気がしたのでカプリコンに頼ったが、今回は新しいパワードスーツと電撃グローブの性能を試そうと接近戦を挑んだ。
悪魔は砕けた右の拳を庇いつつも、向かってくるヒジリを左手の爪で引っ掻こうと振りかぶる。
鉄板ぐらいなら簡単に引き裂きそうな鋭い爪を掻い潜って、ヒジリは悪魔の顎に電撃パンチを食らわせる。
「電撃は効かないか。しかし攻撃力の増したパンチで脳震盪を起こしているな・・・」
羽で何とかバランスを取って立ち続けようとしているグレーターデーモンの目は焦点が合っていない。
「狡いぜ!ヒジリ!獲物を独り占めするなよ!」
スカーが叫ぶとゴールキ将軍率いる砦の戦士達が騒ぎを聞きつけて現れた。
「グハハ!砦の戦士たちよ!全員総攻撃だ!」
何故かナンベルが扮する魔王ヒジリが砦の戦士達に指示を出した。
「ヒャッハー!」
戦士たちはグレーターデーモンを取り囲んで拳の嵐を浴びせている。ボコボコにされて両腕で顔を庇いつつ悪魔は叫んだ。
「イジメ ヨクナイ!ダメ!ゼッタイ!ギャァァ!」
グレーターデーモンはそう言って倒れると元の世界に戻っていった。
「むぅ。パワードスーツの性能をもっと確かめたかったのだが・・・」
騎士たちから歓声が上がる。召喚者も騎士たちが捕まえたようだ。
「帝国の鉄騎士団といい、砦の戦士達といい、味方にするとこれほど頼もしいものはないな」
後方で王を守りながら戦いの様子を見ていたシルビィは誰に言うでもなく呟いた。
「全くじゃ。我々のような魔法一辺倒なのも困りものじゃな。意識を改め、前衛を務める騎士団でも作るかの」
シュラスがそう言うとリューロックが溜息をついた。
「前衛を任せられる騎士となると・・・・。ウォール家とムダン、次点ではサヴェリフェ家のタスネと聖騎士見習いのフランくらいですかな。頭が痛い」
「フランはゆくゆくは聖騎士だから、召し抱える事は出来んじゃろ・・・。勿体無い。あのオッパイ・・・」
タスネの横に立つ、黄金色の鎧を着るフランの胸は隠れていて見えないがシュラスは頭の中で彼女の大きなオッパイを妄想する。
「ゴホン!まぁ召し抱えることは出来ませんが協力要請ぐらいは出来るでしょう。もう少し実戦経験を積んでからの話ですがね」
リューロックは王を白眼視する娘を諌めるように咳払いをして答えた。
フランの年齢から戦場に出る見習い騎士は珍しくない。殆ど騎士の世話係のような事しかしないが、戦場の空気を知る為に参加する。勿論、そこで人生の幕を閉じてしまう者もいるが。
自分の知らないところで話題に上がっているフランは、負傷したヘカティニスに回復の祈りをしようと近寄って驚く。
「え?ちょっとぉ!ウメボシ!来てぇ!」
ヘカティニスのプレートメイルの股の間から大量の血が流れ出ていた。
ウメボシが直ぐにヘカティニスのもとに現れてスキャンするとヒジリも心配してやって来た。
「マスター、ヘカティニスは流産しています。原因は判りませんが、彼女の体がナノマシンに対して突発的な拒絶反応を示した結果です」
「・・・」
それを聞いたヒジリの心臓が早い鼓動を刻みだした。
意識の戻ってきたヘカティニスは自分の股の間にある血だまりをじっと見て震える。
「おでの子供・・・。流れて死んだんか?おでの子供・・・」
「ウメボシ、生き返らせてあげたら?」
フランは涙ぐみながら聞くもウメボシは目を伏せて首を横に振る。
「ウメボシの【蘇り】は万能ではありません。生き返らせたとしても拒絶をする母体で育てることは不可能です。残念ながら・・・」
ヘカティニスから嗚咽が漏れる。口を手で覆って泣き喚きたいのを堪えているのだ。
