史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第四章 魔動乱編

180話 固い絆で繋がっている召喚主と使い魔

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「はぁー、焦った……」

「焦ったのはこっちよ」

 その後、私は誰かの魔法で下に引き抜かれ、自分のクラスへと戻っていた。細身の身体でよかったよ、もしおっぱいが大きかったらつかえてたかもしれ……
 ……考えるのはやめよう。

 私を引き抜いたあと、先生は上の教室……二年生のクラスに謝りに行った。さすがに問題だったと思っているのだろう。
 壊れた天井も、ささっと直して行った。すごいね。

「いやぁまさか、ハム子ちゃんがあそこまで力が強いとは」

「あー、うん……エランちゃんを殴り飛ばしたもんね」

「すごかったですわねー」

 あんな小さな体で、自分よりもずぅっと大きな相手を殴り飛ばせるなんて。使い魔ってのは、見た目で判断はできないもんだなぁ。
 人は見た目によらない、は人だけじゃないんだなぁって。

 それに、使い魔は召喚者がバカにされたりすると、怒るみたいだ。私としては、少しからかったつもりだったんだけど、ハム子ちゃんはそうは感じなかったらしい。
 こっちが感じている気持ちと、相手が感じた気持ちは違うってことだな。

「いやぁ、人付き合いって難しいよね」

「……どうした急に」

 そんな話をしている間に、二年生の教室に行っていた先生が戻ってきた。
 ちょっとしゅんとしているように見える。肩に乗っているハム子ちゃんも。

「あ、先生」

「さすがに叱られてしまった……って顔してますね。ドンマイです」

「お前……
 いやまあ、その通りなんだが」

 先生は、苦々しい表情を浮かべながらも、私の言葉を肯定した。とはいえ、私にも責任の一端はあるので、ちょっと反省。
 教室内が微妙な空気になってしまったが、気を取り直すように先生は、こほん、と咳払いをする。

「とにかく、だ。使い魔は今のように、術者に対する行動、言動で過剰な反応を示すことがある」

 さらっと授業に戻ったな……とおそらくみんなが思っただろうけど、口にはしなかった。

「それって、ハム子ちゃんは召喚主である先生のことが大好きだから、過剰に反応したってことですか?」

「そういうことだ」

 言い切ったよ……とおそらくみんなが思っただろうけど、やっぱり口にはしなかった。

「さ、お前たち席に戻れ。授業を再会するぞ」

 ハム子ちゃんのかわいさに群がっていた女子たち、そして私が打ち上げられたことに動揺していた男子たち、みんな立ち上がっていたけど、先生の指示で自分の席へと戻る。
 本当にこのまま授業再開するつもりなんだな。いいけど。

 というか、この状況でただ一人で席に座って手鏡を眺めている、あの筋肉男はなんなんだ。

「今見たように、使い魔の力はお前たちが思っている以上に強力だ。まあ、その力は術者の技量によって上下するがな。同じモンスターでも、術者が違えば使い魔の力も違う。
 私のハム子も、こんなに小さくキュートでかわいくてラブリーだが、見た目通りの力しかないと判断するのは誤りだ」

 使い魔の力は、召喚主の技量により決定する……か。召喚されるモンスターがそもそも、召喚主の力量により決定するとはいうけど……どちらかというと、相性の問題なんだろう。
 そこからさらに、大きな力を持つか持たないか。召喚主の技量によって変わる。

 ハム子ちゃんがいい例だ。私としても、あんなに殴り飛ばされたのはいつ以来だっただろうか。
 ……それにしても、先生ハム子ちゃんのことになるとわりと頭緩くなるんだな。
 親バカってやつか?

「使い魔は、契約した時点で術者との繋がりができる。一番わかりやすく言うと、そうだな……感情、視界の共有といったところか」

「先生、感情の共有っていうのは、さっきのエランちゃんの有り様を見てたらわかりますが……視界もですか?」

 おおう、さっきのこと蒸し返すじゃないのクレアちゃん。

「あぁ。もちろん常に共有されているわけではないが……
 術者が念じれば、使い魔の目を通じて使い魔が見ている景色を、見ることができる。
 私の場合は、ハム子の見ている景色をだな」

 なるほど……ああいう小さなモンスターと視界を共有できるとなれば、いろんなことができそうだ。
 たとえば、物を落としちゃってそれが小さな隙間に入り込んだとき……使い魔の視界を共有し、探すことができるだろう。

 それに……

「じゃあ、ハム子ちゃんを使えば女の子のスカートの中見放題ですね」

「!?」

「するかアホか」

 私の何気ない一言を、先生は即座に切り捨てる。あはは、まあそうだよね。
 同時に、女の子たちの視線がチラチラと男の子たちに向けられていた。あー……つまりは男の子が小さな使い魔を召喚したら、その使い魔を悪用してやりたい放題って、私の言葉で思っちゃったわけだ。

 おかげで、男の子たちにあらぬ疑いがかけられてしまった……
 ごめんね!!

「そういえば、ゴルさんのサラマンドラもそうだったもんな……」

 ふと、思い出した。ゴルさんとの決闘のとき、召喚したサラマンドラ……名前はドラ、と、ゴルさんは視界を共有していたのを。
 なので、私の攻撃はことごとく弾かれちゃってたっけ。


『召喚者は、使い魔の視界を通じて、使い魔が見ているものも見ることができる。
 この子、私の使い魔なんかは鳥で飛べるから、遠くの景色も視界を共有できるってことなんだ』


 そして決闘の最中に、師匠の言葉を思い出したわけだ。
 やっぱ、機動力のある使い魔っていうのは、いいよなぁ。小さく素早く動けたり、飛べたり。

 もちろん、ゴルさんのサラマンドラのような、うわぉこれ強い、みたいな一発でわかる使い魔にも憧れる。
 女の子としては、かわいい使い魔を求める気持ち……対して、かっこいい使い魔を求める気持ち。二つの気持ちが、私の中で暴れ回っている!
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