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死に戻り勇者、軌跡を辿る
六人の仲間たちと仲良く
しおりを挟むこうして、集まったのは六人。魔王討伐のため、共に旅に出る仲間たちだ。
それぞれのメンバー、及び『スキル』は……
【鑑定眼】ゲルド・アールボート
【獣化】ドーマス・カルロー
『精霊師』【百発百中】ミランシェ・ザールハルト
【絶対防御】リリー・リリエット
『精霊術師』【癒やしの力】シャリーディア・ラー・フランツェル
そして俺【勇者】ロア
以上。みんな、頼りになる仲間たちばかりだ。俺以外は、全員が貴族もしくは王族だ。
最年長のドーマスさんは一番頼りになるし、ミランシェは冒険者に身を置いていたから戦場での動き方に詳しい。
王族であるが最年少のリリーは、臆病ではあるが仲間を必ず守るという熱い心を持っている。大神官のシャリーディアも仲間思いのいい子で、重傷者が出なかったのは彼女のおかげだ。
そして……
「ま、これから同じ目的を持った仲間だ。仲良くしようぜ、平民勇者。つっても、俺も元は平民なんだがな。タメ口で構わねぇぜ、ロア」
「えっと、じゃあ……ゲルド」
やたらと俺に絡んでくるゲルド。前世で、俺を殺した男だ。
ゲルドは現在貴族であるが、元々は平民だ。実は平民が貴族になる方法は、ある。大きく分けて二つだ。
一つは、貴族と結婚し婿もしくは嫁に入ること。平民側のメリットはもちろんだが、貴族側のメリットとしては例えば、商人などを貰えばその繋がりを介して家の発展を望めるなどだ。
だがゲルドは結婚はしていない。となると、もう一つの理由。
武勲を上げ、褒美として貴族としての地位を貰うこと。ゲルドはこれまでにも、国のために貢献し、小規模な戦にも参加している。その際の武勲が、認められたのだ。
「なんなら、俺が戦い方を教えてやろうか?」
「はは、それは心強いな」
実際、ゲルドの腕はかなり強い。並の兵士じゃ、まったく歯が立たないほどに。
『スキル』を駆使し、相手の弱点を突く。それが全てではなく、あらゆる状況を予測して動けるよう、神経を尖らせている。
得物は短剣が多く、接近戦を得意とする。【勇者】である俺と何度か模擬戦をしたが、俺が【勇者】でなければすでに何回と死んでいただろうほどに。
顔や口は悪いが、わりといい奴ではある。それは俺が、一番良くわかっている。
ただ……
「そっちのミランシェ、それにシャリーディアだっけか。あんたらも、俺が手取り足取り教えてもいいんだぜ?」
「遠慮します」
「わ、私も……」
ゲルドは、女好きとして知られている。この話は王都では有名であり、前世では俺も知らず知らず耳に入ってきたものだ。何人、いや何十もの女を抱いているとか。
確かに、黙ってれば顔立ちはいいし、モテるのもわかるが……わからないのが、女好きだと有名なのに、それでも彼に抱かれる女性が後を絶たないということ。
それほどまでに、彼は女性の扱いが上手いのか。ゲルドがどういう人物か知っているから、ミランシェは不快そうに顔を背け、シャリーディアも苦笑いを浮かべる。
ま、知らなくても同じような反応になるとは思うが。
「釣れねぇなぁ。ま、いいや。よぉロア、せっかく三年もあるんだ。戦い方以外にも、男としていろいろ教えてやるよ」
貴族は平民を見下しがちな傾向にあるというが、意外にもゲルドはフレンドリーだ。初対面で肩まで組んでくれる。
男としていろいろ教えてやる……まあ、そういうことだ。俺も男だ、正直そういうことに興味がないわけではないが……
前世じゃ、いろんな意味で緊張していたため、ただ曖昧に返事をするしかなかった。で、そのうちにドーマスさんが止めてくれるのだ。
だから、今回も……
「アールボートさん、そこまでです。ロアさんが困ってるじゃないですか」
「!」
グイグイ来るゲルドに、ストップが入った……そこまでは、前世と同じ。
だが、ストップをかけたのはドーマスさんではない。シャリーディアだった。
「んだよ、かたっ苦しいな。ゲルドでいいんだぜ。それに、俺はただ仲良くしようとしてるだけだ」
「だとしても、話の内容が下品です」
このタイミングで、シャリーディアが介入してくるとは……前世の展開と、違う?
やっぱり、なにもかも同じってわけではないのだろうか。
その後、シャリーディアに続いてドーマスさんにも注意されたゲルドは、渋々ながら両手を上げ、俺から離れたのだった。
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