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フランの憧れ
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勢い良く扉が開いて、ネコキャットは裸のまま部屋の外に放り出された。
部屋の外には盗賊が二人待ち構えており、つんのめりながら出てきたネコキャットは、すぐに取り押さえられてしまう。
「中々いい物持ってたよ? 怪盗ネコキャット。と~っても気持ち良かったねぇ。さぁ、用は済んだし、さっさと牢屋に戻りな! お前たち! しっかりネコキャットを見張っているんだよ! そいつは油断も隙も無いからねぇ。あたしゃ、絶頂の最中に何度も命を狙われたよ! ハハハ!」
笑う猫人の女の体には、ネコキャットがつけたであろう爪痕が残っていた。
「くそったれのアバズレめ! 覚えてろ! クローネ!」
クローネと呼ばれた猫人はへの字口で黙って手を振り、さっさと連れて行けというポーズを見せた。
手下がねこキャットを牢屋まで連れて行くのを見送ると、クローネはテーブルの上に両手を置いて地図を見つめた。
「さて、次はどこにするかね~?」
牢屋に入れられたネコキャットは苛立ちながらも自分の服を着る。
昨晩、無理やり全裸にされてクローネの部屋に連れて行かれ、夜伽の相手をさせられたのだ。
牢屋番の猫人が「ハァー」とため息をついて独り言のように言う。
「いいな、ネコキャットさんはよぉ。俺もクローネ様を抱きたいわ。肩から背中へ生えた黒い毛なんて、とてもつやつやしてるし、胸も腰も大きい。きっと何回抱いても飽きないんだろうなぁ・・・」
ネコキャットは牢屋番の相手はせず、黙って硬いベッドに寝転んだ。
(ついてねぇな。まさかロケート団と標的が被るとはよ・・・)
ネコキャットが忍び込んだ貴族の館に、突然鉄傀儡が現れたのは一昨日の夜だった。
鉄傀儡がぶち破った壁の破片が頭を直撃し、気を失ったところをロケート団に見つかってしまったのだ。
(あいつら少しずつ盗む地域を広げてやがるな。俺が忍び込んだ屋敷はアルケディア寄りだぞ。首都も狙っているという事か?)
あまり範囲を広げすぎると、いずれ騎士団も動き出すだろう。
しかし、ロケート団は落ち着いているように見える。何者も恐れない、といった空気がそこにはあるように感じた。
(確かに樹族にとって鉄傀儡は戦い難いわな。魔法が中々効かねぇし。かといって接近戦で戦おうにも、あの光の剣や光線を喰らえば、致命傷或いは即死確実。肉弾戦が得意な獅子人ですら逃げ出すだろう。ロケート団もそれを解っているから傍若無人に振る舞っているわけだが・・・)
一晩中クローネの相手をさせられていたせいで、ネコキャットを眠気が襲う。
(くそ、武器さえ手に入れればなぁ。せめてレイピアかエストック・・・。ある程度リーチのある武器なら格闘家のクローネになんか負けねぇんだけどよ、ふあぁぁ)
盗賊兼フェンサーのネコキャットは格闘戦ではクローネには敵わない。
何とか武器を、と考えるも今のところ何の手立てもなく、考えるのを止めて微睡みに身を任せるのだった。
かなりのスピードを出してもついてくるエリート種のオーガに、ヒジリはどこか頼もしさを感じていた。
「ヘルメスブーツの速さについてこれるとはな」
普段は眼鏡をかけているのか、セイバーはカトーマスクの真ん中を人差し指で触った。しかし眼鏡をかけていない事に気が付き、そのまま恥ずかしそうに鼻を掻く。
「【高速移動】はマナを消費する割に、効果時間が短いので使いどころの難しい魔法なのです。僕は魔人族ではないので、一つのレベルの魔法はどんなに多くても十回までしか唱えられません。なのでこの脚絆にエンチャントをしてくれた古代の符魔師に感謝ですよ」
「ほう、素晴らしい脚絆だな。ん? 待て、君はメイジなのか? だとしたら私と違って本物のオーガメイジだな。ところでフラン、セイバー殿の乗り心地はどうかね?」
フランはセイバーが気に入ったのか、時折抱かれた腕の中で彼の胸に頬ずりをしている。
「最高よぉ・・・。なんかぁ、セイバーっていい匂いがするの・・・」
姉の様子を見て、イグナがヒジリの腕の中からセイバーに手を向け呪文を唱えた。
が、一瞬で魔法がかき消されてしまったのは、自分を抱くヒジリの特性のせいだ。しかしその一瞬もあればイグナには十分であり要件は済んだ。
「【知識の欲】かい? イグナさ・・・、イグナ」
自分の情報を調べられるのが嫌なのか、焦るセイバーの問いかけにイグナはコクリと頷く。
「うん。でもまだ未熟だから貴方の能力値しか見れない。・・・驚いた。全ての能力値が21もある」
フランが「え?」と驚いて聞き直した。
「人種の能力値の上限は20っていわれているのに、21・・・? しかも全てが? それって神様レベルじゃない!」
能力を数値で表すやり方を、ヒジリは面白く思った。
「ほう? 彼はそんなに凄いのかね? まぁでも自由騎士になるには、それぐらいないとダメなのだろう?」
「それはそうだけどぉ。ちょっと凄すぎかしら? 20でも超人レベルなのよ? 私、さっきからポーッとしてたのはセイバーの魅力にやられてたわけね」
少し先を行くウメボシは、その話に興味を持ったのか密かにセイバーをスキャニングしてみる。しかし彼の体の周りにチャフでも散布されているのか、情報を引き出す事が出来なかった。
(ええっ? どういう事ですか? スキャニングが出来ないなんて! これも魔法の効果なのでしょうか? 【姿隠し】のような魔法・・・?)
見えているのに見えない不安が、ウメボシを軽く身震いさせる。
(全てを把握出来ないというのは落ち着かない気分です。彼は悪人ではないと思いますが、一応警戒しておいたほうがよさそうですね)
ウメボシが後方のセイバーを警戒しつつも移動していると、街道は森を抜け、一同の目の前に目的の場所が見えてきた。
「これが樹族国西端の村、バドランですか。領主不在ということはエポ村のように自警団や冒険者に守られているのでしょうね。ここを拠点にして盗賊を探す事になるのですか? マスター」
ヒジリは粗末な石を積んだだけの低い壁の向こう側で、自警団が警戒態勢をとるのが見えた。
「そうなるが・・・。連絡がいっていないのか? 村人達が物々しいぞ」
突然ヒジリとセイバーに向かって矢が飛んでくる。
勿論、矢がヒジリ達を貫く事はない。ウメボシがフォースフィールドでパーティ全体を覆っているからだ。
近くの茂みでピィーと笛が鳴って、村に来た者が何者なのかをスカウトが村人に知らせる。
「オーガメイジが二匹に、イービルアイが一匹! 人質と思われる地走り族の少女が二人!」
手練らしき冒険者達がゾロゾロと武器を構えて村から出てきた。
「ロケート団の襲撃を警戒してピリピリしてんのに、オーガまでやって来やがった! どうせグランデモニウムから来た奴隷商人かなんかだろ! むざむざ奴隷になんかならねぇからな!」
肩をいからせて、獣人の戦士達三人が吠えながら前に出てくる。後方には地走り族のスカウトと狩人。樹族のメイジが一人。
今にも戦いが始まりそうな雰囲気の中、遅れてやって来た馬車からエリムスが降りてきた。
「私はロケート団討伐の任務でこの地にやって来たエリムス・ジブリットだ! そのオーガ達は敵ではない。城からの伝令は来ていないのか!」
「来ていない!」
自警団の獣人が疑い深い目で、石壁の向こうの櫓から返事をする。
エリムスはフンと鼻を鳴らし、近くの茂みから顔を出してこちらを見る地走り族へ命令書の入った筒を投げる。
スカウトはそれを受け取ると村長のもとへ走り去っていった。
暫くすると年老いた樹族が杖を突きながら、エリムスの前にやってきて跪く。
「ご無礼をお許し下さい。まさかシュラス陛下が辺境の村の願いを聞き入れ、紫陽花騎士団を派遣してくださるとは思わなかったのです・・・。して、騎士の皆様方はどこですかな?」
エリムスは言葉に詰まった。今は一時的に騎士団団長としての任を解かれているからだ。しかも本来のリーダーはヒジリで、エリムスは監視役としてついてきただけだ。
「騎士団は・・・おらぬ。我らだけだ。だが心配することはない。自由騎士様がロケート団討伐に参加してくださった」
村長の白髪の眉が大きく上がり、禿げ上がった頭にまで額の皺が押し寄せる。
「な・・・、なんですと・・・? 自由騎士様が・・・? 私はてっきり貴方様の奴隷かと思っておりましたが・・・」
そう言って青い鎧のオーガを見ると、確かに胸にグリフォンの紋章が描かれている。
「おおお・・・。自由騎士様! 私はこれまで百八十年生きてきて初めてお目にしました。安泰じゃ・・・。これで村は安泰じゃぞ! お前たち! これからはロケート団に怯えることもなくなるのじゃ!」
村長は杖を掲げて村人にそう伝えると、村からは歓声が湧き上がる。
「これも、エリムス様の人徳というわけですな? 流石は紫陽花騎士団団長殿!」
そう言われてエリムスは汗をかく。自分の人徳なわけがない。これもあの忌々しいヒジリのお陰なのだ。そう思うと怒りが心の底から頭をもたげるが、またあの奇妙な声が聞こえるのが嫌でエリムスは深呼吸し、無理やり精神を安定させた。
「それにしても何故伝令が来ていない?」
「恐らくは、途中で何者かに捕まったのでしょう」
「伝令は手練のメイジやスカウトなはずだぞ。そう簡単にやられるものか。隠遁術にも優れている。【透明化】や【音消し】で危険を回避する術を身につけておるわ」
村長は禿げた頭を暫く撫で回し、ハッと何かに気がついた。
「もしかしたら・・・。これは私めの憶測に過ぎませんが、伝令はロケート団に捕まったのやも。彼らの乗る鉄傀儡は体温で敵を見つけてしまいま・・・」
