秘めやかな愛に守られて【目覚めたらそこは獣人国の男色用遊郭でした】

カミヤルイ

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ひとつに、そして。

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「ん、月華……」
「毬也の肌、どこもかしこも真珠みたいに綺麗だ」 

 舌と肉球のある手のひら、尻尾を使って全身を撫でられる。体の底から湧き出る悦びは、涙となって頬を濡らした。

「涙は水晶だな……すごく綺麗だ。初めて毬也を見つけたとき、なんて綺麗な泣き顔なんだろうと思った。ひと目惚れだったよ。この綺麗な涙を俺以外に見せるもんかって、ずっと思ってきた」

 ぺろり。月華が涙を拭う。

 出会ってすぐから僕の涙を舐め、事あるごとにそうしていた月華。そんな秘められた気持ちがあったなんて。

「好き……月華、好き……」
「俺も、毬也が好きだ」
「あっ……」

 目元にあった唇が頬をすべり、鎖骨を下りて胸の先に落ちた。一方をよじられ、一方を口の中に含まれて舌で転がされる。

 軽くかじられると、お腹の奥にきぃんと痺れが走った。

「ここ、すごく濡れてる。俺で感じてくれてるんだな。嬉しいよ」
「は、あぁん!」

 胸先を含んだまま言われ、昂ったものの先端を親指でこすられる。ぬめった感触が自分でもわかった。

 月華は濡れそぼった僕の昂りを緩く上下しながら、尻尾で孔を撫で拡げてくる。

「ふぁ……全部一緒にするの、駄目ぇ……変、変になるから。頭、溶けちゃうからぁ」

 体を蕩けさせるような甘い疼きが全身に広がり、思考を奪っていく。

 頭の隅で「月華は大輪だから相手を気持ち良くさせるのが上手なんだ」とやきもちを焼きかけたけれど、すぐに流れていった。

「変になればいい。俺の前でしか見せない毬也の艶っぽいところ、もっと見たい」
「なに言って……ひゃ、ああぁ!」

 熱の塊となっていた昂りの先端をされて、目の前で白い光が散った。
 白濁を放った体はひくひくと痙攣し、目が霞む。

 僕は月華を見失いたくなくて、必死に月華にしがみついた。

「あ……月華、また虎の姿に……?」

 肌に体毛が触れ、目をこらして見ると、獣の姿と人型とを行き来している様子だった。

「ごめん、普段はこんなことないんだけど、毬也のかわいい姿を見ると気が昂って獣化してしまう。怖いだろ? なんとか戻るから……」
「ううん。僕は月華を怖がったりしないって言ったでしょう? 人型の月華は綺麗で、虎の姿の月華はかっこいい……ずっとサバトラ猫だと思っていたけど、白虎だったんだね」
「……」

 月華が黙る。本当に怖くないのに、まだ心配?

「俺が虎だってこと、黙っててくれる?」
「? それはいいけど、どうして?」
「遊郭に虎がいるとまずいから……」

 遊郭の花には僕がいた世界でいう「猛獣類」はいない。詳しくは言わないけれど、彩里国では猛獣類を花として使っていることが知れたら、廓は罪を問われることになるんだと月華は言う。

「捨て子で身寄りがない俺でも、虎とばれたらすぐにここから出されてしまう。そんなことになったら毬也とはなればなれになるし、もし廓が潰れでもしたら、年季明けにもらえるはずの金も流れる。一緒にここを出られても、毬也と暮らす金がなくなる」
「月華……」

 僕とずっと一緒にいてくれようとする気持ちが伝わってくる。

「だから、俺たちだけの秘密だ」

 指切りの代わりに唇が降りてくる。これ以上言葉は必要ないとばかりに舌を絡め取られ、尻尾で軽くほぐされた孔に指があてがわれた。

「ふぅ、んんっ」

 長い指で淫路いんろを作られる。指の本数が増え、動きが激しくなると、高い声を抑えられなくなる。

「は、ぁぁん、月華、月華ぁ」
「毬也、挿れるぞ、人型でいられるうちに……!」
「……あぁっ!」

 切っ先が肉環を広げ、中に入ってくる。その感覚だけで大きな快感の波に攫われそうになり、ぎゅっと月華にしがみついた。

「痛いか? ごめんな。できるだけ、優しくする……」

 額に汗を浮かばせながら眉根を寄せる。耳がピクピクしていた。

「大……丈夫。月華が中にいるの、凄く、嬉しい。気持ち……いい」

 目の前の首筋を吸って言うと、中で月華のものが大きくなって跳ねた。

「煽るなよ……」
「ぁっ、あっ!」

 月華が動き出す。ゆっくり試すようにしながら、次第にスピードをつけ、深みをえぐる。

「奥まで挿れるよ? 毬也の全部、俺で埋めたい」

 僕は切なく疼く腰を上げて、返事の代わりにした。

「は、ぁあ……!」

 お腹の中が月華の熱塊でいっぱいになる。窮屈でいて、とても幸せな圧迫感。最奥を何度も突かれて、僕は涙を流しながら高い声を出していた。

「月、華、月華、すきぃ」

 足を月華の腰に絡める。

「っつ……締ま、るっ」

 月華が息を詰めた。尻尾が僕の太ももに巻き付き、きつく締めてくる。熱いものがお腹の中で散った。

 同時に僕も白濁を散らし、全身から力が抜けた。

 繋がったまま、月華が僕の上に重なる。

 もう子どもの体じゃない、筋肉の形がはっきりした逞しい体は軽くない。でも、幸せな重みだ。

「月華……」
「毬也……」

 自然に唇が近づく。

 ────けれど、重なりはしなかった。

「お前たち! なにをしている」

 突然襖が開き、僕たちの甘い空間を切り裂いたのだ。

 橘さんが入ってきて、後ろには両隣の部屋の花が訝しい表情で立っている。

「通告があったぞ! 月華、あれほど楼主様に言われたのに、なんてことを! ケダモノめ、月華をかどかわしやがって!」

 橘さんが声を荒げ、裸のまま畳に横たわっている僕たちの間に割って入り、男衆を呼んで縄をかけようとした。

 花同士の行為はご法度だ。足抜けと同じく厳しく罰せられる。

 重々わかっていたのに、僕たちは気持ちを抑えられなかった。

「月華は大輪剥奪だ。仕置き部屋へ入れろ! 毬也は見世格子ではりつけにして、誰にでもいいから買わせろ! 金をぶんどれるなら死んだっていい!」

 橘さんが指示する。

「させるか! 毬也、毬也!」
「月華、月華!」

 どんなに手を伸ばそうと、僕たちは男衆により引き離される。僕は激しく頬をぶたれて廊下に引きずられ、月華は首の後ろを殴られて、うな垂れて気を失った。
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