史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第三章 王族決闘編

117話 彼が訪れた目的は

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「エラン・フィールド、体の具合はどうだ」

「ゴゴゴゴゴルドーラ……ッ」

「さま!」

 突然登場した、第一王子。その姿を確認するや、クレアちゃんとルリーちゃんは椅子から勢いよく立ち上がる。
 まあ、いきなり部屋に王子様が入ってきたら、びっくりするよなぁ。

 私はベッドに横たわっているから動けないし、動けたとしても立ち上がるつもりはないけど。

「そう、かしこまらなくていい。楽にしてくれ」

「い、いやぁ……」

「あはは……」

 楽にしてくれ、と言われても困るだろう。
 クレアちゃんの家は下級貴族。ルリーちゃんに至っては平民だ。本来、王子様と同じ空間にいること自体恐れ多い、と感じているのかもしれない。
 ここでは、そんなこと気にしなくてもいいと思うんだけどな。

 ……っと。二人を観察しているのも面白いけど、ゴルドーラがわざわざここに来た理由も聞いとかないとな。

「体の調子は悪くないですよ、良くもないけど。
 ゴルドーラ……様は、なんでここに?」

「……思いの外元気そうだな……と、俺が言えた義理でもないか。
 エラン・フィールド、キミまでかしこまる必要はない。様なんて仰々しくなく、気軽に呼んでくれ」

「じゃあゴルさん」

「……」

 気軽に呼んでくれ、というから、気軽にあだ名を付けてみたのだけど……なんだろうこの空気。
 なんで、クレアちゃんとルリーちゃんはそんな顔をしているんだろう。まるで、私がなにかやっちまったみたいな。

 数秒ほど、妙な静寂が部屋を支配していたけど……ぷっ、と誰かが吹き出す。

「ゴルさん、ゴルさんか……はは、それはいい」

「えっと……?」

「いい、好きに呼べ」

 なにが面白かったのか、くくっと笑ったあと、あだ名の許可が出た。なんだろう、そんなに気に入ったのかなぁゴルさん。
 ていうか……こんな風に、笑う人だったの?

 思い返せば、コーロランと話しているときと、決闘中しかこの人と接したことないから……素の顔なんて、初めて見たかも。
 もっと、とっつきにくい人だと思ってたのに。

「それで……ここに来た理由、だったな」

「あ、はい」

 なんか、調子狂うなぁ……私が本調子じゃないからか?
 親しみやすい、とまではいかないけど、少なくとも近寄りがたい雰囲気は、ない。

「あ、あの……」

「私たち、席を外しましょうか」

 ふと、恐る恐るといった感じに、ルリーちゃんが、そしてクレアちゃんが口を開いた。
 この二人にとっては、これが正真正銘の初対面。私のようにゴルさんの変わり身を知らないとはいえ、やっぱ緊張しているのだろう。

「そうだな……できるとそうしてもらえると、ありがたい。
 友人同士の団らんを、邪魔して悪いが」

「い、いえ、そんな!」

「では、私たち、これで!」

 ゴルさんが私に会いに来た理由……それは、二人にはあまり聞かせたくないものらしい。
 ゴルさんの謝罪を受けつつ、クレアちゃんとルリーちゃんは私に一言二言残して、部屋を出ていった。

 王族に謝罪されるとか、私今日死ぬのかしら……とか思ってないといいけど。

「……座ったらどうです?」

「あぁ……」

 二人きりになった部屋で、いつまでも立たせておくのも忍びないので、そこにある椅子に座るように促す。
 まさか私の見舞いだけが目的ではないだろう。そうなら、クレアちゃんとルリーちゃんを帰す必要もないし。
 とはいえ、一応は見舞いも兼ねてくれているのだろう。でないと、私の体を気遣った言葉はくれないだろう。

 さっきまでクレアちゃんが座っていた椅子に、ゴルさんは腰を下ろす。
 なんだろうなこの空間。話があるってんだから、話し始めるまで待ってればいいのかな……

「先ほどの決闘だが」

 と、考えていたところに、ゴルさんが口を開いた。
 やっぱ、話って決闘のことだよな。

「よく覚えてないけど、私負けちゃったんですよねー、たはは」

「いや、あれは俺の負けだ」

 ……あれぇ? 聞いてた話と違うぞぉ?
 でも、クレアちゃんとルリーちゃんが嘘つくとは思えないし、現に私気絶しちゃったしなぁ……

「結果としては、キミの負けとなった。だが、あれは……実質俺の、負けだ」

 悔しそうに……というよりは、どこか穏やかに話すゴルさん。
 ははぁん、気持ち的な意味で、俺の負けだ……って言いたいのかな、この人は。

 ただ、結果的にゴルさんの勝ち、私の負けという判定は覆らないらしい。

「決闘とは、必ず審判……第三者の立ち会いが必要となる。
 なぜだかわかるか?」

「さあ……なんかそのほうが、かっこいいから?」

 審判がいる理由か……そんなの、考えたこともなかったな。

「……決闘は、開始から終了までを、審判立ち会いの下で行う。それは、決闘の結果は、審判の判断に委ねられるからだ」

「審判の判断」

「そう。最終的に審判がどちらを、勝者としたかで、決闘の結果は決まる。
 あの時、確かに俺はキミに、追い詰められた。負けたと感じたさ。あの場面を見れば、誰もがそう思う」

 だが……と、ゴルさんは続ける。

「あの瞬間、会場全体は爆煙に包まれていた。あの光景を知るのは、俺とキミのみ」

「うーん、なんかまだあんまりそのときのこと、思い出せないんですよね」

「はは、なら俺だけだな。
 ……ともかく、あの場面を第三者も見ていたなら、結果は変わった。だが、爆煙が晴れる前にキミは気絶した……」

 なるほどね、爆煙が晴れたあとは、私が気絶してゴルさんが立っている姿。
 それを見れば誰だって、ゴルさんが勝ちだと思うよな。

 ……そもそも。

「じゃあやっぱり、私負けてるじゃん」

「!」

 結局私が気絶したことに変わりはない。あと一歩まで追い詰めたとしても、そのあと一歩を詰められずに私は、気絶したのだ。
 そんなの、勝ったなんて言えない。

 私の言葉が予想外だったのか、ゴルさんは目を見開いている。なんか新鮮だな。
 この人、もしかしてこのことを言うためにここに来たんだろうか。律儀なことだ。

「思い切りがいいことだ」

「そうかな」

 悔しいけど、負けた事実には違いない。
 小さく笑ったあと、こほん、とゴルさんは咳払いをした。なんか、真剣な顔だ。

「で、だ。決闘直前、それぞれ賭けとして要求したもの……覚えているか?」

「あぁ……」

 決闘前の、互いに要求したあれか……忘れるはずもない。できれば忘れてほしかったけど。
 やっぱり、この人、私のこと引き取りに来たのかな。

「互いの気持ちはなんであれ、決闘には俺が勝ち、キミは負けた……
 この結果はもはや、変えようのない事実だ」

 ま、そこは認めるよ。私負けちゃったもの。

「つまり、キミは俺の要求を呑む必要がある」

「あぁ、やっぱり私、このまま物のように扱われる日々が……」

「そこで、キミにはぜひ、生徒会に入ってもらいたい」

「待って……うん?」

 私を貰う、なんて要求をしてきた男に、いったい私はなにをされるのか。
 物のように扱われるのか、それともこんな美少女をめちゃくちゃにするつもりなのか……変な想像ばかりしてしまう私に……

 生徒会。その単語は、全くの予想外だった。
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