そう言い終わらないうちに、村の北側で爆発音が聞こえてきた。ピィーと笛を鳴らしながら自警団の地走り族が走ってくる。
「敵襲ー! ロケート団が攻めてきた! 鉄傀儡が二体!」
エリムスはすぐにヒジリ達を現場に向かわせようとしたが、彼らは既にこの場にはいなかった。
砲弾で崩れた石壁を軽く乗り越えて、鉄傀儡二体は村へと攻め入ってくる。
用心棒に雇われた冒険者達が攻撃を仕掛けるも、メイジの魔法は弾かれ、前衛の戦士三人は、鉄傀儡が持つ光る剣でそれぞれの片腕を切られてしまった。
腕を押さえて痛みでのたうち回る戦士達を尻目に、鉄傀儡は切り取った腕を空中に放り投げて光線で消し炭にする。
「ミャロミャロミャロ! お前ら何度もボコボコにされているのに、まだ歯向かうのかニャ?」
頭に猫耳のような集音器がついた鉄傀儡から、若い女の声が聞こえてくる。
「ん~もう! 王様に助けを乞うなんてズルいわよ! そんなズルっ子ベイビー達には、お仕置きが必要ね! 今から容赦なく財産を奪っちゃうんだから!」
顔の真正面に短い砲身の付いている鉄傀儡からは、お姉口調の男性の声が響いた。
しかし心が折れていないのか、自警団の犬人は威勢よく言い返す。
「ハッ! お前らの天下も今日までだ! 聞いて驚け! なんとこの村に自由騎士様が来てくださったのだ! ロケート団はもう終わりだぁ! ヒャッハー! ワオオオン!」
「エェー!」と鉄傀儡の中の二人は動揺し、それらしき人物を探す。
丁度今駆けつけてきたオーガの鎧にグリフィンの紋章を見つけると、鉄傀儡はジリジリと後ずさりした。
「伝令から奪った書簡には、自由騎士の事は書いてなかったニャ! モッコス」
「だから言ったじゃない! 先にお頭に知らせに行こうって! ミャロスのおバカ!」
「仕方ないニャ。ここは一旦撤退するニャ! 戦略的撤退だニャ! 決して逃げるわけじゃないニャ!」
「言い訳はいいから、さっさと逃げるわよ! それ!」
猫耳鉄傀儡の背中から照明弾が打ち上がり辺りを白く照らす。誰もが目を開けていられない程だったが、そこにダメ押しのようにモッコスが煙幕を張った。
「次は鉄傀儡の軍団がやって来るんだからね! 自由騎士と言えどイチコロよぉ! それまで震えて眠りなさ~い! ではアデュー!」
何とか現場に追いついたエリムスは膝に手をついて腰を折り、息を切らせている。
「ハァハァ・・・、お、おい! クソオーガ! あいつらを追え! すぐに捕らえろ!」
しかしヒジリは腕を組んだまま動かない。
「その必要はないな、エリムス殿。既に追跡ナノマシンが彼らを追っている。アジトまでルートを案内してくれるだろう」
「エリムスさまだ! クソオーガ!」
クソオーガと聞いて、これまで紳士的だった自由騎士が語気を荒げてエリムスに注意する。
「彼をクソオーガと呼ぶのを止めてもらえますか? エリムス殿。僕もオーガなのですよ?」
セイバーは体の殆どを隠す事ができる大盾を、地面にズシンと突き立てて怒りを露わにした。
怯えるエリムスの横を、見知らぬ修道女が通り過ぎていく。
修道女は腕を失った戦士に駆け寄ると、回復の祈りを捧げた。腕は元通りにはならなかったが出血は止まり、傷口が塞がった。
ヒジリは感心してその様子を見て顎を摩る。
「ほう、凄いな。あれが噂に聞いていた奇跡の祈りというものか。どういう仕組だ? ウメボシ」
修道女が祈る最中何度もスキャニングをしていたウメボシは困惑しながらも答えた。
「仕組みまでは判りませんが、彼女が祈ると戦士たちの傷口周りの新陳代謝が活発になりました。あの戦士たちはすぐに新陳代謝で失ったエネルギーを欲するはずです」
修道女は腰の袋から取り出した干しりんごを戦士たちの口に押し込んでいく。ちゃんと治した後の事も考えているのだ。
フランは献身的な修道女を見て感激した。
「見て! エポ村にいる僧侶と違って、彼女は治療代を請求していないわぁ!」
物知りのセイバーはそれに答える。
「彼女は騎士修道会所属ですからね。神学庁の僧侶と違って清貧を心がけているのです。自主的な寄付しか受けつけていません」
「修道女に憧れるわぁ。ほら、冒険者から感謝されまくりよぉ」
腕を失って落ち込みつつも、命を救ってくれた修道女に冒険者たちは感謝して幾らか寄付金を渡していた。
姉が修道女に憧れるのを見たイグナは、そっとフランに手をかざす。イグナの未熟だった【知識の欲】は先程の使用で熟練度が上がっており、能力以外も見れるようになっていた。
「フランお姉ちゃんの適性職業、ドルイド、聖騎士。修道女よりも戦闘向き」
近くにいたエリムスはそれを聞いて驚き、まだ現場に残る煙に咽た。
「ゲホゲホ! せ、聖騎士だと? エリート種がなれる職業じゃないか! 貴様はただのノーマル地走り族だろうが!」
「知らないわよぉ。そんな事言われたって。何事も例外はあるでしょうし」
相手が上位貴族にも拘わらず、臆せず張り合うフランの横でヒジリは疑問に思う。
「何故この村の冒険者にはヒーラーがいないのかね?」
エリムスがヒジリを馬鹿にして見下し鼻を鳴らした。
「ふん、何も知らないのだな、お前は。正規のヒーラーの殆どは神学庁に所属する。冒険者に加わるような者は独学で回復術を学んだ半端者ではあるが、貴重なので引く手あまたなのだ。だからヒーラーのいないパーティーなんてザラだ。代用は錬金術師かドルイドだな。が、錬金術師を雇えば回復の度に薬代を取られるし、ドルイドの回復はゆっくりで一気に回復は出来ない」
「神学庁様は利権の囲い込みをしているというわけか。まぁ、それで樹族国が上手く回っているのなら何も言うまい。私には関係のない事だしな」
ヒジリが素っ気なくそう言うと、更に何かを言おうとしたエリムスにフランが割り込んでくる。
「ねぇ、ヒジリ。ロケート団のアジトにはすぐに向かうつもりなのぉ?」
「いや、彼らの行動はもう把握したも同然だ。向かってくるのであれば村に来る前に迎撃するし、籠城するようならこちらから出向く。今すぐというわけではないな」
「じゃあ私はあの修道女様の手伝いをしてきてもいいかしら?」
「ああ、それぐらいの時間はある。構わないとも」
ヒジリの許可を得たフランは嬉しそうに修道女を手伝おうと駆け寄っていった。
走っていくフランをセイバーは顔で追いかけていたので、それに気づいたヒジリは眉間に皺を寄せた。
「セイバー殿・・・。君はまさか、フランに気があるのではないだろうな? 彼女はまだ十二歳だぞ。確かに十二歳とは思えないグラマーさだが、ダメだ!」
セイバーは鎧をガシャンと鳴らして驚く。
「僕はそんな風に見えましたか? ち、違いますよ。彼女の美貌は男を惑わすので、トラブルに巻き込まれないか心配したのです」
ウメボシが心配ご無用とばかりにピシャリとそれに答えた。
「ウメボシが常にイグナとフランを見ていますので大丈夫です」
イービルアイにジト目で見られたセイバーは咳払いを一つして、少し不貞腐れながら装備のバトルハンマーや大盾の手入れを始めた。
部屋の外には盗賊が二人待ち構えており、つんのめりながら出てきたネコキャットは、すぐに取り押さえられてしまう。
「中々いい物持ってたよ? 怪盗ネコキャット。と~っても気持ち良かったねぇ。さぁ、用は済んだし、さっさと牢屋に戻りな! お前たち! しっかりネコキャットを見張っているんだよ! そいつは油断も隙も無いからねぇ。あたしゃ、絶頂の最中に何度も命を狙われたよ! ハハハ!」
笑う猫人の女の体には、ネコキャットがつけたであろう爪痕が残っていた。
「くそったれのアバズレめ! 覚えてろ! クローネ!」
クローネと呼ばれた猫人はへの字口で黙って手を振り、さっさと連れて行けというポーズを見せた。
手下がねこキャットを牢屋まで連れて行くのを見送ると、クローネはテーブルの上に両手を置いて地図を見つめた。
「さて、次はどこにするかね~?」
牢屋に入れられたネコキャットは苛立ちながらも自分の服を着る。
昨晩、無理やり全裸にされてクローネの部屋に連れて行かれ、夜伽の相手をさせられたのだ。
牢屋番の猫人が「ハァー」とため息をついて独り言のように言う。
「いいな、ネコキャットさんはよぉ。俺もクローネ様を抱きたいわ。肩から背中へ生えた黒い毛なんて、とてもつやつやしてるし、胸も腰も大きい。きっと何回抱いても飽きないんだろうなぁ・・・」
ネコキャットは牢屋番の相手はせず、黙って硬いベッドに寝転んだ。
(ついてねぇな。まさかロケート団と標的が被るとはよ・・・)
ネコキャットが忍び込んだ貴族の館に、突然鉄傀儡が現れたのは一昨日の夜だった。
鉄傀儡がぶち破った壁の破片が頭を直撃し、気を失ったところをロケート団に見つかってしまったのだ。
(あいつら少しずつ盗む地域を広げてやがるな。俺が忍び込んだ屋敷はアルケディア寄りだぞ。首都も狙っているという事か?)
あまり範囲を広げすぎると、いずれ騎士団も動き出すだろう。
しかし、ロケート団は落ち着いているように見える。何者も恐れない、といった空気がそこにはあるように感じた。
(確かに樹族にとって鉄傀儡は戦い難いわな。魔法が中々効かねぇし。かといって接近戦で戦おうにも、あの光の剣や光線を喰らえば、致命傷或いは即死確実。肉弾戦が得意な獅子人ですら逃げ出すだろう。ロケート団もそれを解っているから傍若無人に振る舞っているわけだが・・・)
一晩中クローネの相手をさせられていたせいで、ネコキャットを眠気が襲う。
(くそ、武器さえ手に入れればなぁ。せめてレイピアかエストック・・・。ある程度リーチのある武器なら格闘家のクローネになんか負けねぇんだけどよ、ふあぁぁ)
盗賊兼フェンサーのネコキャットは格闘戦ではクローネには敵わない。
何とか武器を、と考えるも今のところ何の手立てもなく、考えるのを止めて微睡みに身を任せるのだった。
かなりのスピードを出してもついてくるエリート種のオーガに、ヒジリはどこか頼もしさを感じていた。
「ヘルメスブーツの速さについてこれるとはな」
普段は眼鏡をかけているのか、セイバーはカトーマスクの真ん中を人差し指で触った。しかし眼鏡をかけていない事に気が付き、そのまま恥ずかしそうに鼻を掻く。
「【高速移動】はマナを消費する割に、効果時間が短いので使いどころの難しい魔法なのです。僕は魔人族ではないので、一つのレベルの魔法はどんなに多くても十回までしか唱えられません。なのでこの脚絆にエンチャントをしてくれた古代の符魔師に感謝ですよ」
「ほう、素晴らしい脚絆だな。ん? 待て、君はメイジなのか? だとしたら私と違って本物のオーガメイジだな。ところでフラン、セイバー殿の乗り心地はどうかね?」
フランはセイバーが気に入ったのか、時折抱かれた腕の中で彼の胸に頬ずりをしている。
「最高よぉ・・・。なんかぁ、セイバーっていい匂いがするの・・・」
姉の様子を見て、イグナがヒジリの腕の中からセイバーに手を向け呪文を唱えた。
が、一瞬で魔法がかき消されてしまったのは、自分を抱くヒジリの特性のせいだ。しかしその一瞬もあればイグナには十分であり要件は済んだ。
「【知識の欲】かい? イグナさ・・・、イグナ」
自分の情報を調べられるのが嫌なのか、焦るセイバーの問いかけにイグナはコクリと頷く。
「うん。でもまだ未熟だから貴方の能力値しか見れない。・・・驚いた。全ての能力値が21もある」
フランが「え?」と驚いて聞き直した。
「人種の能力値の上限は20っていわれているのに、21・・・? しかも全てが? それって神様レベルじゃない!」
能力を数値で表すやり方を、ヒジリは面白く思った。
「ほう? 彼はそんなに凄いのかね? まぁでも自由騎士になるには、それぐらいないとダメなのだろう?」
「それはそうだけどぉ。ちょっと凄すぎかしら? 20でも超人レベルなのよ? 私、さっきからポーッとしてたのはセイバーの魅力にやられてたわけね」
少し先を行くウメボシは、その話に興味を持ったのか密かにセイバーをスキャニングしてみる。しかし彼の体の周りにチャフでも散布されているのか、情報を引き出す事が出来なかった。
(ええっ? どういう事ですか? スキャニングが出来ないなんて! これも魔法の効果なのでしょうか? 【姿隠し】のような魔法・・・?)
見えているのに見えない不安が、ウメボシを軽く身震いさせる。
(全てを把握出来ないというのは落ち着かない気分です。彼は悪人ではないと思いますが、一応警戒しておいたほうがよさそうですね)
ウメボシが後方のセイバーを警戒しつつも移動していると、街道は森を抜け、一同の目の前に目的の場所が見えてきた。
「これが樹族国西端の村、バドランですか。領主不在ということはエポ村のように自警団や冒険者に守られているのでしょうね。ここを拠点にして盗賊を探す事になるのですか? マスター」
ヒジリは粗末な石を積んだだけの低い壁の向こう側で、自警団が警戒態勢をとるのが見えた。
「そうなるが・・・。連絡がいっていないのか? 村人達が物々しいぞ」
突然ヒジリとセイバーに向かって矢が飛んでくる。
勿論、矢がヒジリ達を貫く事はない。ウメボシがフォースフィールドでパーティ全体を覆っているからだ。
近くの茂みでピィーと笛が鳴って、村に来た者が何者なのかをスカウトが村人に知らせる。
「オーガメイジが二匹に、イービルアイが一匹! 人質と思われる地走り族の少女が二人!」
手練らしき冒険者達がゾロゾロと武器を構えて村から出てきた。
「ロケート団の襲撃を警戒してピリピリしてんのに、オーガまでやって来やがった! どうせグランデモニウムから来た奴隷商人かなんかだろ! むざむざ奴隷になんかならねぇからな!」
肩をいからせて、獣人の戦士達三人が吠えながら前に出てくる。後方には地走り族のスカウトと狩人。樹族のメイジが一人。
今にも戦いが始まりそうな雰囲気の中、遅れてやって来た馬車からエリムスが降りてきた。
「私はロケート団討伐の任務でこの地にやって来たエリムス・ジブリットだ! そのオーガ達は敵ではない。城からの伝令は来ていないのか!」
「来ていない!」
自警団の獣人が疑い深い目で、石壁の向こうの櫓から返事をする。
エリムスはフンと鼻を鳴らし、近くの茂みから顔を出してこちらを見る地走り族へ命令書の入った筒を投げる。
スカウトはそれを受け取ると村長のもとへ走り去っていった。
暫くすると年老いた樹族が杖を突きながら、エリムスの前にやってきて跪く。
「ご無礼をお許し下さい。まさかシュラス陛下が辺境の村の願いを聞き入れ、紫陽花騎士団を派遣してくださるとは思わなかったのです・・・。して、騎士の皆様方はどこですかな?」
エリムスは言葉に詰まった。今は一時的に騎士団団長としての任を解かれているからだ。しかも本来のリーダーはヒジリで、エリムスは監視役としてついてきただけだ。
「騎士団は・・・おらぬ。我らだけだ。だが心配することはない。自由騎士様がロケート団討伐に参加してくださった」
村長の白髪の眉が大きく上がり、禿げ上がった頭にまで額の皺が押し寄せる。
「な・・・、なんですと・・・? 自由騎士様が・・・? 私はてっきり貴方様の奴隷かと思っておりましたが・・・」
そう言って青い鎧のオーガを見ると、確かに胸にグリフォンの紋章が描かれている。
「おおお・・・。自由騎士様! 私はこれまで百八十年生きてきて初めてお目にしました。安泰じゃ・・・。これで村は安泰じゃぞ! お前たち! これからはロケート団に怯えることもなくなるのじゃ!」
村長は杖を掲げて村人にそう伝えると、村からは歓声が湧き上がる。
「これも、エリムス様の人徳というわけですな? 流石は紫陽花騎士団団長殿!」
そう言われてエリムスは汗をかく。自分の人徳なわけがない。これもあの忌々しいヒジリのお陰なのだ。そう思うと怒りが心の底から頭をもたげるが、またあの奇妙な声が聞こえるのが嫌でエリムスは深呼吸し、無理やり精神を安定させた。
「それにしても何故伝令が来ていない?」
