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悪魔とマムシ
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「お母さん! お父さん! 一人にしないで! お願い・・・」
シルビィはウメボシが設置したトイレから出ると、洞窟の方から少女の押し殺すような泣き声が聞こえてきた。
「なんだ?」
眠たい目を擦り洞窟へ向かって歩くと、夜の暗闇の中、杖に光を灯したロロムが、ネココの背中を擦っていた。
「やはり、この子を置いていくのは無理かもしれないな。かと言ってバートラに連れていくわけにもいくまい・・・」
「ロロム殿?」
「おや、起こしてしまいましたか。申し訳ない」
「それよりもネココはどうしたのだ?」
「彼女は楽しい出来事があると、いつもこうなのです」
「・・・?」
「反動、というやつですかね。楽しかった出来事を押し返すようにして、トラウマが彼女の心を苛むのです。私は話を聞いただけで見てはおりませんが、当時六歳だった彼女は目の前で両親を殺されています。彼女の感情が安定しないのもそのせいなのです」
ネココは指をしゃぶって幼児退行したような行動を取っている。
シルビィは十年前、自分が手にかけた獣人達を思い出して苦しくなり、胸を押さえた。
獣人たちが歯向かい襲い掛かってきたとは言え、最後には命乞いをしてきたのにもかかわらず、シルビィは幾人もの獣人を【業火】で焼き殺したからだ。
己が信じる騎士の典範とは真逆の行為だ、虐殺者め! と心の奥底で自分の声がする。
炎に身を焼かれ悶え苦しむ両親を目の前にして、茫然とする子供を何度見ただろうか?
「私がその子の両親を殺したのかもしれない・・・。なんとして罪を償えば良いのか」
膝をついて四つん這いになり、シルビィは涙を流す。
「火魔法を得意とする私は、相手を楽に死なせる魔法が無かったのだ。それに裏側があちこちで見張っている中、子供だけは助けようと必死だった! 獣人達を焼く炎や煙を隠れ蓑にして、子供達に付与のスキルを使いつつ【透明化】の魔法をかけるのが精一杯で――――。許してくれ、許してくれ!」
生き残りたければ黙ってついて来い、と囁いた時の子供の顔は、どれも自分に対する憎悪に歪んでいた。その顔が今も目に焼き付いて離れない。
「シルビィ殿」
ロロムはかける言葉もなく、ただネココの背中を擦りながらシルビィを見ることしかできなかった。
その時、洞窟から微かな気配と風の流れを感じた。
「おやおや、誰かと思えばシルビィ様。こんなところでゴブリンと夜のデートですか? ホッホッホ」
シルビィは咄嗟に立ち上がり、腰のメイスを探る。しかし、寝間着姿だった事を思い出す。
「くっ! 丸腰だった」
武器も防具も触媒も無いシルビィを見ても、影は襲いかかろうとはしなかった。
「私ですよ、シルビィ様。ジュウゾ様の腹心、マムシですよ。ホッホッホ」
岩の陰からヘビ顔の樹族が現れる。
ジュウゾと違って覆面をしていない。主に諜報や暗殺よりも、伝令であったり優先度の低い表立った掃討任務を専門としているからだ。
シルビィにとって、顔見知り程度でしかないこの男の情報は多くない。それは単に興味がないからだ。
――――お喋りマムシ。
寡黙な者の多い裏側の中でも、珍しくお喋りなこの男は、ジュウゾの腹心などと自称しているが、実際は組織の中で浮いており、誰からも信用されてはいない。
魔法院や元老院に情報を流しているという噂もあるが、誰もその証拠や現場を掴んだ者はいない。
「何用だ? マムシ」
「私の地図を知りませんか? 誰かが宝の地図と間違えて、宝物殿に持っていってしまったのです。陛下が地図をタスネ・サヴェリフェ子爵の褒美に加えた、というところまでは情報を掴んでいたのですが」
「洞窟の隠し扉前に印がついていた地図なら、我々が持っている」
「やはりそうでしたか。十年前にここで平定任務があったでしょう? その時にこの洞窟に、反逆者達が潜んでいるのではと思いましてね。中を探っていたら、あの怪しい隠し扉を見つけたのです。引き上げ命令が出ていましたから、取り敢えず地図に洞窟の場所と、隠し扉の場所に印をつけておいたのです。で、ずっと引き出しの奥にしまって忘れていたのですがねぇ。何故か急に思い出して来てみたら、なんと! 扉が開いているじゃありませんか。先を進んでみたら、シルビィ様がゴブリンと猫人の前で、メソメソと泣いていたというわけですよ。ホッホッホ」
十年も忘れていた隠し扉の事を、急に思い出すわけがない。
彼がマムシと呼ばれる所以は執念深いからだ。恐らく入り口のあの豚人の女は、彼と関わりがあったのだろう。
どんな些細な事でも執念深く追求する彼は、結果的に何もなかったとしても、それを無駄だとは思わない。一つの心配事が減って良かったと感じる程度だろう。
「いや~、しかしこんな所に、茨の隠し森があるとは驚きですねぇ。そしてそこの猫人は反逆者の子供である事にも驚きですよ。私は一度見た顔は覚えていますから」
ビシュッと音がしてマムシの苦無がネココに飛んだが、ロロムの杖に苦無が突き刺さる。
「おや? ゴブリンの癖に中々やるじゃないですか。暗殺者の苦無を受け止めるとは」
シルビィは知っている。
彼らの苦無はただの苦無でない。毒が塗ってあったり、火薬が詰め込まれていたり・・・。
「ロロム殿! 杖を投げ捨てろ!」
ロロムは言われた通り、咄嗟に杖をマムシに向かって投げると、彼もろとも杖は木っ端微塵に飛び散って爆発した。魔法的な仕掛けなのか、爆発音も火薬の臭いもしない。
肉片が散らばって死んだように見えたマムシだったが、地面に落ちているのは粗末な人形の破片だけだ。
木の陰からヘビ顔が静かに現れる。
「判断力といい、反応の速さといい。貴方、エリート種のゴブリンですね?」
ロロムは何も言わなかった。
「う~ん。エリート種が奴隷になるとは考えにくいですねぇ・・・。はいはい、なるほどね。では、貴方! スパイ、という事ですか」
シルビィはロロムを見て弁解するのを待ったが、彼はやはり黙ったままだった。
「ふむふむ。私の勘が囁いています。このゴブリンはきっと大物です、と! 手柄を横取りするようで申し訳ありませんが、彼を拘束させていただきますよ? 王国近衛兵騎士団独立部隊隊長殿? ホッホッホ!」
ロロムのように、杖を失ったマジックキャスターの魔法は心許ない。杖や触媒が有るのと無いのとでは、魔法の威力に大きく差がでるからだ。
いきなりマムシに石が飛んだ。勿論当たりはしない。
「こいつだ!」
石を握りしめたネココが、突然怒り狂う。
「こいつが! 私の親を殺した!」
もう一度石が飛ぶが、マムシは余裕の態度でそれを躱す。
「貴方の顔はご両親に似てますものねぇ。謀反を起こしたリーダーの子供でしょう? 今更、貴方を捕まえたところで、大した情報は出ないと思いますが、一応拷問室まで連行しますか。ホッホッホ! ところでシルビィ様。まさか貴方様は、この者達に手を貸したりなどしませんよねぇ? ああ、そうだ! 良ければ一緒に戦いましょう!」
「断る。もう時効だ。謀反を起こした王族は既に処刑されている。それに彼女は十年の間、反逆の意思を見せなかった」
「シルビィ様にある裁量権はあくまで、一般的な犯罪や謀反の嫌疑がある貴族に対してのもの。反逆者の範疇に入るこの者を、いくらシルビィ様が無罪だと言っても、陛下はどう判断しますかねぇ」
シルビィとの話で、ネココが詠唱を完了していた事に、マムシは気がついていなかった。
「お前が殺した! お前が!」
怒りに震える猫人の召喚士は、レッサーデーモンを召喚して――――、尚且つ武器召喚でナタを出し、マムシに襲いかかった。
しかし、マムシは影に消えて別の場所に姿を表す。言葉通り影に沈んで消えたのだ。
レッサーデーモンは今の状況を見て目を輝かせた。
「今度は何だ? 犬の糞拾いではなさそうだな!」
デーモンは手を突き出して手のひらにマナを集める。敵が誰か判らないので魔法をシルビィに撃つか、マムシに撃つかで迷っていた。
「そこの蛇みたいな顔をした樹族を殺して! 供物はそいつの死体だよ!」
「よしきた!」
手のひらから飛び出た火球が回避行動をとるマムシを連続して襲う。
十発撃って、一発がマムシの肩に当たった。
「痛ッ! 下級とはいえ流石は悪魔。私に攻撃を当てるなんて! 癪に障りますねぇ」
避けながらマムシは苦無を投げた。刺さると起爆する苦無が悪魔に刺さり爆発を起こす。
「残念だなぁ。俺様、炎の悪魔なんだわ」
レッサーデーモンは無傷だ。
「ならば!」
マムシは腰の水袋を手に持つと口に水を含んだ。そして霧状に水を吐いて悪魔に吐きかけると、冷たい霧がそこに発生する。
「炎には水ってか? ハッ! ありきたりな攻撃だなぁ。だがなぁ・・・! 正解なんだな、これが・・・」
裏側が用いる攻撃方法は独特で、シルビィも見たことがないものが多い。
水を噴いただけで攻撃になるなんて馬鹿な事があるか! と思いながらも悪魔を見ると、彼の赤い皮膚が見る間にくすんでいき、空気に溶け込むようにして、この世界から消えた。
炎の力を消された悪魔はこの世界で具現化する力を失ったのだ。
「さてと・・・。後は次の召喚までリキャストタイムのある召喚士と、杖のないゴブリンメイジ・・・」
「メイジだと? フン」
ロロムは自分の事をメイジだと勘違いしているマムシを見て笑った。
「いでよ! グレーターデーモン!」
「ウソをつけ! ブラフだ!」
マムシはグレーターデーモンと聞いて、心の余裕が消し飛ぶ。
地面に光る魔法陣が現れると、本当にグレーターデーモンが這い出てきた。
この悪魔は魔法無効化率が高く、メイジキラーでもある。
それに爪の攻撃は即死級。一撃を耐えられる者がいたとしても、毒や麻痺などの状態異常になる。更に厄介なのが強力な魔法を連発してくるのだ。
「まさか! 貴様も召喚士なのか! これは計算外ですねぇ。召喚士というものは、あまり能力の高さを必要としませんからね。杖がなくても強い悪魔の召喚は出来る。しかしグレーターデーモンとは! ホッホッホ! ですが貴方は運が悪かった」
マムシは懐から退魔の御札を取り出すと、苦無に巻いてグレーターデーモンに投げつけた。
苦無は悪魔に突き刺さらずに、手前の地面に刺さる。
「頼むから、効いてくださいよ。そのアイテムは高価なのですから!」
魔法陣がグレーターデーモンの足元に現れて光りだした。魔法陣は悪魔が出てきた時とは逆に飲み込もうとしている。
地面に徐々に沈んでいく悪魔だったが、咆哮を上げると這い出てきて笑った。
「ガガガ。我は解き放たれた。契約者が我を縛る鎖はもうない。あの魔法陣は、我を縛る鎖だけを地獄に持っていったぞ!」
「マムシめ! 余計な事を」
シルビィは、暴走した悪魔を見て放心するネココとロロムの手を引っ張ると岩陰に隠れた。悪魔の注意はマムシにだけ注がれている。
「退魔札のリスクを考えなかったようだな。失敗すれば悪魔は解き放たれるのだ。馬鹿なことをしてくれた!」
ロロムは焦るシルビィに申し訳なさそうにする。
「私もこれを予想しておくべきでした。まさか退魔の札を持っているとは・・・。グレーターデーモンを見て逃げて出してくれればと思ったのですが」
マムシは悪魔の攻撃を空蝉の術で避け、起爆苦無を投げているが、悪魔には大してダメージを与えているようには見えない。
「助けてください、シルビィ様!」
敢えてこちらを見て声を掛け、隠れている場所を悪魔に教えるマムシに、シルビィは腹が立った。悪魔の注意をこちらに擦り付けたのだ。
「チィ! マムシの奴め!」
グレーターデーモンはゆっくりと振り返り、岩陰のシルビィ達を見つける。凹んだ目の奥で赤い瞳が光った。
「スウォーム!」
何処からか虫の大群が飛んできて、シルビィの皮膚を小さく齧り取る。
「ぐぅ! くそ! 守りの盾!」
シルビィはネココとロロムを岩の隙間に入れると、自分は蓋のようになってスキルを発動した。
「シルビィ殿!」
「シルビィさん!」
いくら防御スキルを発動しているとはいえ、寝間着のままでは大した効果は無い。服が背中からビリビリと破られていく。
自分たちを守って肉をついばまれ、背中から血を流すシルビィを、ネココは怯えながら見ている。この光景は過去にも見たことがあった。
―――あちこちで火が上がり、悲鳴や怒号が飛び交ったあの大虐殺の日。
追ってくるマムシから逃げようと庭の草むらにある抜け穴に飛び込んだ時、彼女の服が木の根っこに引っかかって中々奥へと進めなかった。
そんな自分を急かしもせず、両親は入り口で周りを見張ってくれていた。
ようやく服が木の根っこから外れた頃、両親を呼ぼうとネココがそちらを見ると、両親が穴に覆いかぶさるようにして死んでいたのだ。恐らく両親は死を覚悟して、せめて我が子だけは逃がそうと、穴を隠すようにして倒れたに違いない。
マムシはネココが何処かに走って逃げたと思い込み、抜け穴には気が付かず去っていった。
恐怖と涙と嗚咽を堪えて穴を進んだ先が、この洞窟だったのだ。
「シルビィさん、逃げて! 私達のことはいいから逃げてよ!」
「ぐあぁ! ハァハァ。大丈夫だ。直ぐにダーリンが気づくだろう。守らせてくれ・・・。こんな事で罪が消えるとは思ってはいないが、せめて君を守らせてくれ・・・!」
シルビィは泣いていた。ポタポタと溢れる涙がネココの頬に落ちる。
それを見たネココの頭のなかで、自分を苦しめる過去のトラウマがパリンと音を立て砕け散った。
「ヒジリ!! ヒジリ来てーーーー!」
ネココは岩の中で叫ぶ。
両親と同じ末路を辿ろうとする目の前の騎士に、死んでほしくはない。
ただそれだけを願ってネココはひたすら叫んだ。
「ヒジリーーーー!!!」
「ヒジリ☆連弾!」
ズドドドド! ドドーーン! と近くで音がした。
その後にグレーターデーモンの断末魔の咆哮が聞こえる。
「ウメボシ、直ぐにシルビィの治療を!」
「畏まりました」
肉を啄む虫達は悪魔の消滅とともに消え去った。が、シルビィは生きているのが不思議なくらい酷い状態であった。
しかしそれもウメボシの目から出る光によって、瞬時に元通りになる。
「遅くなってすまない、シルビィ。それからネココ。ロロム殿も怪我はないかね?」
ウメボシは目を吊り上げて怒る。
「全く! マスターは一度寝ると、中々起きないという欠点があります! それを克服してもらわないと、ウメボシは困ります!」
「ウメボシだけでも助ける事が出来ただろう」
「ウメボシの行動決定権の多くは、マスターにあるのですよ! 悪魔を倒せたとしてもシルビィ様の治療は、マスターの許可がなければ出来ません! マスターを待っている間に、きっとシルビィ様は死んでいたでしょう!」
「解った解った。悪かったよ、ウメボシ」
「プンスカ!」
シルビィはふぅと息を吐くと、自分が生きている事を心の中で神に感謝し、岩にもたれかかった。
そのシルビィにネココは抱きつく。
「良かったニャ~。シルビィさんが死ななくて! ありがとうニャ! 守ってくれて!」
「弱き者を守るのが騎士の役目。私は少しだけ騎士になれたと思いたい」
手の甲で目を押さえるとシルビィは涙を隠した。押し寄せる後悔や罪への意識は、ネココの暖かい包容で少し和らいだように思う。
ネココに癒やされていたシルビィだが、ハッとして不愉快な蛇のような顔を思い出す。
「マムシはどうした?」
シルビィの緊張する声に応じるかのように、ウメボシは周囲をスキャニングする。
「その方なら恐らく、あそこの灰の山だと思われます」
ウメボシがビームライトで指し示した少し離れた草むらに、小さな灰の山があった。
シルビィは気の毒と思うと同時に安堵する。
「流石にグレーターデーモン相手に逃げ切れなかったか・・・」
彼が生きていれば、間違いなくジュウゾに報告がいっていただろう。それだけなら問題はない。処罰も覚悟の上だ。しかし、マムシは元老院と繋がりがあるという噂もある。そうなれば間違いなく反王政派が王叩きの材料にしていた。そうなれば自分だけの問題ではなくなる。王の負担を一つ増やす事になりかねないのだ。
あれこれ考えるシルビィの頭をヒジリが撫でた。
「丸腰でよく頑張ったな、シルビィ殿」
ヒジリの笑顔は優しく手は暖かった。また涙がポロポロと溢れる。自分の過去も現在も、全て包容してくれる彼はシルビィにとってこれ以上ない心の拠り所であった。
「うう・・・。ダーリン! 私は! 私は・・・!」
「何も言わなくていい。さぁ寝床に戻ろう」
ヒジリはシルビィとネココを抱きかかえると、消えかけの焚き火が仄かに周囲を照らす寝床へと向かった。
シルビィはウメボシが設置したトイレから出ると、洞窟の方から少女の押し殺すような泣き声が聞こえてきた。
「なんだ?」
眠たい目を擦り洞窟へ向かって歩くと、夜の暗闇の中、杖に光を灯したロロムが、ネココの背中を擦っていた。
「やはり、この子を置いていくのは無理かもしれないな。かと言ってバートラに連れていくわけにもいくまい・・・」
「ロロム殿?」
「おや、起こしてしまいましたか。申し訳ない」
「それよりもネココはどうしたのだ?」
「彼女は楽しい出来事があると、いつもこうなのです」
「・・・?」
「反動、というやつですかね。楽しかった出来事を押し返すようにして、トラウマが彼女の心を苛むのです。私は話を聞いただけで見てはおりませんが、当時六歳だった彼女は目の前で両親を殺されています。彼女の感情が安定しないのもそのせいなのです」
ネココは指をしゃぶって幼児退行したような行動を取っている。
シルビィは十年前、自分が手にかけた獣人達を思い出して苦しくなり、胸を押さえた。
獣人たちが歯向かい襲い掛かってきたとは言え、最後には命乞いをしてきたのにもかかわらず、シルビィは幾人もの獣人を【業火】で焼き殺したからだ。
己が信じる騎士の典範とは真逆の行為だ、虐殺者め! と心の奥底で自分の声がする。
炎に身を焼かれ悶え苦しむ両親を目の前にして、茫然とする子供を何度見ただろうか?
「私がその子の両親を殺したのかもしれない・・・。なんとして罪を償えば良いのか」
膝をついて四つん這いになり、シルビィは涙を流す。
「火魔法を得意とする私は、相手を楽に死なせる魔法が無かったのだ。それに裏側があちこちで見張っている中、子供だけは助けようと必死だった! 獣人達を焼く炎や煙を隠れ蓑にして、子供達に付与のスキルを使いつつ【透明化】の魔法をかけるのが精一杯で――――。許してくれ、許してくれ!」
生き残りたければ黙ってついて来い、と囁いた時の子供の顔は、どれも自分に対する憎悪に歪んでいた。その顔が今も目に焼き付いて離れない。
「シルビィ殿」
ロロムはかける言葉もなく、ただネココの背中を擦りながらシルビィを見ることしかできなかった。
その時、洞窟から微かな気配と風の流れを感じた。
「おやおや、誰かと思えばシルビィ様。こんなところでゴブリンと夜のデートですか? ホッホッホ」
シルビィは咄嗟に立ち上がり、腰のメイスを探る。しかし、寝間着姿だった事を思い出す。
「くっ! 丸腰だった」
武器も防具も触媒も無いシルビィを見ても、影は襲いかかろうとはしなかった。
「私ですよ、シルビィ様。ジュウゾ様の腹心、マムシですよ。ホッホッホ」
岩の陰からヘビ顔の樹族が現れる。
ジュウゾと違って覆面をしていない。主に諜報や暗殺よりも、伝令であったり優先度の低い表立った掃討任務を専門としているからだ。
シルビィにとって、顔見知り程度でしかないこの男の情報は多くない。それは単に興味がないからだ。
――――お喋りマムシ。
寡黙な者の多い裏側の中でも、珍しくお喋りなこの男は、ジュウゾの腹心などと自称しているが、実際は組織の中で浮いており、誰からも信用されてはいない。
魔法院や元老院に情報を流しているという噂もあるが、誰もその証拠や現場を掴んだ者はいない。
「何用だ? マムシ」
「私の地図を知りませんか? 誰かが宝の地図と間違えて、宝物殿に持っていってしまったのです。陛下が地図をタスネ・サヴェリフェ子爵の褒美に加えた、というところまでは情報を掴んでいたのですが」
「洞窟の隠し扉前に印がついていた地図なら、我々が持っている」
「やはりそうでしたか。十年前にここで平定任務があったでしょう? その時にこの洞窟に、反逆者達が潜んでいるのではと思いましてね。中を探っていたら、あの怪しい隠し扉を見つけたのです。引き上げ命令が出ていましたから、取り敢えず地図に洞窟の場所と、隠し扉の場所に印をつけておいたのです。で、ずっと引き出しの奥にしまって忘れていたのですがねぇ。何故か急に思い出して来てみたら、なんと! 扉が開いているじゃありませんか。先を進んでみたら、シルビィ様がゴブリンと猫人の前で、メソメソと泣いていたというわけですよ。ホッホッホ」
十年も忘れていた隠し扉の事を、急に思い出すわけがない。
彼がマムシと呼ばれる所以は執念深いからだ。恐らく入り口のあの豚人の女は、彼と関わりがあったのだろう。
どんな些細な事でも執念深く追求する彼は、結果的に何もなかったとしても、それを無駄だとは思わない。一つの心配事が減って良かったと感じる程度だろう。
「いや~、しかしこんな所に、茨の隠し森があるとは驚きですねぇ。そしてそこの猫人は反逆者の子供である事にも驚きですよ。私は一度見た顔は覚えていますから」
ビシュッと音がしてマムシの苦無がネココに飛んだが、ロロムの杖に苦無が突き刺さる。
「おや? ゴブリンの癖に中々やるじゃないですか。暗殺者の苦無を受け止めるとは」
シルビィは知っている。
彼らの苦無はただの苦無でない。毒が塗ってあったり、火薬が詰め込まれていたり・・・。
「ロロム殿! 杖を投げ捨てろ!」
ロロムは言われた通り、咄嗟に杖をマムシに向かって投げると、彼もろとも杖は木っ端微塵に飛び散って爆発した。魔法的な仕掛けなのか、爆発音も火薬の臭いもしない。
肉片が散らばって死んだように見えたマムシだったが、地面に落ちているのは粗末な人形の破片だけだ。
木の陰からヘビ顔が静かに現れる。
「判断力といい、反応の速さといい。貴方、エリート種のゴブリンですね?」
ロロムは何も言わなかった。
「う~ん。エリート種が奴隷になるとは考えにくいですねぇ・・・。はいはい、なるほどね。では、貴方! スパイ、という事ですか」
シルビィはロロムを見て弁解するのを待ったが、彼はやはり黙ったままだった。
「ふむふむ。私の勘が囁いています。このゴブリンはきっと大物です、と! 手柄を横取りするようで申し訳ありませんが、彼を拘束させていただきますよ? 王国近衛兵騎士団独立部隊隊長殿? ホッホッホ!」
ロロムのように、杖を失ったマジックキャスターの魔法は心許ない。杖や触媒が有るのと無いのとでは、魔法の威力に大きく差がでるからだ。
いきなりマムシに石が飛んだ。勿論当たりはしない。
「こいつだ!」
石を握りしめたネココが、突然怒り狂う。
「こいつが! 私の親を殺した!」
もう一度石が飛ぶが、マムシは余裕の態度でそれを躱す。
「貴方の顔はご両親に似てますものねぇ。謀反を起こしたリーダーの子供でしょう? 今更、貴方を捕まえたところで、大した情報は出ないと思いますが、一応拷問室まで連行しますか。ホッホッホ! ところでシルビィ様。まさか貴方様は、この者達に手を貸したりなどしませんよねぇ? ああ、そうだ! 良ければ一緒に戦いましょう!」
「断る。もう時効だ。謀反を起こした王族は既に処刑されている。それに彼女は十年の間、反逆の意思を見せなかった」
「シルビィ様にある裁量権はあくまで、一般的な犯罪や謀反の嫌疑がある貴族に対してのもの。反逆者の範疇に入るこの者を、いくらシルビィ様が無罪だと言っても、陛下はどう判断しますかねぇ」
シルビィとの話で、ネココが詠唱を完了していた事に、マムシは気がついていなかった。
「お前が殺した! お前が!」
怒りに震える猫人の召喚士は、レッサーデーモンを召喚して――――、尚且つ武器召喚でナタを出し、マムシに襲いかかった。
しかし、マムシは影に消えて別の場所に姿を表す。言葉通り影に沈んで消えたのだ。
レッサーデーモンは今の状況を見て目を輝かせた。
「今度は何だ? 犬の糞拾いではなさそうだな!」
デーモンは手を突き出して手のひらにマナを集める。敵が誰か判らないので魔法をシルビィに撃つか、マムシに撃つかで迷っていた。
「そこの蛇みたいな顔をした樹族を殺して! 供物はそいつの死体だよ!」
「よしきた!」
手のひらから飛び出た火球が回避行動をとるマムシを連続して襲う。
十発撃って、一発がマムシの肩に当たった。
「痛ッ! 下級とはいえ流石は悪魔。私に攻撃を当てるなんて! 癪に障りますねぇ」
避けながらマムシは苦無を投げた。刺さると起爆する苦無が悪魔に刺さり爆発を起こす。
「残念だなぁ。俺様、炎の悪魔なんだわ」
レッサーデーモンは無傷だ。
「ならば!」
マムシは腰の水袋を手に持つと口に水を含んだ。そして霧状に水を吐いて悪魔に吐きかけると、冷たい霧がそこに発生する。
「炎には水ってか? ハッ! ありきたりな攻撃だなぁ。だがなぁ・・・! 正解なんだな、これが・・・」
裏側が用いる攻撃方法は独特で、シルビィも見たことがないものが多い。
水を噴いただけで攻撃になるなんて馬鹿な事があるか! と思いながらも悪魔を見ると、彼の赤い皮膚が見る間にくすんでいき、空気に溶け込むようにして、この世界から消えた。
炎の力を消された悪魔はこの世界で具現化する力を失ったのだ。
「さてと・・・。後は次の召喚までリキャストタイムのある召喚士と、杖のないゴブリンメイジ・・・」
「メイジだと? フン」
ロロムは自分の事をメイジだと勘違いしているマムシを見て笑った。
「いでよ! グレーターデーモン!」
「ウソをつけ! ブラフだ!」
マムシはグレーターデーモンと聞いて、心の余裕が消し飛ぶ。
地面に光る魔法陣が現れると、本当にグレーターデーモンが這い出てきた。
この悪魔は魔法無効化率が高く、メイジキラーでもある。
それに爪の攻撃は即死級。一撃を耐えられる者がいたとしても、毒や麻痺などの状態異常になる。更に厄介なのが強力な魔法を連発してくるのだ。
「まさか! 貴様も召喚士なのか! これは計算外ですねぇ。召喚士というものは、あまり能力の高さを必要としませんからね。杖がなくても強い悪魔の召喚は出来る。しかしグレーターデーモンとは! ホッホッホ! ですが貴方は運が悪かった」
マムシは懐から退魔の御札を取り出すと、苦無に巻いてグレーターデーモンに投げつけた。
苦無は悪魔に突き刺さらずに、手前の地面に刺さる。
「頼むから、効いてくださいよ。そのアイテムは高価なのですから!」
魔法陣がグレーターデーモンの足元に現れて光りだした。魔法陣は悪魔が出てきた時とは逆に飲み込もうとしている。
地面に徐々に沈んでいく悪魔だったが、咆哮を上げると這い出てきて笑った。
「ガガガ。我は解き放たれた。契約者が我を縛る鎖はもうない。あの魔法陣は、我を縛る鎖だけを地獄に持っていったぞ!」
「マムシめ! 余計な事を」
シルビィは、暴走した悪魔を見て放心するネココとロロムの手を引っ張ると岩陰に隠れた。悪魔の注意はマムシにだけ注がれている。
「退魔札のリスクを考えなかったようだな。失敗すれば悪魔は解き放たれるのだ。馬鹿なことをしてくれた!」
ロロムは焦るシルビィに申し訳なさそうにする。
「私もこれを予想しておくべきでした。まさか退魔の札を持っているとは・・・。グレーターデーモンを見て逃げて出してくれればと思ったのですが」
マムシは悪魔の攻撃を空蝉の術で避け、起爆苦無を投げているが、悪魔には大してダメージを与えているようには見えない。
「助けてください、シルビィ様!」
敢えてこちらを見て声を掛け、隠れている場所を悪魔に教えるマムシに、シルビィは腹が立った。悪魔の注意をこちらに擦り付けたのだ。
「チィ! マムシの奴め!」
グレーターデーモンはゆっくりと振り返り、岩陰のシルビィ達を見つける。凹んだ目の奥で赤い瞳が光った。
「スウォーム!」
何処からか虫の大群が飛んできて、シルビィの皮膚を小さく齧り取る。
「ぐぅ! くそ! 守りの盾!」
シルビィはネココとロロムを岩の隙間に入れると、自分は蓋のようになってスキルを発動した。
「シルビィ殿!」
「シルビィさん!」
いくら防御スキルを発動しているとはいえ、寝間着のままでは大した効果は無い。服が背中からビリビリと破られていく。
自分たちを守って肉をついばまれ、背中から血を流すシルビィを、ネココは怯えながら見ている。この光景は過去にも見たことがあった。
―――あちこちで火が上がり、悲鳴や怒号が飛び交ったあの大虐殺の日。
追ってくるマムシから逃げようと庭の草むらにある抜け穴に飛び込んだ時、彼女の服が木の根っこに引っかかって中々奥へと進めなかった。
そんな自分を急かしもせず、両親は入り口で周りを見張ってくれていた。
