史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第七章 大陸横断編

442話 魔柱

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 黒髪の悪魔。それが、昔からの言い伝えってやつだと、じいさんは言う。
 昔からって……じいさん以外ここには人も、人が住んでいる形跡もないけど。

 それに、だ。

「ルリーちゃん、知ってる?」

「いいえ」

「ラッヘは……」

「んんー?」

「……だよねぇ」

 そんな言い伝えが昔からあると言うのなら、エルフ族が知っていてもおかしくはない。
 だけど、ダークエルフのルリーちゃんは知らないと言うし、エルフのラッヘは記憶喪失。ただ、知ってたらなにか言っていただろう。

 二人とも、私のことは私個人として見てくれていた。黒髪の悪魔だなんて、そんなものじゃなく。

「エルフ族だからと言って、知っているとは限らん。その話も、この地にのみ伝わるものじゃしの」

 私の疑問を汲み取ったのか、じいさんが言う。
 この地にのみに伝わるもの。だから、エルフ族も知らなくて当然だと。

 その言い伝えは、『黒髪黒目の人間は、この世界に災いをもたらす』というものらしい。

「ありえません! エランさんが、災いをもたらすなんて!」

「はっ、ダークエルフなんぞがそのようなことを言ってもな。説得力はないな」

「そんな……って、エランさん! 杖しまってください!」

 このジジイ、またルリーのことを……!

「離してルリーちゃん! いっぺん痛い目にあわせないと!」

「すごい怖いこと言ってる! 私は大丈夫ですから!
 ……それに、言い方はキツイですけど、なんだかんだ私たちと対話の姿勢を取ってくれてるじゃないですか」

「ん……」

 ルリーちゃんになだめられ、私は軽く息を吐いた。
 言われてみれば、まあ、確かにそうかもしれない。このジジイは、ダークエルフだなんだと言いながら、私たちとちゃんと会話をしている。

 ルリーちゃんがダークエルフだと知ったときのクレアちゃんは、会話どころか私の話もまともに聞いてはくれなかった。
 ルリーちゃんのことをよく知っていたか初めて会ったかで違いはあるけど、それでも落ち着いた対応ではあるのか。

「人間にエルフにダークエルフ……それに、人魚か。どんな組み合わせじゃ」

「ジジ……おじいさん、リーメイのこと知ってるの?」

「ここは海に近いからな。人魚を見かけることも珍しくない。あと小娘お前今なんか言い掛けたろ」

 やっぱり珍妙に見えるよねぇ、この組み合わせ。
 警戒するのも、まあわからないでもないけど。

「なんにしても、私は悪魔じゃないしおじいさんやデンチュウになにかするつもりもない。そういうことだから」

「それなら、それでいいが……あいつらはなぜ、拘束されて連れられているんじゃ?」

「まあそこは、気にしないでよ」

 エレガたちについては、もう触れない方向でお願いしたい。
 じいさんからしたら、黒髪の悪魔が黒髪の悪魔たちを連行しているって変な図になっているんだろうけど。

 それからじいさんは、岩場にどっしりと腰を下ろした。

「ま、お前さんらが黒髪の悪魔じゃろうがダークエルフじゃろうが、わしには関係ないことじゃ。この柱を壊しさえしないのであればな」

 そう言って、じいさんは近くのデンチュウを手のひらで、撫でていく。
 どうやら、この人にとってこのデンチュウはよっぽど大切なものらしい。

 私たちに向かって激しい敵意を向けていたのも、私たちがデンチュウを壊すかもしれない、と思ってしまったからかもしれない。

「そんなに大切なものなんだ、これ」

「ま、そうじゃろうな。なんせ、これが折れれば魔力がなくなってしまうほどの代物らしいからな」

「へぇ…………おん?」

 ……あれ、今このじいさん、なんて言った? なんかすごいこと言わなかった?
 え? なんかあっさり流しそうになったから、変な声出ちゃったよ?

「そ、それって、どういうことなんですか?」

 ルリーちゃんが、聞く。私も気になってしまった。
 ここはただ、通り過ぎようと思っていたのに……魔力がなくなってしまうなんて聞いたら、もう他人事とは思えないから。

「どういうもなにも……遥か昔誰かが作ったこいつが、魔力を放出してる柱、魔柱まばしらじゃからな。
 こいつが壊れれば、魔力の放出もなくなり魔法も魔術もいずれ使えなくなる、と言い伝えられている」

「……」

 さも当たり前のように言うけど……なに、その話。初耳も初耳すぎるんだけど。
 そもそも、魔力を放出している柱? それって……

「え、だって……魔力って、空気中に漂っているもの、なんですよね」

 困惑したように、ルリーちゃんが言う。

「その漂っている魔力は、どこから出てくると思う?」

「! そ、れは……」

 逆に問いかけられて、私はふと考えてしまう。
 今まで当たり前のように、そこにあった魔力。空気中を漂っていた魔力は、いったいどこから発生しているのか?

 そんなの、自然と発生している……っていうわけじゃ、ないのか?

「えっと……じゃあ、なに? このデンチュウ……魔柱は、誰かが作ったもので。その魔柱から魔力が発生している、ってことは……」

 今まで、考えたこともなかった。でも、このじいさんの言うことが、もしも本当なのだとしたら……
 魔力は、自然的に発生したものじゃなくて。人工的に、発生したものってこと?
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