俺が作ったダンジョンが次々攻略されるんだが 〜最強ダンジョン攻略者をぎゃふんと言わせたいダンジョン創作者の話〜

白い彗星

文字の大きさ
9 / 20
ダンジョン創造者とダンジョン攻略者

第9話 ダンジョン攻略者に会いに行こう

しおりを挟む


「ずぅうううん……」

「自分で擬音出してへこまないでくださいよ、うざいっすよ」

「うぅうう……」

 俺は今、すごい落ち込んでいた。それはもう、わかりやすいくらいに落ち込んでいた。
 なんせ、懸命に考えて作ったダンジョンを、クレナイにあっさりと攻略されてしまったからだ。なんというこの……無力感!

 はじめは、よかった。クレナイは今回はパーティーに入れてもらい複数人で挑んできたが、能力値一定ダウンのダンジョン内ではそれらは烏合の衆。
 実際、パーティーの高火力担当の魔法や剣はことごとく弱体化し、モンスターに襲われている姿は傑作だった。
 このままパーティーは全滅。クレナイはおしまい……になるはずだった。

 しかし、鍵はやはりクレナイ。クレナイの肉体も、確かに弱体化した。
 そのはずなのに……弱体化していないものがあった。それは経験だ。数々のダンジョンをクリアしてきたクレナイは、身に付けた経験値を生かして危機を乗り切っていった。

「うぅ、くそぉ……体が思う通りに動かないはずなのに、なんであんなスムーズに進めるんだよぉ」

「レベルが下がって動揺するのは、これまでバカみたいに力で解決できると思ったり実際に解決してきたバカだけってことですね」

「クレナイは、バカじゃなかったと……」

 経験値が残っている以上、クレナイの真価は発揮される。
 パーティーメンバーに指示を出し、モンスターとは真正面からぶつからない方法、モンスターに見つからない方法、そして自分を囮にしてモンスターを罠にかける方法……

 そのすべてが見事な手際だ。正直、クレナイ一人ならなんとかなっていたかもしれないと思えるだけに、惜しかったとも言えるが。


『やっぱりクレナイ最強!』

『今回クレナイの動き鈍くなかった?』

『回線悪いのかな』

『クレナイは強いだけじゃなくて指揮官としても有能』

『クレナイ様に指揮されたい』

『もうクレナイに攻略できないダンジョンはないのかもな』


 ついには、能力値ダウンで鈍くなった身体機能は、配信されている動画の回線が悪いせいで動きが遅く見えるだけ……と思われてしまう始末。
 ちゃうねん、実際に遅くなってるねん。

 おのれ視聴者どもめ、好き勝手言いやがって……!
 それはそれとして今回も視聴ありがとうございます!

「はぁあ……」

「主様……なんか、気晴らしとかしないんすか? そうすれば、なんかいいアイデアが生まれて……」

「ダンジョン作りが俺にとっての気晴らしだ!」

「……あ、そっすか」

 ……なんか引いちゃった。ごめんねラビ。
 ラビの言うことも、一理あるか……ダンジョン作り以外で、気晴らしでもあれば良いダンジョン作りの良いアイデアが浮かぶかもしれないのだ。

 ただ…………俺……

「ダンジョン作り以外に俺、なんか趣味とか……ないよ?」

「……なんかごめんなさい」

 謝られてしまった。ラビは悪くないのに、謝らせてしまった。
 考えてみれば、俺にはダンジョン作り以外に気晴らしと呼べる趣味がない。

 いや、元の世界では、そりゃいろいろ趣味はあったよ?
 でも、この空間はダンジョンを作りそれを配信するだけの空間。それ以外の娯楽が用意されているはずもない。

 話し相手としてラビを作りはした。ここは、俺の創造したものが出てくる空間。いわば神と言ってもいいだろう。
 だが、結局は一人だ。他にできることもないし、ただダンジョンを作っていただけなのだが……

「どうしよう……」

 元の世界のように、SNSが生きている空間ではない。動画配信や掲示板のコメントを見ることはできるが、見れるだけ。テレビやゲームもあるはずもない。
 ラビのような話し相手を作っても、虚しさが増すだけな気がする……

 そこまで考えて……俺の頭には、一つの考えが浮かんだ。

「よし、行くか」

「行く?」

「クレナイのいるところだよ」

 実際に、クレナイに会いに行く。これは以前考えていたことでもあり、外に出ればなんかいろいろアイデアが浮かぶかもしれないという考えからだ。
 立ち上がる俺に、ラビは驚いた様子。

「え、主様、この空間から出られるんですか?」

「うん、出られるよ」

「マジすか」

 そう、ダンジョン作りのためのこの空間。俺は、ここに住んでいるが……ここでしか生活できないとは、言っていない。
 モニターに映し出されている先……つまり、俺が作ったダンジョンのある世界に、俺は行くことができるのだ。

 これまでは、ただダンジョンを作っているだけで満足だったが……そうもいかなくなった、ってことだな。
 実際にあの世界に降りて、クレナイに会ったりして……自分に、新しい刺激を取り入れるのだ!

「知らなかったっすよ」

「あー、言ってなかったからな。まあ俺も、正直半分くらい忘れてたけどさ」

 そうと決まれば、行動に移す! まあ、用意するものはないんだけど。
 この空間で作ったものは、この空間にあるうちは消えないが……この空間から持ち出すことは、できない。

 つまり、ラビも外に連れ出すことはできないのだ。

「悪いなラビ、一緒に連れていけなくて」

「いえ、主様の留守を守っておくことにしますよ。
 まあ、おいらなんかじゃ守るもなにもなにもないでしょうけど」

「そんなことはないさ。ま、ちょいちょい戻ってくるから」

 俺はなにも、この先ずっとあの世界に居つくわけではないのだ。この空間と行き来できる。
 ラビと会えないままだと俺もつらいし。ちょいちょい帰ってこよう。

 さて、いざ行かん! 待ってろよクレナイ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

処理中です...