ようやく服が木の根っこから外れた頃、両親を呼ぼうとネココがそちらを見ると、両親が穴に覆いかぶさるようにして死んでいたのだ。恐らく両親は死を覚悟して、せめて我が子だけは逃がそうと、穴を隠すようにして倒れたに違いない。
マムシはネココが何処かに走って逃げたと思い込み、抜け穴には気が付かず去っていった。
恐怖と涙と嗚咽を堪えて穴を進んだ先が、この洞窟だったのだ。
「シルビィさん、逃げて! 私達のことはいいから逃げてよ!」
「ぐあぁ! ハァハァ。大丈夫だ。直ぐにダーリンが気づくだろう。守らせてくれ・・・。こんな事で罪が消えるとは思ってはいないが、せめて君を守らせてくれ・・・!」
シルビィは泣いていた。ポタポタと溢れる涙がネココの頬に落ちる。
それを見たネココの頭のなかで、自分を苦しめる過去のトラウマがパリンと音を立て砕け散った。
「ヒジリ!! ヒジリ来てーーーー!」
ネココは岩の中で叫ぶ。
両親と同じ末路を辿ろうとする目の前の騎士に、死んでほしくはない。
ただそれだけを願ってネココはひたすら叫んだ。
「ヒジリーーーー!!!」
「ヒジリ☆連弾!」
ズドドドド! ドドーーン! と近くで音がした。
その後にグレーターデーモンの断末魔の咆哮が聞こえる。
「ウメボシ、直ぐにシルビィの治療を!」
「畏まりました」
肉を啄む虫達は悪魔の消滅とともに消え去った。が、シルビィは生きているのが不思議なくらい酷い状態であった。
しかしそれもウメボシの目から出る光によって、瞬時に元通りになる。
「遅くなってすまない、シルビィ。それからネココ。ロロム殿も怪我はないかね?」
ウメボシは目を吊り上げて怒る。
「全く! マスターは一度寝ると、中々起きないという欠点があります! それを克服してもらわないと、ウメボシは困ります!」
「ウメボシだけでも助ける事が出来ただろう」
「ウメボシの行動決定権の多くは、マスターにあるのですよ! 悪魔を倒せたとしてもシルビィ様の治療は、マスターの許可がなければ出来ません! マスターを待っている間に、きっとシルビィ様は死んでいたでしょう!」
「解った解った。悪かったよ、ウメボシ」
「プンスカ!」
シルビィはふぅと息を吐くと、自分が生きている事を心の中で神に感謝し、岩にもたれかかった。
そのシルビィにネココは抱きつく。
「良かったニャ~。シルビィさんが死ななくて! ありがとうニャ! 守ってくれて!」
「弱き者を守るのが騎士の役目。私は少しだけ騎士になれたと思いたい」
手の甲で目を押さえるとシルビィは涙を隠した。押し寄せる後悔や罪への意識は、ネココの暖かい包容で少し和らいだように思う。
ネココに癒やされていたシルビィだが、ハッとして不愉快な蛇のような顔を思い出す。
「マムシはどうした?」
シルビィの緊張する声に応じるかのように、ウメボシは周囲をスキャニングする。
「その方なら恐らく、あそこの灰の山だと思われます」
ウメボシがビームライトで指し示した少し離れた草むらに、小さな灰の山があった。
シルビィは気の毒と思うと同時に安堵する。
「流石にグレーターデーモン相手に逃げ切れなかったか・・・」
彼が生きていれば、間違いなくジュウゾに報告がいっていただろう。それだけなら問題はない。処罰も覚悟の上だ。しかし、マムシは元老院と繋がりがあるという噂もある。そうなれば間違いなく反王政派が王叩きの材料にしていた。そうなれば自分だけの問題ではなくなる。王の負担を一つ増やす事になりかねないのだ。
あれこれ考えるシルビィの頭をヒジリが撫でた。
「丸腰でよく頑張ったな、シルビィ殿」
ヒジリの笑顔は優しく手は暖かった。また涙がポロポロと溢れる。自分の過去も現在も、全て包容してくれる彼はシルビィにとってこれ以上ない心の拠り所であった。
「うう・・・。ダーリン! 私は! 私は・・・!」
「何も言わなくていい。さぁ寝床に戻ろう」
ヒジリはシルビィとネココを抱きかかえると、消えかけの焚き火が仄かに周囲を照らす寝床へと向かった。
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