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第十五章 最高の魔導士編
1163話 これどうしよう
しおりを挟む「ルリーちゃん、魔力封じの石って、ダークエルフの村にいた頃に……?」
「はい、以前見たことがあります。村の子供が……というか私と同じくらいの子だったんですけど、たまたま拾ったものを村まで持って帰ってきて。魔力が使えないと一時騒然となった記憶があります」
私は声を抑えて、ルリーちゃんに話しかける。
ルリーちゃんがあの石のことを知っているのは、以前見たことがあり、かつ効果を実感したことがあるから……か。
ていうか、闇の魔術と似た感覚だけど、闇の魔術で作ったもの……ってわけではないんだな。
あるいは、ルリーちゃんたちも知らないけど作られたもの……とか。
「おいお前たち、なにをこそこそと話している」
「いや、なーんにも」
ルリーちゃんの正体を知られるわけにはいかないし、こういう話を大声でするわけにもいかない。
ちょびひげ騎士がこっちを怪しんでいるけど、素知らぬ顔だ。
まあとにかく……だ。
「これがあると魔法も魔術も使えないんなら、手っ取り早く壊しちゃったほうがいいとは思うんだけどなぁ……」
「ですが、魔力封じの石はかなり固くて……多分、壊すのは無理だと思います」
自信なさげに、ルリーちゃんが言う。
壊せない石、か……魔石であれば、わりと簡単に砕くことはできるんだけど、そうもいかないらしい。
素手じゃ壊せないのはわかる。魔法が使えれば壊せるのかもしれないけど、そもそも使えないから強い衝撃を与えられないってことか。
こうして考えると、魔導が使えないと一定の力を出せないんだなぁ。
「じゃ、どっか遠くにぶん投げとくか?」
「けど、こんなもんその辺に放置してたら危険だろ」
「あー、それもそうか」
それは確かにそうだ。たとえば、その辺にぶん投げて放置したとして、その辺にモンスターの討伐依頼がでたとしたら。
モンスター依頼を受けた冒険者が魔法で討伐しようとしても石のせいで魔力が使えず、逆に返り討ちに遭う可能性もある。
もちろん、ガルデさんたちみたいに魔導頼りではない人なら……あ、冒険者には魔導士は少ないんだだっけ。だからこそAランクのフェルニンさんが引っ張りだこなんだし。
まあそれを除いても、魔導が使えなくなる自体は避けるべきだ。
今回のようにお偉いさんや行商人、旅人などを野盗なんかが襲った場合でも、魔導を防衛手段にしている人は、魔力を封じられ無力になってしまう。
そこを襲われたらアウトだ。
そう考えると、これどうやって処理すればいいんだ。壊せないし捨てられないし。
「マーチさんなら、なんか対策も知ってそうだけど……」
「これを持ったまま国に帰るのは……正直怖いです」
そうだよねぇ。マーチさんのとこに持っていくってことはこれを国に持って帰るってことで、それはつまりこれを持ったまま国に帰らないといけない。
その間ずっと、魔導が使えないのだ。
それは……怖いよね、うん。
私が素でなんとかするにも、限界があるしなぁ。
「うーん……」
「ならば、我らから一人騎士を護衛としてつけよう」
どうするべきか考えていると、ちょびひげ騎士から思いもよらない提案を受ける。
まさかそんなことを言ってくるなんて思わなかったので、目をパチパチさせてしまう。
……ただ。
「……」
「気持ちはわかるが、そんな顔してやるなよ」
この騎士たちは、黒装束に次々と負けてしまったんだ。そんな人たちを護衛につけられて、大丈夫なものか。
そんな態度が、顔に出てしまったらしい。
とはいえ、魔導なしにそれなりに戦える人が護衛についてくれるのなら、この石を持って国に帰る間も安全に近くなる……かな。
さすがにこれをガルデさんたちに任せていくわけにもいかないし。ヨークリアさんの故郷にこんな物騒なもの持ち込めないしね。
「なら、私が同行します」
「!」
そもそもこの人たちは護衛のためにここにいるのに、私たちを守るために国に戻ることになってもいいのか……そんな疑問を持つけど、それを口にするより先に一人前に出る。
志願したのは、若い男の騎士。……あ、黒装束に一番にやられた人だ。
「頼めるか、キリ」
「はい」
おぉう、なんか話が勝手に進んでいる。
「そもそも、いいの? 護衛の数を減らして、私たちになんて」
「……キミがいなければ、ヨークリア様がどうなっていたことか。これで礼になるとは思っていないが、せめて感謝の意を示したい」
……なんだ、この人わりと素直なところはあるんだな。
ヨークリアさんを守った私たちになにもしないのは、騎士として、人としての矜持が許さない……ってところか。
向こうの護衛が減ってしまうことにはなるけど……ガルデさんたちもいるなら大丈夫か。
「エランさん」
「……そうだね。そういうことなら、ありがたく護衛をつけてもらおうかな。よろしくね、キリさん」
「! はい!」
まあ、ここまでしてくれてるのに却下する理由はないしね。確かに護衛としての力に思うところはあるけど、鎧を着た騎士がいて襲ってこようと考える人はいないだろう。
いやまあいたんだけどさ。
……さて、こいつらの処遇もどうするか、だよね。
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