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転生魔王は友達を作る
仲を深めるために
しおりを挟むそれから、部室にあるカメラを見せてもらったり、撮り方のコツなどを教えてもらった。
カメラで写真を撮る機会など少ない……いやないに等しいため、聞いているだけでも勉強になる。
早く、撮ってみたいと思うわけだが……
「その目は、かなり興味を持っているね!
いいとも、どれでも好きなの選びたまえ!」
と、どこか得意げにしているなぐも先輩の言葉に甘え、俺は一つカメラを取る。
なかなかに重量感があるな。
落とさないために、一つ一つに紐がついているのか。
紐を、首にかけてカメラをぶら下げる。
「おぉ! いいねぇ様になってるよ!
いいよいいよぉ!」
カメラを首からかけただけだが、なぜかなぐも先輩の気に入ったらしく、パシャパシャとあちこちから撮られる。
むぅ……なんだか、恥ずかしいな。
普通に見られる分ならまだしも、写真として形に残るのはな……
「あはは、でも似合ってるよ光矢クン。
なんか、やり手のカメラマンって感じ」
「そ、そうか?」
そうやって褒められると、悪い気はしないが……
その後はさなとあいもカメラを借り、部室の中で色々と写真を撮った。
部室の中からなら、外を撮るのもありだ。
こうして、今日は部屋の中で、次の日は外で……といった風に、日ごとにどこでなにを撮るのか、決めていくようだ。
「はぁー、楽しかった! やっぱり誰かと、カメラのことで語り合えるのは楽しいや!」
時間が過ぎるのは早く、片付けの最中になぐも先輩が言った。
どのくらいの期間かわからないが、決して短かったわけではないだろう……一人の時間は。
だからこうして、人と話すことに喜びを覚えるし、マネキンに変なこともする。
変な人ではあるが、悪い人では、ないんだよな。
「写真部でも、走らなきゃいけないんだねー」
「それはまあ、仕方ないな」
部活を終えて、帰宅中。
運動系よりは文化系な写真部であるが、それでも走らないという選択肢はないらしい。
ま、そこは諦めるしかない。
隣でさなが、若干落ち込んだ表情を浮かべているが。
「あくまで写真部の名を広げるのが目的だ。
そう気負う必要はないんじゃないか」
「そう……ですね」
ふむ……あんまり、効果がないようだな。
走るという事実がそんなに、ショックだったか?
さなを励ますには……
そう考え、俺は一つの結論を得た。
「さな」
「なんでしょう」
「明日、俺とデートをしよう」
「は…………はい?」
元々、考えてはいたのだ。休日に、さなをデートに誘おうと。
デート……口で言うのは簡単だが、考えるのも誘うのも、初めての経験だ。
だが、男女の仲を縮めるにデートはいい手段だと、聞いた。
「明日、俺とデートをしよう」
「に、ニ回言わなくても、聞こえてます……」
徐々に、さなの顔が赤くなっていくのが、見えた。
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