「おで・・・もうヒジリの嫁じゃないど・・・。子供・・・いないかだ・・・。おでの子供・・・もういないかだ・・・」
イグナやフラン、そして心配そうにリツが見つめる中、ヒジリはそっとヘカティニスを抱きしめた。
「大丈夫だ。子供がいなくても君は私の大事な妻だ。生まれてこれなかった子供のことは残念だったが・・・」
「うぐっ!えぐっ!ヒジリーーー!」
ヘカティニスは堪えきれなくなってヒジリにしがみついて泣いた。やりきれない気持ちの中、ヒジリはリツに伝える。
「ヘカティニスと君には大事を取って休養させる。ヘカを連れてゴデの街に戻れ。これより鉄騎士団は私の指揮下に入れる」
シルビィが近くにいたメイジに目配せをする。メイジは頷くとタタタと走ってヘカティニスの方へと向かった。
リツがヘカティニスの肩を抱えると、メイジが現れてアイテムを使い、二人と共にアルケディア城まで転移していった。
この世に生を受ける事が出来なかった我が子は、血だまりの中でナノマシンが死体を食い尽くす時に出す光りで光の粒のようになって消えていく。
ヒジリはそれを見て放心し、イグナ達が心配して声をかけてくれたが聞こえておらず、暫く立ち尽くしていた。
まだ精神的に立ち直れていないヒジリは、それでも無理やり自分を奮い立たせ任務を遂行しようとしていた。あの塔にあるサカモト粒子砲は地球人にしか対抗できないので猶更だ。
遮蔽装置で姿を隠し、塔へ向かう途中でヒジリは溜息をつく。
「くそ・・・私の子供が・・・。心がかき乱される。子を失うとこんなにも苦しいのか・・・」
「地球では有り得ない事故ですからね・・・。ウメボシもマスターの子を楽しみにしておりましたが・・。まさかヘカティニス様の体がナノマシンを拒絶するとは思いませんでした・・・。あのコピー人形はマスターの精子もナノマシンで作り出します。受精させる機能は同じなのですがやはり自然な物ではなかったのが原因でしょう。マスターが直接ヘカティニス様と子作りをしていれば問題ありませんでした」
「リツは大丈夫なのかね?拒絶反応が出たりしないのか?」
「はい、彼女達の部族はいうなればオーガの後期型なのでナノマシンにも対応しています」
「後期型か・・・。よく考えたら皆、サカモト博士の子供みたいなものだな」
「まぁかなり乱暴に言えばそうですが、自然交配で元の類人猿の性質や遺伝子のほうが勝っています。博士の遺伝子は切っ掛けでしかありません」
並走する霧から低く響き渡る声が聞こえる。
「生まれる事のなかった子供の事はお悔やみ申し上げる。しかしここは戦場。あの一撃死必至の砲撃を警戒したほうがいいのである、ヒジリ陛下。あれはたまに試し撃ちのように放たれている」
普通の【姿隠し】ならば声を出しても誰にも聞こえないが、【姿隠し】の失敗バージョンである霧化は声も出せるし、僅かでは有るがその身にダメージを受ける。
「そうだな。頭を切り替えるとする。ありがとうダンティラス」
表面上、ヒジリは立ち直った様なふりをした。そうしないと自分を頼る者達を不安がらせてしまう。勿論、心の奥はザラザラとしたヤスリのような石が激しく転がり、吹き荒れる嵐のようであった。時間を追うごとに嵐は心を削っていく。
「うむ」
ダンティラスもヒジリが簡単に立ち直ったとは思っていない。しかし、少し先に見えてきた塔には、何人だろうが消滅させてしまう恐ろしい兵器が設置されているのだ。あの砲台に対抗できるのが現人神だけとはいえ、恩のあるヒジリに死んでほしくはなかった。
時々、ヒジリ達から離れた場所の地面に穴が開く。動き回る小動物が砲台に狙われたのかもしれない。
