史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

文字の大きさ
1,058 / 1,198
第十四章 他学年試合編

1045話 成長したなぁ

しおりを挟む


 魔力を足場に、空中に立っている。浮遊魔法だ。
 別に飛んでいるわけじゃない。けれどうまく足場を作ることができれば、まるで空中を歩いているように見せることができる。

 私がコーロランのクラスと試合をした時に見せた魔法……ダルマスの前では、あの時しか見せてなかったような気もするけど。
 まさか、それだけで自分も使うようにするなんて。

「へぇ、やるじゃん」

「そりゃどうも」

 見た目に反して、わりと使い方の難しい魔法だ。足場となる分だけの魔力を使い、見えない場所に足場を作る。
 自分が作った足場とはいえ、魔力は目に見えない。だから足を踏み外して落下、なんてことも私もよくしたものだ。

 だけどダルマスは……私に狙いをつけさせないよう、あちこちに動き回っている。

「まったく、私との訓練のときには隠してたな」

 浮遊魔法を使ったことに加えて、それを使いこなしている。私と訓練していた時間や、授業中なんかは練習できなかったはずだ。
 そんな限られた時間の中で、ああも扱うとは。

 やっぱり、才能あるな。

「でも、私だって同じことができるんだよ!」

 私はその場からジャンプし、空中で着地……踏み込み、さらに飛ぶ。
 同じく浮遊魔法を使い、上空のダルマスへと向かう。

「あぁ、知っている!」

「せい!」

 私は魔力で強化させた杖を振り上げ、ダルマスは剣を振り下ろす。再びお互いの武器が接触し、鋭い音が響く。
 ……のだけど。先ほどとは違う光景があった。

「はぁあ!」

 気合を入れるダルマスの手に握られている剣の刀身は、赤い炎に包まれていた。

 ……いや、正確には魔力だ。魔力が炎のように見えている。これが、魔導剣士の実力だ。
 彼らが扱う剣を、魔導剣と呼ぶらしい。そして魔導剣が魔術を纏いその力を発揮するとき、『魔剣』と呼ばれるものへ昇華するとか。

 ダルマスは、本来魔導士は杖を使うところを、幼い頃からの訓練で魔導剣を魔導の杖の代わりとして使用している。
 これは、魔導剣士には必須の技術らしい。単純な話、片手に杖片手に剣ではまともに戦えないからだ。

「ぐっ……」

 振り下ろされる重力、身体強化された腕力、魔術を纏う剣……それらは、私の力を上回りぐぐぐ……と押し込んでくる。
 いくら私の魔力量が多いといっても、私だってかよわい女の子だ。男の子には、純粋な力では敵わない。

 なので、力任せの戦い方が無理なら……テクニックで避けるだけ!

「私にばっかり、注目してていいのかなっ?」

「!」

 ダルマスの周囲に、四方から氷の槍を作り出す。それを一斉に、ダルマスへと放つ。
 ダルマスはその場から飛び退き、さらに魔導剣を振るう。炎のような魔力が、氷の槍を焼き払っていく。

「これが……テクニックぅ!」

「どこがだ! だが、さすがの集中力だな!」

 再び私に斬りかかるダルマス。私は全身を魔力強化し、振り下ろされる剣を受け止め……即座に、弾き返す。
 振り下ろされ、弾き、振り抜かれ、弾き……キンキンッ、と激しい音が鳴り響く。

「俺の剣を受け止めながら、別に魔法を展開するとはな! さすがの集中力と、気に食わないほどの余裕だ!」

「わっ、とっ、やっ!」

 ダルマスの剣は、強い。そして速い。いや、どんどん速くなっている?
 ダルマスってば、いつの間にか全身を魔力強化している。あのときは、全身はおろか部分強化しかできなかったのに。

 しかも、剣に魔術を纏わせ、かつ浮遊魔法を使っているのと同時にだ。足場を作り、自身の身体を強化し、剣にも魔術を纏わせる……

「成長したなぁ」

 なんだろ、なんだか嬉しくなっちゃった。こんなときなのに、ついつい笑っちゃうよ。

「なにが、おかしい!」

 だけどダルマスは、私が笑ったのは自分を馬鹿にされたからだと思ったらしい。勢いが強くなる。
 馬鹿にしてるなんて、そんなことないのに。むしろ、褒めてるんだけど。

 って、それはあとあと……このままじゃ、いずれ私が先に尽きる。
 魔力を多く使っているダルマスの魔力が尽きるよりも、多分私が先に押し負ける。

 その前に……

「えいっ!」

「なっ……!?」

 剣を弾き、その隙を狙い杖の先端をダルマスへと向ける。その先端を、一瞬激しく光らせる。
 目くらましだ。この距離なら魔法を撃つのもありだけど、全身強化しているダルマスに生半可な攻撃は効かない。

