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第四章 魔動乱編
208話 人族と魔の血
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「……なんて?」
マーチヌルサー・リベリアン……通称マーチさん。彼女は子供だけど凄腕の研究員で、ノマちゃんの体を検査した張本人。
そんな彼女から、ノマちゃんを調べた結果が伝えられた……
その言葉は、すんなりと受け入れられるほど、単純なものではなかった。
だって……
『ノマ・エーテンちゃん……キミは、半分人だ。そして、もう半分は魔族だ』
それは、予想もしていない言葉だった。
「半分人で……半分魔族……?」
「……他種族同士の混血は、珍しいわけではない。だが、魔族……?」
私だけでなく、先生とゴルさんも驚いている。
世間知らずと言われる私が知らないだけかと思ったけど……どうやら、人と魔族の血が半分ずつ混じっているというのは、この世界の常識で考えてもおかしいらしい。
そもそも、だ。混血だとゴルさんは言ったけど、ノマちゃんの両親はどっちも人族。
魔族の血が混じることなんて、ありえない。それとも、ノマちゃんのおじいちゃんやおばあちゃん、もっと先祖に魔族がいたとか?
「……わた、くしが……?」
「ノマちゃん……」
半分魔族だなんて言われて、ノマちゃんはどんな気持ちだろう。
私が、同じ立場だったら……わからないな。自分が、人じゃないかもしれないなんて。
「……マーチよ、その検査結果は、真か?」
さらに、驚きを見せるのは……王様だ。今まで堂々と構えていた人が、ここに来てあからさまに動揺している。
王様にとっても、それは聞いたことのない言葉ってことだ。
というか、王様も知らなかったんだな……検査の結果。
「国王陛下も、検査結果は今初めて聞いたのですか?」
「うむ。検査結果が出たのも、つい先程という話だったのでな」
……この検査結果は、マーチさん以外誰も知らない結果、ってことか。
そして、間違いだとは思いたいけど……わざわざ王様が、彼女を研究員として呼び、世間に認知されるほどの有名人だってことは……
その結果に、疑う余地はない……ってことだろう。
だろう、けど……
「いや、ごめん……私、わかんない。半分は人で、半分は魔族? どういうこと?」
わからないことをわからないと、素直に告げる。みんな動揺しているし、私がわからないって言っても変には思われないはずだ。
みんな、私の言葉にうなずいていた。説明してほしいのは、みんな同じだ。
結果だけ伝えられても、わからない……
「うーん、わかんないよね。かくいう私も、よくわかってないんだよ……こんなの、初めてだし」
「初めて……」
「そ。そもそも、魔族ってどんな存在なのか知ってる?」
凄腕の研究員だというマーチさんでも、わからないらしい。それだけ、ノマちゃんに起こった異変が稀だということ。
そして話は、ノマちゃんに混ざっているという魔族の話に。
魔族……か。それは授業で習ったし、師匠にも教えてもらったことだ。
「確か……始まりの四種族ってやつの一つなんだっけ?」
「そう。竜族、鬼族、命族……そして魔族。この四種族が、かつて世界を作ったと言われている。
そして、命族……後のエルフ族が、残る三種族を滅ぼした。これが、この世界の歴史」
「……」
今はエルフ族と呼ばれている命族が、竜族、鬼族、魔族を滅ぼした。正確にはダークエルフが、だけど。
本に書いてあったことと同じだ。だから、エルフ族は世界中から憎まれている。
そして、これが本当の歴史ならば……
「ならば、なぜエーテンの半分が魔族だと? 魔族は、はるか昔に滅んでいる」
「……正確には、彼女には二種類の血が流れている。片方は人族、そしてもう片方が……魔の血だ」
滅んだはずの魔族の血が、なぜノマちゃんに流れているのか……その疑問こそ、マーチさんにもわからないことなんだろう。
だから、結果を伝えるしかなかった。理由がわからないことは説明できないから。
さっきから、ノマちゃんはうつむいたままだ。変に落ち込んでないといいけど……
「……魔の、血……?」
そこで私は、先ほどの言葉を思い出していた……マーチさんの、言葉。ノマちゃんには、人族の血と、魔の血が流れているというもの。
はっきりと魔族の血ではなく、魔の血と言った。この違いは、なんだ?
