579 / 1,198
第八章 王国帰還編
567話 じゃあお話をしよう
しおりを挟むノマちゃんの部屋にて。ある一点を見つめているリーメイ。
「リーメイ、どうかした?」
「! ううん、なんでもないヨ」
なにか変なことでもあったのかと聞いてみるけど、リーメイは首を振る。
私はなんとなく、リーメイが見ていた先に視線を向けた。
えっと……ブリエさん、の後ろの棚に、人形が置いてある。女の子の人形だ。
ふりふりのドレスを着ていてかわいいけど……あれが、どうかしたのだろうか。
もしかして、リーメイもああいうかわいいのが欲しいのかな?
「ええと……はじめましてですわ」
「あぁ」
あっちでは、ノマちゃんが初対面のシルフィ先輩に挨拶をしている。
ううん、もうちょっと愛想良くしなよ……まあ、誰にでもああらしいから仕方ないのかもしれないけど。
対してノマちゃんは、そんなもの気にした素振りもなく。
「わたくし、ノマ・エーテンですわ! 以後お見知りおきを!」
と、通常運転だ。さすがだね。
「……し、シルフィドーラ・ドラミアスだ。生徒会の、書記をしている」
「まあ! フィールドさんと同じ生徒会ですのね! 道理で二人は仲良しさんなわけですわ!」
「……声がでかい」
すごい、あのシルフィ先輩が圧されている。
というか、私とシルフィ先輩は仲良いように見えるのか。マジで?
さて、ノマちゃんの名前を使ってせっかくだからノマちゃんの部屋まで来たわけだけど……
さっそく問題発生だ。
なんせ、私たちはこっそりノマちゃんの部屋に来るつもりだった。
それが、いつの間にかレーレちゃんに案内してもらう形になったわけだ。
これじゃあこそこそとお話もできない。
「さて。お嬢様、それでは戻りますよ」
「えー」
どうしようかなと悩んでいたところ、ブリエさんがレーレちゃんに言う。
対してレーレちゃんは、ぷくっと頬を膨らませてしまっている。
おっと、二人ともこの部屋から去るなんて。私の願いが通じたのかな?
「そういえば、さっきレーレのこと追いかけてたもんネ」
「……えぇ、お嬢様にはこの後予定がありますので」
「や! ノマと遊ぶ」
「いけません」
そっか、そういえばさっきはブリエさんがレーレちゃんを追いかけていたんだったな。
レーレちゃんがこの後の予定があるにも関わらずに逃げ出して……ってことか。
まだ小さくても、王女様。きっと私には想像できない、忙しいことがたくさんあるんだろう。
……そう考えると、ゴルさんたちは学業と王族の仕事を並行していたのか。それとも学業に集中していたのか。
駄々をこねるレーレちゃんを、ブリエさんが引っ張っていく。
無情にもぱたんと扉が閉められて、しばし室内は静かになる。
「なんだか嵐のようだったネー」
「そ、そうだね」
まあ、いいや。これで心置きなく、お話ができる。
お話といっても、情報のすり合わせみたいなものだ。特に、王族の近くで観察できるノマちゃんの意見は貴重だ。
改めて、この場にいるのは洗脳されていないメンバーであることを確認。
ただ、私は一時国から離れていたしリーメイは元々外に住んでいた。
国の様子が変わったのが一番わかっているのは、ノマちゃんとシルフィ先輩だ。
その上、ノマちゃんとシルフィ先輩とではそれぞれ見る視点も違う。
「本当にどうかしたのかと、自分の頭を疑いましたのよ。
コーロラン様のお父上が亡くなったと聞き、悲しむ間もなく新しく国王が即位したと聞かされて」
「その人物はゴルドーラ様どころか、聞いたこともない名前。
しかも、国中の人間それを疑問に思っていない」
ここで幸運だったのか、二人とも下手に騒ぎ立てずにいたことだ。
周りがおかしい……もしかして自分がおかしいのか、なんて思いながらも、冷静にあろうと努めていた。
もし下手に騒いでいたら、捕まえられていたかもしれない。
「それにしても、意外でしたね」
「なにがだ」
「いや。先輩のことだから、ゴルさんが次の国王じゃないってなったら暴れまわりそうなのに」
「お前は俺をなんだと思っているんだ」
ゴルさん大好き男。
「わたくしの場合は、もうなにがなんだかで慌てる暇もなかったですわ」
「あぁ……」
そうだよね。ノマちゃんはレーレちゃんの要望で、ここで働くことになった。
国王が知らない男になって、その娘のメイドとして働くことになる。こんなの、頭の中がパニックになってしまってもおかしくはない。
もしくは、いろいろありすぎて逆に冷静になったのかもしれない。
「わたくしがこれまでに接した限りでは、あの国王様にもお嬢様にも、怪しいところはありませんが」
「あの小さい少女になにができるとも思えんが……うーむ」
二人とも、腕を組んで考えている。
やっぱり次は国王に会わないとかなぁ。でも、国王はさすがにノマちゃんの友達だからって和える相手じゃないよなぁ。
どうしたもんかな。
「あの、ちょっと気になったんだけド」
ここで、リーメイが手を上げた。きょとんとした様子で、首を傾げている。
なにか気付いたことがあるのかもしれない。
「どうしたの」
「みんなを洗脳しているのは、あのブリエって人だけど、対処はどうすル? 捕まえル?」
「そうだねぇ……
……ん?」
国中の人間を洗脳している黒幕が見つかったとして、その人の処遇をどうするか。
洗脳を解いてもらうのは大前提として、その先は……と、考えていた時。
……リーメイ今、すごいこと言わなかった?
11
あなたにおすすめの小説
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はアレク
両親は村を守る為に死んでしまった
一人になった僕は幼馴染のシーナの家に引き取られて今に至る
シーナの両親はとてもいい人で強かったんだ。僕の両親と一緒に村を守ってくれたらしい
すくすくと育った僕とシーナは成人、15歳になり、神様からギフトをもらうこととなった。
神様、フェイブルファイア様は僕の両親のした事に感謝していて、僕にだけ特別なギフトを用意してくれたんだってさ。
そのギフトが裁縫ギフト、色々な職業の良い所を服や装飾品につけられるんだってさ。何だか楽しそう。
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
無能と蔑まれ敵国に送られた私、故郷の料理を振る舞ったら『食の聖女』と呼ばれ皇帝陛下に溺愛されています~今さら返せと言われても、もう遅いです!
夏見ナイ
恋愛
リンドブルム王国の第二王女アリアは、魔力を持たない『無能』として家族に虐げられ、厄介払いとして敵国ガルディナ帝国へ人質に送られる。死を覚悟した彼女だが、あまりに不味い帝国の食事に耐えかね、前世の記憶を頼りに自ら厨房に立つことを決意する。
彼女が作った温かい家庭料理は、偶然離宮を訪れた『氷の皇帝』レオンハルトの孤独な心を癒していく。やがてその味は堅物騎士団長や宰相をも虜にし、食べた者を癒す奇跡から『食の聖女』と讃えられるように。
価値を知った故郷が「返せ」と言ってきたが、もう遅い!
これは、料理で運命を切り開き、最強皇帝から世界一甘く溺愛される、美味しい逆転シンデレラストーリー。
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています
きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる