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死に戻り勇者、因縁と対峙す
本当にいい子
しおりを挟む俺はいったい、どうしたらいいのか。どうするべきなのだろう……これを人に聞くのもどうかと思うが、別の視点からの意見がほしい。
俺の事情を知っているエフィに、相談するのはいいアイデアだと思えた。
「実は……さっきの人たちだけど、ファルマー王国の人なんだ」
「ふぁるま……? ……えっと、アーロさんの……?」
「あぁ」
ファルマー王国……俺が、ラーダ村に来る前に逃げてきた国の名前だ。
そこから、なぜだかアーロという人物を探しに、ファルマー国の人たちが来たのだ。
「どうして、ファルマー王国の人たちが……まさか、アーロさんの正体がバレて?」
「いや、彼らはロアじゃなく、アーロを捜してるみたいだった。理由は……セント町で、いろいろやらかしたからかな」
バングーマさんの話を聞く限り、俺が目立ってしまったのが原因のようだ。目立つつもりなんてなかったが、ハイプテラの撃退にAランク冒険者との決闘と、目立つことばかりだ。
そして、それを聞いたゲルドが面白いやつ見たさに、やって来たということだ。
「さっきここに来たのは……多分、ファルマー王国の兵士だと思う」
「兵士? でも、普通の服でしたよ」
「そりゃ、目立たないように行動してるから、兵士とわかるような格好はしないよ。ゲルドを一人で行動させるわけにはいかないから……護衛として、兵士を何人か付けたんだろう」
俺は見たことがないが、ファルマー王国の兵士だろうなバングーマさんたちは。王国の兵士とは、昔故郷の村をモンスターの大群から救ってもらった時に縁がある。
だが、あの中に見知った顔はいなかったな。
「じゃあ、そのゲルドという人が、アーロさんの人柄に興味を持って訪ねてきた、ということですね?」
「そうだな。けれど、まずいのはそこじゃない」
そう、俺がただのアーロならば、面倒ではあるがゲルドと会っても問題はない。
だが、そうできない理由があるわけで。
「その、ゲルドってどういう人なんです?」
「うーん……一言で言うなら、昔の仲間、かな」
「昔の……あっ、そういうことですか」
説明を受けて、どうやらエフィも理解したらしい。俺が、ゲルドに会えない理由が。
アーロとしてゲルドに会ったとして、俺はアーロでありロアでもあるのだ。
「そういえば言ってましたもんね、アーロさん。昔の仲間に殺されそうになったって。もしかしてそれが……」
「そう、ゲルドのことだ」
ただの、昔の仲間ならばまだいい。だが、よりによってゲルド……俺を殺そうとした、男だ。前世、今回、二回とも。
しかも、ゲルドは国王の命令で俺を殺したのだと思っていた。だが……国王の命令もあったが、それ以上に、個人的な理由でも俺を狙っていたというのだ。
そんな男とここで、再会してみろ……どうなるかは、考えるまでもない。
「また、ゲルドに狙われることになる。それに、ゲルドが生きて国に帰ったとして……十中八九、国王の耳に俺の生存が伝えられる」
「それは、困りましたね……」
「あぁ。俺のせいで、この村に迷惑が……」
「いや、そうじゃなくて。アーロさんが心配です」
俺のせいで、この村に迷惑をかけることになってしまう。そもそも、この村に来た時点でそうだろう、と言われればその通りなのかもしれないが……
だが、エフィはそんなことではないのだと、首を振る。
「そんなことになったら、アーロさんが心配になります!」
「そ、そう……それは、どうも」
自分の生まれ育った村よりも、本気で俺のことを心配してくれる……なんだこのいい子、天使かよ。
エフィも、どうしたらいいか本気で考えてくれている。逃げる、隠れる……そのあたりは、やはり俺が考えたのと同じ意見に落ち着いたようだ。
「うーん」
「うーん」
二人の意見を持ち寄りながら、それでもいい意見は出てこなくて。
そうしているうちに、無情にも、時間は過ぎていく。
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