あれがいつ此方に向かって放たれるかは判らない。しかし充填時間が長いので撃つ間隔が長く、パワードスーツの遮蔽装置のお陰で砲台に気づかれる事なくヒジリ達は塔に辿り着く事ができた。
(カプリコンに塔ごと消してもらえば良かったか・・・。しかし、あまり彼に頼ると地球の父さんが難癖をつけられるかもしれない。乱用は避けよう)
今の精神状態では任務をちゃんと遂行できるか怪しい。カプリコンを使うという楽なやり方を考えたが、無理をして自分を助けに来た父親にこれ以上負担はかけられない。
狭い塔の螺旋階段を一気に駆け上がると、一同は塔の頂上まで出た。
てっきり獣人が操作していると思っていたサカモト粒子砲は自動で動いており、目立つものを適当に撃っていただけのようだった。
ヒジリ達は姿を現すと塔の周りに張り付いているレールに近づいた。レールには大昔のビデオカメラのようなサカモト粒子砲が付いている。
ウメボシが素早く砲台の背面にあるカバーを開いて部品を幾つか抜き取った。
「これで問題ないでしょう、マスター」
「そういえば博士はサカモト粒子の対になる粒子がマナかもしれないと言っていたな。もしかしたら、魔法で相殺できかもしれない」
「魔法であれば、サカモト博士がその仮説を立証できなかった事に頷けます。我々には魔法の存在を感知する術はあまりありませんから。誰かに魔法で相殺させても観察出来ないのであれば仮説止まりです」
「博士はマナを根っこから理解できないまま性質だけを利用して鉄傀儡などを作っていた可能性があるな。・・・少し試して見たい気がするな。付き合ってくれるかな?ダンティラス」
「それは構わんのである。丁度この塔はマナスポットの上に建てられているのでマナを使い放題なので」
ヒジリはキョロキョロして目立つものを探している。隅にあった空の木箱を指差してウメボシに命令した。
「あの木箱に、小規模なサカモト粒子砲を撃ってみてくれ。ダンティラスはサカモト粒子弾が弾けたタイミングで無害な魔法を木箱に撃ってみてくれ」
「では素の状態のマナ玉を撃ってみよう」
ウメボシはダンティラスに目配せして頷き、手を木箱に向けた。
ウメボシの手の五十センチ先で野球のボール程の大きさの遮蔽フィールドが現れ、その中にサカモト粒子が集められる。規模が小さいので粒子は直ぐに集まり時間を掛けずに撃てた。
ダンティラスもウメボシに合わせてマナの玉を箱に向かって撃つも、マナの玉での相殺効果は無くサカモト粒子は木箱を消し去ってしまった。
勿論ヒジリとウメボシには魔法が見えないので、箱がただサカモト粒子の性質によって消えた様にしか見えない。
「効果無しか。やはり強い想いが必要なのだな。マナの玉程度の願いや想いではサカモト粒子を相殺出来ないのかもしれない。魔法の作用が見えないと考察する事もままならないな」
ウメボシの目が激しく動き、辺りを急に警戒しだした。
「近くで空気の揺らぎを確認。【姿隠し】を何者かが解除しました」
塔の屋上にある小さな物置の陰からサル人が現れ、手に抱えた小型のサカモト粒子砲をヒジリたちに向けていた。
それを見たウメボシは手からレーザービームが放ち、獣人の心臓を貫く。
しかし一足間に合わず、サル人が撃ったサカモト粒子弾は回避不能な速度で飛んで来る。
弾はヒジリ達の近くで弾け、粒子を包む丸いフォースフィールドからサカモト粒子が放たれ霧散してしまった。
「しまった!」
ヒジリが覚悟を決めたその時、サカモト粒子の白い霧の中で何かがぼんやりとした人の形を作る。
ダンティラスが庇ってくれたのかと勘違いしたが、この距離で庇っても粒子は全員を包み込むので無意味だ。
「ガハハハ!デフェンダー!」
ダンティラスには、はっきりと見えていた。
