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第十二章 中央図書館編
913話 やってきました
しおりを挟む「ひゃぁあ」
さて、やってきました中央図書館。休日に、私は一つの建物の前に立っていた。
さすが、王都でも一番と言われるだけの図書館だ。とにかくでかい。そして外装もきれいだ。
それに、入り口には警備の人もいる。人の出入りも多いし、みんな休日でもいろんなこと調べてるんだな。
「ここが中央図書館かぁ。テンション上がってきたぜ」
学園の図書室も大きいけど、規模が全然違う。ここでなら、私の知りたいことも知ることが出来るかもしれない。
私が知りたいのは、大きく分けて三つ。エルフ族について、魔人について、生ける屍について。
使い魔に関しては、ルリーちゃんのアドバイスを受けたキリアちゃんとダルマスの頑張り次第ってところだろう。
それに、魔導に関することじゃないことは、ここの方がいろいろわかるかもしれないのだ。
「……あれ?」
とりあえず図書館に入ろう、と入り口に近づいていったところで、私は見たことのある顔を見つけた。
入り口の門の前に立っている男の人だ。とことこと近づいていく。
「門番のおじさん?」
「ん? ……お、エランちゃんじゃないか」
私が声をかけると、その人物……門番のおじさんは、気さくに手を上げた。
やっぱり、間違いない。私がこの国に来た時に門番をしていたおじさんだ。
その後、"魔死事件"の件で学園に来たこともあったっけ。
でも最近会うことはなかったしな、久しぶりな感じだ。
「どうしたの、こんなところで。もしかして……」
「いや、これも仕事の一環だから。なんか変な想像しようとしてるでしょ」
どうやら、ずっと国の門番をしているわけじゃないらしい。今日は図書館の警備ってところか。
「エランちゃんこそ、なんで……って、図書館に来る理由なんて一つだよな」
「うん、ちょっと調べ物をね。初めて来たんだよ」
「そっか。いやあ、この図書館はすごいぞ。とにかく広いからな」
おじさんは少し自慢げだ。いやあんた入り口の警備してるだけでしょうが。
とはいえ、やっぱりすごいのかここは。
さっきからいろんな人が出入りしてるもんな。調べ物には困らないってわけだ。
「しっかし、エランちゃんは魔導学園の生徒だろ。たいていの調べ物なら学園内で調べられそうなのに、どうしてまた」
「そりゃ、学園だけで済めば楽だったんだけどね。たいていじゃないことなのよ」
「ほぉ」
それに、これは当人以外には誰にも相談できないことだ。当人ってのはもちろん、ノマちゃんとクレアちゃんのこと。
ただ、二人には今日のことは話していない。性格には、二人の身体について調べてくる、とは話していない。
知りたいことがすぐわかるとも限らないし。内容が内容だけに探すのは苦労しそうだし、ただでさえ広いならそれだけでもいろいろ見て回らなきゃいけない。
図書館の閉館時間までに、知りたいことをなにもかも知るのはまず無理だろう。
だから、二人に話していない。ぬか喜びさせてしまう可能性が高いから。
「ま、ゆっくり調べ物をしていくといいさ。って、どうせ調べ物をするならお友達とか連れて来た方がよかったんじゃないか?」
「確かに、探し物をするには人手が多い方がいいけど……限定区域に入れるのは私だけだからさ」
「あぁ、なるほ……ど?」
確かにおじさんの言うように、人手があった方が探し物はしやすい。それでも、一人で来たのには理由がある。
内容が、他の人には任せられないものであること。それと、単純にこれだ。
そもそも、限定区域に入れるのは許可をもらった私だけだ……と。
「それじゃあ、言ってくるねー」
「え、あ、おう気を付け……いや、げ、限定区域? エランちゃん、そこに入れるのか!?」
「まあねー、じゃあねー」
手をひらひらと振り、驚くおじさんと別れを告げた私は図書館の門をくぐり、敷地内へ。
……おぉ、門をくぐっただけなのに、なんだか別世界に来た感じだ。
庭園があって、屋根付きのベンチもいくつかある。外で読書もできるってわけだ。
石造りの道を歩いて、図書館の扉を開く。押し扉だ。
「……わぉ」
中に入ると……まず感じたのは、本のにおい。
学園の図書館に入った時も感じたことだけど、ここはそれ以上だ。髪やらインクやらのにおいがすごい。
それに、静かだ。図書館ではお静かに……という注意書きもあるけど、みんながそれを守っている。
学園とは違い、それこそいろんな人が来るのに……誰一人として、規則を破っていない。
足音を立てるのもためらわれるくらいだ。
「……ま、響くよね」
広い空間だから、歩けば足音も響いてしまう。こつこつと、靴の音が周囲に反響する。
でも、そのくらいじゃ誰も気にしないほど、みんな集中している。すごい集中力だ。
それに……聞いていた通り、確かに広い。すんごく広い。
「えぇと……限定区域は……」
本棚に揃えられた本は、各ジャンルごとに分けられているんだろう。でも今私が探しているのは、本ではない。
探しているのは、限定区域への道。
普通にまずここで調べてもいいんだけど……私が求めている情報は、一般人が取れる場所にはないだろう。
だったら、最初から限られた人しか入れない場所で目当ての本がないかを探した方が、いい。
「……お、あそこかな」
きょろきょろと館内を歩いていると、限定区域の入口へ繋がる道を見つけた。
その隣には、受付のお姉さんと数人の警備員……おぉ、筋肉ムキムキだ。
なるほど、厳重だねぇ。
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