史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

文字の大きさ
1,176 / 1,198
第十五章 最高の魔導士編

1163話 これどうしよう

しおりを挟む


「ルリーちゃん、魔力封じの石って、ダークエルフの村にいた頃に……?」

「はい、以前見たことがあります。村の子供が……というか私と同じくらいの子だったんですけど、たまたま拾ったものを村まで持って帰ってきて。魔力が使えないと一時騒然となった記憶があります」

 私は声を抑えて、ルリーちゃんに話しかける。
 ルリーちゃんがあの石のことを知っているのは、以前見たことがあり、かつ効果を実感したことがあるから……か。

 ていうか、闇の魔術と似た感覚だけど、闇の魔術で作ったもの……ってわけではないんだな。
 あるいは、ルリーちゃんたちも知らないけど作られたもの……とか。

「おいお前たち、なにをこそこそと話している」

「いや、なーんにも」

 ルリーちゃんの正体を知られるわけにはいかないし、こういう話を大声でするわけにもいかない。
 ちょびひげ騎士がこっちを怪しんでいるけど、素知らぬ顔だ。

 まあとにかく……だ。

「これがあると魔法も魔術も使えないんなら、手っ取り早く壊しちゃったほうがいいとは思うんだけどなぁ……」

「ですが、魔力封じの石はかなり固くて……多分、壊すのは無理だと思います」

 自信なさげに、ルリーちゃんが言う。
 壊せない石、か……魔石であれば、わりと簡単に砕くことはできるんだけど、そうもいかないらしい。

 素手じゃ壊せないのはわかる。魔法が使えれば壊せるのかもしれないけど、そもそも使えないから強い衝撃を与えられないってことか。
 こうして考えると、魔導が使えないと一定の力を出せないんだなぁ。

「じゃ、どっか遠くにぶん投げとくか?」

「けど、こんなもんその辺に放置してたら危険だろ」

「あー、それもそうか」

 それは確かにそうだ。たとえば、その辺にぶん投げて放置したとして、その辺にモンスターの討伐依頼がでたとしたら。

 モンスター依頼を受けた冒険者が魔法で討伐しようとしても石のせいで魔力が使えず、逆に返り討ちに遭う可能性もある。
 もちろん、ガルデさんたちみたいに魔導頼りではない人なら……あ、冒険者には魔導士は少ないんだだっけ。だからこそAランクのフェルニンさんが引っ張りだこなんだし。

 まあそれを除いても、魔導が使えなくなる自体は避けるべきだ。
 今回のようにお偉いさんや行商人、旅人などを野盗なんかが襲った場合でも、魔導を防衛手段にしている人は、魔力を封じられ無力になってしまう。
 そこを襲われたらアウトだ。

 そう考えると、これどうやって処理すればいいんだ。壊せないし捨てられないし。

「マーチさんなら、なんか対策も知ってそうだけど……」

「これを持ったまま国に帰るのは……正直怖いです」

 そうだよねぇ。マーチさんのとこに持っていくってことはこれを国に持って帰るってことで、それはつまりこれを持ったまま国に帰らないといけない。
 その間ずっと、魔導が使えないのだ。

 それは……怖いよね、うん。
 私が素でなんとかするにも、限界があるしなぁ。

「うーん……」

「ならば、我らから一人騎士を護衛としてつけよう」

 どうするべきか考えていると、ちょびひげ騎士から思いもよらない提案を受ける。
 まさかそんなことを言ってくるなんて思わなかったので、目をパチパチさせてしまう。

 ……ただ。

「……」

「気持ちはわかるが、そんな顔してやるなよ」

 この騎士たちは、黒装束に次々と負けてしまったんだ。そんな人たちを護衛につけられて、大丈夫なものか。
 そんな態度が、顔に出てしまったらしい。

 とはいえ、魔導なしにそれなりに戦える人が護衛についてくれるのなら、この石を持って国に帰る間も安全に近くなる……かな。
 さすがにこれをガルデさんたちに任せていくわけにもいかないし。ヨークリアさんの故郷にこんな物騒なもの持ち込めないしね。

「なら、私が同行します」

「!」

 そもそもこの人たちは護衛のためにここにいるのに、私たちを守るために国に戻ることになってもいいのか……そんな疑問を持つけど、それを口にするより先に一人前に出る。
 志願したのは、若い男の騎士。……あ、黒装束に一番にやられた人だ。

「頼めるか、キリ」

「はい」

 おぉう、なんか話が勝手に進んでいる。

「そもそも、いいの? 護衛の数を減らして、私たちになんて」

「……キミがいなければ、ヨークリア様がどうなっていたことか。これで礼になるとは思っていないが、せめて感謝の意を示したい」

 ……なんだ、この人わりと素直なところはあるんだな。
 ヨークリアさんを守った私たちになにもしないのは、騎士として、人としての矜持が許さない……ってところか。

 向こうの護衛が減ってしまうことにはなるけど……ガルデさんたちもいるなら大丈夫か。

「エランさん」

「……そうだね。そういうことなら、ありがたく護衛をつけてもらおうかな。よろしくね、キリさん」

「! はい!」

 まあ、ここまでしてくれてるのに却下する理由はないしね。確かに護衛としての力に思うところはあるけど、鎧を着た騎士がいて襲ってこようと考える人はいないだろう。
 いやまあいたんだけどさ。

 ……さて、こいつらの処遇もどうするか、だよね。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はアレク 両親は村を守る為に死んでしまった 一人になった僕は幼馴染のシーナの家に引き取られて今に至る シーナの両親はとてもいい人で強かったんだ。僕の両親と一緒に村を守ってくれたらしい すくすくと育った僕とシーナは成人、15歳になり、神様からギフトをもらうこととなった。 神様、フェイブルファイア様は僕の両親のした事に感謝していて、僕にだけ特別なギフトを用意してくれたんだってさ。  そのギフトが裁縫ギフト、色々な職業の良い所を服や装飾品につけられるんだってさ。何だか楽しそう。

追放された公爵令嬢はモフモフ精霊と契約し、山でスローライフを満喫しようとするが、追放の真相を知り復讐を開始する

もぐすけ
恋愛
リッチモンド公爵家で発生した火災により、当主夫妻が焼死した。家督の第一継承者である長女のグレースは、失意のなか、リチャードという調査官にはめられ、火事の原因を作り出したことにされてしまった。その結果、家督を叔母に奪われ、王子との婚約も破棄され、山に追放になってしまう。 だが、山に行く前に教会で16歳の精霊儀式を行ったところ、最強の妖精がグレースに降下し、グレースの運命は上向いて行く

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

無能と蔑まれ敵国に送られた私、故郷の料理を振る舞ったら『食の聖女』と呼ばれ皇帝陛下に溺愛されています~今さら返せと言われても、もう遅いです!

夏見ナイ
恋愛
リンドブルム王国の第二王女アリアは、魔力を持たない『無能』として家族に虐げられ、厄介払いとして敵国ガルディナ帝国へ人質に送られる。死を覚悟した彼女だが、あまりに不味い帝国の食事に耐えかね、前世の記憶を頼りに自ら厨房に立つことを決意する。 彼女が作った温かい家庭料理は、偶然離宮を訪れた『氷の皇帝』レオンハルトの孤独な心を癒していく。やがてその味は堅物騎士団長や宰相をも虜にし、食べた者を癒す奇跡から『食の聖女』と讃えられるように。 価値を知った故郷が「返せ」と言ってきたが、もう遅い! これは、料理で運命を切り開き、最強皇帝から世界一甘く溺愛される、美味しい逆転シンデレラストーリー。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

処理中です...