白い霧はドワイトを形作り、両手を広げて自分たちを守っている姿が。拡散した粒子の霧と相殺するようにドワイトは消えて辺りは静かになった。
「何だったんだ?今のは・・・?」
ヒジリが目の前で起きた奇跡に驚いて周りを見回していると、ダンティラスが静かに話しだした。
「今のはドワイト殿である。霊になって尚、我々を守ったようだ」
「ドワイト殿の声が聞こえたのはそのせいか・・・。彼の・・・魂はまだ私達の近くにいたのだな。誰かを守るのが本当に好きな老人だ」
ヒジリは目頭が熱くなる。イグナを守り、寿命の終わり際には自分を守り、そして今度は霊となって再びヒジリ達を守った。
「つまり、ドワイト様の守りたいという強い想いがサカモト粒子を相殺したのですね」
ウメボシも少し涙ぐんで言う。ヒジリやタスネ姉妹以外で一番長い時間を一緒にいたのがドワイトなのだ。鉱山での仕事を手伝い、ゴデの街で海賊と一緒に戦った記憶が昨日の事のように思える。
「幽霊の類いはマナスポットからマナを得て生まれてくる。ヒジリ殿達の話によればマナの塊であるドワイトの霊が強い想いを持った事で・・・そのサカモト粒子とやらを相殺出来たわけであるな。サカモト粒子を消すことが出来るのは、今のところ強い想いを持ったゴーストだけだということになるのである」
「厳しい条件だな・・・」
ヒジリは塔の上か平野を見渡しながら思う。
(また誰かに助けられた。やはり自分は沢山の人に助けられて、支えられて生きているのだ。この星に来て以来、地球で常に味わっていた孤独感や味のしない食べ物を食べているような虚しさが無くなっていくのが解る。私はこの世に足をつけて生きており、そして絆を持った誰かに守られている。ドワイトはそれを教えてくれたような気がする。ありがとうドワイト・・・。それから・・・私を助けてくれた君に何かを願うのは厚かましいとは思うが、生まれてくる事が出来なかった我が子の魂を安らぐ場所へと導いてやってくれないか)
まだ周囲を漂っているであろうドワイトの魂にヒジリは心の中で祈った。
「さぁ少し先を偵察してから皆を待とうか」
ヒジリが塔の屋上から立ち去ると、雲の切れ間から一筋の光がまだ樹族軍と帝国軍がいる森へと伸びた。
もしヒジリが塔の屋上にあと少し長く留まっていれば、その光の中に赤ん坊を抱いたドワーフの姿を見たかもしれない。
「サカモト粒子砲の前に集団で向かえば、まとめて殺して下さいと言っているようなものだ」
タスネの報告を聞いてサカモト粒子砲のある塔を見に行っていたウメボシが帰ってくる。
「半径一キロ程の射程距離があり、塔のてっぺんに円形のレールを引いてあり、全ての方向に対応できるようになっています。しかもサカモト粒子砲が小型で軽いせいか狙いを定めるのが早いです」
「死角は足元だけか。どうやって近づくかが問題だな。流石の我々でも堂々と向かえば死は免れないだろう。が、堂々と行く必要は無い。遮蔽装置を使って向かうぞ、ウメボシ」
「はい」
ウメボシの肩越しにヘカティニスが元気なく岩に座っている姿が見えた。ヒジリは心配になり声をかけてみた。
「どうした?体の具合でも悪いのか?ウメボシに診させようか?」
「大丈夫だ・・・。ちょっと疲れて休んでるだけだかだ」
しかし青い顔をするヘカティニスを放っておけない。
ヒジリがウメボシを呼ぼうとしたが、ヒジリとヘカティニスの間の空間が歪んで、いきなりグレーターデーモンが現れた。悪魔はカティニスを見ることもなく裏拳で攻撃を仕掛ける。
ヘカティニスは咄嗟に魔剣の腹を盾にして防御したが、不安定な体勢だったので後方へ吹き飛んでしまった。
「グギャアア!」
グレーターデーモンは拳を抱えて悲鳴を上げた。悪魔は魔剣を殴ったせいで拳が粉々に砕けたのだ。
「ざまぁみど!」
吹き飛ばされて背中から木に激突したヘカティニスは体調の悪さからくる朦朧とする意識の中でニヤリと笑った。
「敵襲!グレーターデーモンに備えよ!近くに召喚者がいるはずだ!探せ!」
騎士の一人が警戒の声を上げると、樹族達はざわついた。
「グレーターデーモンだって?くそ!絶望的じゃないか!」
「聖下に任せよう・・・」
「陛下や聖下を守るのが我らの務め!守るべき対象に守ってもらうとは何事か!」
怯える騎士の中から、光の七武将が一人ムダンがズイッと現れて周りの者を諌める。青い鎧をガシャガシャと鳴らし、痛みに悶えるグレーターデーモンにドワイトの斧で斬りかかった。
「フグゥ!」
グレーターデーモンは殆どダメージを受けてはいないがは魔斧”息切り“にスタミナを削られて膝をついている。
「おい!やれそうじゃないか!?」
勢いに乗れとばかりに騎士たちは魔法を放つも、九割ほどが無効化されてしまい悪魔には殆どダメージを与えず、その勢いは直ぐに削がれてしまった。
「魔法頼りの樹族にとって、やり難い相手だな・・・」
ヒジリは苦戦する騎士たちを見て気の毒に思う。自分も前回グレーターデーモンと戦った時は長期戦になりそうな気がしたのでカプリコンに頼ったが、今回は新しいパワードスーツと電撃グローブの性能を試そうと接近戦を挑んだ。
悪魔は砕けた右の拳を庇いつつも、向かってくるヒジリを左手の爪で引っ掻こうと振りかぶる。
鉄板ぐらいなら簡単に引き裂きそうな鋭い爪を掻い潜って、ヒジリは悪魔の顎に電撃パンチを食らわせる。
「電撃は効かないか。しかし攻撃力の増したパンチで脳震盪を起こしているな・・・」
羽で何とかバランスを取って立ち続けようとしているグレーターデーモンの目は焦点が合っていない。
「狡いぜ!ヒジリ!獲物を独り占めするなよ!」
スカーが叫ぶとゴールキ将軍率いる砦の戦士達が騒ぎを聞きつけて現れた。
「グハハ!砦の戦士たちよ!全員総攻撃だ!」
何故かナンベルが扮する魔王ヒジリが砦の戦士達に指示を出した。
「ヒャッハー!」
戦士たちはグレーターデーモンを取り囲んで拳の嵐を浴びせている。ボコボコにされて両腕で顔を庇いつつ悪魔は叫んだ。
「イジメ ヨクナイ!ダメ!ゼッタイ!ギャァァ!」
グレーターデーモンはそう言って倒れると元の世界に戻っていった。
「むぅ。パワードスーツの性能をもっと確かめたかったのだが・・・」
騎士たちから歓声が上がる。召喚者も騎士たちが捕まえたようだ。
「帝国の鉄騎士団といい、砦の戦士達といい、味方にするとこれほど頼もしいものはないな」
後方で王を守りながら戦いの様子を見ていたシルビィは誰に言うでもなく呟いた。
「全くじゃ。我々のような魔法一辺倒なのも困りものじゃな。意識を改め、前衛を務める騎士団でも作るかの」
シュラスがそう言うとリューロックが溜息をついた。
「前衛を任せられる騎士となると・・・・。ウォール家とムダン、次点ではサヴェリフェ家のタスネと聖騎士見習いのフランくらいですかな。頭が痛い」
「フランはゆくゆくは聖騎士だから、召し抱える事は出来んじゃろ・・・。勿体無い。あのオッパイ・・・」
タスネの横に立つ、黄金色の鎧を着るフランの胸は隠れていて見えないがシュラスは頭の中で彼女の大きなオッパイを妄想する。
「ゴホン!まぁ召し抱えることは出来ませんが協力要請ぐらいは出来るでしょう。もう少し実戦経験を積んでからの話ですがね」
リューロックは王を白眼視する娘を諌めるように咳払いをして答えた。
フランの年齢から戦場に出る見習い騎士は珍しくない。殆ど騎士の世話係のような事しかしないが、戦場の空気を知る為に参加する。勿論、そこで人生の幕を閉じてしまう者もいるが。
自分の知らないところで話題に上がっているフランは、負傷したヘカティニスに回復の祈りをしようと近寄って驚く。
「え?ちょっとぉ!ウメボシ!来てぇ!」
ヘカティニスのプレートメイルの股の間から大量の血が流れ出ていた。
ウメボシが直ぐにヘカティニスのもとに現れてスキャンするとヒジリも心配してやって来た。
「マスター、ヘカティニスは流産しています。原因は判りませんが、彼女の体がナノマシンに対して突発的な拒絶反応を示した結果です」
「・・・」
それを聞いたヒジリの心臓が早い鼓動を刻みだした。
意識の戻ってきたヘカティニスは自分の股の間にある血だまりをじっと見て震える。
「おでの子供・・・。流れて死んだんか?おでの子供・・・」
「ウメボシ、生き返らせてあげたら?」
フランは涙ぐみながら聞くもウメボシは目を伏せて首を横に振る。
「ウメボシの【蘇り】は万能ではありません。生き返らせたとしても拒絶をする母体で育てることは不可能です。残念ながら・・・」
ヘカティニスから嗚咽が漏れる。口を手で覆って泣き喚きたいのを堪えているのだ。
「おで・・・もうヒジリの嫁じゃないど・・・。子供・・・いないかだ・・・。おでの子供・・・もういないかだ・・・」
イグナやフラン、そして心配そうにリツが見つめる中、ヒジリはそっとヘカティニスを抱きしめた。
「大丈夫だ。子供がいなくても君は私の大事な妻だ。生まれてこれなかった子供のことは残念だったが・・・」
「うぐっ!えぐっ!ヒジリーーー!」
ヘカティニスは堪えきれなくなってヒジリにしがみついて泣いた。やりきれない気持ちの中、ヒジリはリツに伝える。
「ヘカティニスと君には大事を取って休養させる。ヘカを連れてゴデの街に戻れ。これより鉄騎士団は私の指揮下に入れる」
シルビィが近くにいたメイジに目配せをする。メイジは頷くとタタタと走ってヘカティニスの方へと向かった。
リツがヘカティニスの肩を抱えると、メイジが現れてアイテムを使い、二人と共にアルケディア城まで転移していった。
この世に生を受ける事が出来なかった我が子は、血だまりの中でナノマシンが死体を食い尽くす時に出す光りで光の粒のようになって消えていく。
ヒジリはそれを見て放心し、イグナ達が心配して声をかけてくれたが聞こえておらず、暫く立ち尽くしていた。
まだ精神的に立ち直れていないヒジリは、それでも無理やり自分を奮い立たせ任務を遂行しようとしていた。あの塔にあるサカモト粒子砲は地球人にしか対抗できないので猶更だ。
遮蔽装置で姿を隠し、塔へ向かう途中でヒジリは溜息をつく。
「くそ・・・私の子供が・・・。心がかき乱される。子を失うとこんなにも苦しいのか・・・」
「地球では有り得ない事故ですからね・・・。ウメボシもマスターの子を楽しみにしておりましたが・・。まさかヘカティニス様の体がナノマシンを拒絶するとは思いませんでした・・・。あのコピー人形はマスターの精子もナノマシンで作り出します。受精させる機能は同じなのですがやはり自然な物ではなかったのが原因でしょう。マスターが直接ヘカティニス様と子作りをしていれば問題ありませんでした」
「リツは大丈夫なのかね?拒絶反応が出たりしないのか?」
「はい、彼女達の部族はいうなればオーガの後期型なのでナノマシンにも対応しています」
「後期型か・・・。よく考えたら皆、サカモト博士の子供みたいなものだな」
「まぁかなり乱暴に言えばそうですが、自然交配で元の類人猿の性質や遺伝子のほうが勝っています。博士の遺伝子は切っ掛けでしかありません」
並走する霧から低く響き渡る声が聞こえる。
「生まれる事のなかった子供の事はお悔やみ申し上げる。しかしここは戦場。あの一撃死必至の砲撃を警戒したほうがいいのである、ヒジリ陛下。あれはたまに試し撃ちのように放たれている」
普通の【姿隠し】ならば声を出しても誰にも聞こえないが、【姿隠し】の失敗バージョンである霧化は声も出せるし、僅かでは有るがその身にダメージを受ける。
「そうだな。頭を切り替えるとする。ありがとうダンティラス」
表面上、ヒジリは立ち直った様なふりをした。そうしないと自分を頼る者達を不安がらせてしまう。勿論、心の奥はザラザラとしたヤスリのような石が激しく転がり、吹き荒れる嵐のようであった。時間を追うごとに嵐は心を削っていく。
「うむ」
ダンティラスもヒジリが簡単に立ち直ったとは思っていない。しかし、少し先に見えてきた塔には、何人だろうが消滅させてしまう恐ろしい兵器が設置されているのだ。あの砲台に対抗できるのが現人神だけとはいえ、恩のあるヒジリに死んでほしくはなかった。
時々、ヒジリ達から離れた場所の地面に穴が開く。動き回る小動物が砲台に狙われたのかもしれない。
あれがいつ此方に向かって放たれるかは判らない。しかし充填時間が長いので撃つ間隔が長く、パワードスーツの遮蔽装置のお陰で砲台に気づかれる事なくヒジリ達は塔に辿り着く事ができた。
(カプリコンに塔ごと消してもらえば良かったか・・・。しかし、あまり彼に頼ると地球の父さんが難癖をつけられるかもしれない。乱用は避けよう)
今の精神状態では任務をちゃんと遂行できるか怪しい。カプリコンを使うという楽なやり方を考えたが、無理をして自分を助けに来た父親にこれ以上負担はかけられない。
狭い塔の螺旋階段を一気に駆け上がると、一同は塔の頂上まで出た。
てっきり獣人が操作していると思っていたサカモト粒子砲は自動で動いており、目立つものを適当に撃っていただけのようだった。
ヒジリ達は姿を現すと塔の周りに張り付いているレールに近づいた。レールには大昔のビデオカメラのようなサカモト粒子砲が付いている。
ウメボシが素早く砲台の背面にあるカバーを開いて部品を幾つか抜き取った。
「これで問題ないでしょう、マスター」
「そういえば博士はサカモト粒子の対になる粒子がマナかもしれないと言っていたな。もしかしたら、魔法で相殺できかもしれない」
「魔法であれば、サカモト博士がその仮説を立証できなかった事に頷けます。我々には魔法の存在を感知する術はあまりありませんから。誰かに魔法で相殺させても観察出来ないのであれば仮説止まりです」
「博士はマナを根っこから理解できないまま性質だけを利用して鉄傀儡などを作っていた可能性があるな。・・・少し試して見たい気がするな。付き合ってくれるかな?ダンティラス」
「それは構わんのである。丁度この塔はマナスポットの上に建てられているのでマナを使い放題なので」
ヒジリはキョロキョロして目立つものを探している。隅にあった空の木箱を指差してウメボシに命令した。
「あの木箱に、小規模なサカモト粒子砲を撃ってみてくれ。ダンティラスはサカモト粒子弾が弾けたタイミングで無害な魔法を木箱に撃ってみてくれ」
「では素の状態のマナ玉を撃ってみよう」
ウメボシはダンティラスに目配せして頷き、手を木箱に向けた。
ウメボシの手の五十センチ先で野球のボール程の大きさの遮蔽フィールドが現れ、その中にサカモト粒子が集められる。規模が小さいので粒子は直ぐに集まり時間を掛けずに撃てた。