「恐らくは、途中で何者かに捕まったのでしょう」
「伝令は手練のメイジやスカウトなはずだぞ。そう簡単にやられるものか。隠遁術にも優れている。【透明化】や【音消し】で危険を回避する術を身につけておるわ」
村長は禿げた頭を暫く撫で回し、ハッと何かに気がついた。
「もしかしたら・・・。これは私めの憶測に過ぎませんが、伝令はロケート団に捕まったのやも。彼らの乗る鉄傀儡は体温で敵を見つけてしまいま・・・」
そう言い終わらないうちに、村の北側で爆発音が聞こえてきた。ピィーと笛を鳴らしながら自警団の地走り族が走ってくる。
「敵襲ー! ロケート団が攻めてきた! 鉄傀儡が二体!」
エリムスはすぐにヒジリ達を現場に向かわせようとしたが、彼らは既にこの場にはいなかった。
砲弾で崩れた石壁を軽く乗り越えて、鉄傀儡二体は村へと攻め入ってくる。
用心棒に雇われた冒険者達が攻撃を仕掛けるも、メイジの魔法は弾かれ、前衛の戦士三人は、鉄傀儡が持つ光る剣でそれぞれの片腕を切られてしまった。
腕を押さえて痛みでのたうち回る戦士達を尻目に、鉄傀儡は切り取った腕を空中に放り投げて光線で消し炭にする。
「ミャロミャロミャロ! お前ら何度もボコボコにされているのに、まだ歯向かうのかニャ?」
頭に猫耳のような集音器がついた鉄傀儡から、若い女の声が聞こえてくる。
「ん~もう! 王様に助けを乞うなんてズルいわよ! そんなズルっ子ベイビー達には、お仕置きが必要ね! 今から容赦なく財産を奪っちゃうんだから!」
顔の真正面に短い砲身の付いている鉄傀儡からは、お姉口調の男性の声が響いた。
しかし心が折れていないのか、自警団の犬人は威勢よく言い返す。
「ハッ! お前らの天下も今日までだ! 聞いて驚け! なんとこの村に自由騎士様が来てくださったのだ! ロケート団はもう終わりだぁ! ヒャッハー! ワオオオン!」
「エェー!」と鉄傀儡の中の二人は動揺し、それらしき人物を探す。
丁度今駆けつけてきたオーガの鎧にグリフィンの紋章を見つけると、鉄傀儡はジリジリと後ずさりした。
「伝令から奪った書簡には、自由騎士の事は書いてなかったニャ! モッコス」
「だから言ったじゃない! 先にお頭に知らせに行こうって! ミャロスのおバカ!」
「仕方ないニャ。ここは一旦撤退するニャ! 戦略的撤退だニャ! 決して逃げるわけじゃないニャ!」
「言い訳はいいから、さっさと逃げるわよ! それ!」
猫耳鉄傀儡の背中から照明弾が打ち上がり辺りを白く照らす。誰もが目を開けていられない程だったが、そこにダメ押しのようにモッコスが煙幕を張った。
「次は鉄傀儡の軍団がやって来るんだからね! 自由騎士と言えどイチコロよぉ! それまで震えて眠りなさ~い! ではアデュー!」
何とか現場に追いついたエリムスは膝に手をついて腰を折り、息を切らせている。
「ハァハァ・・・、お、おい! クソオーガ! あいつらを追え! すぐに捕らえろ!」
しかしヒジリは腕を組んだまま動かない。
「その必要はないな、エリムス殿。既に追跡ナノマシンが彼らを追っている。アジトまでルートを案内してくれるだろう」
「エリムスさまだ! クソオーガ!」
クソオーガと聞いて、これまで紳士的だった自由騎士が語気を荒げてエリムスに注意する。
「彼をクソオーガと呼ぶのを止めてもらえますか? エリムス殿。僕もオーガなのですよ?」
セイバーは体の殆どを隠す事ができる大盾を、地面にズシンと突き立てて怒りを露わにした。
怯えるエリムスの横を、見知らぬ修道女が通り過ぎていく。
修道女は腕を失った戦士に駆け寄ると、回復の祈りを捧げた。腕は元通りにはならなかったが出血は止まり、傷口が塞がった。
ヒジリは感心してその様子を見て顎を摩る。
