史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十五章 最高の魔導士編

1182話 攫われるフィル

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 目の前で弾けたそれは、私の前で大きく広がり……まるで、私の視界を塞ぐようだった。

 まさか、これが狙いか。私の視界を奪って、その隙に……! いやそれどころか、動けない今の状態じゃあの粘着物体を身体に浴びることになる。
 けど、そう簡単にやられてたまるかってんだ!

「うりゃあ!」

 だいたいこういうものは、火に弱いって相場は決まってるんだ!
 私は自分の足を封じているそれに軽く火を放つ。予想通り、火に弱かったようで溶けていく。

 あちちっ……いや、代わりに熱いんだけどさ……

「知ったことか!」

 動けるようになれば、後は簡単だ。その場から飛び退く。もちろん魔力強化した足でね。
 あいつの姿は見失ったけど、居場所はなんとなくわかる。だから私は、眠っているままのフィルちゃんの下へ。

 ……やっぱり、予想していた通りフィルちゃんの所に走る鳥型亜人の姿があった。

「さ、せ、る、かぁ……!」

「うぉ!」

 私は思い切り走って飛び蹴りをかますけど、それは避けられてしまう。
 けれど、フィルちゃんは無事……か。

「ちっ、うまく逃げてたようだな。評判通りしつこい……」

「……」

 こいつ……これ以上自由にさせていたら、周りの人も巻き込む勢いだ。そうなってしまえば、私の動きもさっき以上に制限されてしまう……か。

 ひと目についてる……こういう時、周りから隠れるような魔術、あるにはあるけど……

「さすがに闇の魔術は使えないよな」

 以前私は、なぜだかわからないけどダークエルフしか使えない闇の魔術を使えたことがあった。
 その闇幕ダークネスカーテンなら、対象……私と鳥型亜人を覆い隠すことは可能だ。だけど、あれは闇の魔術だし……人前で使うのはよろしくないのだと思う。

「ちっ……すぐに済む手はずだったんだがなぁ。あんま派手なことは避けたかったんだよ、騒ぎになるから」

「? なに言って……」

「けど……考えてみたら、騒ぎにした方がやりやすいわ!」

 ぶつぶつとなにかを言う鳥型亜人だけど、にやりと笑う。
 その不気味さに私は咄嗟に杖を構えるけど、相手の行動の方が早い。

 鳥型亜人は地面に手をつく。次の瞬間、地面が魔法陣を描き光りだし……ゴゴゴと地面が揺れる。

「きゃあ!」

「な、なんだこれは!」

 揺れはすぐに大きくなり、地面がべこっ……と盛り上がる。
 そして地面の下から現れるのは、巨大なゴーレムだ。コーロランのものより、ちょっと小さいくらいだ。

 でも、その数は比ではない。なにせ、あちこちに巨大ゴーレムが出現しているのだから。

「これは……」

 実際、私は驚いていた。この大きさのゴーレムを、複数も同時に。
 なにより……あいつ、魔術詠唱してなくなかったか?

 言っちゃなんだけど、全然そんなすごい奴に見えなかったのに!

「ひはは、踏み潰せゴーレム共!」

「やめろ!」

 ゴーレムは命令に従うように、動き出す。
 あんな巨体が動けば、それだけで建物が倒れ地面は揺れ、被害は甚大だ。

 なら一気に、ゴーレムの核を……

「今のうち!」

「あ!」

「よそ見厳禁だ」

 その隙を狙い、私は鳥型亜人に蹴り飛ばされる。
 すっかりゴーレムに気を取られてしまっていた、この野郎。

 すぐに体勢を立て直すけど、鳥型亜人はフィルちゃんを抱きかかえていた。

「お前、フィルちゃんを返せ!」

「やなこった。追うなら追ってこい、周りの奴らがどうなってもいいならな」

 そう言い残し、鳥型亜人は走り出す。魔力強化をしているためか、速い。
 このままじゃ、フィルちゃんが……! だからって、周りの被害を放っておくわけにも……!

「エランちゃん!」

 すると、ゴーレムに複数の魔力弾が当たる。
 直後聞こえてきた声に首を向けると、そこにはこっちに走ってきているクレアちゃんたちがいた。

「みんな!」

「ちょっ、どうなってんのよこの状況! いきなりゴーレムが……」

「さっきの、倒れた三人と魔力封じの石は?」

「それは憲兵に任せて……って、そうじゃなくて!」

 そうか、とりあえずあっちは安心みたいだ。

 ……って、そうだ!

「石! 魔力封じの石があれば、あのゴーレム消せるかも!」

 おあつらえ向きのものがあった! あれはすべての魔導を打ち消す力がある、ゴーレムだって範囲内に入れば例外じゃない。
 あいつが持たせたであろうもので、あいつの魔術を打ち破って……

「いや、それが……あれ、エランちゃんが行っちゃって少ししたら壊れちゃったのよ」

「……こわ?」

 クレアちゃんの言葉に、私は驚く。あの、どれだけ力を入れても壊れなかったものが?
 ということは、あのちっさいのは偽物だった……とか? いや本物とか偽物とか知らんけども。

「ダメです、止まりません!」

 その間にもゴーレムを止めようとしてくれているルリーちゃんだけど、魔法でゴーレムが止まるはずもない。
 私も手を貸したいところだけど……

「行って、エランちゃん」

「ラッヘ?」

「フィルちゃん、連れていかれたんでしょ?」

 状況を把握しているようなラッヘの言葉に、私は小さくうなずいた。
 ゴーレムに気を取られているうちに、フィルちゃんがどこに連れていかれるか。

 でも、ゴーレム相手にみんなに任せてばかりなのは……

「大丈夫、もう少ししたら騒ぎを聞きつけた魔導士が駆けつけてくれるよ。それまで、足止めするから」

 ぱちっ、とウインクしたラッヘは、自身の魔力を一気に引き上げる。

 あれは魔力での身体強化……いや、『限界魔力オーバーブースト』か!
 あれは短時間の間魔力を限界にまで引き上げる。その後動けなくなるけど、すでにこれだけ騒ぎが起きている中増援が来るのは遠くないはずだ。

「……わかった、任せたよ!」

「任された!」

 頼りになる友達にこの場を任せ、私は身体強化を脚力に注ぎ、一気に走り出した。
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