史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第六章 魔大陸編

374話 私の全力

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 なんか、流れでドラゴンと戦うことになった。
 ドラゴンの作り出した結界のおかげで、私は魔大陸の悪環境の影響を受けずに済む。

 そのため、全力でぶつかることが、できる!

「ホントに、全力でいいんだね?」

『ウム。ソレニ、負傷シテモコノ結界内ナラバ、回復魔術モ使エルデアロウ』

 ……回復魔術が使えることまで、わかっちゃってるのか。
 ドラゴンが、私に戦いを持ち出した理由はわからない。確かめたいことがある、って言ってたけど。

 だけど、そのことは一旦、忘れよう。今は思いっきり、全力をぶつけるだけだ!

「あいつ、今の状況わかってんのか……」

「そんなエランさんも素敵です!」

 離れて見ている二人には、ちょっと待ってもらうことになる。
 ちなみに魔族は、動けないように縛っている。この結界内なら、魔法で縄を作り出すなんていくらでもできるし。

 あ、死んではいないみたい。

「じゃあ、行くよ!」

 私は、全身へ魔力をおこし、身体を強化する。
 ドラゴンの硬さは、さっきのでだいたいわかってる。生半可に、様子見なんて無意味だ!

 だから、最初から全力だ!

「うりゃぁあああああああ!!」

 私は、その場から踏み込み、勢いをつけて走り出す。
 遠くから、ちまちまと魔法を撃っていても、あの鱗は簡単には傷つけられない。

 だったら、至近距離から、物理的に殴る!

「は、速い……!」

「この結界内じゃ好調になるってのは、間違いじゃないみたいだな」

「せぇえええい!」

 充分に距離を縮め、一気にジャンプ。ドラゴンの顔へと接近する。
 私が近づいている間、ドラゴンは棒立ちのままだった。私を捉えられなかった……わけじゃ、ないだろう。

 私に戦えって言っておきながら、私の力を見るつもりなのか……なら、乗ってあげるよ!

「いっくよぉおおお!!」

 ドラゴンの頭の上にまで、飛ぶ。まさか、たった一回のジャンプで、こんな高さまで飛べるなんて。
 この結界、自分の魔力を、限界値まで高めてくれているんだろうか。

 右手に、魔力を集中させる。この一撃ですべてを決める勢いで……出し惜しみなんて、しない!

「ふんぬらぁあああああああ!!」

 ドラゴンと私の視線が、交差する。
 そのまま私は、握り締めた右手を、ドラゴンの頭部に思い切り、振り落とした。

 ドラゴンの頭……正確には、眉間よりも少し上あたりに、私の右拳が刺さった。

「ぬぅうううううううううううううううう!」

『ォオオオオオオオオオオオォオオオオオ!』

 互いの力が拮抗し、意識しなくても声が漏れだす。
 か、硬い……これ、ドラゴンは魔力で防御を固めては……いないみたいだ。
 つまり、素でこの硬さか……!

 気を抜いたら、私の方が……っ、皮膚が破れちゃいそうだ……!

「ぬぬぬ……ぐ、ぅうううう!」

『!?』

「ん……りゃぁあああああ!!!」

 全身の力を込め、右拳にすべての神経を集中し……私は、渾身の力で、思い切り拳を振るい落とした。
 その結果、ドラゴンの頭は拳に打ち払われ、お辞儀をしたみたいに頭が下がった。

『ヌ……!』

「おいおい、マジか……」

「キャーーーっ、エランさぁああああん!!」

 いっ……たぁい! ていうか、手がめちゃくちゃジンジンする……!
 ドラゴンに私の攻撃が通じた。でも、たった一撃でこれか。

 しかも……

『ホォ……コレハ、想像以上ダ』

 ゆっくりと顔を上げるドラゴン。その目から、闘志は消えていない。
 うぅ、全然聞いてないし……

『次ハ、コチラカラユクゾ』

 ドラゴンの目が、赤く光る。
 やっば……空中じゃ、まともな動きが取れない! 浮遊魔法なら動けるけど、そもそもドラゴン相手に空中戦を挑めるかって話だ!

 いやそれ以前に……この距離で、竜魔息ブレスなんか放たれたら……

「エランさん危ない!」

「え……ぐぅ!?」

 ルリーちゃんの声が聞こえた直後、左半身に強烈な衝撃が走る。
 その衝撃に抗うことができず、私は吹き飛ばされる。地面に打ち付けられ、何度か地面を転がる。

 いっ、つつ……ぜ、全身を魔力で固めたままで、良かった……そうじゃなかったら、どうなっていたか……

「い、まの……尻尾……?」

 急いで体を起こすと、見えたのは……ドラゴンの背後でゆらゆら揺れている、巨大な尻尾だ
 なるほど、あれに体を打たれたのか……ドラゴンの口元にばかり、注目していた。

 ドラゴンに注視したまま、立ち上がる。
 全身を魔力で覆っていても、このダメージか……しかも、ドラゴンにとってはなんてことない、尻尾の一振りで。

「はは、まいったね……」

『先ホドノ拳ハ、中々ダッタ……ダガ、マサカソレデ終ワリカ?』

「まさか!」

 間違いない……私はドラゴンに、試されている。
 そうじゃなかったら、さっきの攻撃だってあんなにすんなり通せたはずが、ないんだ。

 私に戦えなんて言っておいて、力を測るつもりなんて……なかなか、いい性格してんじゃん。

「なんであいつ笑ってんだ……」

「不利な状況にも果敢に立ち向かうエランさん……しゅてき」

「いいよ、じゃあ今度は、こいつでどう!」

 私の全力の魔力は、ドラゴンにたいしたダメージを与えられなかった。
 ならば、お次は魔術だ。こいつなら、どうだ!

 魔導の杖を引き抜き、先端をドラゴンに向ける。
 敢えて目をつぶり、極限まで集中する。

「爆炎で焼き尽くす豪火よ……」

 普通ならば、魔術を使うような戦いで目をつぶるなど、絶対にしない。隙だらけになるから。
 でもドラゴンは、攻撃してこない。その自信がある。

「天地をも焼焦やけこが死火しかと成りて……」

 ならば、以前ゴルさん相手に使ったような、二重詠唱魔術のような小細工もいらない。
 あれももちろん強力だ。でも同じ条件下なら、存分に集中できて一発に全力を乗せられる単発魔術の方が、威力は出る。

「すべてを灰燼かいじんと帰せ!」

 周囲の魔力が、大気を震わせている。精霊さんが、昂っている。
 ここまで集中して魔術を放つのは、ずいぶんと久しぶりだ。

 これが……

紅炎爆発プロミネンスブラスト!!!」

 これが私の、全力だ!!!
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