「ほう、凄いな。あれが噂に聞いていた奇跡の祈りというものか。どういう仕組だ? ウメボシ」
修道女が祈る最中何度もスキャニングをしていたウメボシは困惑しながらも答えた。
「仕組みまでは判りませんが、彼女が祈ると戦士たちの傷口周りの新陳代謝が活発になりました。あの戦士たちはすぐに新陳代謝で失ったエネルギーを欲するはずです」
修道女は腰の袋から取り出した干しりんごを戦士たちの口に押し込んでいく。ちゃんと治した後の事も考えているのだ。
フランは献身的な修道女を見て感激した。
「見て! エポ村にいる僧侶と違って、彼女は治療代を請求していないわぁ!」
物知りのセイバーはそれに答える。
「彼女は騎士修道会所属ですからね。神学庁の僧侶と違って清貧を心がけているのです。自主的な寄付しか受けつけていません」
「修道女に憧れるわぁ。ほら、冒険者から感謝されまくりよぉ」
腕を失って落ち込みつつも、命を救ってくれた修道女に冒険者たちは感謝して幾らか寄付金を渡していた。
姉が修道女に憧れるのを見たイグナは、そっとフランに手をかざす。イグナの未熟だった【知識の欲】は先程の使用で熟練度が上がっており、能力以外も見れるようになっていた。
「フランお姉ちゃんの適性職業、ドルイド、聖騎士。修道女よりも戦闘向き」
近くにいたエリムスはそれを聞いて驚き、まだ現場に残る煙に咽た。
「ゲホゲホ! せ、聖騎士だと? エリート種がなれる職業じゃないか! 貴様はただのノーマル地走り族だろうが!」
「知らないわよぉ。そんな事言われたって。何事も例外はあるでしょうし」
相手が上位貴族にも拘わらず、臆せず張り合うフランの横でヒジリは疑問に思う。
「何故この村の冒険者にはヒーラーがいないのかね?」
エリムスがヒジリを馬鹿にして見下し鼻を鳴らした。
「ふん、何も知らないのだな、お前は。正規のヒーラーの殆どは神学庁に所属する。冒険者に加わるような者は独学で回復術を学んだ半端者ではあるが、貴重なので引く手あまたなのだ。だからヒーラーのいないパーティーなんてザラだ。代用は錬金術師かドルイドだな。が、錬金術師を雇えば回復の度に薬代を取られるし、ドルイドの回復はゆっくりで一気に回復は出来ない」
「神学庁様は利権の囲い込みをしているというわけか。まぁ、それで樹族国が上手く回っているのなら何も言うまい。私には関係のない事だしな」
ヒジリが素っ気なくそう言うと、更に何かを言おうとしたエリムスにフランが割り込んでくる。
「ねぇ、ヒジリ。ロケート団のアジトにはすぐに向かうつもりなのぉ?」
「いや、彼らの行動はもう把握したも同然だ。向かってくるのであれば村に来る前に迎撃するし、籠城するようならこちらから出向く。今すぐというわけではないな」
「じゃあ私はあの修道女様の手伝いをしてきてもいいかしら?」
「ああ、それぐらいの時間はある。構わないとも」
ヒジリの許可を得たフランは嬉しそうに修道女を手伝おうと駆け寄っていった。
走っていくフランをセイバーは顔で追いかけていたので、それに気づいたヒジリは眉間に皺を寄せた。
「セイバー殿・・・。君はまさか、フランに気があるのではないだろうな? 彼女はまだ十二歳だぞ。確かに十二歳とは思えないグラマーさだが、ダメだ!」
セイバーは鎧をガシャンと鳴らして驚く。
「僕はそんな風に見えましたか? ち、違いますよ。彼女の美貌は男を惑わすので、トラブルに巻き込まれないか心配したのです」
ウメボシが心配ご無用とばかりにピシャリとそれに答えた。
「ウメボシが常にイグナとフランを見ていますので大丈夫です」
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