史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

文字の大きさ
1,145 / 1,198
第十四章 他学年試合編

1132話 人間砲弾

しおりを挟む


 会場に残ったのは、私とゴルさん。そして離れたところでは、クロガネとサラマンドラが戦っている。
 強力な使い魔の戦いは未だ決着はついていないが、疲弊しているのが見て取れる。

 そして疲弊しているのは、私たちもだ。

「やはり残ったのは、俺たちか」

「やはり、って予想してたんだ?」

「そうだろうな、とは思っていたのでな」

 それだけ、ゴルさんが私を買ってくれているということだ。
 ゴルさんとこうして対峙するのは二度目。一度目の決闘の時とは、なにもかもが違う。お互いの力も、考え方も。

 私はゴルさんのことを知っているし、ゴルさんだって私のことを知っている。決闘を通じて、そして同じ生徒会で過ごすうちにお互いを知っていった。
 そして今こうして、クラス単位の試合で向かい合っている。

 なにより……あの頃との一番の違いは、私にはクロガネがいる!

「せっかくだし、最後はド派手にやろうよ」

「……いいだろう」

 私たちは、それぞれの使い魔を呼び戻す。
 私とクロガネ、ゴルさんとサラマンドラ。それぞれがにらみ合う。

 文化祭ではつけられなかった決着を、今ここでつけよう!

「クロガネ!」

「ゴォォオオオ!!」

「ドラ!」

「ジェアアアア!!」

 繰り出されるのは、クロガネの竜魔息ブレス。対してサラマンドラの炎……両者の、魔術にも匹敵する攻撃がぶつかり合った。

 攻撃の衝突は凄まじく、近くにいる私たちはその衝撃をもろに受ける。
 押しも押されもしない互いの攻撃……けれど、私もゴルさんもそれをじっと見ていることはしない。

 互いに飛び出し、二体の攻撃がぶつかり合うその下で私とゴルさんは拳を繰り出した。

「ぬぅう……!」

「くっ……!」

 魔力で強化した拳。これまでにもいろんな相手と拳を打ち合ったりしてきたわけだけど、やっぱりゴルさんのは一味違う。
 拳の衝突、その衝撃でも周囲が……大気が揺れる感覚がある。

 弾けるように拳を引き、逆の手で再び放つ。それはゴルさんも同じだ。
 まるで鏡合わせのように、再び二人の拳がぶつかった。

「相変わらず、凄まじい力だな」

「乙女なんだからもうちょい言葉を選んでよ」

「乙女?」

 ゴルさんは私から視線を外さないまま、足払いを仕掛ける。私は飛んでかわすけど、拳を打ち合ったままそんなことをしては体勢が崩れる。
 そのせいで拳に向ける力も抜け、ゴルさんの拳にふっ飛ばされてしまう。

 ふっ飛ばされ、そのまま背中をなにかに打ち付ける。見上げると、そこにいたのはクロガネだ。

「あたた……ごめんクロガネ、邪魔しちゃった」

『なに、気にすることはない』

 背中にぶつかったのは、クロガネの足か。
 すでにクロガネは、次の行動に移っていた。私を拾い上げると、その場から飛び上がる。けれど、決して遥か上空へ飛んでいくわけではない。

