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第十五章 最高の魔導士編
1154話 師匠えっちだ!
しおりを挟む「心当たり?」
記憶を失ったラッへ、その記憶を取り戻させる方法は……血縁者の魔力を注ぐこと。
あくまで可能性だけど、すごくそれっぽい。だけど、ラッへの血縁者……つまり師匠の行方は知れない。
アスィーも師匠の居る場所はわからないみたいだ。けれど、心当たりがあるという。
それも……今の言い方だと、師匠の居場所に心当たりがあるって意味ではなくて……
「師匠の親兄弟ってこと?」
ただ、師匠の親兄弟って意味なら居ないんじゃないか、と思ってる。私の勝手な想像だけど。
そういえば、師匠とはそういった話をしたこともなかったなぁ。しくったなぁ、師匠自分のこと離さないもんなぁ。
私が知らないだけで、実際には居たのかもしれない。
「いや……というか、先生の血縁者ではないな。その、ラッへという娘の血縁者と言うべきか」
「! ラッへの?」
先ほど言った言葉は、正確なものではなかったらしい。
必要なのはラッへの血縁者……師匠の血縁者というわけではないのだ。その二つは、イコールなようで少し違う。
師匠の血縁者じゃないけど、ラッへの血縁者。それに検討する存在が、一人いる。
「ラッヘの、母親?」
「あぁ」
私の予想は、どうやら当たったみたいだ。アスィーはうなずく。
ラッヘの母親……であるならば、師匠とは血は繋がっていないけど、ラッヘとは血が繋がっている人だ。
つまり、師匠の奥さんかぁ。あの人に奥さん……想像つかねぇ。
「あれ? でもアスィーさっき、師匠に娘がいるなんて聞いたことない……って言ってなかった?」
「あぁ。実際に、先生に子供がいたなんてあの人から聞いたこともないし、見たこともないからな」
なのに、師匠の奥さんに心当たり?
「……先生と懇意にしている、エルフの女性がいたのを思い出した。その人とどれほどの仲だったのかはわからないが……」
「なるほど、可能性があるとしたらその人だと」
こくりと、アスィーはうなずいた。
師匠と仲良くしていた女の人が居たのか。その人がラッヘの母親とは決めつけられないけど……
まったくの手掛かりなしに比べれば、これはすごい情報だ。
「うーん、師匠とそういう関係の女の人……あんまり想像できないなぁ」
「俺も、見ている範囲では手を繋いだり、抱き合ったりしているだけだったが……」
「えっちだ! 師匠えっちだ!」
なんだその面白そう……いや想像もつかない光景は!
けど、実際にそういうことがあったのなら、やっぱり可能性は高いのかもな。
で、アスィーはその人のいるところに心当たりがあるのか?
「その人は、今どこに?」
「……別れたのはずいぶん昔だ。だから、現在居る場所がわかるわけではない。
だがもし、そこを拠点にしたままなら……」
「ずっとそこにいる、なんてことある?」
「どういう理由か知らないが、彼女はその森から出ることが出来ない……と言っていた。その話が嘘でなければ、そこに留まったままと言うのはあり得る話だ」
ふぅむ……アスィーがずいぶん昔って言うからには、そりゃとんでもない昔なんだろうな。エルフの時間間隔をなめちゃいけない。
でも、この話が本当なら、その人は未だ一ヵ所に居るってことだ。
森から出られないってのがよくわかんないけど、まあある府だしそういうこともあるんだろう。多分。
「ずっと同じ場所? ってことは……」
「先生もそこに立ち寄っている可能性は、あるな」
おぉ、確かに! 奥さんがいるところなら、行きたいはずだもんね!
というか、もしかしたら私と暮らしている時も言っていた可能性あるな。何日か家を空けていることもあったし。
……ただ、そうだとしたら疑問がある。師匠はラッヘが死んだと思っていた。奥さんに会っているなら、その誤解は解けそうだけど。
それに、奥さん……いやお母さんがいるのに、ラッヘは一人でこのベルザ国まで来たってことか。
……もう亡くなってる、ってことはないよなぁ。
「その娘の記憶を戻す手がかりがあるとすれば、彼女だ。もしくは、あてもわからない先生を探し出すか……」
「……消息不明の男を探すよりは、一ヵ所に留まったままの人を捜す方が可能性はあるよね」
どちらがいいのか、は考えるまでもない。ラッヘの母親捜し……これが、一番の近道だ。
アスィーを見ると、「どうする?」と聞いてきているようだ。
フィルちゃんはともかく、ルリーちゃんも心配そうに私を見ている。
これから……か。そりゃあ、もちろん……
「会いに行こうよ、ラッヘの母親!」
答えは一つだ。ラッヘの記憶が戻る可能性があるなら、会いに生きたい!
あと単純に、師匠の奥さんだから会ってみたいってのもある。
「まあ、今すぐってわけにはいかないだろうね。そこって、こっから遠い?」
「かなりな」
「そっか……」
まあ、移動手段に関して言えば、クロガネに頼めばどうとでもなる気がするんだけど……
「会いに行こうとは言ったけど、まずラッヘの気持ちを確認しないとね。お母さんに会いたいか……記憶を戻したいかどうか」
こればかりは、人がとやかく言う問題じゃない。
記憶喪失の身として、よくわかることだよ。
ラッヘの気持ちを確認。
それに、行き来の時間は考えないにしても、行った先でなにがあるのかわからない。思わぬトラブルに巻き込まれるかもしれない。
私は認めてないけど、私ってトラブルメーカーってやつらしいし。
だから、しっかり時間に猶予を持って。今は学園の長期休暇だけど、もし今行ってゴルさんたちの卒業式に間に合わない……なんてことになったら目も当てられないしね。
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