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第十三章 黒髪少女の軌跡編
988話 情報
しおりを挟む「ねーねーししょー、いろんな人がいるね!」
「ん? あぁ、さすがに魔導大国だからね。元から住んでいる人はもちろん、外から来る人も多い」
「でも、いろんな姿がいるんだねー」
「あはは、そうだね。それぞれ種族というものがあるんだ、人間族に亜人族、獣人族。亜人族や獣人族の中でもまた種類が分かれているんだけど、亜人や獣人を一括りに『異人』と呼んで……って、難しい話だったね、ごめんよ」
ししょーって、たまに早口になることがあるよな。多分、きょうみのあることを口にするときはそうなるんだろうな。
じゅーじんとかあじんとかってのはよくわからないけど、いろんな人がいて見ていて退屈しないのはたしかだ!
いろんな姿形の人……髪の色の人もいる。
「……」
でも……黒い髪の人は、見当たらないな。
ししょーがこの髪の色はめずらしいって言ってたけど。こんなに人がいるのに、全然いないや。
といっても、これだけ人がいるんだから、別にぼうしで隠さなくてもちゅーもくされないと思うんだけどな。
「まずは、冒険者ギルドに行ってみようか」
「! ぼー……けんしゃ?」
「あぁ。人や情報がたくさん集まるところだよ」
ししょーと手をつないで、そのぼーけんしゃぎるどというところへ向かう。
歩いている最中、思った。ししょーみたいなきんいろの髪も、また目立っちゃうんじゃないかって。
きれいな顔立ちに、きれいなきんいろの髪。みんな見ほれちゃうよなー。そうなると、困っちゃうかも?
「ししょーは、ぼうしで髪とか隠さなくていいの?」
「! あぁ、問題ないよ。認識阻害の魔法をかけてるからね。髪の色や骨格、それらを少しだけ認識をずらしてるんだ。誰も私をエルフとは思わない」
「? えるふ……だと、なにかまずいの?」
「うーん……ちょっと人目を集めすぎちゃうかな。そうなると、動きにくくなるし」
にんしき……っていうのはなんだかよくわからないけど、みんなししょーのびぼーを見ることができないってことみたいだ。
もったいないなー。
そうしているうちに、ししょーは「ついたよ」と行って足を止める。ここが目的ちの……
「冒険者ギルドだよ」
「おー。ししょーの家よりおっきい」
「一人暮らしの一軒家と比べたらそりゃあね」
苦笑いを浮かべるししょーについていき、私はぎるどへと足を踏み入れる。
中は、とても騒がしかった。扉いちまいをくぐっただけなのに、まるで別世界に来てしまったみたいだ。
気のせいか、みんなの視線がこっちに向いた気がした。
「!」
「大丈夫だよ、エラン」
ししょーがそっと、頭の上に手を置いてくれる。それだけで、とても安心する。
こくりとうなずき、足を進める……
「おいおい、ここは子連れで来ていいような場所じゃないぜ?」
「ひっ」
すると、目の前に大きな影が立つ。
見上げると、そこには……大柄でムキムキの男が立っていた。完全に私たちに言っている。
その視線が、私を見た。
「ようかわいい嬢ちゃん、ここは子供の遊び場じゃねえぞ。帰ってママのミルクでも飲んでろよ」
「おい、あいつグリムロードだろ。またかよ」
「最近依頼が失敗続きで、誰でもいいから八つ当たりしたいのさ」
周りでこそこそなにか言っているが、そんなもの耳には入らなかった。
すごいいあつ感が、こわい……自然と、ししょーの手を握る手に力が入る。
「キミ……」
「あの……私、ママいない……」
たぶん私を庇ってなにか言おうとしてくれたししょーにかぶる形で、私の言葉が出た。
怖いけど、ちゃんと言い返さないと。
すると、男は虚を突かれたように目をぱちぱちさせた。
「え、あぁ……そ、そうか……」
「おい、あんな小さな子になに言わせてんだあいつ」
「母親がいないって、絶対触れちゃいけない部分だろ。最低だな」
「知らなかったで済ませていい問題じゃないわよ」
なんでだろう、周りの空気が変わったような。私はただ、しょうじきに言っただけなのに。
記憶がないから、ママもパパもいない。それだけのこと。
すると、ししょーが一歩前に出た。
「そういうわけだ、妙な因縁をつけてこの子を怖がらせるのはやめてくれないか。……殺すぞ」
「ひっ」
ししょーはにこにこした笑顔で……でも、最後あいつの耳元でなにかを言った。それを聞いた男は、さっと顔を青ざめた。
なにを言ったんだろう? あいつ、すごい勢いで出て行っちゃったけど。
それから、周囲はさっきまでと違いしずかになり……ししょーが進むのに合わせて、私も進む。
「先ほどは申し訳ありません。お嬢さんを怖がらせてしまって」
受付のようなところに行くと、そこに立っていた女の人が頭を下げた。
わ、おっぱい大きい人だなぁ。
「だいじょうぶだよ! ししょーがいたから怖くなかったよ!」
「! そう、強い子だね」
本当は、ちょっとだけ怖かったけど。でも、ししょーがいてくれたから、すごく心強かった。
「ギルドの方からも、厳重に注意しておきますので」
「お願いします。それより、昨日頼んでいたことですが……」
「はい、その子が昨日言っていた。
……ですが、すみません。こちらも、手掛かりはなく……」
どうやらししょーは、昨日もここで私の手がかりをさがしてくれていたらしい。
でも、のぞんでいたものは得られなかった……ってことか。
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