史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十二章 中央図書館編

971話 知らないことはワクワクする

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「おや、もうこんな時間ですね」

 と、イルスさんが口にする。
 私もその言葉に反応して窓の外を見ると、空はすっかりオレンジ色だ。

「わ、いつの間に」

 オートラインさんに誘われた時はまだ、お昼時って感じだったのに。
 そうだよなぁ、午前中はお城行ってたんだ。すっかり昔のことみたいだなぁ。

「そろそろ帰った方がいいかなぁ。もぐもぐ」

「菓子摘まみながら言うんじゃねえよ」

 結局、お茶にお菓子にとあれこれ出してもらっちゃった。おかげでお腹いっぱいだ。

「申し訳ありません。ご主人の変な趣味に付き合わせてしまって」

「いかがわしいことしてるみたいな言い方やめろ」

「いやあ、いいですよ。どうせ今日はあの時もう暇だったし」

 なにしようかなってときにオートラインさんと会って誘われたんだし、いい暇つぶしにはなったって感じだよ。

 そろそろ帰宅しようと準備を始める。まあ荷物なんて荷物もないんだけど。

「フィールド嬢、これを」

「え? わっ、お菓子だ」

 イルスさんから、袋詰めにされたお菓子を渡される。
 透明な袋で、中身が見える。さっき食べたおいしいお菓子だ!

 それにリボンでかわいらしく包装もされている。わぁ、なんかすごい。

「どうぞ、本日のお礼です」

「えぇ、えへへ。お礼なんて」

「こちらが無理やり引き留める形になってしまいましたから。帰ってからお食べください」

 うーん、別にお菓子とかいいんだけどなぁ。でもまあ、善意で渡してくれるならありがたくもらっておこうかなぁ。
 えへへへへ。

「お菓子好きとか、少しは女らしいとこあんじゃねえか」

「女だよ!」

「ま、そんなんで喜ぶとかまだまだガキだけどな」

「そのガキに求婚なさっていたのは誰でしたっけ」

「だ、だからあれは違うっての。俺とあんなにやり合えるなんてそんなにいねえから、度々俺と手合わせしに来いって意味でなぁ」

 二人の軽口を見ていると、なんだか和むなぁ。
 結局二人の関係はわからずじまいだったけど。こうして遠慮なく言い合いが出来る相手ってのはいいもんだよね。

 さて、荷物も持ったしお菓子も持ったし。帰るとしますか。

「それじゃ、私帰りますね」

「えぇ。ぜひまたいらしてください。あ、この人に無理に付き合う必要はないので」

「あはは」

 二人とお別れを告げてから、私は家の外に出る。
 最後までイルスさんは見送ってくれたけど、オートラインさんは部屋の中に……

「おい」

「ん」

 振り向くと、さっきまで部屋の中で寝転がっていたオートラインさんが立っていた。
 ちなみに傷口については、充分に反省したと判断されてイルスさんさんに治してもらった。ずっとあのままっていうのもつらいだろうしね。

 てか、見送りとかしてくれるタイプだったんだ。

「まー……なんだ。また来い」

「……ふふっ」

 なんか、ぶっきらぼうだな。でも、らしいっちゃあらしい。
 私はぶんぶんと手を振って、二人に笑ってみせる。

 少し家から歩いていったところで、再び振り返る。こうして見ると、普通の家と変わらない。
 まさか家主は武術のエキスパートが住んでいて、地下にはあんな部屋があるとは思わないだろう。

「それにしても、オートラインさんとも仲良くなるとはなー」

 初めて見かけたときは、私はこの人と関わることはないんだろうなと思っていたけど。
 いつの間にか、手合わせまでしちゃって。私もまだ知らないことを知れて。

 いい勉強になったよ。

「マーチさん、アルミルおじいちゃん、オートラインさんか……」

 それぞれ、開発研究のエキスパート。魔術のエキスパート。武術のエキスパート。
 分野の違いのせいか、アルミルおじいちゃんとオートラインさんはそりが合わないみたいだけど。

 マーチさんはノマちゃんの身体のことをいろいろ調べてくれているし。アルミルおじいちゃんは、ナタリアちゃんの祖父だ。
 学園祭じゃ、二人だけでちゃんと話が出来たはずだ。あの後ナタリアちゃんにもお礼を言われちゃったしね。

 そんで、オートラインさん。荒々しい感じだけど、脳筋ってわけでもない。多分。

「ひひっ」

『嬉しそうだな』

「そりゃ、まだまだ知らないことがいっぱいあるって知れたから! 今からワクワクしちゃって!」

 今日知ったことだって、おそらく武術のエキスパートであるオートラインさんだからたどり着いたことだ。
 強い魔力がなくても、使い方によって大きな力にも対応できる。それも、身体強化の魔法として。

 オートラインさんの段階的な身体強化については、オートラインさん個人のものだからマネはできないけど。それでも、得たものは大きい。

「やっぱさー、自分が知らないことがあるってことは、まだ自分が強くなれる余地があるってことじゃん? それってすっごい……ワクワクするよね!」

『興奮しすぎて語彙力が吹き飛んでいるな。契約者は、生粋の魔導好きなのだな』

「そりゃもう!」

 まあ、たまに戦闘狂とか呼ばれることについては勘弁してほしいんだけどね。

「あ、クロガネもこのお菓子食べる? おいしいよ」

『いや、我には小さすぎる。それでは腹は膨れん』

「そっかー、残念」

 そんな会話をしながら、学園の寮へと戻っていく。
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