魔族がはるか昔に滅んだなら、今は魔族の血の……データ、みたいなものはあんまりないはずだ。だから、ノマちゃんに流れているのは正確には、魔族に似た血、ということではないだろうか。
「魔の血……魔力……暴走……」
「フィールド、どうしたいきなり黙ってブツブツと……」
「あー!」
なにかが、引っかかる……頭の隅っこのほうで、こう、なんか引っかかってる。
そう思って、必死に考えて、考えて……思い出した。
思い出したことで、声を荒げてしまった。はっとして、手で口を塞ぐ。
「ど、どうしたのだ?」
あちゃー、王様まで驚かせちゃったよ。
でも、気づいたことがある……これに気づいた瞬間、無意識にも声を上げていた。
「騒いでごめんなさい。でも、気づいたことがあって」
「気づいたこと?」
そうだ、これは私がもっと早くに、気づくべきだったんだ。ノマちゃんの体の中が、おかしくなっていると知ったときから。
ノマちゃんは、"魔死事件"と同じ事件に巻き込まれた。その証拠に、ノマちゃんの体内はぐちゃぐちゃになっていたはずだ。
でも、時間が経つと体の中は元に戻っていたのだという。
……ノマちゃんの体がおかしくなったのは、そのときからだ。
「ほほぉん? なにか、気づいたとな。
ぜひとも、お聞かせ願いたいな?」
マーチさんは、興味ありげに私を見ている。他のみんなもだ。そんな真剣に見られても、困る……
ただ、ここに来てまでもう隠し事をするつもりはない。少なくとも、ノマちゃんの体に起きた異変は、話しておくべきだ。
"魔死事件"で被害者を死に至らしめた原因……被害者の体内の魔力を暴走させ、"魔死者"を生み出していたのは、魔石によるものなのだと。
マーチヌルサー・リベリアン……通称マーチさん。彼女は子供だけど凄腕の研究員で、ノマちゃんの体を検査した張本人。
そんな彼女から、ノマちゃんを調べた結果が伝えられた……
その言葉は、すんなりと受け入れられるほど、単純なものではなかった。
だって……
『ノマ・エーテンちゃん……キミは、半分人だ。そして、もう半分は魔族だ』
それは、予想もしていない言葉だった。
「半分人で……半分魔族……?」
「……他種族同士の混血は、珍しいわけではない。だが、魔族……?」
私だけでなく、先生とゴルさんも驚いている。
世間知らずと言われる私が知らないだけかと思ったけど……どうやら、人と魔族の血が半分ずつ混じっているというのは、この世界の常識で考えてもおかしいらしい。
そもそも、だ。混血だとゴルさんは言ったけど、ノマちゃんの両親はどっちも人族。
魔族の血が混じることなんて、ありえない。それとも、ノマちゃんのおじいちゃんやおばあちゃん、もっと先祖に魔族がいたとか?
「……わた、くしが……?」
「ノマちゃん……」
半分魔族だなんて言われて、ノマちゃんはどんな気持ちだろう。
私が、同じ立場だったら……わからないな。自分が、人じゃないかもしれないなんて。
「……マーチよ、その検査結果は、真か?」
さらに、驚きを見せるのは……王様だ。今まで堂々と構えていた人が、ここに来てあからさまに動揺している。
王様にとっても、それは聞いたことのない言葉ってことだ。
というか、王様も知らなかったんだな……検査の結果。
「国王陛下も、検査結果は今初めて聞いたのですか?」
「うむ。検査結果が出たのも、つい先程という話だったのでな」
……この検査結果は、マーチさん以外誰も知らない結果、ってことか。
そして、間違いだとは思いたいけど……わざわざ王様が、彼女を研究員として呼び、世間に認知されるほどの有名人だってことは……
その結果に、疑う余地はない……ってことだろう。
だろう、けど……
「いや、ごめん……私、わかんない。半分は人で、半分は魔族? どういうこと?」
わからないことをわからないと、素直に告げる。みんな動揺しているし、私がわからないって言っても変には思われないはずだ。
みんな、私の言葉にうなずいていた。説明してほしいのは、みんな同じだ。
結果だけ伝えられても、わからない……
「うーん、わかんないよね。かくいう私も、よくわかってないんだよ……こんなの、初めてだし」
「初めて……」
「そ。そもそも、魔族ってどんな存在なのか知ってる?」
凄腕の研究員だというマーチさんでも、わからないらしい。それだけ、ノマちゃんに起こった異変が稀だということ。
そして話は、ノマちゃんに混ざっているという魔族の話に。
魔族……か。それは授業で習ったし、師匠にも教えてもらったことだ。
「確か……始まりの四種族ってやつの一つなんだっけ?」
「そう。竜族、鬼族、命族……そして魔族。この四種族が、かつて世界を作ったと言われている。
そして、命族……後のエルフ族が、残る三種族を滅ぼした。これが、この世界の歴史」
「……」
今はエルフ族と呼ばれている命族が、竜族、鬼族、魔族を滅ぼした。正確にはダークエルフが、だけど。
本に書いてあったことと同じだ。だから、エルフ族は世界中から憎まれている。
そして、これが本当の歴史ならば……
「ならば、なぜエーテンの半分が魔族だと? 魔族は、はるか昔に滅んでいる」
「……正確には、彼女には二種類の血が流れている。片方は人族、そしてもう片方が……魔の血だ」
滅んだはずの魔族の血が、なぜノマちゃんに流れているのか……その疑問こそ、マーチさんにもわからないことなんだろう。
だから、結果を伝えるしかなかった。理由がわからないことは説明できないから。
さっきから、ノマちゃんはうつむいたままだ。変に落ち込んでないといいけど……
「……魔の、血……?」
そこで私は、先ほどの言葉を思い出していた……マーチさんの、言葉。ノマちゃんには、人族の血と、魔の血が流れているというもの。
はっきりと魔族の血ではなく、魔の血と言った。この違いは、なんだ?
魔族がはるか昔に滅んだなら、今は魔族の血の……データ、みたいなものはあんまりないはずだ。だから、ノマちゃんに流れているのは正確には、魔族に似た血、ということではないだろうか。
「魔の血……魔力……暴走……」
「フィールド、どうしたいきなり黙ってブツブツと……」
「あー!」
なにかが、引っかかる……頭の隅っこのほうで、こう、なんか引っかかってる。
そう思って、必死に考えて、考えて……思い出した。
思い出したことで、声を荒げてしまった。はっとして、手で口を塞ぐ。
「ど、どうしたのだ?」
あちゃー、王様まで驚かせちゃったよ。
でも、気づいたことがある……これに気づいた瞬間、無意識にも声を上げていた。
「騒いでごめんなさい。でも、気づいたことがあって」
「気づいたこと?」
そうだ、これは私がもっと早くに、気づくべきだったんだ。ノマちゃんの体の中が、おかしくなっていると知ったときから。
ノマちゃんは、"魔死事件"と同じ事件に巻き込まれた。その証拠に、ノマちゃんの体内はぐちゃぐちゃになっていたはずだ。
でも、時間が経つと体の中は元に戻っていたのだという。
……ノマちゃんの体がおかしくなったのは、そのときからだ。
「ほほぉん? なにか、気づいたとな。
ぜひとも、お聞かせ願いたいな?」
マーチさんは、興味ありげに私を見ている。他のみんなもだ。そんな真剣に見られても、困る……
ただ、ここに来てまでもう隠し事をするつもりはない。少なくとも、ノマちゃんの体に起きた異変は、話しておくべきだ。
"魔死事件"で被害者を死に至らしめた原因……被害者の体内の魔力を暴走させ、"魔死者"を生み出していたのは、魔石によるものなのだと。
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