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ベランダ
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坂本翔太はあまり社交的な性格ではなかった。会社の大人数でのにぎやかな宴会などより一人でのびのび自分の自分の時間を楽しむ方が性に合っていた。だから実家の親戚の集まりはかなり憂鬱だった。親族との会話が特別嫌いなわけではないが、坂本の両親は坂本と違いおしゃべりな性格だったため毎度毎度かなりの人を集めていた。その喧騒がどうしても得意になれなかった。案の定、ある程度世間話を終えると気疲れしてしまい、一人二階の自室で過ごしていた。すると、五歳くらいの少年が部屋に入ってきた。この子は兄夫婦の子供だっただろうか。つまり私の甥っ子に当たるわけだ。確か名前は…
「健人くん、こんな所に来て…、どうしたんだい?」
大方、両親含め大人たちが酒に興じているため手持ち無沙汰になったのだろう。
健人くんは部屋の窓に歩み寄ると向かいの家のベランダを指して言った。
「あのおうちのベランダにおばさんがいる」
え…。
驚いて私も窓に駆け寄る。しかしベランダには誰もいない。しかし健人くんはベランダの一点を見つめ続けている。そんな、人などいるわけがないじゃないか。だって、
向かいの家はずっと空き家なのだから。
そのとき、「健人!こんなところにいたのね!翔太おじさんに迷惑かけちゃだめでしょ!」大きな声がやけにはっきり響いた。部屋の入り口に少女が立っている。健人くんより一回り身長が高い。姪っ子の桜ちゃんだった。健人くんの姉にあたる。
「いや、僕は別に構わないよ」できるだけ相手を怖がらせないように答える。「すいません」桜ちゃんが部屋に入ってきて私と健人くんの横に座った。
「あのおばさん、誰だろ」
「ね」
ふたりは表情一つ変えず同じ一点を見つめている。でもやはりそこには何もいない。もしくは何も、見えない。その後二人は学校やゲームの話を始めた。私は二人に、見えているものを聞きたかったがあまりにも二人があたりまえのように軽くスルーしたのが気味悪く、結局二人が部屋を後にするまで疑問を口にできなかった。
もう一度、ベランダを見る。やっぱりそこには誰もいない。でも少し視線を感じる気がする。でも何もいない。でも視線を感じる…。
見えないことが、こんなにも怖い…。
「さっきのおばさん、ホントに誰だったんだろうね」
「あんなに翔太おじさんのこと見つめてね」
「ね」
「健人くん、こんな所に来て…、どうしたんだい?」
大方、両親含め大人たちが酒に興じているため手持ち無沙汰になったのだろう。
健人くんは部屋の窓に歩み寄ると向かいの家のベランダを指して言った。
「あのおうちのベランダにおばさんがいる」
え…。
驚いて私も窓に駆け寄る。しかしベランダには誰もいない。しかし健人くんはベランダの一点を見つめ続けている。そんな、人などいるわけがないじゃないか。だって、
向かいの家はずっと空き家なのだから。
そのとき、「健人!こんなところにいたのね!翔太おじさんに迷惑かけちゃだめでしょ!」大きな声がやけにはっきり響いた。部屋の入り口に少女が立っている。健人くんより一回り身長が高い。姪っ子の桜ちゃんだった。健人くんの姉にあたる。
「いや、僕は別に構わないよ」できるだけ相手を怖がらせないように答える。「すいません」桜ちゃんが部屋に入ってきて私と健人くんの横に座った。
「あのおばさん、誰だろ」
「ね」
ふたりは表情一つ変えず同じ一点を見つめている。でもやはりそこには何もいない。もしくは何も、見えない。その後二人は学校やゲームの話を始めた。私は二人に、見えているものを聞きたかったがあまりにも二人があたりまえのように軽くスルーしたのが気味悪く、結局二人が部屋を後にするまで疑問を口にできなかった。
もう一度、ベランダを見る。やっぱりそこには誰もいない。でも少し視線を感じる気がする。でも何もいない。でも視線を感じる…。
見えないことが、こんなにも怖い…。
「さっきのおばさん、ホントに誰だったんだろうね」
「あんなに翔太おじさんのこと見つめてね」
「ね」
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