史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

文字の大きさ
274 / 1,198
第四章 魔動乱編

269話 おかしな前触れ

しおりを挟む


「せいや!」

 振り下ろされた刃が、獣……魔物の体を切り裂いていく。「ギャオォ」と痛みに悶える魔物は、そのまま息を絶った。
 そうやって、周囲に転がっている魔物の死体は……一体や二体どころではない。もはや十に届く数だ。

 その数を確認し、剣についた血を払い……ガルデさんは、ため息を漏らす。

「ったく、多すぎだろ魔物の数。どうなってんだ」

 さすがに疲れが見えているのだろう。けれど、弱みを見せないのはもしかして私がいるからだろうか。
 ケルさんもヒルダさんも、同様だ。ただ、完全に疲労を隠せてはいない。

 私は今、Bランク冒険者のガルデさんたちと行動を共にしている。その理由こそ、この魔物たちだ。


『またギルドから依頼があってな。すまないが、冒険者の方に同行してもらえないか』


 その話があったのが、今朝。もうお昼を過ぎているから、かれこれ数時間は魔物退治を行っている。
 以前のダンジョン探索のときのように、冒険者ギルドからの依頼を受けて、白羽の矢が立ったのが私というわけだ。

 私も、今回行動を共にするのがまたもガルデさんたちだと聞いて、快く引き受けたわけだけど……

「最近増えてる、魔物討伐の依頼……そうとは聞いていたけど、確かに多いね」

 魔物討伐の依頼自体は、そう珍しくもないみたいだけど……問題は、その数だ。
 今は目撃情報の多い森の中にいるわけだけど、森の中だけでこんなに魔物と出くわすなんて。

 普通、魔物を見かけても周囲にいるのはせいぜいが二、三体。いたとしても、魔物には仲間意識なんてあるはずもなく、互いを認識するや共食いを始める。
 なんせ、魔物には魔石の魔力が溜め込まれている……魔物は魔石を好むから、魔物にとって魔物は大好物だ。
 だから、魔物は群れを成さない。それなのに、こうもあちこちに魔物を見かけるのが異常なんだ。

 しかも、魔物を放置しておけば、さらに魔石を食べて魔獣になりかねない。なので、見つけた時点で早い対処が必要だ。

「ただでさえ魔物ってやつは、骨が折れるってのに」

「けど、前に戦ったのよりはだいぶ楽だよな」

「あぁ。なにより、エランちゃんがいる」

「えへへぇ、どうもどうも」

 今回はどうやら、冒険者ギルドを通してガルデさんたちからの要請だったらしい。なんと、魔物退治に私を指名してくれたのだ!
 ダンジョンのときの活躍が、素晴らしかったみたい。えっへへへぇ。

 ガルデさんたちは冒険者だし、魔物とやり合うこともあるだろうけど……今話したのが、そのダンジョンでの魔物のことだろう。
 ただ、ダンジョン魔物に比べてこの魔物たちが楽、というよりは……この魔物たちに比べてダンジョン魔物が手強かった、のほうが正しい。

 あれは、魔物の中でもまた異質な感じがした。

「しっかし、今回のことといい、以前ダンジョンでのことといい、エランちゃんマジで冒険者にならないか? そしたらぜひウチにほしい」

「ほしいってなんか照れちゃうね」

 私の力を認めてもらえているのは、とても嬉しいことだ。
 でも、最近の私は負け続きだ。だから、褒められても自惚れるようなことはしない。

 自分を鍛え直す。そういった意味でも、今回の魔物討伐に参加したんだけど……

「ま、半分冗談は置いといて、だ。魔物の数も異常だが、なにより……」

「国内に魔物が出てくるのがおかしい、ってことだよね」

 ガルデさんが、話を切り替える。なんか、半分冗談ということは半分本音だという意味にも聞こえるけど、今はスルーしておこう。
 それよりも、問題なのは今ガルデさんが言おうとしたこと。

 その先を続け、その通りだと言わんばかりにガルデさんはうなずく。
 本来、魔物は国の中には出てこない。国内ではモンスターはちゃんと調教されていて、モンスターが魔物になってしまうことはまずない。

 また、外から入り込んでくることもない……これだけの数なら、なおさら。

「俺らも、魔物討伐の依頼を受けたことがあるのは、国の外での話だ。国内に魔物が出たなんて聞いたこともない」

「そういや、こないだ魔獣が出てちょっとした騒ぎになったみたいだな。俺たちは外に出てたから見えないんだが」

 国内には魔物は出ないはず。でも、今回のは間違いなく魔物だ。なぜか、国内に出てきた魔物。
 それに、なんだか胸騒ぎがするのは……私の、気のせいだろうか。

「なんでも、その現場にエランちゃんもいたんだって?」

「え、あぁうん……一応ね。魔獣を倒したのは、先生たちだし」

「けど、前に学園に魔獣が出てきたときは、エランちゃんが倒したんだろう? 短期間に魔獣に複数会って無事とは……やっぱりすげえよ」

 言われた通りに、考えてみれば私よく魔獣と遭遇しているなぁ。普通に暮らしてたら、一生に一度会うかどうかって確率なのに。多分。
 ……もしかして、今回の件もレジーが関わっているんじゃ……いや、レジーは地下の牢屋の中だ。それは無理か。

 ただ、こうして急に魔物が出てきたのが、本当に無関係かとも……思えないんだよなぁ。

「さて……他に魔物はいねえか?」

「妙な気配は感じねえが……油断するなよ」

 魔物の討伐……討伐する数がわかっていれば、楽なんだけど。残念ながら、数は未定だ。
 現れた魔物の討伐、それが依頼内容。その依頼に、数や背景なども調べられれば調べるようにと付け加えられていたらしい。

 とはいっても、こうなった原因も、残っているのかいないのかもわからない魔物の数も……どうやったって、突き止めようがない。
 わかることがあるとすれば……おかしなことが起こっている、だ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はアレク 両親は村を守る為に死んでしまった 一人になった僕は幼馴染のシーナの家に引き取られて今に至る シーナの両親はとてもいい人で強かったんだ。僕の両親と一緒に村を守ってくれたらしい すくすくと育った僕とシーナは成人、15歳になり、神様からギフトをもらうこととなった。 神様、フェイブルファイア様は僕の両親のした事に感謝していて、僕にだけ特別なギフトを用意してくれたんだってさ。  そのギフトが裁縫ギフト、色々な職業の良い所を服や装飾品につけられるんだってさ。何だか楽しそう。

無能と蔑まれ敵国に送られた私、故郷の料理を振る舞ったら『食の聖女』と呼ばれ皇帝陛下に溺愛されています~今さら返せと言われても、もう遅いです!

夏見ナイ
恋愛
リンドブルム王国の第二王女アリアは、魔力を持たない『無能』として家族に虐げられ、厄介払いとして敵国ガルディナ帝国へ人質に送られる。死を覚悟した彼女だが、あまりに不味い帝国の食事に耐えかね、前世の記憶を頼りに自ら厨房に立つことを決意する。 彼女が作った温かい家庭料理は、偶然離宮を訪れた『氷の皇帝』レオンハルトの孤独な心を癒していく。やがてその味は堅物騎士団長や宰相をも虜にし、食べた者を癒す奇跡から『食の聖女』と讃えられるように。 価値を知った故郷が「返せ」と言ってきたが、もう遅い! これは、料理で運命を切り開き、最強皇帝から世界一甘く溺愛される、美味しい逆転シンデレラストーリー。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

処理中です...