史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

文字の大きさ
1,072 / 1,198
第十四章 他学年試合編

1059話 チーム戦

しおりを挟む


 私は、足首を貫かれた痛みを強制的に排除し、シルフィ先輩へと突撃する。
 要は、我慢だ!

 その行動は予想してなかったのか、わずかに先輩の目が見開かれる。
 だけど、すぐに臨戦態勢に入る。

「そんなことをするとは、考えていなかったわけじゃないがな」

 私は無理やり、足首に巻き付いていた血の鞭を引きちぎる。その衝撃で足首にも痛みが走る。
 だけど、気にするもんか!

 私は身体強化の魔法を全身に纏い、鎧のようにする。そのまま先輩に突撃……!

「ぬぐっ……」

 だけど私の動きは、止められた。というより、なにかにぶつかった。
 それは、赤い壁……いや血の壁だ。しかも固く、身体強化してるのにぶつかった頭にぐわんぐわん衝撃が来る。

 血を操れる……だけじゃなくて、固さも自在っぽいもんな。まるで鉄みたいだ。

「でも……!」

 私はその状態のまま、右の拳を握りしめる。それを血の壁へと、思い切り打ち付ける。
 ズドン……と大きな音が響くけど、血の壁はびくともしない。これは、やっぱり固い!

「今の動きの間に、並行して回復魔術を使って血を止めていたか。相変わらずむちゃくちゃな奴だ」

「お褒めに預かり、光栄だよ!」

 もう一発を、打ち込む。ズドン……と音が響くと、僅かにだけどミシミシと血の壁にヒビが入る。
 それを見たシルフィ先輩は「ちっ」と舌打ちをした。

「たった二発で……っ、馬鹿力が……」

「今のは、ただ力任せに殴ったわけじゃないけどね」

 これは、カゼルさんとの手合わせの時に学んだことだ。ただ力任せに殴るのではなく、力の流れを考えて殴る。
 そうすることで、ただ殴るよりも力は一点に集中し、その威力は何倍にもなる。

 ただの身体強化でも、やり方はまだまだあるのだ。

「このままぁ……わっ、とと」

 追撃しようとしたところ、下から魔法が飛んでくる。とっさにそれを避け 、下を確認。
 魔法が飛び交い、まさに大乱闘だ。今のは、別に私を狙ったわけじゃないらしい。

 ……みんな、食い下がってるな。

「どうかな先輩。ウチのクラスもやるもんでしょ」

「……そうかもな」

 ちらっと下を確認したらしい先輩が、小さくつぶやく。まったく、素直じゃないんだから。

 さて、みんな頑張ってるんだから……私ももっと、頑張らないとな!

「いっくよぉ!」

 右拳に、魔力強化……さらに、魔法で氷のグローブを重ね掛けする。
 それを血の壁に打ち込み……壁は、粉々に砕けた。同時にグローブも砕ける。

 すかさず私は、左手に持った魔導の杖を構え……イメージした火の槍を、ぶっ放す。

「っ、ぐ……!」

 それは先輩の腹部に突き刺さり、先輩は苦々しい表情を浮かべた。
 火の槍だ。簡単に抜けないどころか、内側からじわじわと熱を加えていく。

 もちろん、これで仕留められるとは思っていないけど……

「この……」

 隙を作るには、充分だ。このまま魔術を撃ち込む……いや……

「突撃!」

「っ!?」

 私はそのまま突撃し、シルフィ先輩の頬を思い切りぶん殴る。
 先輩のことだ、また私が強力な魔術を使うと予想しているかもしれない。だったら、これならどうだ!

