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第十四章 他学年試合編
1114話 作戦を立てられたらいいよね
しおりを挟む教室に戻った私たちは、決勝に向けての作戦会議をすることになった。
この後は自由時間なので、そのまま自分の部屋に帰る子もいる。というか試合に負けてしまったクラスの子はそういう人も多いだろう。
だけどこのクラスは、みんなが残っていた。
……筋肉男を除いて。
「まあ強制じゃないんだけどさぁ」
相変わらずのマイペースさというか、自分本位というか……気づいた時には、その姿はもう見えなかった。
ま、今更あいつにチームワークなんてものは求めてないけど。せめて私たちの邪魔をしてくれなければいいかな。
で、作戦会議にあたって教壇に立っているのはサテラン先生……ではなく。
「なんで私が立ってるの」
私だった。みんなに勧められるまま、私が教壇に立っていた。
すると当然、みんなの視線が私に集まる。
これまでにも注目されることは多くあったけど……こうして正面から視線を集めるのは、また違った気持ちがあるなぁ。
「そりゃあ、適任はエランちゃんしかいないじゃない」
「なんといっても、あのゴルドーラ様のことを深く存じ上げてるのですから」
「うむ」
……私が選ばれた理由は、とてもわかりやすいものだった。
戦う相手のことをよく知っている人が先頭に立って、作戦を立てる。なるほど、一理どころか全理あるよ。
でも……
「私ゴルさんとリリアーナ先輩以外知らないよ?」
「二人だけでも知っていれば充分では?」
「そもそもゴルドーラ様をそんな呼び方できるエランちゃんだからこその適任よ」
「ふてぶてし……怖いもの知らずですからね」
「うむ」
まあ、言われてみれば。普通は上級生のクラスの中に知っている相手がいること自体少ないのか。それも相手は三年生だ。
そう考えれば生徒会繋がりでゴルさんとリリアーナ先輩を知っているのは、運がいいのかもしれない。
とはいえ、ゴルさんはともかくリリアーナ先輩の実力はみんな魔導大会で見てたと思うけど。
ま、普段の彼女の性格を知っているのも大事だよな。
「まあ、みんなが私でいいならいいけどさ」
「むしろ他にいないわよ」
「ママせんせー!」
「うむ」
そんなわけで、私がリーダー的なアレになって作戦会議を進めることに。
まあ作戦といっても、結局のところは力押しになるとは思うんだけどね。
そうだなぁ……
「先手必勝、私とクロガネが相手クラスに突撃し数を減らすっていうのは?」
「悪魔みたいな提案ですね」
「前にも似たこと言ってなかった?」
とはいえ、大きな反論はない。
ゴルさんクラスの実力は見た通り。それでも、一人一人を見ればクロガネよりも脅威だとは思えない。
そのため、クロガネを突撃させてボン……さすがにゴルさんなど一部はやっつけられないだろうけど、それでも多数は減らせるはずだ。
「といっても、相手もそれを読んでるんじゃない?」
「そうね。相手がこのクラスで一番警戒してるのは、エランさんでしょうし」
「えへへへへ」
「照れてるんじゃないわよ」
そうだなぁ。警戒する相手への対策を固めるのは定石だし。
私たちが、ゴルさんへの対策を固めようと考えるのと同じ事だ。
それに、逆にゴルさんには私のことが知られちゃってるわけで。どういう性格かもわかっちゃってるかなぁ。
「そもそもエランちゃんの性格なら、開幕速攻を仕掛けると思われてもおかしくないですよ」
「確かに……」
「でも、三年生クラスに大打撃を与えられるといったらエランさんくらいでは?」
「うむぅ」
あちこちから声が上がる。あれはどうだこれはどうだ、いいんじゃないかいやだめだろあむあむうまうま。
そんな中、「あの……」と手を上げる子がいた。
キリアちゃんだ。自然とみんなの注目が集まり、ピクッと肩を震わせる。
珍しいな……このクラスで平民だ貴族だと気にする子はもうあまりいないと思うけど、それでも平民だからと小さくなってたりする子なのに。
それだけ、言いたいことがあるのか。
「だ、大打撃ということなら……だ、ダルマス様も、いけると思い、ます」
「ん」
キリアちゃんの口から出てきた名前に、みんなの視線が次に向くのはダルマスだ。
まさか自分に注意が向くと思っていなかったのだろう。さすがに驚いた様子で、ダルマスは目をパチパチさせていた。
とはいえ、キリアちゃんの指摘はその通りだと思う。
ダルマスの力は、もはやクラスメイトの誰も疑うことはないだろう。魔導剣士としての実力は、疑うところはない。
「確かに……」
「あの破壊力は三年生でもなかなか止められないだろう」
「うむ」
みんな納得したようにうなずき、それからなにがどうなってかダルマスも教壇へと立つことに。
つまり、私の隣だ。
「それじゃあ、私とダルマスが先陣切って三年生クラスに突っ込めばいいんだね?」
「エランちゃんを適任者と言った私たちが言うことでもないけど、やっぱり作戦という作戦ではないわね」
「みんな、自分でやれることをやろう!」
「投げやり!?」
いや違うんだよ、作戦なんて考えても私たちの考えるものなんてたかが知れてるというか。それも全部三年生クラスには筒抜けな気がするというか。
だったら最初から、ただただ突っ込んだ方がいいんじゃないかと思っただけというか。
決して、作戦を立てるのが面倒なわけではなくてね。
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