 それに比べて、目くらましは殺傷能力こそないけど、どれだけ身体が硬くったって意味がない。
 相手に視覚があれば、問わず効果を発揮するのだから。

「ぐっ……目くらましを……っ」

「卑怯なんて、言わないでよね!」

 私はその場から距離を取りつつ、イメージを固める。想像するのは、氷の塊だ。
 炎相手に氷は不利かもしれない。けど、炎の温度を、上回る冷気で凍らせてしまえばいい。

 この魔法は、燃費がいいし威力もいい。結構気に入っている。魔獣にもぶつけたことあるしね。

「飛んでけ!」

 具現化した巨大な氷の塊を、放つ。それはぶつかればただではすまないだろう。
 それに、さっき打ち合った感じ今のダルマスの力や炎じゃあの氷は砕けない。

 ……今のダルマスならね。

「魔剣……」

 ダルマスは、剣を鞘に収める。けれど、それは降参の意味ではない。構えを解かないままだ。
 目は閉じたまま……けれど、それは諦めではなく単に目くらましの影響だ。

 そんな状態で、ダルマスは軽く息を吐く。

「火の型……! 炎天狼牙えんてんろうが!!!」

 そして抜き放った一閃は……氷の塊を真っ二つに砕き、切断面ををはじめに全体を燃やし尽くした。
 目を閉じたまま、タイミングもバッチリ。これは、ダルマスが私の魔法の魔力を視覚頼りではなく感じ取ったことによる。

 そして、今はなったのは……魔導大会でも見た、魔導剣士の本領……!

「面白い……!」

 真っ赤に燃える刀身の先端が、私に向けられていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

無能と蔑まれ敵国に送られた私、故郷の料理を振る舞ったら『食の聖女』と呼ばれ皇帝陛下に溺愛されています~今さら返せと言われても、もう遅いです!

夏見ナイ
恋愛
リンドブルム王国の第二王女アリアは、魔力を持たない『無能』として家族に虐げられ、厄介払いとして敵国ガルディナ帝国へ人質に送られる。死を覚悟した彼女だが、あまりに不味い帝国の食事に耐えかね、前世の記憶を頼りに自ら厨房に立つことを決意する。 彼女が作った温かい家庭料理は、偶然離宮を訪れた『氷の皇帝』レオンハルトの孤独な心を癒していく。やがてその味は堅物騎士団長や宰相をも虜にし、食べた者を癒す奇跡から『食の聖女』と讃えられるように。 価値を知った故郷が「返せ」と言ってきたが、もう遅い! これは、料理で運命を切り開き、最強皇帝から世界一甘く溺愛される、美味しい逆転シンデレラストーリー。

昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ

蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。 とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。 どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。 など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。 そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか? 毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。 敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。 結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。 だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。 「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」 謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。 少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。 これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。 【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】

婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!

山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。 「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」 周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。 アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。 ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。 その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。 そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう
ファンタジー
【火曜、木曜、土曜、に投稿中!】 千年前に起こった大戦を鎮めたのは、最強と恐れられ畏怖された「魔女」を冠する魔法使いだった。 月日は流れ千年後。「永久の魔女」の二つ名を持つ最強の魔法使いトキワ・ルカはふとしたことで眠ってしまいようやく目が覚める。 気がつくとそこは魔力の濃度が下がり魔法がおとぎ話と呼ばれるまでに落ちた世界だった。 代わりに魔術が存在している中、ルカは魔術師になるためアルカード魔術学校に転入する。 けれど最強の魔女は、有り余る力を隠しながらも周囲に存在をアピールしてしまい…… 最強の魔法使い「魔女」の名を冠するトキワ・ルカは、現代の魔術師たちを軽く凌駕し、さまざまな問題に現代の魔術師たちと巻き込まれていくのだった。 ※こちらの作品は小説家になろうやカクヨムでも投稿しています。

処理中です...