1 / 21
空き家
しおりを挟む
家の近所にあるその家が空き家になってもう3年目になるだろうか。
その家の住人達一家6人、不運な不慮の事故で全員が亡くなっていた。
今は空き家に住み着いた野良猫達が、主人になったように我が物顔で塀の隙間から出入りしている。
敷地も母屋も大きなものだ。大きいからこそ誰が相続するか、亡くなった家族の親類達が争っているようだった。
親類達は、その家を売り飛ばして金銭を親類みんなで分けようとか、いやいや先祖代々の家土地だ、一人の持ち物にして建て直ししても良いからあの場に住むべきだとか意見がまとまらず、あちらこちらの不平不満が噴出することおびただしいと聞いている。
やっとのことで持ち主が決まったと聞いたのが空き家となって一年後のことだった。ところが、持ち主が決まったのもつかの間、その持ち主になった人物がまたまた不慮の事故で亡くなってしまった。そして再び相続権の争いが始まったようだった。
そんなことは露とも知らず、その屋の主人となった猫達はのんびりと暮らしている。猫達は庭先だけに居るわけではなく家の中から出てくるようにも見える。どこかに隙間があるのか穴があるのか。
残業で遅く帰った時の事だった。
その空き家の前を通ると、家の中からミャーミャーとかすかに鳴く声がした。ああ、あの猫たちかと思い、ふと、どうしているのかと気になった。
ちょっと覗いてみよう。
見ると気のせいか誰もいないはずの空き家からうっすらと光が漏れている気がした。
空き家に暮らす猫達はたぶん6匹。毎日通るせいかなんとなく出入りしている猫を覚えていた。
…その時までは気が付かなかったが。
不思議だ。まさかと思った。
その屋の元の持ち主だった家族も同じ6人。ご夫婦とおばあちゃん、それに息子さんが2人に娘さんが一人だったと思う。住み着いた猫達の構成も年老いた猫が一匹に夫婦のような猫が2匹。そして子猫が3匹。
そう言えば猫達はいつからこの空き家に住み着いたのか。
子猫はいつも子猫で成長している様子も感じられない。成長した猫達は入れ替わっているのかもしれないが、見た限りでは同じように見える。
相続した人物が亡くなってさらに一年後、再再度の持ち主となった御仁も病死となり、今また誰が相続するかと親戚中が雁首を並べて協議している最中と言う事を聞いた。どうやら今度はその家土地を売り飛ばし親戚中で分け合うということに落ち着きそうな気配だ。
あの空き家の親類達が家を見に来ていた時、ちょうど休日の散歩であの家の前を通ったのだが、そんなことは知らないとばかりに猫は日向ぼっこをし、時折、親類たちに向かってミャーと鳴いていたのが印象的だった。
今日も一家6匹の猫達は優雅にあの空き家の一戸建てに暮らしている。
あの家土地が売られたら猫達はどうなるのだろう。
猫達はミャーミャーと何かを言いたそうに鳴いている。
その家の住人達一家6人、不運な不慮の事故で全員が亡くなっていた。
今は空き家に住み着いた野良猫達が、主人になったように我が物顔で塀の隙間から出入りしている。
敷地も母屋も大きなものだ。大きいからこそ誰が相続するか、亡くなった家族の親類達が争っているようだった。
親類達は、その家を売り飛ばして金銭を親類みんなで分けようとか、いやいや先祖代々の家土地だ、一人の持ち物にして建て直ししても良いからあの場に住むべきだとか意見がまとまらず、あちらこちらの不平不満が噴出することおびただしいと聞いている。
やっとのことで持ち主が決まったと聞いたのが空き家となって一年後のことだった。ところが、持ち主が決まったのもつかの間、その持ち主になった人物がまたまた不慮の事故で亡くなってしまった。そして再び相続権の争いが始まったようだった。
そんなことは露とも知らず、その屋の主人となった猫達はのんびりと暮らしている。猫達は庭先だけに居るわけではなく家の中から出てくるようにも見える。どこかに隙間があるのか穴があるのか。
残業で遅く帰った時の事だった。
その空き家の前を通ると、家の中からミャーミャーとかすかに鳴く声がした。ああ、あの猫たちかと思い、ふと、どうしているのかと気になった。
ちょっと覗いてみよう。
見ると気のせいか誰もいないはずの空き家からうっすらと光が漏れている気がした。
空き家に暮らす猫達はたぶん6匹。毎日通るせいかなんとなく出入りしている猫を覚えていた。
…その時までは気が付かなかったが。
不思議だ。まさかと思った。
その屋の元の持ち主だった家族も同じ6人。ご夫婦とおばあちゃん、それに息子さんが2人に娘さんが一人だったと思う。住み着いた猫達の構成も年老いた猫が一匹に夫婦のような猫が2匹。そして子猫が3匹。
そう言えば猫達はいつからこの空き家に住み着いたのか。
子猫はいつも子猫で成長している様子も感じられない。成長した猫達は入れ替わっているのかもしれないが、見た限りでは同じように見える。
相続した人物が亡くなってさらに一年後、再再度の持ち主となった御仁も病死となり、今また誰が相続するかと親戚中が雁首を並べて協議している最中と言う事を聞いた。どうやら今度はその家土地を売り飛ばし親戚中で分け合うということに落ち着きそうな気配だ。
あの空き家の親類達が家を見に来ていた時、ちょうど休日の散歩であの家の前を通ったのだが、そんなことは知らないとばかりに猫は日向ぼっこをし、時折、親類たちに向かってミャーと鳴いていたのが印象的だった。
今日も一家6匹の猫達は優雅にあの空き家の一戸建てに暮らしている。
あの家土地が売られたら猫達はどうなるのだろう。
猫達はミャーミャーと何かを言いたそうに鳴いている。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる