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禁断の箱庭と融合する前の世界(66)
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ヒジリが帝国に戻ってから数日後、バートラでは霧から現れた魔物が街を徘徊していた。
たった一匹の吸血鬼は無類の強さを誇り、バートラの自警団が塊になって挑もうが刃が立たず、返り討ちにあうばかりであった。
冒険者ギルドから吸血鬼討伐の依頼が出され、それを受けたバートラ一番の傭兵や冒険者、暗殺者達は勇んで吸血鬼に挑んだが、結局は自警団同様死体の山の一部となった。
「吸魔鬼は聞いたことがあるけど、血を吸う魔物なんておぞましいにも程があるわ。刺しても死なないし、傷もつかない。魔法も効かない。どうすれば・・・」
町長であるリンは部屋の窓から街を徘徊するコウモリに似た吸血鬼を見て細い溜息をついた。
コウモリに似ているとはいえ羽は無く大きな耳と豚のような鼻をし、薄い唇からはギザギザの牙が沢山飛び出していた。
吸血鬼の動きが建物の陰で止まった。真っ赤な目は今は閉じられている。たらふく血を吸って満足し眠っているようだ。
周辺には犠牲者のゴブリン達が息をせずに横たわっているが、生きている者が近寄って亡骸を回収する事も出来ない。近寄れば彼らはゾンビのように即座に目を覚まし襲ってくるからだ。
今まさにその犠牲者を目の当たりにしている。仲間の亡骸を回収しようと近寄ったゴブリンが吸血鬼のヒョロヒョロと長い腕に囚われ噛みつかれて血を吸われてしまった。
「皇帝陛下へ知らせは送った?」
しきりに外を気にするリンに町長補佐は答える。
「それが・・・魔法水晶の緊急回線を使って呼びかけていますが、返事が一向にありません」
「きっとヴャーンズが回線を阻んで陛下に知らせていないのでしょうよ!」
リンは椅子を蹴って、何かとバートラの邪魔をするヴャーンズの顔を思い浮かべて憎々しく思う。
数十年前、ヴャーンズが神に与えられし能力を使ってメキメキと頭角を現し、あっという間に皇帝の座についた。
しかしそれを疎ましく思う政敵に雇われたバートラの暗殺者が彼の家族を消したのだ。
勿論、政敵諸共暗殺者達は見つけ出されて、ヴャーンズは復讐を果たした。しかしそれ以降もバートラに対してヴャーンズは厳しい態度を取り続けている。
暗殺者ギルドの長、通称長鼻が、元帝国弓騎士団団長のデイ・デイの反逆に加わった事が更に追い打ちをかけた。以降帝国からの恩恵はほぼ無く、帝国領の中でも最貧国となっている。
その最貧国家を常に監視し続けるイービルアイが街を飛び回っていた。
イービルアイは吸血鬼が人を襲うのを見ても何もしない。ただ暫く見つめて飛び去るだけであった。
「本来なら配置されるはずの対霧の魔物専門の帝国の騎士もいない。それにあのイービルアイは間違いなくヴャーンズにこの事態を報告しているはず。なのに・・・もう!」
リンはもう一度椅子を蹴った。椅子は机に収まりガタガタと揺れる。
「私達だけでどう抗えばいいのよ・・・」
国民全員が暗殺者の素養がある珍しい国だが、誰にも打つ手がなく、この状態が既に三日も続いていた。ただただ途方に暮れ誰もが身を潜める毎日を過ごす。
「食料の蓄えがあるとは言え、一週間も隠れていられないわ、ああ神様!星のオーガ様!」
小さく膨らんだ胸の前に手を組んでリンはただひたすらヒジリ皇帝に祈るのみであった。
ヒジリは帝国での仕事をあらかた終えると、温泉に入ろうとダンティラスの屋敷へ向かっていた。ヘカティニスやリツやイグナも誘っての訪問だ。
玄関で呼んでも返事はなく裏庭に回ると、ダンティラスは近所の別荘の持ち主である貴族や商人達とお茶を飲んで談笑していた。
「こんにちは、ダンティラス殿。温泉を使わせてもらうぞ」
ひょっこりと現れた現人神に樹族や地走り族は驚いて椅子から立ち上がってから跪く。跪く客を余所に、ダンティラスは座ったまま答える。
「これは聖下。ご自由にどうぞ」
ありがとうと気さくに手を振って温泉に向かうヒジリを見て、貴族は興奮してお茶を一気に飲んだ。それから凄い勢いで吸魔鬼に顔を近づける。
「な、何で今まで黙っていたのかね!ダンティラス殿!聖下と知り合いだったなんて!」
するともう一人の貴族が言う。
「まぁおかしくはないでおじゃろう。先の戦争で王や英雄子爵を守って名誉騎士の称号を承り、ここいら一帯を守護する吸魔鬼殿が、聖下と知り合いじゃないのが不思議である」
「おや?君たちには言ってなかったかね?我輩がここにいるのはそもそも聖下のお陰なのだ。聖下が我輩を遺跡の呪縛から解き放ってくれたのである。我輩はその恩に報いる為にもこの国を守護するつもりでいる」
「おお!流石は聖下!慈悲深いお方だ!」
「我輩もそう思うのである」
どんなに善行をなす吸魔鬼とはいえ、国にとって危険な存在である事に違いはない。
普通であればダンティラスに対して軍隊が動いてもおかしくないのだが、そうはなっておらず、寧ろ貴族や商人と知り合いとなってここでお茶を飲みながら談笑している。
神であるヒジリや彼を信仰する聖職者にとって、吸魔鬼は滅ぼして当然の魔物だが、ヒジリは特にダンティラスが吸魔鬼である事を気にした様子もなく普通の樹族のように接している。
それどころかヒジリは教会や神学庁にも出向き、彼は改心した私の使徒であると言って庇ってもくれたのだ。
(薄っすらと私の本体の記憶に残る神は生粋の研究者という感じだったが、彼は違うな。私を作った神よりも人間味がある)
プロトタイプの吸魔鬼であるダンティラスにはサカモト博士の研究所にいた頃の記憶が微かにある。
そして自分が失敗作だと言われていた事も覚えていた。
その理由は恐らく自身の闘争心の少なさゆえだろうとダンティラスは考える。
他のオリジナルに比べ彼は支配欲や征服欲が少ない。そのお陰で彼は今まで生き残っているとも言える。他のプロトタイプや派生の吸魔鬼達は長い歴史の中で、勇者や聖職者に封印されたり倒されたりしている。
ダンティラスが過去を思い出して黙りこくっていると、貴族や商人たちは揉み手をしてニコニコしだした。
「ダンティラス殿~。是非とも我々を聖下に紹介して頂きたいのだが」
「ああ、そういうのは止めておいたほうが良い。聖下は自然な流れで発生する絆を好む。無粋で押し付けがましい繋がりには不愉快な顔をするであろう」
ダンティラスは貴族や商人達のこの行動に特に不快感は無かった。自分を売り込みコネを得ようとするのは別に悪いことではないと思っているからだ。
貴族たちはがっかりして椅子に座り紅茶を飲む。
「我々のような田舎貴族やパッとしない商人が名誉騎士であるダンティラス殿と知り合えただけでも奇跡。贅沢はよそうか」
「まぁいつかは聖下と知り合える機会が訪れるやもしれん。気長に待つことである」
「そんな流暢な・・・。我々の命には限りがあるのですぞ!吸魔鬼殿と違って!」
「ハッハ!では我輩の従僕になるかね?永遠の命が手に入るぞ?」
こちらを見つめてくる吸魔鬼の黒い白目が蠢いた。
「それは!遠慮しておきます・・・」
ダンティラスは萎れる貴族や商人達を見て陽気に笑った。
温泉に全員で入ったは良いが、流石に大きなオーガが三人もいると狭く感じる。
タオルを身につけているとはいえ、肌と肌が密着しているのでヒジリは変な気分になるのを何とか堪えていた。
膝の上にはイグナが座っている。興奮すればすぐにバレてしまうだろう。温泉での劣情は粋ではないのでとても格好が悪い。
「リツかヘカティニスは一旦出たまえ。狭すぎる」
「リツが出ろ。お前は無駄に大きい」
「あら?私、エリートオーガの中でも平均身長で平均体重ですわよ?ヘカが出ればよろしいじゃないこと?」
「お前の部族ではそうかもしれんが、おでたちにしてみればデカイんだど!な?ヒジリ!」
同じ身長のヒジリにヘカティニスは同意を求めてきた。
「仕方無い、全員一旦出よう。ウメボシ、温泉を整備して広げてくれ」
「畏まりました」
皆が一斉に出ると、ずれ落ちそうになったタオルを直して、ウメボシは温泉の端を消滅させて広げ、ゴツゴツとした岩で囲んで日本風のものにしてしまった。
皆広くなった温泉に喜んで入る。
「すげーな、ウメシシは。そんな何でも有りな魔法は、おで見た事がねぇど」
「ウメボシです。いい加減、ウメボシの名前を覚えてくださいませ、ヘカティニス様」
「少しお湯が少ないわね。広くなった分、お湯がたまるまで時間が掛かりそうですわ」
ヒジリはあのまま密着していたら間違いなく下腹部に座るイグナの座高が不自然に高くなっていただろうと想像しホッとする。
気分を変えようと、お湯で顔をバシャっと叩くと空を見つめながら話しだした。
「そういえば家をどこに建てようか。ゴデの街に建てるとして」
平坦な声が即座に答える。
「孤児院の近くが良い」
孤児院に近いとイグナは直ぐに遊びに行けて楽だからだ。
「おではオーガの酒場の近くが良いど」
「私は愛しい人とならどこでも」
良い子ちゃんぶるリツの脚をヘカティニスはお湯の中で蹴った。
「では孤児院と酒場の中間辺りににするか」
「そういえば、あなた。家の建材は何にしますの?」
「主に石やレンガになるんじゃないかな。お城みたいな家が良いとイグナが言っていたから。ただ離れには木の家を建てようかと思う」
「木の家・・・。でしたらバートラのケヤキを柱に使ってみてはどうでしょう?バートラは帝国領の最貧国で暗殺稼業を生業にする民が多い事で有名ですが、実は質の良い木材と大工職人も多いのです」
「ほう・・・。ん?ちょっとまて帝国の最貧国だと?私は貧富の差が少ないように施政するようヴャーンズに言ってあるぞ。何故バートラに最貧国という言葉を使う?」
「私は政務には関わることが無いのでわかりませんが、先の反逆にバートラが関わっていたからだと思いますわ。なのでペナルティを課せられているのかと」
「バートラの民全てが反逆者というわけでもあるまい。では木材と職人を見に行くついでに視察でもしようか。君たちはゆっくり温泉に浸かっていてくれたまえ。私はヴャーンズに案内してもらう」
「今からですか?あなた!」
「ああ、早く我々の終の棲家を建ててしまいたいのでな。行くぞウメボシ」
「はい、マスター」
ウメボシは残った他の妻達に優越感丸出しの顔で、それではと言い残すとヒジリの後を追て腕に寄り添った。
「リツがいらんこと言うから、ヒジリが行ってしまったど」
「ウメボシは良いですわね、いつも陛下と一緒で」
「第一夫人はウメボシかもしれない・・・」
イグナの一言にオーガ二人はズーンと沈み込んだ。
冒険者ギルドに登録してまだ間もないムロは、目の前で仲間が次々と殺されていく様を見て逃げ出す。恥や外聞を捨てて、ひたすら生き残るという本能に従ったのだ。
「はぁはぁ!みんな!ごめん!」
友達同士でパーティを結成し、霧の魔物を討伐し、噂のルーキーとして華々しいスタートを切るつもりでいた。
しかし新米冒険者達は圧倒的な力を誇る吸血鬼に夢を完膚なきまでに打ち砕かれている。
逃げるムロを吸血鬼は追ってこない。
他の冒険者が交戦中だからだ。逃げる途中に家の窓に町長のリンが映る。部下と何か話し込んでいるようだ。
(なに悠長にしているのです!あの人は!早く皇帝陛下に報告してくださいよ!)
リンは既にツィガル城と連絡を取ろうと試みたが、新米冒険者のムロには知る由もない。
ムロはとにかく走った。
走りながらも吸血鬼に殺されていった仲間の顔が浮かぶ。
レンジャーでリーダーでもあるが優柔不断なターニス。力自慢のホブゴブリン戦士キャーラモ。紅一点で珍しいゴブリンメイジのティルカ、臆病だが陽気なシーフのタスルホフ、チビシャーマンのウェイストリン。
(僕は・・・僕は・・・仲間を見捨ててしまったんだ!でもどうしようもないじゃないか!あいつは今まで見てきた霧の魔物とは桁が違う!こんなはずじゃなかった・・・。あいつを倒して報酬を貰って、母さんと妹を喜ばそうと思ったのに!)
無我夢中でムロは走り、気がつくと町外れの古墳にやってきた。
高く盛られた土の壁に絶対に開かないと言い伝えられえいる扉がぽつんとある。そこに背を預けて座り、息を整えた。
「ハァハァ・・・。もう街は終わりだよ。くそ!くそ!」
ムロは絶望し、泣きながら背中の扉を二回叩いた。家族も友達も見捨てて逃げてきた卑怯な自分が許せず、自責の念が重くのしかかる。
するとすっと背中の扉が開き、暗かった古墳の中に明かりが灯る。明かりは手前から順に奥を照らしていった。
「なんだろう?」
ノームに憧れた自称機工士のムロは涙を拭いて、自分で作った単発式の原始的な銃を片手に奥へと進んでいった。
「こんなすべすべの白い壁は見たことが無いぞ・・・。大理石でもないし、なんだ?」
壁をペタペタ触って緩やかなスロープを下っていくと奥には広い空間があり、オーガ程の大きさの鉄傀儡が一体だけ立っていた。
本で見た角のない丸いイメージの鉄傀儡とは全く形が違う。全体的に槍のように尖っているので、寧ろ普通の鉄傀儡よりも細い体が貧相に見えた。
「何だかヒョロっとしてて妙に尖った鉄傀儡だなぁ」
ムロが驚いていると鉄傀儡の目が光った。
「こいつ・・・生きているのか?」
後ろに飛び退いて警戒していると、鉄傀儡が喋りだした。
「遺伝子の系譜を確認中。やはり・・・。論理回路にエラーが発生。マナ粒子論を使って理論を補修。エラーの修復完了。貴方はマスター・ドーラ・ヴャーンズの遺伝子を多く引き継いでいます。搭乗資格があります。八千年ぶりですマスター・ムロ様」
「喋った!鉄傀儡って喋るのか?というか僕は君なんか知らないぞ!」
鉄傀儡はしゃがむとコクピットを開く。そして主が乗るのを待っているがムロには魔物が口を開けて待ち構えているように見える。恐ろしさと好奇心がせめぎ合って戸惑っていると鉄傀儡はムロに話しかけてきた。
「マスター、貴方が力を欲するのであれば私をお使い下さい」
「力・・・?力は欲しいさ!僕は吸血鬼を倒して仲間の仇討ちをしたいんだ!」
「霧の魔物ですね?私は対邪神兼霧の魔物討伐用鉄傀儡のビコノカミです」
鍛冶屋の金槌の柄を長くしたような武器を持っている。それで襲ってこないかムロは冷や冷やしながら聞いた。
「ビコノカミ・・・?」
「はい、貴方の何十世代も前の主に仕えておりましたが、マスターが亡くなって以来、私はここでムロ様をお待ちしておりました。それよりも、街に魔物の反応があります。急ぎましょう、マスター」
「わかった!君を信じるよ!ビコ!」
ムロは覚悟を決め、コクピットに乗り込んだ。コクピットは意外と狭く、乗り込むというよりは身に纏うと言ったほうが正しい。
「でもどうやって動かせばいい?」
「マスターがイメージすればそのように動きます。しかし、これだけは注意してください。私には搭乗者の負荷を軽減する為のリミッターが付いておりますが、感情の高ぶりでそれが解除される仕組みになっております。リミッターが解除されますと、性能は大幅に上がりますがマスターの命の保証は出来ません。常に冷静でいてください。貴方のご先祖は常に冷静な方でしたのでリミッターを解除したことがありませんでした。どうかその事を忘れないで下さい」
「解った」
古墳の天井が開くと青い空が見えた。
「飛べるのか?」
「勿論です」
ブゥゥンという音と共に機体は浮き上がった。床の埃が舞い散る。そのまま古墳の上空まで来るとムロは命令した。
「街へ急いでくれ!」
「了解」
たった一匹の吸血鬼は無類の強さを誇り、バートラの自警団が塊になって挑もうが刃が立たず、返り討ちにあうばかりであった。
冒険者ギルドから吸血鬼討伐の依頼が出され、それを受けたバートラ一番の傭兵や冒険者、暗殺者達は勇んで吸血鬼に挑んだが、結局は自警団同様死体の山の一部となった。
「吸魔鬼は聞いたことがあるけど、血を吸う魔物なんておぞましいにも程があるわ。刺しても死なないし、傷もつかない。魔法も効かない。どうすれば・・・」
町長であるリンは部屋の窓から街を徘徊するコウモリに似た吸血鬼を見て細い溜息をついた。
コウモリに似ているとはいえ羽は無く大きな耳と豚のような鼻をし、薄い唇からはギザギザの牙が沢山飛び出していた。
吸血鬼の動きが建物の陰で止まった。真っ赤な目は今は閉じられている。たらふく血を吸って満足し眠っているようだ。
周辺には犠牲者のゴブリン達が息をせずに横たわっているが、生きている者が近寄って亡骸を回収する事も出来ない。近寄れば彼らはゾンビのように即座に目を覚まし襲ってくるからだ。
今まさにその犠牲者を目の当たりにしている。仲間の亡骸を回収しようと近寄ったゴブリンが吸血鬼のヒョロヒョロと長い腕に囚われ噛みつかれて血を吸われてしまった。
「皇帝陛下へ知らせは送った?」
しきりに外を気にするリンに町長補佐は答える。
「それが・・・魔法水晶の緊急回線を使って呼びかけていますが、返事が一向にありません」
「きっとヴャーンズが回線を阻んで陛下に知らせていないのでしょうよ!」
リンは椅子を蹴って、何かとバートラの邪魔をするヴャーンズの顔を思い浮かべて憎々しく思う。
数十年前、ヴャーンズが神に与えられし能力を使ってメキメキと頭角を現し、あっという間に皇帝の座についた。
しかしそれを疎ましく思う政敵に雇われたバートラの暗殺者が彼の家族を消したのだ。
勿論、政敵諸共暗殺者達は見つけ出されて、ヴャーンズは復讐を果たした。しかしそれ以降もバートラに対してヴャーンズは厳しい態度を取り続けている。
暗殺者ギルドの長、通称長鼻が、元帝国弓騎士団団長のデイ・デイの反逆に加わった事が更に追い打ちをかけた。以降帝国からの恩恵はほぼ無く、帝国領の中でも最貧国となっている。
その最貧国家を常に監視し続けるイービルアイが街を飛び回っていた。
イービルアイは吸血鬼が人を襲うのを見ても何もしない。ただ暫く見つめて飛び去るだけであった。
「本来なら配置されるはずの対霧の魔物専門の帝国の騎士もいない。それにあのイービルアイは間違いなくヴャーンズにこの事態を報告しているはず。なのに・・・もう!」
リンはもう一度椅子を蹴った。椅子は机に収まりガタガタと揺れる。
「私達だけでどう抗えばいいのよ・・・」
国民全員が暗殺者の素養がある珍しい国だが、誰にも打つ手がなく、この状態が既に三日も続いていた。ただただ途方に暮れ誰もが身を潜める毎日を過ごす。
「食料の蓄えがあるとは言え、一週間も隠れていられないわ、ああ神様!星のオーガ様!」
小さく膨らんだ胸の前に手を組んでリンはただひたすらヒジリ皇帝に祈るのみであった。
ヒジリは帝国での仕事をあらかた終えると、温泉に入ろうとダンティラスの屋敷へ向かっていた。ヘカティニスやリツやイグナも誘っての訪問だ。
玄関で呼んでも返事はなく裏庭に回ると、ダンティラスは近所の別荘の持ち主である貴族や商人達とお茶を飲んで談笑していた。
「こんにちは、ダンティラス殿。温泉を使わせてもらうぞ」
ひょっこりと現れた現人神に樹族や地走り族は驚いて椅子から立ち上がってから跪く。跪く客を余所に、ダンティラスは座ったまま答える。
「これは聖下。ご自由にどうぞ」
ありがとうと気さくに手を振って温泉に向かうヒジリを見て、貴族は興奮してお茶を一気に飲んだ。それから凄い勢いで吸魔鬼に顔を近づける。
「な、何で今まで黙っていたのかね!ダンティラス殿!聖下と知り合いだったなんて!」
するともう一人の貴族が言う。
「まぁおかしくはないでおじゃろう。先の戦争で王や英雄子爵を守って名誉騎士の称号を承り、ここいら一帯を守護する吸魔鬼殿が、聖下と知り合いじゃないのが不思議である」
「おや?君たちには言ってなかったかね?我輩がここにいるのはそもそも聖下のお陰なのだ。聖下が我輩を遺跡の呪縛から解き放ってくれたのである。我輩はその恩に報いる為にもこの国を守護するつもりでいる」
「おお!流石は聖下!慈悲深いお方だ!」
「我輩もそう思うのである」
どんなに善行をなす吸魔鬼とはいえ、国にとって危険な存在である事に違いはない。
普通であればダンティラスに対して軍隊が動いてもおかしくないのだが、そうはなっておらず、寧ろ貴族や商人と知り合いとなってここでお茶を飲みながら談笑している。
神であるヒジリや彼を信仰する聖職者にとって、吸魔鬼は滅ぼして当然の魔物だが、ヒジリは特にダンティラスが吸魔鬼である事を気にした様子もなく普通の樹族のように接している。
それどころかヒジリは教会や神学庁にも出向き、彼は改心した私の使徒であると言って庇ってもくれたのだ。
(薄っすらと私の本体の記憶に残る神は生粋の研究者という感じだったが、彼は違うな。私を作った神よりも人間味がある)
プロトタイプの吸魔鬼であるダンティラスにはサカモト博士の研究所にいた頃の記憶が微かにある。
そして自分が失敗作だと言われていた事も覚えていた。
その理由は恐らく自身の闘争心の少なさゆえだろうとダンティラスは考える。
他のオリジナルに比べ彼は支配欲や征服欲が少ない。そのお陰で彼は今まで生き残っているとも言える。他のプロトタイプや派生の吸魔鬼達は長い歴史の中で、勇者や聖職者に封印されたり倒されたりしている。
ダンティラスが過去を思い出して黙りこくっていると、貴族や商人たちは揉み手をしてニコニコしだした。
「ダンティラス殿~。是非とも我々を聖下に紹介して頂きたいのだが」
「ああ、そういうのは止めておいたほうが良い。聖下は自然な流れで発生する絆を好む。無粋で押し付けがましい繋がりには不愉快な顔をするであろう」
ダンティラスは貴族や商人達のこの行動に特に不快感は無かった。自分を売り込みコネを得ようとするのは別に悪いことではないと思っているからだ。
貴族たちはがっかりして椅子に座り紅茶を飲む。
「我々のような田舎貴族やパッとしない商人が名誉騎士であるダンティラス殿と知り合えただけでも奇跡。贅沢はよそうか」
「まぁいつかは聖下と知り合える機会が訪れるやもしれん。気長に待つことである」
「そんな流暢な・・・。我々の命には限りがあるのですぞ!吸魔鬼殿と違って!」
「ハッハ!では我輩の従僕になるかね?永遠の命が手に入るぞ?」
こちらを見つめてくる吸魔鬼の黒い白目が蠢いた。
「それは!遠慮しておきます・・・」
ダンティラスは萎れる貴族や商人達を見て陽気に笑った。
温泉に全員で入ったは良いが、流石に大きなオーガが三人もいると狭く感じる。
タオルを身につけているとはいえ、肌と肌が密着しているのでヒジリは変な気分になるのを何とか堪えていた。
膝の上にはイグナが座っている。興奮すればすぐにバレてしまうだろう。温泉での劣情は粋ではないのでとても格好が悪い。
「リツかヘカティニスは一旦出たまえ。狭すぎる」
「リツが出ろ。お前は無駄に大きい」
「あら?私、エリートオーガの中でも平均身長で平均体重ですわよ?ヘカが出ればよろしいじゃないこと?」
「お前の部族ではそうかもしれんが、おでたちにしてみればデカイんだど!な?ヒジリ!」
同じ身長のヒジリにヘカティニスは同意を求めてきた。
「仕方無い、全員一旦出よう。ウメボシ、温泉を整備して広げてくれ」
「畏まりました」
皆が一斉に出ると、ずれ落ちそうになったタオルを直して、ウメボシは温泉の端を消滅させて広げ、ゴツゴツとした岩で囲んで日本風のものにしてしまった。
皆広くなった温泉に喜んで入る。
「すげーな、ウメシシは。そんな何でも有りな魔法は、おで見た事がねぇど」
「ウメボシです。いい加減、ウメボシの名前を覚えてくださいませ、ヘカティニス様」
「少しお湯が少ないわね。広くなった分、お湯がたまるまで時間が掛かりそうですわ」
ヒジリはあのまま密着していたら間違いなく下腹部に座るイグナの座高が不自然に高くなっていただろうと想像しホッとする。
気分を変えようと、お湯で顔をバシャっと叩くと空を見つめながら話しだした。
「そういえば家をどこに建てようか。ゴデの街に建てるとして」
平坦な声が即座に答える。
「孤児院の近くが良い」
孤児院に近いとイグナは直ぐに遊びに行けて楽だからだ。
「おではオーガの酒場の近くが良いど」
「私は愛しい人とならどこでも」
良い子ちゃんぶるリツの脚をヘカティニスはお湯の中で蹴った。
「では孤児院と酒場の中間辺りににするか」
「そういえば、あなた。家の建材は何にしますの?」
「主に石やレンガになるんじゃないかな。お城みたいな家が良いとイグナが言っていたから。ただ離れには木の家を建てようかと思う」
「木の家・・・。でしたらバートラのケヤキを柱に使ってみてはどうでしょう?バートラは帝国領の最貧国で暗殺稼業を生業にする民が多い事で有名ですが、実は質の良い木材と大工職人も多いのです」
「ほう・・・。ん?ちょっとまて帝国の最貧国だと?私は貧富の差が少ないように施政するようヴャーンズに言ってあるぞ。何故バートラに最貧国という言葉を使う?」
「私は政務には関わることが無いのでわかりませんが、先の反逆にバートラが関わっていたからだと思いますわ。なのでペナルティを課せられているのかと」
「バートラの民全てが反逆者というわけでもあるまい。では木材と職人を見に行くついでに視察でもしようか。君たちはゆっくり温泉に浸かっていてくれたまえ。私はヴャーンズに案内してもらう」
「今からですか?あなた!」
「ああ、早く我々の終の棲家を建ててしまいたいのでな。行くぞウメボシ」
「はい、マスター」
ウメボシは残った他の妻達に優越感丸出しの顔で、それではと言い残すとヒジリの後を追て腕に寄り添った。
「リツがいらんこと言うから、ヒジリが行ってしまったど」
「ウメボシは良いですわね、いつも陛下と一緒で」
「第一夫人はウメボシかもしれない・・・」
イグナの一言にオーガ二人はズーンと沈み込んだ。
冒険者ギルドに登録してまだ間もないムロは、目の前で仲間が次々と殺されていく様を見て逃げ出す。恥や外聞を捨てて、ひたすら生き残るという本能に従ったのだ。
「はぁはぁ!みんな!ごめん!」
友達同士でパーティを結成し、霧の魔物を討伐し、噂のルーキーとして華々しいスタートを切るつもりでいた。
しかし新米冒険者達は圧倒的な力を誇る吸血鬼に夢を完膚なきまでに打ち砕かれている。
逃げるムロを吸血鬼は追ってこない。
他の冒険者が交戦中だからだ。逃げる途中に家の窓に町長のリンが映る。部下と何か話し込んでいるようだ。
(なに悠長にしているのです!あの人は!早く皇帝陛下に報告してくださいよ!)
リンは既にツィガル城と連絡を取ろうと試みたが、新米冒険者のムロには知る由もない。
ムロはとにかく走った。
走りながらも吸血鬼に殺されていった仲間の顔が浮かぶ。
レンジャーでリーダーでもあるが優柔不断なターニス。力自慢のホブゴブリン戦士キャーラモ。紅一点で珍しいゴブリンメイジのティルカ、臆病だが陽気なシーフのタスルホフ、チビシャーマンのウェイストリン。
(僕は・・・僕は・・・仲間を見捨ててしまったんだ!でもどうしようもないじゃないか!あいつは今まで見てきた霧の魔物とは桁が違う!こんなはずじゃなかった・・・。あいつを倒して報酬を貰って、母さんと妹を喜ばそうと思ったのに!)
無我夢中でムロは走り、気がつくと町外れの古墳にやってきた。
高く盛られた土の壁に絶対に開かないと言い伝えられえいる扉がぽつんとある。そこに背を預けて座り、息を整えた。
「ハァハァ・・・。もう街は終わりだよ。くそ!くそ!」
ムロは絶望し、泣きながら背中の扉を二回叩いた。家族も友達も見捨てて逃げてきた卑怯な自分が許せず、自責の念が重くのしかかる。
するとすっと背中の扉が開き、暗かった古墳の中に明かりが灯る。明かりは手前から順に奥を照らしていった。
「なんだろう?」
ノームに憧れた自称機工士のムロは涙を拭いて、自分で作った単発式の原始的な銃を片手に奥へと進んでいった。
「こんなすべすべの白い壁は見たことが無いぞ・・・。大理石でもないし、なんだ?」
壁をペタペタ触って緩やかなスロープを下っていくと奥には広い空間があり、オーガ程の大きさの鉄傀儡が一体だけ立っていた。
本で見た角のない丸いイメージの鉄傀儡とは全く形が違う。全体的に槍のように尖っているので、寧ろ普通の鉄傀儡よりも細い体が貧相に見えた。
「何だかヒョロっとしてて妙に尖った鉄傀儡だなぁ」
ムロが驚いていると鉄傀儡の目が光った。
「こいつ・・・生きているのか?」
後ろに飛び退いて警戒していると、鉄傀儡が喋りだした。
「遺伝子の系譜を確認中。やはり・・・。論理回路にエラーが発生。マナ粒子論を使って理論を補修。エラーの修復完了。貴方はマスター・ドーラ・ヴャーンズの遺伝子を多く引き継いでいます。搭乗資格があります。八千年ぶりですマスター・ムロ様」
「喋った!鉄傀儡って喋るのか?というか僕は君なんか知らないぞ!」
鉄傀儡はしゃがむとコクピットを開く。そして主が乗るのを待っているがムロには魔物が口を開けて待ち構えているように見える。恐ろしさと好奇心がせめぎ合って戸惑っていると鉄傀儡はムロに話しかけてきた。
「マスター、貴方が力を欲するのであれば私をお使い下さい」
「力・・・?力は欲しいさ!僕は吸血鬼を倒して仲間の仇討ちをしたいんだ!」
「霧の魔物ですね?私は対邪神兼霧の魔物討伐用鉄傀儡のビコノカミです」
鍛冶屋の金槌の柄を長くしたような武器を持っている。それで襲ってこないかムロは冷や冷やしながら聞いた。
「ビコノカミ・・・?」
「はい、貴方の何十世代も前の主に仕えておりましたが、マスターが亡くなって以来、私はここでムロ様をお待ちしておりました。それよりも、街に魔物の反応があります。急ぎましょう、マスター」
「わかった!君を信じるよ!ビコ!」
ムロは覚悟を決め、コクピットに乗り込んだ。コクピットは意外と狭く、乗り込むというよりは身に纏うと言ったほうが正しい。
「でもどうやって動かせばいい?」
「マスターがイメージすればそのように動きます。しかし、これだけは注意してください。私には搭乗者の負荷を軽減する為のリミッターが付いておりますが、感情の高ぶりでそれが解除される仕組みになっております。リミッターが解除されますと、性能は大幅に上がりますがマスターの命の保証は出来ません。常に冷静でいてください。貴方のご先祖は常に冷静な方でしたのでリミッターを解除したことがありませんでした。どうかその事を忘れないで下さい」
「解った」
古墳の天井が開くと青い空が見えた。
「飛べるのか?」
「勿論です」
ブゥゥンという音と共に機体は浮き上がった。床の埃が舞い散る。そのまま古墳の上空まで来るとムロは命令した。
「街へ急いでくれ!」
「了解」
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