ダンティラスもウメボシに合わせてマナの玉を箱に向かって撃つも、マナの玉での相殺効果は無くサカモト粒子は木箱を消し去ってしまった。
勿論ヒジリとウメボシには魔法が見えないので、箱がただサカモト粒子の性質によって消えた様にしか見えない。
「効果無しか。やはり強い想いが必要なのだな。マナの玉程度の願いや想いではサカモト粒子を相殺出来ないのかもしれない。魔法の作用が見えないと考察する事もままならないな」
ウメボシの目が激しく動き、辺りを急に警戒しだした。
「近くで空気の揺らぎを確認。【姿隠し】を何者かが解除しました」
塔の屋上にある小さな物置の陰からサル人が現れ、手に抱えた小型のサカモト粒子砲をヒジリたちに向けていた。
それを見たウメボシは手からレーザービームが放ち、獣人の心臓を貫く。
しかし一足間に合わず、サル人が撃ったサカモト粒子弾は回避不能な速度で飛んで来る。
弾はヒジリ達の近くで弾け、粒子を包む丸いフォースフィールドからサカモト粒子が放たれ霧散してしまった。
「しまった!」
ヒジリが覚悟を決めたその時、サカモト粒子の白い霧の中で何かがぼんやりとした人の形を作る。
ダンティラスが庇ってくれたのかと勘違いしたが、この距離で庇っても粒子は全員を包み込むので無意味だ。
「ガハハハ!デフェンダー!」
ダンティラスには、はっきりと見えていた。
白い霧はドワイトを形作り、両手を広げて自分たちを守っている姿が。拡散した粒子の霧と相殺するようにドワイトは消えて辺りは静かになった。
「何だったんだ?今のは・・・?」
ヒジリが目の前で起きた奇跡に驚いて周りを見回していると、ダンティラスが静かに話しだした。
「今のはドワイト殿である。霊になって尚、我々を守ったようだ」
「ドワイト殿の声が聞こえたのはそのせいか・・・。彼の・・・魂はまだ私達の近くにいたのだな。誰かを守るのが本当に好きな老人だ」
ヒジリは目頭が熱くなる。イグナを守り、寿命の終わり際には自分を守り、そして今度は霊となって再びヒジリ達を守った。
「つまり、ドワイト様の守りたいという強い想いがサカモト粒子を相殺したのですね」
ウメボシも少し涙ぐんで言う。ヒジリやタスネ姉妹以外で一番長い時間を一緒にいたのがドワイトなのだ。鉱山での仕事を手伝い、ゴデの街で海賊と一緒に戦った記憶が昨日の事のように思える。
「幽霊の類いはマナスポットからマナを得て生まれてくる。ヒジリ殿達の話によればマナの塊であるドワイトの霊が強い想いを持った事で・・・そのサカモト粒子とやらを相殺出来たわけであるな。サカモト粒子を消すことが出来るのは、今のところ強い想いを持ったゴーストだけだということになるのである」
「厳しい条件だな・・・」
ヒジリは塔の上か平野を見渡しながら思う。
(また誰かに助けられた。やはり自分は沢山の人に助けられて、支えられて生きているのだ。この星に来て以来、地球で常に味わっていた孤独感や味のしない食べ物を食べているような虚しさが無くなっていくのが解る。私はこの世に足をつけて生きており、そして絆を持った誰かに守られている。ドワイトはそれを教えてくれたような気がする。ありがとうドワイト・・・。それから・・・私を助けてくれた君に何かを願うのは厚かましいとは思うが、生まれてくる事が出来なかった我が子の魂を安らぐ場所へと導いてやってくれないか)
まだ周囲を漂っているであろうドワイトの魂にヒジリは心の中で祈った。
「さぁ少し先を偵察してから皆を待とうか」
ヒジリが塔の屋上から立ち去ると、雲の切れ間から一筋の光がまだ樹族軍と帝国軍がいる森へと伸びた。
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