史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十三章 黒髪少女の軌跡編

990話 親子

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 あむあむ……と、くしやきってやつを食べる。
 ししょーが作ってくれたお肉の丸焼きもおいしかった……というか素材の味が出てたけど、これはそれ以上だ。

 しょっぱいかんじがして、おいしー!

「ウミぃ? ってなぁに?」

「海って言うのは、塩水がいっぱいの場所……って言えばいいのかな。そのしょっぱいのが、塩って言うんだよ。この辺じゃ珍しいものかな」

「ふぅん」

 正直、記憶のない私にとってはなにがめずらしくてめずらしくないのかよくわからないけど……まあ、いいか。

 あ、もう食べ終わっちゃった。あんまりおいしかったから、むちゅうで食べちゃったよ。
 おじさんは笑いながら、私からくしを受け取った。

「いい食べっぷりだったなぁ、嬢ちゃん。俺ぁ時々この国に来て商売してるんだが、見かけない顔だな。嬢ちゃんも旅人かい?」

「エランだよ。ちょっとやむにやまれぬじじょーがあって、この国の近くに住んでるんだ」

「お、おうそうか。難しい言葉知ってるな嬢ちゃん。俺はタンセンってもんだ」

 しっかし、おっかない人かと思ったら、話してみたらとってもいい人だ。
 人は見た目で判断しちゃいけない、ってことだね。

「ってことは、父ちゃんと二人で観光ってところかい?」

「とうちゃん……」

 とうちゃん、と言うのは……お父さんってことだろう。それが誰を指したものか、考えて……私は、振り向いた。
 隣に立っている、ししょー。私とししょーって、親子に見えているのかな。

 ……なんか、嬉しいかも。

「いや、私たちは……」

「そーなの! おとうさんがおしごとでいつも忙しいからー、今日はいっぱい遊んでもらうの!」

「!?」

 なんとなく、私は全力で乗っかってみた。
 ししょーの手をぎゅっと握り、自分の方に引き寄せてから全力の笑顔で。

 するとおじさんは、「ははは」と笑っていた。

「そうかい、そりゃ嬉しいなぁ。しっかり家族サービスしてやんなよ、お父さん!」

「いや、私は……あ、いったっ。力つよっ」

 おじさんはごうかいに笑いながら、ししょーの背中をばしばしと叩いていた。
 ししょー、うそついてごめんね。でも、なんだか私うれしくなっちゃって。

 それから、おじさんに見送られて私たちは、やたいを後にする。

「はぁ……まだ背中が痛いよ」

「ししょー、大丈夫?」

「原因の一端はエランにあると思うんだけど?」

「……ごめんなさい」

 もしかして、私やりすぎちゃっただろうか。しゅんとしてしまう。
 ただ、ししょーと親子に見られて、嬉しかっただけなんだけどな……

 そう思っていると、ぼうしの上から手を置かれた。

「怒ってないよ。驚いたけど、エランがそうしたいならそれでいいよ」

「! いいの? お父さんでいいの!?」

「っ……あぁ、いいよ」

 ししょーの言葉が嬉しくて、私は目を大きく開いて聞いた。

 そのときのししょーは……なんだか、嬉しそうな、それで同じくらいに悲しそうな。
 そんな顔をしていた。

「さて、他にもいろいろ見て回ろう。半日で回るには、この国は広いからね」

「うん!」

 ししょーと手をぎゅっと握り、私たちは歩き出す。
 人がたくさんいて、いろんな人がいろんなことをしている。あっちでは楽しそうにお話しているし、あっちでは客引き……あっちでは穴を掘っている人もいる。

 こうしてまわりを見ているだけでも、飽きないかも。

「ふむ……エランには、服が何着か欲しいところだな」

「服?」

「あぁ。今着ているもの含めたら、手持ちが心許ないから……それとは別に、ね」

 服、服かぁ。きられればなんでもいいんだけど、まわりを見ると結構おしゃれにしている人も多いし。
 女の子はおしゃれだって聞くけど、私にはあんまりえんがないなぁ。

 ししょーに連れられ、服を売っているお店についた。

「うわぁ」

「どうだい、いろんな服があるだろう」

 確かに、右を見ても左を見ても、服ばかりだ。
 そういうせんもんてん……ってやつかな。さっきまで服なんてどうでもいいと思ってたけど……

 ちょっと、わくわくしてきたかも。

「あ、これかっこいい!」

「……エラン、それは男の子用だと思うけど」

 私たち以外にも、もちろんお客さんはいる。
 あっちにいるのは……私と、おんなじくらいの子だろうか。

「さあて、クレアにはどんな服が似合うかねぇ」

「お母さんお母さん、私あれがいい!」

 ……なるほど、あれが女の子らしい仕草というものか。

「お父さんお父さん、私あれがいい!」

「……エラン、女の子らしい仕草はマネしなくていいから、服を選んでほしいなぁ」

 うーん……とはいっても、私が選ぶのはほとんど動きやすそうなものばかりだ。
 それも悪くないんだけど、ししょーは難しい顔をしていた。

「ししょー?」

「せっかくエランが選んだもの……いやでも、動きやすさ重視でエランには似合っていないような気もする……」

 なんかぶつぶつ言いながら、服とにらめっこしている。
 私のために、そこまで考えなくてもいいのになぁ。

 こんなに服に真剣にいどんでいるの、ししょーくらいじゃないかな……

「すばらしい品ぞろえですわ! ここからここまでの服、すべて購入しますわー!」

「ノマお嬢様、落ち着いてください!」

 ……あっちはあっちで、なんかすごい子がいるなぁ

 その後私たちは結局、ししょーが選んだ数着を買うことにした。
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