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第十一章 使い魔召喚編
856話 お似合いの人って誰だろね
しおりを挟む「うーん……」
「どうかしたんですの?」
部屋に戻った私は、さっきのキリアちゃんとのやり取りを思い出していた。
ダルマスに恋しているキリアちゃんは、まさに恋する乙女ってやつだ。なかなか本人に話しかけられないっていうのも、かわいくていじらしい。
そして、そういうのってまさしく学生って感じがするのだ。
「いや、大したことじゃないんだけど……」
「もしかして、恋のお話ですの!?」
……まだなにも言ってないのにすごいグイグイ来る。しかも、大筋は合ってる。
ただ、合ってるけど合ってない。
「そういうわけじゃないんだけど……いや、なくはないというか……私のことじゃないんだけど……」
「きゃー! ついにフィールドさんにも春が来ましたのね!」
「私のことじゃないって言ってるじゃん!」
盛り上がるノマちゃんは、きゃーっとほっぺたに手を当てて身体をくねくねさせている。
そしてその隣では、ノマちゃんの真似をしたフィルちゃんがくねくねしている。
ノマちゃん、話聞いてよ!
「わたくし、お相手がお相手だけに、クラスの方とそういう話になってもいまいち盛り上がれませんの」
「え、クラスでそういう話してるの?」
「もちろんですわ! 年頃の娘と言えば恋! 恋と言えばわたくしたち!」
し、知らなかった……私の周り、恋の話してる人なんてキリアちゃん以外いないから……
……あれ、ちょっと待てよ。カリーナちゃんに誘われたお茶会で、そういう話もチラホラあったような。
やべ、私全然興味ないから適当に受け流してた。
「と、年頃の女の子って、そういう話をするものなの?」
「ですわ」
「ですわ」
胸を張り自信満々に答えるノマちゃん。そしてまたもノマちゃんの真似をするフィルちゃん。
知らなかった……まさかお年頃の女の子は、恋の話をたくさんするだなんて! 私魔導と師匠の話ばっかだ!
「フィールドさんの恋……わたくし、応援しますわ!」
「なんかすごい話飛んでない!?」
「え? でもそういう話では……」
「ないから!」
いつの間にかノマちゃんの中では、私が誰かに恋をしていることになっている。
恋、恋ねぇ……考えてみても、やっぱりいまいちわからないんだよなぁ。クレアちゃんやルリーちゃんのことは好きだけど、そういう好きとは違うんだよなぁ。
それは、ノマちゃんを見ていればわかる。
そのノマちゃんは、なにやらぶつぶつ言っているけど。
「ふむ……フィールドさんとお似合いなのは、ダルマス様……いや、やはりヨルさんでしょうか」
「ぶはっ!?」
その言葉に、なにも口に含んでいないのに吹き出してしまった。
い、今お似合いって言った!? ヨルのことお似合いって言った!?
「なんであいつ!?」
「だって、ちょくちょく一緒に居るのをお見かけしますし……同じ黒髪黒目でお似合いですし……」
なんて大雑把な理由なんだ!
「雑すぎない!? そもそも一緒ったって、あいつが勝手に絡んでくるだけで……」
「そう! フィールドさんに執拗に絡んでくるあの姿勢! それはまさに……はっ、そうですわ!
きっとヨルさんはフィールドさんに、恋しているのですわ!」
一人でどんどん盛り上がっているノマちゃん。その感情に呼応してか、いつの間にか飛び出していた使い魔もぴょんぴょん跳ねている。
そしてそれを見てフィルちゃんも、手を上げわいわいと踊っている。なんのダンスだろう。
ただ、盛り上がってるとこ悪いけど……
「ヨルはない。絶対にない」
私はきっぱりと断言する。
たくさんいる男の子の中から、ヨルを選ぶだって? ないない。
その言い切った私に、ノマちゃんは残念そうな表情を浮かべた。
「なんでノマちゃんがそんな顔すんの」
「いえ……フィールドさんが言うほど、ヨルさんは悪い人ではありませんわよ?」
「野郎! 私の友達になに吹き込みやがった!」
思えば同じクラスのルリーちゃんも、ヨルに対してはむしろ好印象だ。わりと誰からも好かれるキャラではあるようだ。
だとしても……苦手なものは苦手なわけで。
「ノマちゃんも私と同じ目に遭えば、気持ちがわかるよ」
「初対面で壁際に追い詰められて……というやつですの? 言うほど悪いとは思いませんけど……むしろわたくしは、コーロラン様にならされてもいいですわ」
「そりゃ好きな人相手なら嫌がることもないだろうからね!」
「イヤですわ、好きな人だなんて。ぽっ」
この恋愛脳め……私の話をどこまで真剣に受け止めているのか。それとも、私が考えすぎなのだろうか。
ヨルが悪い人でないってのはわかるし、マヒルちゃんが召喚された今あの話もちょっとは現実味が出てきたし……
それでも、テンセイだのメガミだのは訳わかんないけど。
「まあ、百歩譲ってヨルがいい人でも、私が好きになることはないよ」
「では、フィールドさんの好きな殿方はどういう方を求めますの?」
きょとん、とした様子でノマちゃんは聞く。私の好きなタイプねぇ……
「わかんないよそんなの」
「例えばでもいいんですわ。こう、ぱっと思い浮かんだの」
直感が案外自分の理想なのだ、とノマちゃんは続ける。
うーん……直感……どんなタイプがいいか、かぁ。
「私、誰かと付き合うにしても魔導の競い合いみたいなことはしたいんだと思う」
「えぇ。……え?」
「だから、とりあえずは私と魔力で競い合える人……かな」
とりあえず頭に浮かんだのを考えるけど、魔導の競い合い。これはなかなかいいんじゃないだろうか。
こう、力と力のぶつかり合いでさ。付き合ってるって感じするよ。多分。
どうだ、と私はノマちゃんを見た。
「……それってやっぱり、ヨルさんあたりしかいないんじゃありません?」
「ヤダー!」
……魔力で決めたらそういうことになるのか。ってことはあれかな、顔か? 性格か?
私ってどんな顔や性格が好きなんだ?
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