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第2章 エルフの森へ
ついにルオールの森林へ
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謎のエルフ少女から射られた矢……それは寸分違わず、俺の額を狙っていた。いくら一直線に進んでいたとはいえ、ライダーウルフのこのスピードを前に正確に狙いを定めるなんて……正確さ以上に、その躊躇のなさが恐ろしい。
ライダーウルフのスピードと、矢のスピード……すでに、ライダーウルフが避けるために曲がったとしても、矢が当たることは免れない。そのまま、曲がることなく矢は俺の額に、吸い込まれるように突き刺され……
「ふん!」
……る直前、俺の額に当たらない程度の距離で、矢の動きが止まった。それはなぜか……飛んでいる矢が、動きを止めるわけはない。自発的に止まるのは不可能だ。
……矢は、アンジーの手によりその動きを止められていた。そう、矢を掴み取る形で……
「!?」
矢を、手で止めた!? それも、飛んできている矢を、素手で掴み取って!?
いくら軌道が直線しかないとはいっても、そんなこと可能なのか!?
「あ、アンジー……?」
「ご安心を、メイドのたしなみです」
どんなたしなみだよ……怖いよ。モンスター怯えさせたりゴブリンのお肉食べてたりいろいろワイルドすぎるよ。
「! まさか……もう一発……!」
「わわわ……!」
矢を止められたことに、エルフの少女も唖然としていたが、すぐに体勢を整える。背に背負った箱のようなものの中から矢を取り、第二射を構えようと……
「待ちなさい!」
「……えっ?」
次が来る……しかしその前に、後ろから待ったの声。それと共に、後ろから俺を抱き締めていたアンジーはひとり、ライダーウルフから飛び降りる。その着地点は、エルフ少女の目の前だ。
「アンジー!?」
「! エルフ……? それに、アンジーって……」
「……やっぱり貴女だったのね。とりあえず矢を置きなさい……ヤネッサ」
同じエルフとはいえ、敵意を見せる相手の目の前に降りるのは危険だ。そう思い、アンジーを呼ぶが……それに反応したのは、アンジーではなくエルフ少女だった。
どうやらエルフ少女は、アンジーが同族であることに気づいていなかったらしい。だから、同族がいるにも関わらず矢を射ってきたのか……結構、あの金髪は目立つと思うが。
そして、同族以上にアンジーの名前に反応した。さらに、アンジーもエルフ少女の名前を呼んだ。あの二人、知り合いだったってことか……
「あ、あ、アンジー? 本当に、本当にアンジーお姉ちゃんなの?」
「本当に私よ。……こんなところでなにをしているの」
目の前のアンジーに、興奮が隠せないようだ、あのヤネッサと呼ばれた少女。それは驚きと、それと同等かそれ以上の喜びが見てとれた。
「実は……最近、食物を奪っていく輩が多くなって。見張ってた。まさか、アンジーお姉ちゃんが戻ってくるなんて思わなかったから……」
「私はいいけど、もう少しでヤーク様に当たるところだったわ。ちゃんと謝罪して」
「やーくさま?」
アンジーが振り向き、その視線が俺に向く。俺はまあ、危険だったけど……別に、謝罪とかは……
「……誰、そのおとこ」
急に、俺に半目を向けてきた。アンジーに向けていた嬉しそうな表情は、どこへいったんだ。
俺を警戒……というか、どこか敵意のようなものを感じる。なんだ? 俺、なにかした?
「私が働かせてもらっている、家の坊っちゃんよ」
「ええと、ヤークワード・フォン・ライオス……です」
とりあえず、アンジーの知り合いというのなら……挨拶はしとこう。見た感じは、10代半ばといったところ……だが、エルフ族は外見と中身の年齢がイコールではないので、実際はもっと長生きなのだろう。
「……ふん」
顔を、そらされた。
「こらっ」
「いた!」
ヤネッサが、アンジーに叩かれた。いや、殴られた。頭をグーで。
「あ、い、さ、つ、は?」
「……や、ヤネッサ……どうも」
かなり言わされてる感があるが……まあ、いいか。こういう性格の子だっているし。
「もう……」
「と、ところでアンジーお姉ちゃん。今日はどうしたの?」
やはり、アンジーに話しかけるとき露骨に明るくなっている気がする。ていうか、お姉ちゃん……かなり、懐いているんだな。
もしかして、アンジーと一緒にいる俺に嫉妬してるとか? はっはっは、それはないか!
「ちょっと野暮用で、あまり長くは居られないの」
「えー」
「おじいさまは、いる?」
しばし、2人の話。ここに来た理由はあとで話すからとか、おじいさまのところに案内してとか……そういった、やり取りだ。
そして、俺はライダーウルフに乗ったまま、ヤネッサとアンジーに先導されついにエルフの森……ルオールの森林へと、足を踏み入れた。
ライダーウルフのスピードと、矢のスピード……すでに、ライダーウルフが避けるために曲がったとしても、矢が当たることは免れない。そのまま、曲がることなく矢は俺の額に、吸い込まれるように突き刺され……
「ふん!」
……る直前、俺の額に当たらない程度の距離で、矢の動きが止まった。それはなぜか……飛んでいる矢が、動きを止めるわけはない。自発的に止まるのは不可能だ。
……矢は、アンジーの手によりその動きを止められていた。そう、矢を掴み取る形で……
「!?」
矢を、手で止めた!? それも、飛んできている矢を、素手で掴み取って!?
いくら軌道が直線しかないとはいっても、そんなこと可能なのか!?
「あ、アンジー……?」
「ご安心を、メイドのたしなみです」
どんなたしなみだよ……怖いよ。モンスター怯えさせたりゴブリンのお肉食べてたりいろいろワイルドすぎるよ。
「! まさか……もう一発……!」
「わわわ……!」
矢を止められたことに、エルフの少女も唖然としていたが、すぐに体勢を整える。背に背負った箱のようなものの中から矢を取り、第二射を構えようと……
「待ちなさい!」
「……えっ?」
次が来る……しかしその前に、後ろから待ったの声。それと共に、後ろから俺を抱き締めていたアンジーはひとり、ライダーウルフから飛び降りる。その着地点は、エルフ少女の目の前だ。
「アンジー!?」
「! エルフ……? それに、アンジーって……」
「……やっぱり貴女だったのね。とりあえず矢を置きなさい……ヤネッサ」
同じエルフとはいえ、敵意を見せる相手の目の前に降りるのは危険だ。そう思い、アンジーを呼ぶが……それに反応したのは、アンジーではなくエルフ少女だった。
どうやらエルフ少女は、アンジーが同族であることに気づいていなかったらしい。だから、同族がいるにも関わらず矢を射ってきたのか……結構、あの金髪は目立つと思うが。
そして、同族以上にアンジーの名前に反応した。さらに、アンジーもエルフ少女の名前を呼んだ。あの二人、知り合いだったってことか……
「あ、あ、アンジー? 本当に、本当にアンジーお姉ちゃんなの?」
「本当に私よ。……こんなところでなにをしているの」
目の前のアンジーに、興奮が隠せないようだ、あのヤネッサと呼ばれた少女。それは驚きと、それと同等かそれ以上の喜びが見てとれた。
「実は……最近、食物を奪っていく輩が多くなって。見張ってた。まさか、アンジーお姉ちゃんが戻ってくるなんて思わなかったから……」
「私はいいけど、もう少しでヤーク様に当たるところだったわ。ちゃんと謝罪して」
「やーくさま?」
アンジーが振り向き、その視線が俺に向く。俺はまあ、危険だったけど……別に、謝罪とかは……
「……誰、そのおとこ」
急に、俺に半目を向けてきた。アンジーに向けていた嬉しそうな表情は、どこへいったんだ。
俺を警戒……というか、どこか敵意のようなものを感じる。なんだ? 俺、なにかした?
「私が働かせてもらっている、家の坊っちゃんよ」
「ええと、ヤークワード・フォン・ライオス……です」
とりあえず、アンジーの知り合いというのなら……挨拶はしとこう。見た感じは、10代半ばといったところ……だが、エルフ族は外見と中身の年齢がイコールではないので、実際はもっと長生きなのだろう。
「……ふん」
顔を、そらされた。
「こらっ」
「いた!」
ヤネッサが、アンジーに叩かれた。いや、殴られた。頭をグーで。
「あ、い、さ、つ、は?」
「……や、ヤネッサ……どうも」
かなり言わされてる感があるが……まあ、いいか。こういう性格の子だっているし。
「もう……」
「と、ところでアンジーお姉ちゃん。今日はどうしたの?」
やはり、アンジーに話しかけるとき露骨に明るくなっている気がする。ていうか、お姉ちゃん……かなり、懐いているんだな。
もしかして、アンジーと一緒にいる俺に嫉妬してるとか? はっはっは、それはないか!
「ちょっと野暮用で、あまり長くは居られないの」
「えー」
「おじいさまは、いる?」
しばし、2人の話。ここに来た理由はあとで話すからとか、おじいさまのところに案内してとか……そういった、やり取りだ。
そして、俺はライダーウルフに乗ったまま、ヤネッサとアンジーに先導されついにエルフの森……ルオールの森林へと、足を踏み入れた。
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