 あくまでも少しの距離を飛び、サラマンドラから距離を取る。そして上空から、再び竜魔息を放った。
 サラマンドラもまた、炎を放つ。二つの攻撃は、まったくの互角だ。

「クロガネ、どうする?」

『契約者はなにを狙っているんだ?』

「狙いってほどでもないんだけど……そうだ! クロガネ、私をあっちに向けて思い切りぶん投げてみてくれない?」

『……』

 なにを言っているんだこいつは、といった表情をしている。まあ、言いたいことはわかるよ、うん。

「でも、そんな顔しないで。別にトチ狂ったわけじゃないから」

『……聞こうか』

 地上からは、サラマンドラが火の玉をいくつも放ってくる。それをクロガネは、翼のはためきで弾き、あるいはかき消し、攻撃が当たらないようにしている。
 器用なことだ。

「クロガネの力で思い切りぶん投げてもらえば、それはもうすごい勢いになると思うんだよ! だから、ね?」

『だから……?』

「人間砲弾、みたいな!」

『……』

 どうしてだろう、クロガネから呆れたようなため息が聞こえた。というかすごく悲しそうな顔をしている。
 やだなぁ、そんな目で私を見ないでよ。

『……まあ、契約者がやれと言うのなら、我はそれに従うが』

 呆れた様子で、けれど私のお願いは聞いてくれるクロガネ。
 早速私を握りしめたまま振り被り……思い切り腕を振り抜き、ぶん投げた。

 向かう先はゴルさんとサラマンドラ。さすがのゴルさんも、面食らった顔をしている。

「なにっ、バカか!?」

「誰がバカじゃい!」

 私は人間砲弾となって、突撃する。その際、魔力強化で全身を固く固めるのも忘れない。
 見えない鎧を全身に着込んでいるようなものだ。その状態での、この勢いでの突撃……当たればサラマンドラだって無事では済まない。

 私は魔導で細かな位置を調整。狙うのはサラマンドラの額!

「いっけぇええええっ……ぇんっ……?」

 ……だけど、狙っていた額にぶつかる前に異変が起こった。というのも、私の身体がぼよんとなにかにぶつかり……軌道をずらされたのだ。
 壁……というよりは、まるでトランポリンみたいな。

 つまりは……魔力防壁を超柔らかくして、私の突撃を受け止めるのではなく跳ね返して軌道を変えてしまおうってことだ。

「ぅわー!?」

 そのまま私は跳ね返り、来た方向……つまりクロガネがいるところへと向かっていく。

『……なにをやっているんだ』

 そして、呆れた様子のクロガネにキャッチされたのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はアレク 両親は村を守る為に死んでしまった 一人になった僕は幼馴染のシーナの家に引き取られて今に至る シーナの両親はとてもいい人で強かったんだ。僕の両親と一緒に村を守ってくれたらしい すくすくと育った僕とシーナは成人、15歳になり、神様からギフトをもらうこととなった。 神様、フェイブルファイア様は僕の両親のした事に感謝していて、僕にだけ特別なギフトを用意してくれたんだってさ。  そのギフトが裁縫ギフト、色々な職業の良い所を服や装飾品につけられるんだってさ。何だか楽しそう。

追放された公爵令嬢はモフモフ精霊と契約し、山でスローライフを満喫しようとするが、追放の真相を知り復讐を開始する

もぐすけ
恋愛
リッチモンド公爵家で発生した火災により、当主夫妻が焼死した。家督の第一継承者である長女のグレースは、失意のなか、リチャードという調査官にはめられ、火事の原因を作り出したことにされてしまった。その結果、家督を叔母に奪われ、王子との婚約も破棄され、山に追放になってしまう。 だが、山に行く前に教会で16歳の精霊儀式を行ったところ、最強の妖精がグレースに降下し、グレースの運命は上向いて行く

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

無能と蔑まれ敵国に送られた私、故郷の料理を振る舞ったら『食の聖女』と呼ばれ皇帝陛下に溺愛されています~今さら返せと言われても、もう遅いです!

夏見ナイ
恋愛
リンドブルム王国の第二王女アリアは、魔力を持たない『無能』として家族に虐げられ、厄介払いとして敵国ガルディナ帝国へ人質に送られる。死を覚悟した彼女だが、あまりに不味い帝国の食事に耐えかね、前世の記憶を頼りに自ら厨房に立つことを決意する。 彼女が作った温かい家庭料理は、偶然離宮を訪れた『氷の皇帝』レオンハルトの孤独な心を癒していく。やがてその味は堅物騎士団長や宰相をも虜にし、食べた者を癒す奇跡から『食の聖女』と讃えられるように。 価値を知った故郷が「返せ」と言ってきたが、もう遅い! これは、料理で運命を切り開き、最強皇帝から世界一甘く溺愛される、美味しい逆転シンデレラストーリー。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

処理中です...