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第十四章 他学年試合編
1137話 試合終わりのその後
しおりを挟む……他学年試合決勝戦。私たちのクラスとゴルさんたちのクラス、その試合の結果は……私たちの敗北で決着がついた。
ただし、ただの決着というわけではない。降参、というものだ。
「アレクシャン、貴様ぁ……!」
当然、みんながそれに納得しているわけもなく。
試合が終了した後の会場に上がり、ズカズカと筋肉男に近づいていくダルマス。そして、その胸ぐらを掴む。
激しい怒りを見せるダルマスだけど、筋肉男はどこ吹く風といった表情だ。
「なにを怒るというんだイ? 表情が醜く歪んでいるヨ」
「これはクラス対抗戦だ! それを、貴様は勝手に降参などと……!」
「最後まで残っていたのがワタシだけなんだ、ワタシがなにを選択しようとも誰になにを咎められる謂れはなイ。違うかイ?」
「このっ……」
筋肉男の言い分は、なにも間違ってはいない。これがクラス対抗である以上、最後まで会場に残っていた筋肉男に選択権はある。
だから降参は、一つの手段だ。
なんだけど……
「降参は認められていル。そうでしょう、サテラン教諭?」
「……あぁ」
「認められていても、だ。相手も一人だった。なにより、貴様は挑むことすらなく降参した!」
「ワタシではゴルドーラ次期国王には勝てないからねェ。自身と相手の戦力差を分析し、冷静に見た結果だガ?」
銀肉男の言葉はわからないこともないし、降参はルールでも認められている。
だから、なんの問題もないはずなんだ。そう、私たちの気持ち以外は。
みんなそれに納得していない。かといって、もう終わってしまったことでもある。
「ワタシのやり方が気に入らないといってもだねェ。ワタシよりも早く負けてしまったキミたちにとやかく言われたくはなイ。恨む相手がいるとするなら、それは早々に離脱してしまった不甲斐ない己ではないのかイ?」
「こいつ……」
「もういいよ、ダルマス」
続く筋肉男の言葉に、ダルマスは拳に力を込めるけど……私は、そっと声をかけた。
全然、私だって納得していない。でも、もう終わっちゃったんだ。
今更どうこう言ったって、仕方のないことなんだ。結果が変わるわけじゃないし、現に筋肉男がゴルさんと戦って勝てるかはわからない。
そもそも、筋肉男の実力がわからないんだけど。
「エラン、しかし……」
「認めたくないけど、そいつの言ってることは正しいし……こうして詰め寄ったって、なんの解決にもならないよ」
「……お前が、そう言うなら」
渋々といった感じで、ダルマスは筋肉男を突き放す。
筋肉男は、乱れてしまった襟部分を直している。素知らぬ顔、といった感じに。
だから私は、その目の前にまで歩いていく。
「んン? どうしたかい、ミス・フィールド」
「不甲斐ないってのは、私自身訂正しないよ。でも、これだけは言っとく。……クラスのみんなで頑張ってきた想いを、あんたの勝手な気持ちで台無しにするな」
「頑張っていれば仮定はどうでもいい、ト? 結果こそが大事だとワタシは思うがね」
「その結果をあんたが台無しにしたんだよ」
「おっと、これは一本取られたナ! ハハハハ!」
……くぅ、私やっぱりこいつ嫌い!
それから筋肉男は、陽気に鼻唄を歌いながらどこかへ言ってしまった。
それを止める人は誰も居なかった。
「……それでは、他学年試合を最後まで勝ち抜いたクラス、前へ」
その後は、他学年試合の成果を称えて表彰式みたいなものがあった。
優勝したゴルさんクラスはもちろん、負けてしまったクラスにも、労いの言葉がかけられて。
最後はあんなになっちゃったけど、振り返ってみれば楽しかった二日間。それが終わったのだ。
「はぁーっ……終わっちゃった」
式が済み、今日は授業はお休みだ。
決勝を戦った私たちには疲労が残っている。結界内のダメージは無力化されても、疲労はそのまま溜まってしまうもんな。
うんと腕を伸ばしていると、あちこちで生徒同士の交流がある。今回のを機に上級生と仲良くなった、って子もいるだろう。
「エランちゃん、お疲れ様」
「! リリアーナ先輩!」
そんな私に声をかけてくるのは、決勝でも対峙したリリアーナ先輩だ。
ふわぁ、やっぱり佇まいがかっこいいなぁ。超絶美人ってこういう人を言うんだ。
私もこんな風に、スラッとしたスタイル抜群になりたいものだよ。
「先輩こそ、お疲れ様。まさか使い魔の毒に最後足を取られちゃうなんて」
「私も、あそこで効果が出るとは思わなかったわ。その後、問題はない?」
「はいっ」
決勝では、リリアーナ先輩の使い魔に苦しめられた。力と力の勝負なら負けるつもりはないけど、まさか搦め手でこられるとは。
同時に、私の今後の課題点も見えてきた。
あんな風に、少しでも隙を見せたら毒で動けなくなる、なんてこともあるのだろう。
「ふふ、ゴルドーラ様の手助けになったのならば、これ以上に光栄なことはないわ」
あぁ、こういう人だよね。ゴルさん大好きなんだからもう。
さて、そのゴルさんはというと……? オーラバッチバチだから、どこにいたってすぐにわかると思うんだけど……
「エラン」
「わひゃあ!?」
ま、まさか後ろから来るとは思わないじゃん!?
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