 さっき先輩がやっていたことだ。相手に考える暇を与えず、こっちのペースに持っていく。

「うりゃりゃりゃりゃ!」

 そのまま左を、右を……と、私は拳の連打を浴びせていく。
 ドドドド……と言うには大げさかもしれないけど、一撃入れていく度に重々しい音が響いていく。

 その度に、先輩の血が舞っていき……

「あぐっ……」

 まるでサボテンの棘のようなそれに変化し、私の拳に突き刺さる。
 シルフィ先輩が操る血には、魔力が影響しない。なので、魔力強化し鎧のようになっている拳にも、突き刺さる。

 本当に、厄介だ。でも……

「ぬぅううう!」

 力の限り、シルフィ先輩を殴り飛ばした。
 これは別に、今までぞんざいな態度を取られたことへの鬱憤晴らしも兼ねているわけではない。えぇないですとも。

 殴り飛ばされたシルフィ先輩は地面に落下し、それでもまだ意識はあるのか「くそっ」と起き上がってくる。

「あの時のダルマスは一発で気絶したのにな」

 ま、さすがに基礎が違うってことかな。私たちより一年、鍛え学んできたんだもんね。

 シルフィ先輩は、私を見上げ……睨みつけてくる。
 さっきまで冷静に周りを見ていた先輩が、今は私にしか眼中にない。あれだけ殴れば、当然だろう。

 ……だから、先輩、忘れてるんだろう。

「いっけー!」

「ばぅん!」

「ごはっ!?」

 ……これはクラス同士の、チーム戦だということを。

 私を睨み意識が向いていたおかげで無防備だった横腹に、黒い影が強烈な体当たりをかます。
 それを受け、シルフィ先輩は予想外のダメージに苦悶の表情を浮かべ、吹き飛んでいく。

 シルフィ先輩をぶっ飛ばした黒い影。それは、影というより毛並みそのものが黒いもふもふ。そしてその背に乗る、フィルちゃんのコンビだった。

「やったねもふもふー!」

「わぅん!」

 示し合わせていたわけではないけど、タイミングよくフィルちゃんたちを見つけることができた。そして、気づいてくれと願っていた。

 その願いが通じたのか、今フィルちゃんはこうして、もふもふの背中に乗ってシルフィ先輩をぶっ飛ばしたわけだ。
 そう、もふもふの背中に乗って……

 ……なんかもふもふ、でかくなってない?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はアレク 両親は村を守る為に死んでしまった 一人になった僕は幼馴染のシーナの家に引き取られて今に至る シーナの両親はとてもいい人で強かったんだ。僕の両親と一緒に村を守ってくれたらしい すくすくと育った僕とシーナは成人、15歳になり、神様からギフトをもらうこととなった。 神様、フェイブルファイア様は僕の両親のした事に感謝していて、僕にだけ特別なギフトを用意してくれたんだってさ。  そのギフトが裁縫ギフト、色々な職業の良い所を服や装飾品につけられるんだってさ。何だか楽しそう。

追放された公爵令嬢はモフモフ精霊と契約し、山でスローライフを満喫しようとするが、追放の真相を知り復讐を開始する

もぐすけ
恋愛
リッチモンド公爵家で発生した火災により、当主夫妻が焼死した。家督の第一継承者である長女のグレースは、失意のなか、リチャードという調査官にはめられ、火事の原因を作り出したことにされてしまった。その結果、家督を叔母に奪われ、王子との婚約も破棄され、山に追放になってしまう。 だが、山に行く前に教会で16歳の精霊儀式を行ったところ、最強の妖精がグレースに降下し、グレースの運命は上向いて行く

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

無能と蔑まれ敵国に送られた私、故郷の料理を振る舞ったら『食の聖女』と呼ばれ皇帝陛下に溺愛されています~今さら返せと言われても、もう遅いです!

夏見ナイ
恋愛
リンドブルム王国の第二王女アリアは、魔力を持たない『無能』として家族に虐げられ、厄介払いとして敵国ガルディナ帝国へ人質に送られる。死を覚悟した彼女だが、あまりに不味い帝国の食事に耐えかね、前世の記憶を頼りに自ら厨房に立つことを決意する。 彼女が作った温かい家庭料理は、偶然離宮を訪れた『氷の皇帝』レオンハルトの孤独な心を癒していく。やがてその味は堅物騎士団長や宰相をも虜にし、食べた者を癒す奇跡から『食の聖女』と讃えられるように。 価値を知った故郷が「返せ」と言ってきたが、もう遅い! これは、料理で運命を切り開き、最強皇帝から世界一甘く溺愛される、美味しい逆転シンデレラストーリー。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

処理中です...